インボイス番号公表サイトから個人名の公表が削除!「副業」「ペンネームでの創作活動」がバレなくなる?
税理士の伏見圭が実務を通して経験した事例及び最新情報、並びに営業トークに使えそうな雑談について述べていくコラム。 第六回目コラム
国税庁が世論に配慮
国税庁は9月26日、同月22日から一時停止していた「適格請求書発行事業者公表サイト」の公表情報のデータダウンロード機能を再開しました。
そして再開後は、個人情報の保護の観点等から、ダウンロード機能において、適格請求書発行事業者の登録をしている個人事業者の氏名等の一部情報を提供しないこととなりました。
※「登録番号による検索機能」及び「適格請求書発行事業者公表システムWeb-API機能」では、引き続き個人事業者の氏名等も提供されます。 インボイス制度の導入が迫り、出版、芸能などクリエイティブ系の業界団体、フリーランスから個人情報保護の観点から反対の声が上がっていましたので、妥当な軌道修正かと思います。
実は副業禁止サラリーマンが一番命拾いをした
そして何より一番安堵したのは、ペンネームで創作活動をしている方達ではなく、副業禁止の会社で副業を行っているサラリーマンの方達だと思います。
実際、私はクライアントの人事部にインボイス公表サイトからの一括情報ダウンロードを使って自社従業員の副業チェックが出来ますよとアドバイスをしていました。
公表サイトから登録氏名データCSVが簡単に取得できますので、自社従業員のCSVデータを繋げて検索かければ「同性同名」の登録の有無は簡単にできますと。
あくまで「同姓同名」ですので、個の特定まではいかないのですが、そもそも勤務態度・状態に怪しいと人事部はそれなりに情報を収集していますので、その裏付け資料の1つになりますと。 ただ、今回の変更でこの方法での「副業チェック」は塞がれてしまいました。
リモートワークが一般的になり、就業規則違反の副業を行う従業員も増えてきている中、企業は「副業」とどう向き合っていくのかが大きな労務管理の課題になっています。
個人情報保護の観点からのインボイス廃止論は塞がれた。
ネット、SNSなどではペンネームで創作活動をしている方達が、本名が公表されることにより創作活動に支障がでる為、個人情報の観点からもインボイス制度の廃止を求める声が多くありました。
そもそも、企業は支払調書作成の必要上、創作者の本名・氏名・マイナンバーを取得していますので、本名は漏れる場合にはどっかから漏れる要素は現状でも0ではないです。
ここまでSNSが発達している中、ネットリテラシーのない方によって情報が晒されるリスクはインボイス制度関係なくあります。 (個人的にはインボイス制度廃止の為の論点として少し誇張して利用されているのでは?と少し違和感を覚えていました。) とにもかくにも個人情報保護の観点からの廃止論は塞がれました。
インボイス制度移行まで1年を切った今、企業側、フリーランス側もいよいよ真剣に対応を考える時期になりました。
企業であれば原価率が変わり、フリーランスであれば売上が変わる可能性があります。 顧問税理士とまだインボイス制度に向けての検討が進んでいない方がいらっしゃいましたら、もう流石に動きだす必要があります。
顧問税理士が繁忙期(年末から来年の5月末)を迎える前に捕まえて相談することをお勧めします。
今回も皆様が何か考えるきっかけになれたのであればhappyです。 それではまた次回のコラムでお会いしましょう。
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