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2024.01.02

バイク事故でケガ!任意保険に加入してない?修理費用は?保険出る出ない?損害賠償の金額設定は?専門家が回答

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著者情報 森 逸行 FP歴15年 経験した事を伝え解決に導く『金融パーソナルトレーナー』

バイク保険で相手方の過失で任意保険

日常生活を営むうえで、自動車と接することは必要不可欠となっています。

都心などで鉄道網が発達している地域に住んでいても、自家用車を持ってなかったとしても仕事で自動車やバイクを使用することもあれば、プライベートの場面でも、友人等から一時的に借りて運転するような機会もあるでしょう。

今回の記事では、自動車やバイクの事故の際に注意すべき点について解説します。

記事の最期には、関連する質問と回答も紹介しますので、任意保険の補償内容を検討するうえで参考にしてください。

目次

自動車保険の基本構造:任意保険と自賠責保険の違いとそれぞれの役割

自動車を所有・運転するうえで、自動車保険は欠かせないものです。

自動車保険には「任意保険」と「自賠責保険」と2つの種類があります。2つの保険の違いやそれぞれの役割を理解することは、安全で安心なカーライフを送るうえで非常に重要です。

ここでは、自賠責保険の概要から、任意保険の補償内容、加入の必要性までをわかりやすく解説します。

自賠責保険とは?

まずは自賠責保険の概要、制度の仕組みについて解説します。

自動車を所有する全ての人に義務づけられた保険

自賠責保険とは、正式名称を自動車損害賠償責任保険といい、すべての自動車・バイクの所有者が、法律により強制的に加入しなければならない保険です。

自賠責保険に加入していない車両は公道を走ることができず、車検も通りません。

自賠責保険の制度の背景には、「被害者保護」という理念があります。

これは事故に遭った被害者が、最低限の補償を確実に受けられるようにというもので、仮に加害者が任意保険に加入していなくても、保険会社が被害者に直接保険金を支払うことのできる仕組みになっているのです。

補償される範囲は「人的被害のみ」

自賠責保険の補償対象は、人身事故に限られます。つまり、事故の被害者の「けが」「死亡」「後遺障害」に対しての損害賠償のみをカバーします。

具体的な人身事故に対する補償金額は下記となります。

 

補償対象

払われる保険金の上限金額

死亡

3,000万円

ケガ

120万円

後遺障害

後遺障害の程度に応じた等級によって75万円~4,000万円

 

物損や加害者自身のケガには非対応

上述のように、自賠責保険の補償内容は人身事故に限定されているため、加害者自身の死亡・後遺障害・ケガ、物損事故については補償対象外となります。

具体的には、以下のケースでは一切補償されません(加害者の自己負担となります)。

・相手車両の修理代
・ガードレール・建物などの損壊
・自分や家族のけが・死亡
・自分の車の修理費

このように、自賠責保険は非常に補償範囲が狭く、最低限の被害者救済を目的とした制度となっています。

自賠責保険の加入について

自賠責の加入の手段は下記となります。

・車検時に強制的に加入(または更新)
・新車購入時にはディーラーが代行加入
・原付やバイクはコンビニや郵便局でも加入可能

少し前までは自動車のディーラーや保険会社(代理店)でしか加入できなかったものの、現在では加入手段も拡大してきており、コンビニでも簡単に手続きできるようになりました。

保険期間の設定と保険料

保険料は車種や契約年数によって異なります。以下に車種ごとの保険料表を記載します。

なお保険料は毎年改定されるので、下記の表はあくまで目安と考えてください。

 

車種

24か月契約の保険料(例)

自家用乗用自動車

17,650円

自家用小型貨物自動車

20,340円

軽自動車

17,540円

一般原動機付自転車

8,560円

小型二輪自動車(250cc超)

8,760円

 

保険料は沖縄本島・離島以外は全国一律となっています。

※沖縄本島・離島、その他離島はそれ以外の地域に比べて半額近く安くなっています。

万が一、未加入だった場合の罰則

自賠責保険に未加入のまま自動車を運転した場合、法律上の重い処罰があります。

 

内容

罰則内容

自賠責保険未加入での運転

1年以下の懲役または50万円以下の罰金

違反点数

6点(即時免許停止)

 

上記の罰則内容は、たとえ事故を起こさなかったとしても適用されることに注意が必要です。

もちろん、事故を起こした際に上記罰則が適用されることは言うまでもなく、事故によって発生した相手方に対する損害賠償金もすべて自己負担になります。

任意保険とは?

自賠責保険と同様、任意保険についても補償内容やその仕組みについて解説したいと思います。

自賠責保険の不足分を補完する保険

任意保険はその名の通り「任意」で加入する保険で、法律上の加入義務はありません。しかし実際にはほとんどの車の所有者が加入しています。

なぜなら、自賠責保険ではカバーできない範囲が広すぎるため、任意保険で補完しなければ重大なリスクに備えることができないからです。

つまり任意保険は、自賠責保険では補いきれない補償をするという意味で、「補償の拡張機能」を有していると言えます。

任意保険で補償される主な内容

以下は任意保険に含まれる主な補償項目です。補償内容や限度額は自由に設定でき、保険会社やプランによって補償設計の自由度は異なります。

対人賠償責任保険

他人を死傷させた場合、自賠責保険の補償上限額を超えた損害部分を補償します。死亡事故や後遺障害などで億単位の賠償が発生するケースもあるため、補償額は「無制限」に設定するのが一般的です。

対物賠償責任保険

他人の車や建物、所有物といった「物」に損害を与えてしまった場合の損害を補償します。近年は高級外車や電気自動車も増えており、自動車同士の事故でも修理費が1,000万円を超えるという例も出てきています。対物賠償責任保険の補償額についても「無制限」にしておくのが望ましいです。

人身傷害保険

契約者や同乗者のケガ・死亡・後遺障害に対して、治療費や休業損害などを包括的に補償します。事故時の過失割合に関係なく補償される点が、自賠責保険や搭乗者傷害保険と異なる強みといえます。人身傷害保険の設定額は、最低でも3,000万円以上に設定するのが良いです。

搭乗者傷害保険

事故で自分の車に乗っていた人がけがをした場合に、定額で保険金が支払われます。支払い形態は一時金で、ケガの重さに応じて金額が決まる形となります。人身傷害補償とセットで加入されることが多いですが、付保にあたっての優先度は、人身傷害保険の方が高いです。

車両保険

自分の車が事故、盗難、自然災害などで損害を受けた場合の修理費を補償する保険です。新車や高級車を所有している人には特に重要な保険であるといえます。なお、車両保険の保険料は一般的に高くなっています。保険料を少しでも抑えるプランとして、補償するリスクを限定したエコノミー型が各保険会社から販売されています。

その他の特約(オプション)

これまで解説した基本補償の内容を拡張するために、特約(オプション)が用意されています。取り扱われている特約の内容は保険会社によって異なりますが、ここでは代表的なものを紹介します。

・弁護士費用特約
・個人賠償責任補償特約
・対物超過修理費用特約
・他者運転危険補償特約
・ロードサービス特約
・レンタカー費用特約
・ファミリーバイク特約

任意保険が必要な理由とは?

前項で解説したように、任意保険は自動車事故をとりまく様々なリスクを補償するものだということが理解いただけたことと思います。ただ、なかには自賠責保険で最低限の補償がカバーされているから、あえて任意保険に加入する必要はない、と考える人もいることと思います。私も損害保険の現場で日々活動しているなかで、たまにそのような考え方をされている人に触れることがあります。任意保険が必要か否かについて声を大にして言いたいのは、絶対に必要だということです。ここではその根拠を解説します。

想定外の高額賠償から身を守るため

重大事故の賠償額は、自賠責保険の上限をはるかに超えるケースがほとんどです。下記の事例を考えてみてください。

・死亡事故による遺族への賠償・・・1億円を超えることもある
・大規模な物損事故・・・高級外車への追突で修理費1,500万円
・多数の被害者が出る事故・・・数千万円〜億単位の負担が発生

任意保険に加入していない場合、自賠責保険の上限を超える(自賠責保険の補償対象外事故も含め)賠償額は自己負担しなければなりません。任意保険未加入の状態で、上記のような事故を起こしてしまったことを想像してみてください。賠償金を自己資金で支払うことが現実的と言えるでしょうか。任意保険に加入しておくことで、こうした経済的損失(破綻)を防ぐことができます。

自分や同乗者のけが・死亡に備えるため

自賠責保険の補償内容は、対人賠償の補償のみです。ただ、自動車事故では相手に損害を与えるだけでなく、運転者側も損害を受ける可能性が大いにあります。下記のような事故を考えてみましょう。

・カーブを曲がり切れず、ガードレールに衝突。ガードレールを破損させるとともに、運転者、同乗者も全治一か月の重症を負った。
・わき見運転した結果、信号待ちで停車していた自動車に衝突。相手自動車を破損させてしまい、運転者自身も首を強く打ってしまった。
・コンビニの駐車場に停車しようとしたところ、ブレーキとアクセルを間違えてしまい、コンビニ建物部分に大きな損害を与えた。ドライバーも頭部を強く打ってしまい全治一か月の重症を負った。

もし仮に、任意保険に加入していない状態で上記のような事故を起こしてしまった場合、運転者側の治療費は全額自己負担しなければなりません。任意保険の人身傷害保険、搭乗者傷害保険を付保しているのであれば、このような場合も補償対象となります。

法的責任・社会的信用の確保にも

任意保険に未加入だった場合、事故後の対応や被害者との交渉は非常に困難になります。弁護士費用や一時金などを自己負担する必要があるだけでなく、誠意を欠いた誤った対応をしてしまうと、被害者からの不信感に直結します。任意保険には特約で弁護士費用の補償が用意されているので、費用面での心配は解消されます。さらに任意保険に加入していることで、事故対応に精通した保険会社の事故担当者のアドバイスを聞くこともできます。この点は損害対応をスムーズに行う上で非常に心強いものになります。

任意保険の選び方:何を重視するべきか?

任意保険を選ぶときのポイント、補償の設計において注意すべき点を解説します。

対人賠償補償は「無制限」を基本と考える

他人を死亡させたり、怪我を負わせたりした場合の損害を補償する対人賠償補償は、自賠責の補償限度額を考慮し、無制限の補償に設定しましょう。自賠責保険では死亡:最大3,000万円、傷害:最大120万円の補償しか受けることができません。しかし、死亡事故や高度障害の事故等の重大な事故では数億円の賠償責任が生じるケースがあります。自賠責の補償限度額を超える部分を任意保険でカバーすることになりますが、数億円の賠償責任が発生すると、任意保険の限度額設定は簡単に超えてしまいます。対人賠償補償は「無制限」に設定するのが常識と考えましょう。

対物賠償補償は「無制限」を推奨

他人の車や建物、電柱、店舗などの物損を補償する対物賠償補償についても、無制限の補償設定を推奨します。高級車や店舗設備との接触事故では1,000万円を超える請求も珍しくありません。さらに、対人賠償補償にも言えることですが、補償限度額を1,000万円等と金額設定したとしても、無制限の補償に設定したとしても、保険料はそれほど変わりません。対物賠償補償についても「無制限」を選ぶのが安心です。

人身傷害補償を手厚く

人身傷害保険は、自分自身や同乗者が事故でケガをした場合に、事故の過失割合に関係なく、実際にかかった治療費を補償してくれます。また人身傷害保険は、ケガだけでなく死亡・後遺障害時にも補償対象となります。設定する保険金額は最低でも3,000万円、安心のために5,000万円程度に設定しましょう。

搭乗者傷害補償も検討

自動車事故の際の、自分自身や同乗者のケガを補償するという意味では、人身傷害保険とよく似ています。人身傷害保険との大きな違いは、人身傷害保険が実費補償なのに対し、搭乗者傷害はケガの大きさに応じた定額補償という点です。優先度としては人身傷害保険の方が強いと言えますが、定額補償である搭乗者傷害も検討すべきです。自動車事故でケガをすると、治療費以外にも様々な出費が発生します。たとえば仕事を休んだことによる収入減少や、病院までの通院にかかる交通費などの出費が考えられます。そのような出費に搭乗者傷害の定額補償を充てることもできます。

車両保険は新車や高価な車に強くおすすめ

車両保険は、事故等により自分の車に損害が発生した場合の修理費や全損時の補償に対応します。補償範囲が広い「一般型」と、盗難・火災・飛び石・自然災害などに限定される「エコノミー型(車対車+A)」があります。新車や高額な車に乗っている人、ローンが残っている人は必須と考えましょう。

また、損害保険の営業に従事している筆者の、個人的な見解ではありますが、車両保険を付保するにあたっては「一般型」で設計することを強くお勧めします。たしかにエコノミー型は、一般型と比較すると、車両保険部分の保険料はじゃっかん安くなります。しかし、車両事故は様々な原因で発生するものなので、事故原因を問わず補償されるように設計すべきです。

補償を拡張する特約をうまく活用

保険会社によって取り扱いは異なりますが、各社で様々な特約が用意されています。ご自身のカーライフにあわせて、特約をうまく活用しましょう。とりわけ下記に紹介する特約はおすすめです。おおむねどこの保険会社でも取り扱われているものなので、付帯の検討は必須と考えましょう。

 

 ①弁護士費用特約・・・事故の相手方と争いになった場合の、弁護士相談費用を補償します。保険会社によっては、自動車事故だけでなく日常生活における弁護士相談費用を補償できるところもあります。

 

 ②対物超過修理費用特約・・・自動車事故を起こし、相手の自動車に損害を与えてしまった場合、当然相手自動車の損害を賠償しなければなりません。その際、相手方自動車の時価額を超える修理費が発生した場合、対物賠償責任保険では時価額までしか補償できません。法律上の責任として、時価額を超える部分について、加害者に賠償義務はないのですが、そうは言っても被害者としては到底納得できるものではありません。そのような場合の、時価額を超える部分を補償するのが対物超過修理費用特約です。この特約が付保されていると、事故時の示談交渉がスムーズに進むので、必須の特約といえます。

 

 ③個人賠償責任補償特約・・・日常生活におけるトラブルで、第三者に対して負ってしまった賠償責任を補償します。たとえば、自転車で他人にケガをさせてしまった、ベランダから物を落としてしまって、たまたま通りかかった通行人にケガをさせてしまった等、日常生活上では様々なトラブルが考えられます。さらにこの特約は、契約対象者だけでなく、対象者の同居の親族・別居の未婚の子までをも含み、幅広く補償してくれるのです。日常生活を円滑に営むうえでも、おすすめの特約です。

 

 ④ファミリーバイク特約・・・この特約を付保することで、125cc以下のバイクを運転中の事故についても補償することができます。自家用車だけでなく125cc以下のバイクを所有している方は、単独でバイクの保険に加入するよりも保険料は安く済むことが多く、おすすめです。

 

 ⑤他者運転特約・・・他人の自動車を借りて運転している時に事故を起こしてしまった場合に、自分の任意保険を適用させることができる特約です。保険を使うと等級にも影響が及び、その影響で更新後の保険料も高くなります。そのような際に、自動車を貸してくれた人の任意保険を使うのでは、その後の人間関係にも影響が出てしまいます。他人の自動車をよく借りる人は、円滑な人間関係を営む上で必須の特約です。

その他

任意の自動車保険を設計する上では、家族構成や自動車の使用目的(業務使用、通勤・通学使用、日常・レジャー使用)といった要素もしっかり考慮しましょう。使用目的を誤ってしまうと、契約自動車を目的外で使用中に事故を起こしてしまった場合は、補償対象外となってしまう可能性もあります。よく注意しましょう。

また、最近は「ネット型保険(ダイレクト型)」と「代理店型」で保険料に差が出るため、複数社の見積もりを比較してから決めることが重要です。

Q&A:自賠責保険、任意保険に関する質問と回答

自賠責保険、任意保険に関するよくある質問とそれに対する回答をいくつか紹介したいと思います。

今回紹介するのは、実際の事故にもとづいた質問です。事故時の状況をイメージしながら読むと、補償の仕組みが理解できると思います。ぜひ参考にしてください。

質問:相手の過失ですが、任意保険に加入しておらず十分な補償が受けられない

 先日弟がバイクでツーリングをしていたところ、停車中に後ろから追突されました。

相手は大型バイクで脇見運転をしていたようで、弟は後遺障害が残るケガを負いました。

今回の件は弟が停車中だったため完全に相手方の過失ですが、事故の相手が任意保険に加入しておらず十分な補償が受けられない可能性があることがわかりました。

ケガや破損したバイク等の費用を負担せざるを得ない状況なのですが、納得が行きません。

どうにか相手には払ってもらいたいと思っているのですが、交渉しか方法は無いのでしょうか。 

回答:強制加入である自動車損害賠償責任保険でケガ部分の補償を受けることができます。

結論を先に言うと、強制加入である自動車損害賠償責任保険(通称:自賠責保険)でケガ部分の補償を受けることができます。

ここで少し自賠責保険の補償内容を少し説明します。すべての自動車(バイクも含む)は強制加入の自賠責保険への加入が法律で義務付けられています。補償内容はケガの補償のみで、補償金額にも制限があります(傷害:120万円、死亡:3,000万円、後遺障害:4,000万円)。

なお、自賠責保険には物損に対する補償はないため、多くの方が自賠責保険でカバーできない補償に備えるために任意保険に加入しています。

今回のご質問の例でいえば、加害者が強制加入している自賠責保険に補償を求める形になります。

自賠責保険には被害者請求という制度があり、加害者が対応に応じてもらえないような場合には、加害者を通さずに直接請求できることも知っておくと良いでしょう。

ただ、先ほど申し上げた通り、自賠責保険は物損の補償は対象外となるので、残念ながら破損したバイクは保険で対応することはできません。

基本的に加害者に請求することになります。

今後の交渉のために、加害者の電話番号だけでなく免許証のコピーや車検証のコピーも入手しておきましょう。 

質問:対物賠償保険をつけているのですが補償されますか?

 自身の前方不注意により赤信号で停止中のトラックに追突してしまいました。

前方のトラックと積んでいた荷物に損害を与えてしまったのですが、保険で賄うことはできますか。

事故を起こしてしまったことによりトラック自体の修理費と積荷の損害はもちろんですが、相手のトラックが稼動できず業務を一時的に止めてしまったため営業損害が発生する場合があります。

保険には加入していて対物賠償保険をつけているのですが補償されますか。 

回答:修理費と積荷の損害だけでなく、発生した営業損害も補償することはできます。

ご質問の事例で、対物賠償責任保険にてトラック自体の修理費と積荷の損害だけでなく、発生した営業損害も補償することはできます。

物損の交通事故の場合、事故によって損害が生じたモノそのものの損害を直接損害といいます。

それに対し間接損害とは、モノが壊れた結果として、将来得られるはずであった利益が得られなくなってしまった場合の、その将来の利益を指します。

今回のご質問の事例では、トラックや積荷の損害を直接損害となり、事故を原因として業務を一時止めてしまった結果、発生した営業損害が間接損害となります。

自動車保険の賠償責任保険では直接損害、間接損害ともに補償対象となります。

ただ、実際の相手方との話し合いの際には必ず保険会社の担当者と相談のうえ進めることをおすすめします。

営業損害の補償について、保険会社の定めた計算式をもとにして算出するので、必ずしも相手方の請求する額の満額が補償されるとは限りません。

トラブルのもとにもなりかねないので、示談交渉の際は保険会社と入念に相談の上、慎重に進めましょう。 

質問:損害賠償の金額設定に悩んでいます。1000万円を超える事故はありますか?

 普段バイクを足として使っています。保険を契約するにあたり損害賠償の金額設定に悩んでいます。

万が一事故を起こしてしまっても一般的なバイクと車の事故であれば1,000万円で相手の車修理代や通院費などを十分カバーできそうかと思うので、1000万円以下のものに抑えたいと思っています。

万一に備えるための保険ですので保険金額は無制限にしておいた方がリスク管理になると思いますが、その分保険料が上がってしまうと思うので、1000万円を超える事故の例があれば聞いたうえで判断したいです。

回答:保険料もせいぜい年間1,000円前後で無制限に設定することを強くお勧めします。

自動車事故において、被害額が高額となるのは主に人身事故になりますが、物損事故でも過去にかなり高額な事例がありました。

近年でも1億円を超える被害額の事例は複数件発生していて、交通事故の高額賠償化が進んでいるといえます。

事例:2022年度_自動車保険の概況 (giroj.or.jp)内のP148参照

 

質問者様がおっしゃる通り、保険金額の設定を下げることで、保険料を安くできることは事実です。

ただ、自動車保険は万が一の事故に備えるためのものなので、対人・対物賠償責任保険の保険金額は無制限にすることをおすすめします。

保険会社ごとに多少の違いはありますが、保険金額を無制限にした場合とそうでない場合とで、保険料もせいぜい年間1,000円前後の違いです。

無制限に設定することを強くお勧めします。

質問:バイク事故で通院費及び友人の入院費用等は全額保険で賄うことはできますか。

 先日友人を後ろに乗せてのツーリングで山のカーブを登っている際、誤ってハンドルをきりそこねてしまいました。

対向車線に車はおりませんでしたが、ガードレールに衝突したはずみで私も軽い怪我をし、乗っていた友人にも怪我を負わせてしまいました。

命に別状はないですが骨折等があり数日入院の予定だそうです。

私自身の通院費及び友人の入院費用等は全額保険で賄うことはできますでしょうか。 

回答:人身傷害保険もしくは搭乗者傷害保険を付帯していれば、搭乗者の方は補償を受けることができます。

搭乗中のバイクについて、人身傷害保険、もしくは搭乗者傷害保険を付帯していれば、質問者様、および搭乗者の方は補償を受けることができます。

ただし、酒気帯び運転その他著しく危険な運転の場合は補償されないことに注意が必要です。

ここで、人身傷害保険と搭乗者傷害保険の違いについて簡単に説明します。

人身傷害保険は

人身傷害保険は契約の自動車やバイクの運転中の事故で、自身や同乗者が死傷したときに補償を受けることができるものです。ケガの治療費だけでなく休業損害や逸失利益も補償範囲に入っており、設定した保険金額の範囲内で全額実費が補償されます。

搭乗者傷害保険は

それに対し搭乗者傷害保険は、契約の自動車やバイクの運転中の事故で、補償を受けることができるという点では人身傷害保険と同じですが、搭乗者傷害保険の場合、入院の日数に応じた定額払いとなります。

また、休業や逸失利益の補償もありません。

どちらもケガの場合を補償するものになりますが、人身傷害保険のほうが手厚い補償といえます。

基本的には人身傷害保険を優先し、さらに手厚い補償を付帯したいときに搭乗者傷害保険を追加で付保するという付保の仕方が合理的であるといえます。 

質問:借りたバイクを運転中に歩行者と接触し怪我をさせてしまいました。

 普段バイクを日常的に乗っているのですが自身のバイクの調子が悪く、友人にバイクを借りることになりました。

私の不注意で友人のバイクを運転中に歩行者と接触し怪我をさせてしまいました。

友人に確認したところ、友人のバイクでは最低限の補償しかついていないため十分な補償ができない可能性があるとのことでした。

このようなケースの場合、私自身の契約している保険で賄える可能性はありますか。 

回答:補償内容に「他社運転特約」が付帯されていれば保険で賄うことができます。

質問者様もご自身のバイクの保険に加入していることと推察しますが、まずご自身で加入しているバイクの保険の補償内容をご確認ください。その補償内容に「他社運転特約」が付帯されていれば、質問者様の保険で賄うことができます。

他社運転特約とは

「他社運転特約」とは、借りた自動車(バイク)を自分の自動車(バイク)とみなし、自分の任意保険から優先して補償を受けることができるもので、どこの保険会社の自動車保険にも契約時に自動セットされていることが多いようです。

ただし、バイクと自動車の場合とで異なる点があります。バイクの場合、たとえ車両保険を付保していたとしても、他社運転特約を適用する場合は車両補償を適用できないという点です。

つまり今回の事例で質問者様が友人から借りて事故を起こした際、バイク自体に損害が生じさせてしまったら、バイクの修理費は補償の対象外となるのです(自動車の場合は補償対象となります)。

同じ「他社運転特約」でも自動車に比べ、バイクの場合は補償内容がどうしても劣ってしまうので、いずれにしても、バイクを借りるような行為は極力避けたほうが良いでしょう。

 

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