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2025.01.09

社会保障制度で死亡や亡くなった時に受け取れる給付金やお金を解説します。

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著者情報 森 逸行 FP歴15年 経験した事を伝え解決に導く『金融パーソナルトレーナー』

社会保障で死亡や亡くなった時に受け取れる給付金やお金を解説します。

 死亡時の保障と聞くと、多くの人が生命保険を想像するのではないでしょうか。

公益財団法人生命保険文化センターが実施した、2024年度「生命保険に関する全国実態調査」によると、生命保険の世帯加入率は90%近くまでのぼっていることがわかります。

この事実は、生命保険が死亡保障として多くの人に認知されていることを裏付けています。

一方で、公的な保障制度においても、死亡時には様々な給付が用意されていることも事実です。

生命保険の保障を検討する上でも、公的な死亡保障制度の内容を理解することは非常に大事です。

今回の記事では、死亡に際して、遺族にはどのような保障があるのかという点に焦点をあてて解説していきたいと思います。

社会保障で死亡や亡くなった時に受け取れる給付金やお金を解説します。2

公的年金制度からの保障

日本は「国民皆年金」といい、基本的に20歳から59歳の人のすべてが何らかの公的年金制度に加入しなければならない仕組みとなっています。

自営業者や学生、無業者は国民年金に、サラリーマンや公務員は厚生年金保険に加入することになります。

そのような制度のもと、亡くなった人の遺族で一定の要件を満たす場合、年金等の給付を受けることができます。

では具体的にどのような給付を受けることができるのでしょう。

以下に解説していきます。 

国民年金:遺族基礎年金

国民年金からは一定の要件を満たすと、遺族に対して遺族基礎年金が支給されます。

まず、遺族基礎年金の受給対象者を下記に示します。 

1.子のある配偶者
2.子

 上記のように、受給できるのは「子のある配偶者」もしくは「子」となっており、あくまで子の存在が受給のための絶対要件となっています。

子の養育費としての意味合いが強い保障ということができます。

なおここでいう「子」とは、下記の要件いずれかを満たすものをいいます。 

18歳になった年度の331日までにある者
20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある者

 次に、死亡した人の要件を下記に示します。 

1.国民年金の被保険者であること
2.国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の者で、日本国内居住者であること
3.老齢基礎年金を受給できる者であること
4.老齢基礎年金の受給資格を満たした者であること

上記の12の要件については、保険料の納付要件が問われます。

具体的には国民年金加入期間のうち、保険料の未納期間が3分の1以上でないことが必要です。

なお、死亡日が令和83月末日までの場合、死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間で保険料の未納がなければ保険料の納付要件を満たすことになります。

死亡が判明した場合の保険料の駆け込みの納付を防ぐ意味で、このようなややこしい規定となっているのです。

また、34の要件については、保険料納付済期間、保険料免除期間、合算対象期間の合計が25年以上あることが必要です。

老齢基礎年金の受給資格期間の10年と混同しないように注意しましょう。 

最後に、遺族基礎年金の年金額について下記に示します。 

【子のある配偶者の年金額】

816,000円 + 子の加算額(※)

 【子の年金額】

816,000円 + 2人目以降の子の加算額(※) 

(※)子の加算額:234,800円(12人目の金額)、78,300円(3人目以降の金額)

厚生年金保険:遺族厚生年金

厚生年金保険からも一定の要件を満たすことで、死亡した者に生計を維持されていた遺族に対して遺族厚生年金が支給されます。

遺族厚生年金の受給対象者は下記の順位となります。

※残された遺族のうち、最も順位の高い人が受給できる仕組みです。 

1.子のある配偶者(夫の場合、55歳以上)
2.子
3.子のない配偶者(夫の場合、55歳以上)
4.55歳以上の父母
5.孫6.55歳以上の祖父母 

遺族厚生年金については、子のない配偶者でも受給できる仕組みとなっています。

ここでいう子、孫の要件は、遺族基礎年金における子と同じです。

また、上記で55歳以上との要件がついている夫、父母、祖父母は、実際の受給開始は60歳からになります。

女性が比較的優遇されている制度設計となっています。 

遺族厚生年金にも死亡した者の要件があります。

具体的には下記となります。 

1.厚生年金保険の被保険者であること
2.厚生年金の被保険者期間に初診日があるけがや病気が原因で、初診日から5年以内に死亡していること
3.12級の障害厚生年金の受給者であること
4.老齢厚生年金の受給権者であったこと
5.老齢厚生年金の受給資格者を満たしていること 

なお、遺族厚生年金としてもらえる年金額は、死亡した者がもらう予定だった額の4分の3相当額になります。

加入期間に応じた年金額から4分の3に減額されてしまうので、保険料の払い損と思う方もいるかもしれません。

しかし上記の1,2,3の要件を満たした場合には、厚生年金の被保険者期間が300月に満たない場合は300月とみなして年金額を計算する特例があります。

そもそも厚生年金保険の保険料は労使折半です。

このことは、本来の保障を得るのにかかる費用の半分を会社が負担してくれることを意味します。

様々な面で恵まれていると言えます。 

遺族基礎年金が受け取れないとき:死亡一時金

遺族基礎年金の受給要件を満たさない場合でも、国民年金には死亡一時金という制度があります。

保険料の掛け捨て防止の意味でも非常にありがたい仕組みです。

もちろん死亡一時金にも受給のためには要件があります。

死亡日の前日における国民年金保険料を納付期間が36月分相当あることが最低限の条件になります。

受給金額は納付期間に応じて120,000320,000円になります。

受給できるのは、死亡した者と生計を同じくしていた遺族で下記の順位となります。 

・配偶者
・子
・父母
・孫
・祖父母
・兄弟姉妹 

女性のみの保障

遺族厚生年金の項でも触れましたが、公的年金制度は女性に比較的手厚い制度設計になっています。

遺族基礎年金も、現在は子のある配偶者が受給権者となっていますが、平成264月以前は「子のある妻」が受給権者だったのです。

この他にも現行の制度で女性ならではの仕組みがありますので、以下に紹介したいと思います。 

寡婦年金

「寡婦」とは辞書上の意味では「未亡人」と同義とされています。

寡婦年金は、夫と死別し、残された妻に支給される年金となります。

「寡婦」と名がついているので、夫には支給されません。

受給のためには、下記の要件を満たすことが必要です。 

・死亡した夫の第一号被保険者期間として保険料納付した期間
・保険料免除期間の合計が10年以上あること・亡くなった夫との婚姻期間が継続して10年以上あること

 受給できる年金額は、夫が受給予定だった老齢基礎年金額の4分の3の額です。

なお、亡くなった夫が老齢基礎年金、障害基礎年金を受給していた場合は、寡婦年金を受け取ることができません。

死亡一時金同様、寡婦年金も保険料の掛け捨て防止の意味合いがあるためです。 

中高齢寡婦加算

遺族基礎年金は子のない妻は受給できません。

また、子がいても、18歳の年度末を経過した等、子としての要件を満たさなくなった場合には、遺族基礎年金の支給が止まります。

中高齢寡婦加算は、遺族基礎年金が未支給になってしまった寡婦を救済する位置づけにある制度です。

なお、夫が厚生年金保険に加入していたことが必要で、遺族厚生年金の上乗せとして支給されます。

受給金額は612,000円(令和6年度価格)で、4065歳の子のない妻に支給されます。

65歳になると妻は自分自身の老齢基礎年金の受給対象となるので、中高齢寡婦加算はなくなります。 

労災保険からの補償:遺族(補償)年金

労災保険は、労働者が業務上や通勤途上にケガをした場合に補償を受けることができる制度です。

そのような労災保険からも、労働者が死亡した場合に一定の遺族に対して遺族補償年金が支給されます。

受給できる金額は遺族の人数に応じて下記のようになっています。 

・遺族1人:給付基礎日額の153日分(55歳以上の妻または一定の障害状態にある妻の場合、175日分)
・遺族2人:給付基礎日額の201日分
・遺族3人:給付基礎日額の223日分
・遺族4人以上:給付基礎日額の245日分
(※)給付基礎日額とは、労働基準法の平均賃金に相当するもので、いわゆる月額給与を日給換算した額です。 

葬儀費用等の給付

これまで紹介した死亡時の保障は、遺族のその後の生活保障としての意味合いが強いものでした。

実は公的保険からは、生活保障以外にも葬儀関連費用の給付も規定されているのです。具体的には下記となります。 

公的医療保険からの給付

健康保険、国民健康保険からは埋葬に要した費用が支給されます。

支給額は5万円の範囲内で実際に埋葬に要した費用となります。 

労災保険からの給付

労災保険からは葬祭料等(葬祭給付)が支給されます。支給額は以下のいずれか高い金額となります。 

・315,000+給付基礎日額30日分
・給付基礎日額60日分 

まとめ

今回の記事では、公的保険における死亡時の保障について解説しました。

死亡時の保障として民間の生命保険が必要となるのは言うまでもないことです。

しかしその保障金額を設定する上で、公的保険から得られる死亡時の保障内容を理解した上で検討することで、より合理的な金額設定が可能になります。

適正な金額設定については、一人で悩まず、その道のプロである保険会社の営業担当者やFP等に気軽に相談してみましょう。

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