親が亡くなったら最初に何をする?お迎えから葬儀前までの流れ【元葬儀社スタッフが解説】

「〇〇と申しますが、父が亡くなりました。葬儀をお願いしたいのですが……」
「お力落としでございました」
この一本の電話から、日常とは違う時間が流れ始めます。
親との別れは、いつ訪れるか分かりません。いざというときに慌てないために、葬儀社で働いた経験をもとに、お迎えから葬儀前までの流れをご紹介します。
しかし、この「葬儀社に電話すること」が、最初の「どうしたらいいの?」と迷う場面になることがあります。
病院では、病室から霊安室に故人様を移動した後、「葬儀社にお迎えを頼んでください」と言われることがあります。
霊安室にいられる時間は病院によって異なりますが、数時間程度に限られる場合もあります。
過去にご葬儀を経験したご家庭なら、その葬儀社に電話することができます。
でも、葬儀を行うのが初めてのご家庭では、すぐに電話できる葬儀社が決まっていないことも少なくありません。
葬儀社の一覧表を備えている病院もあります。また、インターネットで検索して探され、連絡されるご家庭もありました。
いざというときに慌てないように、事前に葬儀社をいろいろ調べておくことも大切です。
「葬儀社のことは病院に聞いても教えてくれなかったし、本当に困ったよ」
というお声もありました。
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葬儀社への最初の電話で聞かれること
葬儀社に連絡すると、まず、お迎えに必要な情報を確認します。亡くなられた状況や現在いらっしゃる場所によって、対応が変わることもあります。
電話では、主に次のようなことを聞かれます。
① 故人様のお名前
② 電話をしている方のお名前と連絡先
③ ご住所
④ 故人様がいらっしゃる場所
⑤ お身体の清拭など、病院でのケアが済んでいるか
⑥ 故人様をどこにお連れして安置するか
⑦ お付き合いのあるお寺があるか
ご家族は、大切な方を亡くした直後で、気が動転しているかもしれません。質問にすぐ答えられなくても、無理はありません。
電話では、まず答えられることを伝えれば大丈夫です。分からないことは、分からないと伝えてかまいません。葬儀社は、必要な情報を確認しながら、お迎えの準備を進めていきます。
お迎えまでの時間は、葬儀社の対応状況や距離、時間帯などによって異なります。電話の際に、おおよその到着時間を確認しておきましょう。
故人様がいらっしゃる場所によって、対応は変わります
故人様が病院や介護施設にいらっしゃる場合と、ご自宅で亡くなられた場合では、最初の対応が異なります。
病院・介護施設で亡くなられた場合
病院では、主に霊安室にお迎えに伺います。状況によって病室にお伺いすることもあります。介護施設では、施設の状況に応じて、お部屋などにお迎えに伺います。
病院では、亡くなられたあとに、お身体を拭いたり着替えをしたりするケアが行われます。こうしたケアは、一般に「エンゼルケア」と呼ばれます。内容や実施方法は、病院などによって異なります。
お迎えの時間や手順については、病院・施設の職員と葬儀社の案内を確認しましょう。
ご自宅で亡くなられた場合
ご自宅で亡くなられた場合は、状況によって連絡先や対応が異なります。療養中で訪問診療を受けている方などは、まず担当の医師や、あらかじめ案内されている緊急連絡先に連絡し、指示を確認します。
突然倒れて意識や呼吸が確認できない場合など、救命が必要なときは119番へ連絡してください。
一方、明らかに亡くなられている場合や、死因が分からない場合などは、警察による確認が必要になることもあります。状況に応じて救急や警察などの指示を受け、自己判断でお身体を動かさないようにしましょう。
葬儀社がお迎えに伺えるタイミングも、必要な確認や手続きが終わってからとなります。
死亡診断書(または状況に応じて死体検案書)は、医師が交付します。死亡届の提出先や手続きについては、市区町村や葬儀社に確認すると安心です。
なお、死亡届は、国内で亡くなった場合、原則として死亡の事実を知った日から7日以内に提出する必要があります。
葬儀社が到着するまで、ご家族はどうすればいい?
葬儀社が来るまでの間、「何をしていればいいの?」「家を片づけたほうがいいの?」と迷う方もいらっしゃると思います。
急いで片づけなどをする必要はありません。まずは、故人様のそばで過ごし、気持ちを落ち着けましょう。
ただし、警察などによる確認が必要な場合は、その指示を優先してください。
必要な準備については、葬儀社に確認しながら進めれば大丈夫です。
私たち葬儀社のスタッフも、ご家族に「今は、そばにいてあげてください」とお声がけすることがあります。故人様と過ごす時間を、大切にしていただきたいからです。
故人様の安置先を決める
お迎えの際には、故人様をどこにお連れして安置するかを確認します。主な選択肢は、ご自宅か、葬儀場などの安置施設です。
① ご自宅にお連れする
住み慣れたご自宅で、故人様と一緒に過ごすことができます。「最後は家に帰してあげたい」と希望されるご家族もいらっしゃいます。
ただし、ご自宅に安置できるスペースがあるか、搬送が可能かなど、確認しておきたいこともあります。
② 葬儀場などの安置施設を利用する
ご自宅に安置することが難しい場合や、ご家族の生活環境などによっては、葬儀場などの安置施設を利用する方法もあります。
安置施設によっては面会時間に制限がある場合や、安置日数に応じて費用がかかる場合もありますので、事前に確認しておくと安心です。
どちらが正解ということではありません。ご家族の希望や状況に合わせて、葬儀社に相談しながら決めていきましょう。
お付き合いのあるお寺があるか確認する
お付き合いのあるお寺があるかどうかも、葬儀の準備に関わる確認事項の一つです。ご先祖のお墓や仏壇があっても、現在のお付き合いの状況は家庭によって異なります。分からない場合は、家族や親族に確認してみましょう。
お付き合いのあるお寺がある場合
普段からお付き合いのあるお寺がある場合は、まず、そのお寺に亡くなったことを連絡します。お寺の予定や葬儀会場、火葬場の状況などによって、通夜や葬儀の日程が決まります。希望どおりの日程にならないこともあるため、葬儀社と相談しながら調整します。
宗派や地域の慣習によっては、安置先で枕経(まくらきょう)をあげていただくこともあります。行うかどうかや時間については、お寺に確認しましょう。
お付き合いのあるお寺がない場合
お寺とのお付き合いがない場合にも、いくつかの選択肢があります。たとえば、ご先祖と同じ宗派で葬儀を行いたい、仏式で葬儀を行いたい、宗教儀礼を行わない葬儀にしたいなど、ご家族の希望によって考え方は異なります。
すぐに決められない場合は、希望や分からないことを葬儀社に伝え、説明を聞きながら考えていきましょう。
葬儀の打ち合わせで確認したいこと
故人様を安置したあと、葬儀についての打ち合わせを行います。葬儀の日程や形式、参列する方の範囲、費用など、決めることはいくつもあります。
大切な方を亡くしたばかりで、気持ちの整理がつかない中、次々に考えなければならないことが出てくるのです。
「何を選べばいいのか分からない」「費用はどれくらいかかるのだろう」「親戚には、どこまで連絡すればいいのだろう」
そんな疑問が浮かぶのも自然なことです。
葬儀では決して少なくないお金が必要になってきます。悲しみと現実が交差します。
分からないことは、遠慮せず葬儀社のスタッフに確認しましょう。
特に費用については、見積もりに何が含まれているのか、別途費用がかかるものはあるのかを確認し、説明を受けて納得してから決めることが大切です。
例えば、搬送費用、安置費用、火葬料、飲食費、返礼品などが見積もりに含まれているか、確認しておくと安心です。
また、病院から紹介された葬儀社に必ず葬儀全体を依頼する必要はありません。搬送だけを依頼できる場合もありますので、費用や契約内容を確認しながら検討しましょう。
葬儀の形式についても、故人様の生前の希望やご家族の気持ちを踏まえて考えていきます。
すべてを完璧に決めようとせず、分からないことを一つずつ確認しながら進めていきましょう。
納棺から通夜・葬儀へ
葬儀の内容や日程が決まると、納棺や通夜、葬儀に向けた準備が進みます。納棺は、故人様を棺に納める大切な時間です。
その後、宗教・宗派や葬儀の形式、地域の慣習などに応じて、通夜や葬儀が執り行われます。
ご家族にとっては、故人様とのお別れを少しずつ実感していく時間でもあります。詳しい流れや必要な準備は状況によって異なるため、分からないことはその都度確認しておくと安心です。
忘れられないお迎え
私が今でも忘れられないお迎えがあります。ご自宅で亡くなられたおばあちゃんのお迎えでした。
検視などの警察による確認が終わり、警察官が帰られたあと、おばあちゃんはお布団に寝かされていました。掛け布団をめくると、衣服を身につけていない状態でした。
ご家族から「服を着せてあげてほしい」とお願いされました。
ご家族と一緒にお着物を着せることも考え、そのことをお尋ねしましたが、ご家族は「いえ……お願いします」とだけおっしゃいました。
そこで、一緒に来ていた男性スタッフに布団をカーテンのように持ってもらい、お身体が見えないように配慮しながら、お着物をお着せしました。
身なりを整え、お布団に寝かせたとき、ご家族がほっとされた表情を今でも覚えています。
この経験を通して、同じお迎えの流れであっても、一つとして同じ場面はないのだと感じました。
故人様の尊厳があり、ご家族それぞれのお気持ちがあります。その思いをくみ取りながら、できることを考えるのも、葬儀に携わる者の大切な役割だと思います。
いざというときに慌てないために
終活アドバイザーとして活動していたときに、なぜ親の終活ができないのか、なぜ準備が進まないのかを質問したことがあります。
「親の死を考えるなんて縁起が悪いし、死を準備しているように思える」
「死を直視するのが怖い」
「関心はあるけど何から始めていいか分からない」
「いろんな情報があって、何を信じていいのか分からない」
など、さまざまなお声がありました。
親との別れは、いつ訪れるか分かりません。
だからこそ、元気なうちに、もしものときに誰へ連絡するか、どこに安置したいか、葬儀についてどんな希望があるかなど、話せることから少しずつ話しておくと安心です。
また、葬儀費用の準備や、生命保険・預貯金などの重要書類がどこにあるかを確認しておくことも、ご家族の負担を減らすことにつながります。
すべてを事前に決めておく必要はありません。
分かる範囲で希望を聞いておくだけでも、いざというときに家族が考える助けになります。
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