輸送中や事務所などの保管中の現金や小切手の損害保険【コーポレートマネーガードPLUS保険】とは?

目次
現金や小切手の保管に必要な保険について
事業を営むうえで、日々の売上金や小切手を事務所や店舗に一時的に保管する場面は少なくありません。
特に現金は盗難や火災などのリスクにさらされやすく、万一の損失が発生すると、損害額によっては事業の運営に大きな影響を与えかねません。
こうしたリスクに備える手段のひとつが「現金・有価証券の保険」です。今回の記事では、現金や小切手の保管に必要な保険について解説します。
現金・小切手に関する主なリスク
事業活動において現金や小切手は、取引や決済を円滑に進めるために欠かせない資産です。
しかし、これらは形が小さく持ち運びやすい一方で、盗難や火災などの事故に遭うと回収や再取得が極めて困難であるという大きな弱点を持っています。
特に現金は、紙幣や硬貨に名前がついているわけでもなく、「なくなったら終わり」という性質を持っており、帳簿上の数字と実際の資産が合わなくなることで、企業の信頼や資金繰りに直結するリスクを伴います。
ここでは、現金・小切手に関する代表的なリスクをより具体的に見ていきたいと思います。
盗難リスク
現金のリスクを考える上で、最も身近で深刻なリスクが「盗難」です。外部からの侵入盗難はもちろん、従業員や関係者による内部不正も発生し得ます。
・外部からの侵入盗難
店舗や事務所に保管していた売上金を狙った空き巣や強盗を指す。夜間や休日に無人となる時間帯は特に狙われやすい。
・内部不正
従業員や関係者が金庫やレジから現金を持ち出すケースを指す。長期間発覚せず、累積的に大きな損害になることもありえる。
現金や小切手は換金性が高いため、一度盗まれると取り戻すのは困難です。さらにその損害額を埋めるためには、単純に同額の売上額を積み上げたら良いという簡単な話でもありません。
事業によって異なりますが、損害の埋め合わせには、損害額の数倍もの売上を立てることが必要であり、事業に与える打撃は被害金額によっては深刻なものとなります。
火災・自然災害リスク
火災や水害といった自然災害は、現金や小切手を一瞬で失わせてしまいます。
・火災
建物の全焼や部分焼失により金庫ごと焼失するケース。耐火金庫を利用していても限界があり、長時間の火災では紙幣や小切手が炭化してしまうこともある。
・水害や地震
洪水や津波によって現金や小切手が流失・汚損するリスク。地震では金庫が倒壊・破損し、中身が取り出せなくなってしまう可能性もある。
特に小切手が損害を受けた場合は、再発行の手続きや金融機関での照合が必要となり、時間と手間がかかります。それは決済の遅延にもつながり、取引先との信用関係に悪影響を及ぼす恐れがあります。
運搬時のリスク
現金や小切手を銀行に入金する、取引先に持参するといった「移動中」もリスクが高い場面です。
・強盗やひったくり
人目につきやすい銀行への入金途中は狙われやすい。複数人での移送や警備会社の利用が望ましいが、中小企業や個人事業主では対応が難しいケースも多い。
・落下・紛失
大量の現金を袋にまとめて運ぶ際に落としたり、置き忘れたりする事例もある。特に小切手は紙片であり、紛失リスクが高い。
このように、移動中は「外部から狙われる危険」と「人為的ミスによる損失」が重なるため、リスク対策として保険で備える重要性が増します。
偽造・不正利用のリスク
現金そのものではなく、小切手特有のリスクも存在します。
・偽造小切手
巧妙に偽造された小切手を受け取り、後に決済が不能となる。
・盗難小切手の利用
盗まれた小切手を第三者が不正に使用し、支払い拒否や訴訟トラブルに発展するケース。
小切手は現金に比べて追跡や再発行が可能ですが、それでも手続きや信用低下のダメージは避けられません。
現金や小切手を対象とする保険の種類
ここまでで、事業運営における現金・小切手の様々なリスクについて、その一部を紹介しましたが、このようなリスクに備えるため、保険会社では「現金・小切手といった有価証券」を対象とする複数の保険商品を用意しています。主なものは下記の通りです。
店舗総合保険・企業財産包括保険の特約;
これらは通常、建物や商品を対象とする保険ですが、オプション(特約)として現金・小切手の補償を追加できるケースがあります。建物・設備什器・商品等の火災・水害といった自然災害のリスクと併せて、現金や小切手の補償も一本化できるという点がメリットです。
運送保険(現金輸送保険);
売上金や小切手の保管中や、銀行に持参する途中(輸送中)での盗難・強奪を補償します。主に従業員や警備会社による現金輸送時に利用される。
それぞれ補償範囲や使い方が異なるため、自社の実態に応じた選択が必要です。以下にそれぞれの特徴について解説していきます。
店舗総合保険・企業財産包括保険の特約
建物・設備・商品などの財産を守る「店舗総合保険」や「企業財産包括保険」には、オプションとして「現金・小切手」の補償を手厚くすることができる場合があります。
【特徴】
・火災・落雷・爆発・水害など、自然災害による損失も広くカバー。
・現金・小切手だけでなく、商品・什器など事業用財産全般を一元的に補償できる。
【メリット】
・補償内容を一本化でき、契約管理が容易。
・「火災+盗難+自然災害」をセットでカバーできるため、リスク対策の抜け漏れが少ない。
【注意点】
・保険会社によっては現金・小切手を補償対象から外しているプランもあるため、確認が必要。
・補償額の上限が低めに設定されることが多く、大口現金の保管には向かない場合がある。
現金輸送保険(運送保険)
売上金や小切手を銀行に入金する、取引先に渡すなど「移動中」のリスクを補償する保険です。「移動中」だけでなく、事務所などでの「保管中」も補償します。
現金を運搬する場面は犯罪の標的となりやすく、特に現金商売の事業者には欠かせません。
【特徴】
・従業員が自ら現金を運ぶ場合や、警備会社に委託する場合の双方に対応できる。
・事務所保管中の火災・爆発による焼失や、輸送中に発生した盗難・強奪・紛失を補償する。
・現金だけでなく、小切手や郵便切手、収入印紙といった有価証券も補償範囲に含まれる。
【メリット】
・強盗やひったくりといった輸送特有のリスクをカバー。
・大口現金の輸送でも安心感が高まる。
【注意点】
・補償額を輸送・保管する現金の金額を考慮して設定する必要がある。
・故意・過失(例えば従業員が業務外の遊びのために寄り道した結果の紛失)は免責になる可能性がある。
現金・小切手を対象とする保険の保険料について
ここでは、現金・小切手を対象とする保険について、保険料算出の仕組みや、筆者が実際に提案の際に使用した設計内容を紹介し、具体的な保険料の相場感を見ていきたいと思います。
保険料の算出の仕組み
現金や小切手を対象とする保険料は、基本的に以下の要素によって決まります。
・補償額(保険金額)
最大でいくらまで補償するか、保険会社が責任を負う限度額の設定です。たとえば「現金300万円まで補償」と設定するのと「現金500万円まで補償するのとでは、補償額が大きい500万円の方が保険料は高くなります。
・補償範囲
盗難損害のみを補償するのか、火災や自然災害も含めて補償対象とするのかで保険料は変動します。補償範囲を広げると、その分保険料は高くなります。
・保管状況
金庫の種類(耐火金庫・防盗金庫など)、設置場所(店舗内・事務所内・無人倉庫など)、防犯設備(セコムやアルソックの警備導入有無)によってリスク評価が変わり、保険料に反映されます。保険会社が指定するセキュリティの要件を満たすと、その分保険料の割引をする仕組みがあります。
・業種や取扱金額の規模
現金を多く扱う業種(飲食店・小売業)はリスクが高く、保険料も相対的に高めになります。
保険料例(参考イメージ)
実際の保険料率は保険会社や契約条件によって異なりますが、目安となる例を示します。
現金輸送保険(売上金を銀行に持参する場合)
・1回の輸送で補償額100万円 → 年間保険料 約10,000円~20,000円程度
・輸送額500万円、週3回程度 → 年間保険料 約50,000円~100,000円程度
店舗総合保険の特約で現金補償を付加
・建物・什器備品の火災補償にプラス → 現金100万円までで年間+5,000円前後
上記はあくまで、現金・小切手を対象とした保険に関する保険料の一般的な相場です。
下記では筆者が実際に提案した際に使用した設計書を紹介します。
個人情報等に配慮した形で記載しておりますので、あくまで参考程度にしてください。
【現金輸送保険の設計書】
株式会社●● 様 |
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引受保険会社:●▲保険会社 |
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現金輸送保険 御見積書 |
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保険期間 |
1年間 |
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輸送用具 |
書留、携行便、護送便、自動車貴重品扱便・鉄道貴重品扱便・ |
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保険の目的 |
貸紙紙幣・有価証券 |
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売上高 |
2,443,210千円 |
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1事故支払限度額 |
2,000万円 |
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払込方法 |
一括払 |
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保険料 |
68,000円 |
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適用される |
運送保険普通保険約款 |
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【企業総合補償保険で現金等を補償する場合】
株式会社●● 様 |
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引受保険会社:●▲保険会社 |
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企業総合補償保険 御見積書 |
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保険期間 |
1年間 |
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保険の対象 |
別紙明細書のとおり |
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【財物補償条項】 |
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補償内容 |
補償 |
保険金額 |
支払限度額 |
免責金額 |
保険料 |
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上記以外の事故 |
〇 |
713000 |
– |
0 |
0 |
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合計 |
499,100 |
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【特約】 |
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オプション特約 |
補償 |
保険金額 |
支払限度額 |
免責金額 |
保険料 |
|
借家人賠償責任総合 |
〇 |
65,000 |
– |
3 |
11,740 |
|
地震危険補償特約 |
〇 |
430,000 |
30,000 |
30 |
1,840,400 |
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合計 |
1,852,140 |
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合計保険料 |
2,351,240円 |
払込方法 |
一括 |
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【備考】 |
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業務用通貨の盗難について、1事故の支払限度額:30万円 |
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保険料を抑える工夫
現金や小切手を対象とした保険は、他の損害保険同様、保険料を抑える工夫の余地があります。下記にその一例を紹介します。
・金庫の設置や防犯設備の導入
防犯対策が評価され、保険料が割引される場合があります。
・補償額を適正に設定
常に保管する金額より大幅に多い金額を設定すると保険料が無駄に高くなるため、実態に即した金額設定が重要です。
・特約の活用
単独の保険より、店舗総合保険などに現金補償を追加したほうが割安になる場合もあります。
なお、保険会社によっては独自の割引制度を用意していることもありますので、加入に際しては必ず確認するようにしましょう。
保険加入時の注意点
現金や小切手を守る保険は、万一の損失をカバーする有効な手段ですが、加入の仕方や補償内容の設定を誤ると、いざというときに十分な補償を受けられない可能性があります。
以下では、契約前に確認しておきたい注意点を詳しく解説します。
保管状況と補償条件の確認
現金、小切手等、有価証券の盗難保険では、「どのように保管しているか」が補償の可否を左右します。
・施錠・金庫の有無
机の引き出しや開放棚に置かれていた現金は補償対象外となることが多い。防犯性の高い金庫の使用を補償の条件としている保険会社もあります。
・営業時間中と営業時間外の扱い
営業時間中の盗難は「強盗」のように暴行や脅迫を伴う場合でなければ補償されにくい。一方、営業時間外は侵入盗難が対象となることが多い。
・夜間金庫利用時
銀行に設置された夜間金庫に入れた場合、その保管責任がどこまで保険でカバーされるかを事前に確認しておく必要がある。
補償対象となる資産の範囲
現金や小切手に加えて、次のような資産も対象となる場合がありますが、契約内容によっては除外されることがあります。
・商品券、ギフトカード
・郵便切手、収入印紙、商品引換券
・外貨(外貨現金を扱う業種では特に要注意)
契約時に「何が補償対象に含まれるか」「何が補償外か」を正確に把握しておかなければ、実際の損失がカバーされない可能性があります。
補償限度額(保険会社の支払限度額)の設定
保険契約には「補償限度額(1事故あたり・年間あたり)」が定められます。下記の注意点をもとに設定する必要があります。
・売上ピーク時に備える必要性
繁忙期には普段より多額の現金を店舗に保管することがあります。その金額を見込んで限度額を設定しておかないと、補償不足が発生する危険性があります。
・小切手額の把握
小切手は額面が大きくなる傾向があるため、現金だけを基準に補償額を設定すると不足する可能性があります。
・免責金額の確認
少額の損害については自己負担となる免責金額が設定されていることがあります。免責金額を低く設定すると、その分保険料が高くなりますので、どこまでを自社でリスク保有するかを検討する必要があります。
補償の対象外となるケース
現金保険には補償の除外事項があり、この点を理解せずに契約すると、補償されると思っていたのに補償されなかった等、後々トラブルになります。下記に、一般的な除外事項を紹介します。
・従業員による横領や着服
内部犯行は多くの契約で補償対象外です。ただし「業務上横領担保特約」などを付けることでカバーできる場合があります。
・重大な過失
施錠を怠ったり、現金を机上に放置したりした場合は免責となることがある。
・経年劣化や自然な消耗紙幣の汚損や古くなった小切手の破損は保険ではカバーされません。
なお、その他の除外事項については、保険商品のパンフレットや約款に詳しく記載されています。重要な項目ですので、必ず確認しておきましょう。
防犯・管理体制との連動
保険はあくまで「最終的なリスクの移転手段」であり、適切な防犯体制と併せて利用することが前提です。
保険会社側も、適切な防犯体制を講じている契約者に対しては、下記に紹介するように、保険料を割引く仕組みを設けているところもあります。
・防犯カメラや警報システムの設置により、保険料が割安になる場合がある。
・現金の取り扱いマニュアルやダブルチェック体制を整備することで、内部不正や過失リスクを低減につながります。また、契約に当たってのヒアリングシートにその旨を申告することで、保険料の割引にもつながります。
・金庫の耐火性能や防盗性能によって、保険会社の評価や補償条件が変わることもある。
他の保険との重複や不足に注意
現金保険単体でカバーするよりも、店舗総合保険や企業財産包括保険の特約として付加する方が効率的な場合もあります。
しかし、契約の仕方によっては補償の重複や漏れが生じることがあります。そのような認識の相違が想定されるのは、主に下記のケースです。
・火災保険の補償に含まれていると勘違いして、現金特約を付け忘れるケース。
・複数契約で同一資産が二重に補償され、無駄な保険料を払うケース。
補償の漏れや重複に関しては、一般の方にはわかりにくいです。保険会社や保険代理店の営業コンサルタントと相談し、自社の契約全体を見直してバランスを取ることが重要です。
現金や小切手を対象とする保険の導入事例の紹介
現金・小切手保険は、実際に事故やトラブルが起きたときにその有効性が実感されます。ここでは、業種ごとに典型的な事例を紹介し、保険が果たした役割を詳しく解説します。
事例①:小売店の侵入盗難被害
【事故概要の説明】
地方都市でアパレルショップを経営するA社は、閉店後に売上金を金庫に保管していました。ある夜、店舗に侵入した窃盗犯によって金庫が破壊され、数百万円にのぼる現金と小切手が盗まれる事件が発生しました。
【補償内容と効果】
A社は「現金盗難保険」に加入しており、盗難による損失額の大部分が補填されました。さらに、金庫の破損修理費用も補償対象となったため、追加の経済的負担は保険契約の免責金額部分のみで、損害に伴う支出を大きく軽減することができました。
【導入の意義】
現金を店舗に残すこと自体がリスクでしたが、地方では夜間金庫の利用が難しい事情もあり、現金保険が事業を守る最後の砦となりました。保険金の支払いにより、仕入れ先や従業員給与の支払いが滞ることなく、迅速に営業を再開できた点が大きなメリットでした。
事例②:建設会社の火災による小切手焼失
【事故概要の説明】
中堅建設会社B社では、取引先から受け取った数千万円分の小切手を一時的に本社の金庫に保管していました。しかし、オフィスビルで発生した火災によって金庫内の小切手が焼失してしまいました。
【補償内容と効果】
B社が加入していた「企業財産包括保険」の特約で、小切手も補償対象に含まれていたため、損失額が保険で補填されました。小切手は再発行も可能ですが、再発行手続きには時間と労力がかかり、入金の遅延による資金繰り悪化が懸念されていました。保険金の迅速な支払いによって資金繰りが安定し、工事の進行や下請け業者への支払いに支障をきたすことなく事業継続が可能になりました。
【導入の意義】
火災リスクは現金保険だけではカバーしきれない場合もあり、総合的な補償が可能な、企業財産包括保険で特約の付帯によりリスクヘッジしていたことが功を奏しました。
事例③:飲食店における銀行への入金途中での強盗被害
【事故概要の説明】
繁華街で複数店舗を展開する飲食店C社では、毎日閉店後に店長が売上金を持参して銀行に入金していました。ある日、店長が入金のために移動中、路上でひったくりに遭い、数百万円の売上金を奪われました。
【補償内容と効果】
C社は「現金輸送保険」に加入していたため、被害に遭った現金の全額が補償されました。さらに、警備会社を利用していない自社輸送でも補償対象になる契約内容だったため、個人負担を避けられました。
【導入の意義】
現金商売では現金輸送中における盗難等のリスクが高いものの、警備会社に委託するとコストがかさみます。このケースでは、保険を活用することでコストとリスクをバランスよく管理することができました。
事例④:医療法人での従業員による横領
【事故概要の説明】
ある医療法人Dは、受付担当者が長期間にわたり患者から受領した診療費の一部を着服していたことを発見しました。数年にわたる横領額の総額は数千万円にも達していました。
【補償内容と効果】
通常の現金保険では内部不正は補償の対象外ですが、D法人は「業務上横領担保特約」を追加しており、損失の一部について保険金を受け取ることができました。
【導入の意義】
内部不正は「まさかうちでは起きない」と思われがちですが、医療機関や学校法人など、現金の取り扱いが分散している組織では発生率が高いと言われています。特約を付加していたことで、経営へのダメージを最小限に抑えることができました。
事例⑤:商社における偽造小切手の被害
【事故概要の説明】
輸入取引を行う商社E社では、得意先から受け取った小切手が実は偽造されたものであり、金融機関で決済不能とされるトラブルが発生しました。
【補償内容と効果】
E社は「有価証券損害担保特約」を付けており、偽造小切手による損害も補償対象に含まれていたため、損失額の補填を受けることができました。
【導入の意義】
小切手取引は信用リスクを伴いますが、取引規模が大きい業種では不可避です。万一の偽造被害に備えて保険を付けていたことが、企業の信用失墜を防ぐことにつながりました。
導入事例からわかること
これらの事例からわかるように、現金や小切手に関するリスクは「盗難」「火災」「輸送時の強奪」「内部不正」「偽造」など多岐にわたり、業種や業態によって発生しやすいリスクは異なります。
導入事例に共通するのは、保険を契約していたことで事業経営における運転資金の流れを途絶えさせることなく、事業を継続できたという点です。
保険は単なる損害の埋め合わせにとどまらず、「経営の信頼を守るセーフティネット」として機能します。
自社の業種や現金取扱いの実態に応じて、適切な保険を導入することが、事業の安定に直結すると言えます。
まとめ
今回の記事では、現金や小切手の保管に必要な保険について、保険の活用方法や実際の提案事例、導入事例を紹介しつつ解説しました。
現金や小切手は、事業活動に不可欠である一方、盗難や火災といったリスクに最も弱い財産であると言えます。
専用の「現金保険」や「現金輸送保険」、あるいは店舗総合保険・企業財産包括保険といった火災保険の特約を組み合わせることで、万一の損失を最小限に抑えることができます。
保管状況や取扱金額に応じて、最適な補償内容を選ぶことが事業を守る第一歩となります。
保険会社や保険代理店の営業コンサルタントに相談することで、適切な保険の選択のアドバイスをもらうことができますので、気軽に相談してみましょう。
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