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2024.08.18

社会保険労務士(社労士)の業務内容や手続き・顧問料をわかりやすく解説。

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著者情報 森 逸行 FP歴15年 経験した事を伝え解決に導く『金融パーソナルトレーナー』

社会保険労務士・社労士の申請手続きや主な業務内容をわかりやすく解説。

 企業において社会保険・労働保険への適正な加入は欠かせないものです。

従業員が安心して働ける環境を整えるうえで大切な手続きであり、法的にも義務付けられています。

しかし、その手続きの方法をしっかり理解している経営者はきっと少ないことでしょう。

このような、一般的にわかりにくいとされる手続きの際に活躍するのが、労働保険・社会保険の専門家である社会保険労務士です。

今回の記事では社会保険労務士が具体的にどのような業務をしているのかを解説していきたいと思います。 

社会保険労務士とは

社会保険労務士とは、社労士とも通称される、社会保険労務士法に基づいた国家資格者です。

社会保険や労働関連の法律の専門家として、人事や労務管理を行う人のことを指します。

企業の成長には、お金、モノ、人材が必要とされておりますが、社労士はその中でも人材に関する専門家であり、「労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施に寄与するとともに、事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資すること」を目的として、業務を行っております。

社労士になるためには、毎年8月の最終日曜日に実施される「社会保険労務士試験」に合格し、かつ一定の実務経験(※)を経た上で、社会保険労務士名簿への登録を受ける必要があります。

また、個別労働関係紛争の解決手続(調停、あっせん等)の代理を行うためには、社会保険労務士名簿への登録を受けた後、代理業務を行うために必要な学識及び実務能力に関する研修を受けた上で、1年に1回実施される「紛争解決手続代理業務試験」に合格する必要があります。

試験に合格し、その後全国社会保険労務士連合会に対して付記申請をすると、「特定社会保険労務士」と名乗ることができます。

 

(※)一定の実務経験とは、社会保険労務士法施行規則第1条の2に掲げる事務であり、 具体的には労働社会保険諸法令に関する2年間の実務経験をいいます。

なお、実務経験が2年以上ない場合は、全国社会保険労務士連合会が行う労働社会保険諸法令関係事務指定講習を修了することにより、登録要件を満たすことができます。 

【参考サイト:厚生労働省 社会保険労務士制度】

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roumushi/index.html 

社会保険労務士に依頼できる主な業務、その費用相場について

ここで、社労士に顧問になってもらった場合の顧問料や依頼できる業務内容、その各種業務内容を、単発で依頼した場合の費用の相場について見ていきたいと思います。 

顧問契約

顧問契約を締結した場合に請け負ってもらえる標準的な業務内容を下記に記載します。 

・労働保険、社会保険の各種手続き代行

・就業規則の作成

・人事労務コンサルティング

・助成金の申請代行

・給与計算代行

上記はあくまで一例であり、依頼する事務所によってはオプションがあったり、人数の基準があったりと特色が出る部分です。

たとえば就業規則については別途追加で料金がかかったりする事務所もあれば、法改正にあわせた修正であれば顧問料のみで対応してくれる事務所もあります。

助成金の申請代行についても、一律の着手金のみで対応してくれるところもあれば、助成金受給額の10~25%といった成功報酬型のところもあります。

顧問契約を締結する前に、業務内容をしっかり確認しておきましょう。 

次に、顧問料の相場について解説します。下記の表にまとめたのでご確認ください。 

社労士顧問料の相場

従業員数(人)

顧問料相場(円)

~4人

20,000円

5~9人

30,000円

10~19人

40,000円

20~29人

50,000円

30~49人

60,000円

50~69人

80,000円

70~99人

100,000円

100~149人

130,000円

150~199人

160,000円

200~249人

190,000円

250~299人

220,000円

300人~

別途協議

 顧問料の相場は、従業員数に比例して定められていることがわかります。

なお、上記はあくまで目安であり、各事務所によって業務範囲が異なります。

顧問契約の締結を考える場合は、複数の事務所から見積もりを取り、請け負ってもらえる業務内容をしっかり確認し、その上で顧問料とのバランスで検討することをおすすめします。 

顧問契約を締結せずとも、社労士によってはスポットで業務を請け負ってくれるところも数多くあります。

これ以降で、スポットで請け負ってくれる業務内容とその費用相場について解説していきます。

社会保険労務士・社労士の申請手続きや主な業務内容をわかりやすく解説。2

労働保険、社会保険の各種手続き

法人に義務付けられている労働保険・社会保険の手続き代行業務です。

たとえば、社会保険の加入要件を満たす従業員を雇用した場合、健康保険、厚生年金保険、雇用保険といった各種保険に加入させなければなりません。

この加入手続きに必要となる書類を作成し、管轄の行政機関への提出を代行する業務を指します。

これは1号業務と呼ばれる、社労士の独占業務のひとつです。

手続きに漏れやミスが起こってしまうと、従業員に支給されるはずの給付が得られなかったりと、不利益な事態が起こりかねません。

企業の中には、総務課でこのような各種手続きを行っているところもありますが、専門家である社労士にアウトソースすることで、業務の効率化につなげることができるのです。 

その費用は手続き内容によって異なりますが、おおむね下記の表にあるような相場感になります。 

社労士スポット料金

手続き内容

スポット料金(円)

 

新規適用届
 (社会保険)

80,000~120,000円

新規適用届
 (労働保険)

50,000~100,000円

社会保険月額変更届

30,000~60,000円

労働保険年度更新

30,000~100,000円

社会保険・労働保険
資格取得届

1件あたり
10,00020,000円

社会保険・労働保険
資格喪失届

1件あたり
5,00010,000円

就業規則の作成

就業規則に代表される、労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成業務です。

これも社労士の独占業務であり、2号業務と呼ばれています。

労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類とは、労働基準法で作成が義務付けられている書類であり、就業規則、労働者名簿、賃金台帳の法定三帳簿が該当します。

特に就業規則は、会社で就業する上でのルールが記載されたもので、従業員にとって関心の高いものです。

正確に、かつ適正に記載されていないと従業員の不信感にもつながりかねません。

専門知識を持つ社労士に依頼することで、最新の法改正にも対応した精度の高い就業規則を作成することができるのです。

就業規則の作成費用は、ゼロから作成する場合と現状の規定の変更、各種諸規定の作成等で異なります。下記の表を参考にしてください。 

社労士就業規則 スポット料金

就業規則、諸規定等の作成・変更

スポット料金(円)

就業規則の作成

200,000円

就業規則の変更

変更内容に応じて協議

賃金・退職金・旅費等の諸規程

100,000円

安全・衛生管理等諸規定

100,000円

寄宿舎規則

100,000円

人事労務コンサルティング

会社を経営していると様々な悩みに直面します。従業員の採用や給与額をどうしようか、といった悩みから労使間のトラブルに至るまで、その内容は多岐にわたります。

その悩みの相談にあたっては、人事労務の専門家である社労士が最適です。

悩みの解決だけでなく、その予防についても様々な提案をしてくれます。

このような人事労務コンサルティングは社労士の独占業務ではないものの、3号業務と呼ばれています。

近年、専門的なノウハウをもつ社労士が求められているのです。

この人事労務コンサルティング費用の相場は、初回相談を無料としているところもあれば、1時間につき1万円かかるところもあります。

相談前に必ず確認するようにしましょう。 

助成金の申請代行

助成金とは、政府から受けられる財政支援のことをいいます。

企業にとって助成金は、従業員の教育、福利厚生の充実など、多くの場面で役立てることのできる、非常に魅力的なものです。

要件を満たすのであれば、ぜひ活用したいと多くの経営者が思うことでしょう。

しかし助成金の申請から受給まで、多くのハードルがあるのも事実です。

申請書類の記入方法、添付書類の手配等といった、複雑な要件に嫌気がさし、助成金をあきらめてしまう経営者が多いのが現実です。

このような現実に対する解決策を提示してくれるのが社労士です。

助成金の申請代行は社労士の独占業務ではないものの、専門的な知識に裏付けられた経験により、得意としている社労士が多いのです。

プロに依頼することで、業務の効率化、助成金受給の成功率を高めることができます。

助成金申請代行にかかる費用の相場は、成功報酬の何パーセントという形式で設定されているのが一般的です。

最初に着手金がかかるところもあれば、完全に成功報酬型のところもあります。事前に必ず確認するようにしましょう。

給与計算代行

たとえば給与計算を自社で担当しているとしたら、下記のような悩みが発生するのではないでしょうか。 

●従業員のひとりが昇給したけれど、社会保険料は現状のままで良いのだろうか。

●給与額、賞与額がほかの従業員に漏れたら大変だ。

●給与計算の担当者が急病で休んだり退職したりしたらどうしよう。

●労働基準監督署より残業代の計算方法について指導を受けたらどうしよう。

このように給与計算には社会保険、労働保険に代表される人事労務まわりの専門的知識が必要とされる場面が非常に多くあります。

その意味で、人事労務の専門家である社労士に給与計算を依頼するのは合理的であるといえます。

給与計算代行にかかる費用の相場は、従業員数に比例することが一般的です。

企業の従業員数の規模に応じて、月額基本料金10,00030,000円+給与計算対象者一人当たり5001,000円という料金体系を敷いているところが多いです。 

社労士に委託するメリット

これまでに社労士に依頼できる業務と費用の相場について紹介しましたが、ここでは依頼することで期待できるメリットをいくつか紹介します。

本業に専念できる

面倒で複雑な労働保険・社会保険の手続きから解放され、営業活動により多くの人員を割くことができるなど、社内リソースの確保が期待できます

社労士に依頼することで得られる一番大きなメリットといえます。 

最新の情報が得られる

労働保険、社会保険は法改正が頻繁に行われます。一般的な総務課の社員だと、法改正情報を全部把握し、その内容を理解するのには限界があります。

その点、専門家である社労士は日々最新の情報に触れており、法改正があったとき、具体的にどういった対応が必要となるのか適切なアドバイスをしてくれます。 

適正な事務手続きが実現される

行政に提出する各種申請書は、その作成に慣れていない人にとっては非常に難解で複雑です。内容を調べたりしているとどんどん時間を奪われてしまいます。

その点社労士は行政に提出する書類に日々触れていて、ノウハウが蓄積されています。行政に対する適切な事務処理が期待できます。 

まとめ

今回の記事では社労士に依頼できる業務内容とその費用相場について解説しました。

費用や業務内容は依頼する事務所によって非常に特色が出るところです。

顧問契約の締結やスポットの依頼を具体的に検討する場合には、必ず複数の事務所の話を聞いて比較検討するようにしましょう。

一般的に行政への手続きはわかりにくいものです。今回のテーマである労働保険、社会保険の手続きも例外ではありません。

あまり自社内で完結させようとせず、思い切って専門家に頼ってみましょう。

アウトソーシングすることが却ってコスト削減にもつながります。ぜひ参考にしてください。

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