貯蓄性の高い一括払・一時払保険の違いと生命保険で安全に資産形成する3つの方法
生命保険は、死亡した場合に保険金を支払う金融商品ですが、終身保険や養老保険、年金保険などは貯蓄性もあり、将来のためにお金を貯めて資産形成することもできます。
特に、一時払や一括払いができる貯蓄性の高い生命保険では、月払いや年払いのような保険料を数回に分けて支払っていく平準払いの生命保険よりも、お金を増やすことでき、効率よく資産形成できます。
今回は、この「一時払・一括払いできる貯蓄性の高い生命保険」を活用して資産形成する3つの方法をご紹介していきます。
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1.保障を確保しながら貯蓄もできる一時払・一括払いの終身保険と養老保険
1-1:一時払い・一括払いの終身保険・養老保険とは
一時払・一括払いの終身保険・養老保険とは、契約時に保険料を一回で支払う終身保険・養老保険のことをいいます。
終身保険と養老保険に関しての詳細な説明は、「終身保険ってどんな保険?その仕組みと3つの活用術」、「養老保険ってどんな保険?その仕組みと3つの活用術」をご覧ください。
終身保険や養老保険には貯蓄性があり、解約をすると解約返戻金として資金が戻ってきます。 早期に解約をすると、多くの場合、支払った保険料よりも戻ってくる資金は少なくなります。
しかし、一定の条件下では、支払った保険料よりも戻ってくる資金のほうが多くなります。
さらに、終身保険の場合は、一生涯の死亡保障を確保することができ、その多くの場合では、その保険金は支払う保険料を上回ります。
養老保険では、決められた期間が経過すると満期を迎え、そこでまとめて生存保険金として死亡保険金と同額の資金が返還されます。満期を迎えるまでは死亡保障もあります。
1-2:一時払と一括払いの微妙な違い
一時払と一括払いには、微妙な違いがあります。一時払は、保険料支払いは1回限りです。
一括払いも保険料支払いが1回であることに変わりはありませんが、一括払いの保険は、そもそもは平準して月払いや年払いできる保険を「前納」という保険料を前払いする支払方法を利用して、保険料を1回で支払う保険なのです。
前納を行うと2回目以降の保険料を前納割引という割引率を適用して保険料算出しますので、平準で分割して支払うよりも一括で支払う方が少ない保険料で一定の保障を確保することができます。
同時に、同じ内容の保険を安い保険料で買うことができる、すなわち同じ金額の解約返戻金を安い保険料で買うことができることになりますので、解約返戻金を支払保険料累計金額で除した数値(解約返戻率)が高まります。
例えば、10年後の解約返戻金が1050万円の保険を100万円×10年間の1000万円で買うとなると、解約返戻率は1050万円÷1000万円×100=105%です。
同じケースで保険料を10年分一括で支払い、2%の前納割引が適用されたとすると、支払保険料の累計額は980万円ですので、解約返戻率は1050万円÷980万円×100≒107%となり、解約返戻率は2%高まりました。
このように、一括払いをすることで、前納割引を適用して返戻率を高めることが可能ですので、まとまった資金のある方は一括払いで加入したほうがお得になります。
ちなみに、終身保険・養老保険は一般の生命保険料控除の対象、個人年金保険は個人年金保険料控除の対象になりますので、前納の場合は保険料払込期間中は毎年保険料控除を受けることができます。
一時払では、その年度にしか控除は申請できませんので、所得税・住民税の軽減を狙いたいのであれば、一括払い(前納)がおすすめです。
1-3:目的をもって積み立てと保障の確保を行うことができる
例えば、子供が3歳だとすると、15年後に子供が18歳になり、大学進学のタイミングになります。
子どもが大きくなるまでは、親は子の生活を支えていかねばなりませんので、もしものときに備えて死亡保障も必要となります。
そこで、終身保険や養老保険に加入し、死亡保障を確保した上で、積み立てを行います。
そして、大学進学時などのタイミングで保険契約を解約し、貯まった資金を解約返戻金として受け取って、大学進学時の入学金や教育費に使用することができます。
最近は、生命保険の予定利率(日本国債の金利に近い水準で運用される割引率のような指標)が、ゼロ金利・マイナス金利政策の影響で、かなり低い数値になっており、保険で積み立てを行ってもほとんど資金を運用して増やすことが難しくなっています。
その反面、米国国債の金利が高いことから米ドル建て生命保険の予定利率が円建てに比べて高くなり、米ドル建てを選ぶケースが多くなっております。
したがって、保険料の払込期間を短くすることや、一時払・一括払いを行うことで、より資金を効率よく増やせるようにする方が増えています。
今回のケースでは、子どもの大学進学費用の蓄えでしたが、老後の資金や介護のための備えなど、目的に応じて積み立てと保障の確保を、一時払・一括払いの終身保険や養老保険を活用することができます。
2.保障がない分、貯蓄性の高い一時払・一括払いの個人年金保険
2-1:一時払い・一括払いの個人年金保険とは
一時払・一括払いの個人年金保険とは、契約時に保険料を一回で支払う個人年金保険のことをいいます。
個人年金保険に関しての詳細な説明は、「個人年金保険ってどんな保険?その仕組みと3つの特徴」をご覧ください。
「個人年金保険ってどんな保険?その仕組みと3つの特徴」について説明記事
個人年金保険には、原則大きな死亡保障はありません。
被保険者が死亡した場合には、責任準備金や解約返戻金、または支払保険料累計額が返還されます。年金支給開始後に死亡した場合でも、その年金の支給形式が「確定年金」であれば、年金開始後に支給予定の年金が支給されきるまで、年金を受け取ることができます。
個人年金保険は、死亡保障がない分、貯蓄性が高い商品となっており、「長生きのリスク」に対応できる商品となっています。
この個人年金保険も、一括払いで前納割引を適応させることで、より返戻率を高くすることが可能です。
また、個人年金保険には一時払商品もあり、米ドル建てや変額保険のような投資性の強い商品を選択することもできますので、リスクを取りながらも返戻率を高められるように工夫しています。
2-2:低解約返戻金型と据え置き期間を長くすることで返戻率アップ
個人年金保険は、低解約返戻金型という一定期間解約返戻金を低くして一定期間の解約での元本既存リスクを取ることで、後半の運用でより多く返戻率を高めることができる商品があります。
個人年金保険は死亡時に解約返戻金を支給する仕組みのものが多いため、解約返戻金を低く設定すると、死亡時に返還されるお金が少なくなります。
また、据え置き期間と言われる、保険料払い込み満了から実際の年金支給までの期間があります。
この期間が長ければ長いほど、積み立てられた保険料が運用されて増えていきますので、より返戻率が高くなります。
例えば、保険料を60歳まで払込みし、年金支給開始を61歳に設定し、61歳から10年間確定年金を100万円受取り、合計で1000万円の年金を支給されるプランがあるとすると、年金支給開始を66歳に5年間据え置きを行い、同じように10年間確定年金を受け取ると、年金額が102万円になり、合計で1020万円に年金受給総額を増額することができます。
2-3:目的をもって資産形成を行うことができる
個人年金保険は、年金の受取回数(受取期間)、年金受取開始時期、据え置き期間などを資産形成をする目的や計画に沿って設定することができます。 例えば、務めている会社の定年退職が60歳だとします。
公的年金の受け取りを70歳からにすると決めていると、60歳から70歳までの10年間収入がなくなってしまうため、つなぎの年金として10年確定年金などで老後の備えを行うことができます。
その中で、60~65歳に世界を旅してみたいなど目的・計画があれば、外貨建ての個人年金保険を追加で加入して、60歳~65歳に多く年金が受け取れるようにしてもいいかもしれません。
一時払・一括払いの個人年金保険は平準払いよりも返戻率は高くなりますので、まとまった資金がある場合は、一時払い・一括払いでの加入がおすすめです。
3.相続対策としての一時払の終身保険の活用
3-1:生命保険金の非課税枠の活用
保険金の受取人が相続人の場合、生命保険金は相続税の計算上で、法定相続人の数×500万円分が非課税になります。 例えば、妻・子3人の場合であれば、500万円×4名=2000万円分が非課税となります。
相続税率は最高55%ですので、この場合ですと2000万円×55%=1100万円分の相続税が軽減されることになります。
このように、相続税対策としても一時払終身保険などは活用できますので、相続対策ニーズのある方には非常に人気です。
3-2:みなし相続財産としての活用
生命保険金は、他の金融資産にはない特徴があり、それが「みなし相続財産」であるということです。
生命保険金は被相続人が所有していたものではなく、被相続人が亡くなったことで相続人の所有となる財産です。
そのため、みなし相続財産である生命保険金を相続する際は相続税は課税されますが、個別の財産として受け取れる人を固定することができます。 これが生命保険に加入することは「お金に名前をつけること」だといわれる所以です。
そのため、たとえば「実家を長男に相続で譲ろう」と親が考えている場合は、この長男を受取人にした一時払の終身保険などに加入することで、相続問題を解決することができます。
これはどういうことかというと、実家を長男が相続をするものの、その実家の相続価格が非常に高い場合、他の兄弟と平等に相続財産を分けるときに、長男ばかりたくさん資産をもらってずるい!と喧嘩が起こってしまうかもしれませんし、実際に遺留分と言われる最低限相続で財産を受け取れる割合というものもありますので、実家をもらう分、他の兄弟にも現金などを渡さなければならなくなってしまいます。
また、この長男は相続税も支払わなければなりません。
このように、実家を相続で受け取ることで、兄弟に支払うべき現金と相続税を納付するための資金が必要となります。
ここで、保険金が長男に入れば、その保険金を元手に、他の兄弟に現金を分けられますし(代償分割資金の確保)、相続税を現金で納付することもできるようになります。
このように相続で現金を残すよりも、保険金として受取人を指定して相続問題に発展しないようにすることができるため、節税の観点だけでなく、相続のトラブル回避としてよく活用されています。
まとめ
この記事では、「一時払・一括払いできる貯蓄性の高い生命保険」を活用して資産形成する3つの方法をご紹介しました。
一時払・一括払いの終身保険や養老保険、個人年金保険を活用することで、保障の確保や長生きリスクのカバー、効率的に資産を形成することができます。
また、相続対策として一時払い終身保険を活用することは、非課税枠やみなし相続財産などの特徴を利用して、節税が行えたり、相続のトラブルを回避することもできるため、非常に人気であることもお伝えしました。
一時払・一括払いの保険のバリエーションは非常に多いため、目的や計画にあう商品はどのようなものがあるのかは、保険に精通している専門家に相談することをおすすめいたします。
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