住宅購入のFP相談に必要なものは?「いくらまでなら買える?」を診断するための準備資料
住宅購入・資産運用・保険・相続まで幅広く対応。実務経験に基づいた、現実的で分かりやすいアドバイスを提供している。

「今の家を売却して住み替えたいのですが、いくらまでの住宅なら購入しても大丈夫でしょうか?」
住宅購入や住み替えを検討している方から、このようなご相談をいただくことがあります。
不動産会社や金融機関に相談すると、「住宅ローンをいくら借りられるのか」という目安は比較的早く分かります。
しかし、本当に知りたいのはそこではないのではないでしょうか。
「借りられる金額」ではなく、「将来の生活に無理が出ない範囲で、いくらまでの住宅なら購入できるのか」
ここを確認するために行うのが、住宅購入前のライフプランニング診断です。
今回は、住宅購入や住み替えを検討している方がFPへ相談する際、どのような資料を準備するとよいのか、また、それらの資料から何を確認するのかを解説します。
「住宅ローンはいくら借りられる?」だけでは判断できない
住宅購入を検討するとき、多くの方が最初に気にするのが住宅ローンです。
年収から計算して、
「8,000万円くらいまで借りられそうです」
「1億円近くまで住宅ローンを組める可能性があります」
と言われることもあるでしょう。
しかし、金融機関が融資できる金額と、その家庭が無理なく返済できる金額は同じとは限りません。
住宅を購入した後も生活は続きます。
子どもの教育費、車の購入、旅行、老後資金、親の介護、住宅の修繕など、住宅ローン以外にもさまざまなお金が必要になります。
そのため、住宅予算を考えるときは、
「住宅ローンがいくら組めるか」
だけではなく、
「住宅を購入した後も、希望する生活を続けられるか」
という視点が非常に重要です。
実際にあった「9月末までに住み替えを判断したい」という相談
先日、住み替えを検討している方から、
「9月末までに住み替えるかどうかを判断したい」
というご相談がありました。
すでに候補となる物件もあり、現在の自宅についても売却査定を進めている状況でした。
このようなケースでは、単純に新しい住宅の価格だけを見ても判断できません。
現在の自宅はいくらで売却できそうなのか。
住宅ローンはいくら残っているのか。
売却後、手元にいくら残るのか。
現在どのくらい金融資産を持っているのか。
今後、子どもの教育費はいくら必要なのか。
老後までにどの程度の資産を残しておきたいのか。
こうした情報を整理して初めて、「今回の住み替えにいくらまで使ってよいのか」が見えてきます。
では、具体的にどのような資料を準備すればよいのでしょうか。
① 預貯金・株式・NISAなど金融資産が分かるもの
まず確認したいのが、現在保有している金融資産です。
たとえば、
・普通預金、定期預金
・株式
・投資信託
・NISA
・その他の金融資産
などです。
ここで重要なのは、単純に「資産が全部でいくらあるか」だけではありません。
住宅購入時にどこまで自己資金として使うのか、購入後にいくら手元資金を残すのかを考える必要があります。
たとえば金融資産が3,000万円あったとしても、3,000万円すべてを住宅購入に使ってしまえば、その後の教育費や老後資金に影響する可能性があります。
一方で、十分な金融資産があるにもかかわらず、多額の住宅ローンを組むことが必ずしも最適とは限りません。
住宅ローン金利や資産運用の状況なども考えながら、**「住宅に使うお金」と「将来のために残すお金」**を分けて考えていきます。
② 現在加入している生命保険
意外と忘れられやすいのが生命保険です。
住宅購入と生命保険は、一見すると別の話に見えるかもしれません。
しかし、住宅ローンを組むと多くの場合、団体信用生命保険(団信)に加入します。
そのため住宅購入後は、
「現在加入している死亡保障がそのまま必要なのか」
「住宅ローンがなくなった場合、家族にいくら保障を残す必要があるのか」
といったことも確認する必要があります。
また、生命保険料は毎月・毎年発生する固定費でもあります。
ライフプランニング診断では、住宅だけを見るのではなく、保険を含めた家計全体を確認します。
③ 購入を検討している物件の概要
すでに候補物件が決まっている場合は、物件概要が分かる資料があると、より具体的な診断ができます。
確認するのは物件価格だけではありません。
マンションであれば、管理費や修繕積立金、駐車場代などが発生します。
さらに固定資産税や将来の修繕費なども考える必要があります。
たとえば同じ8,000万円のマンションでも、
「毎月の管理費・修繕積立金が3万円の物件」
と
「毎月6万円かかる物件」
では、30年間で考えれば大きな差になります。
そのため、住宅予算は「物件価格+住宅ローン」だけで判断するものではありません。
住宅を所有し続けるために必要なコストまで含めて考えることが重要です。
④ 現在の住宅ローンの残高・金利・返済期間
住み替えの場合、特に重要なのが現在の住宅ローンです。
確認したいのは、
・住宅ローン残高
・適用金利
・毎月の返済額
・残りの返済期間
などです。
そして現在の自宅の査定価格と住宅ローン残高を比較します。
たとえば、
自宅の想定売却価格 5,500万円
住宅ローン残高 3,500万円
であれば、単純計算では2,000万円の差額があります。
ただし、実際の売却では仲介手数料などの諸費用がかかります。
そのため、この2,000万円すべてを次の住宅の頭金に使えるわけではありません。
反対に、売却価格より住宅ローン残高のほうが多い場合には、自己資金で不足分を補う必要が出てくる可能性があります。
住み替えでは、
「新しい家をいくらで買うか」だけでなく、「今の家を売った後にいくら残るのか」
をセットで考えることが重要です。
⑤ ご夫婦それぞれの収入が分かるもの
住宅購入予算を診断するうえで、収入の確認は欠かせません。
源泉徴収票などをご準備いただくと、現在の収入状況を把握しやすくなります。
ただし、現在の年収だけで住宅予算を決めるわけではありません。
特に共働き世帯では、
「今後も夫婦とも現在と同じ働き方を続ける予定なのか」
「育児などで収入が減る可能性はないか」
「何歳まで働く予定なのか」
「退職金はいくらくらい見込めるのか」
なども考えていきます。
住宅ローンは30年、35年、場合によってはそれ以上続きます。
現在の年収だけではなく、将来の収入の変化まで想定することが大切です。
⑥ 毎月の生活費・教育費などの支出
そして非常に重要なのが毎月の支出です。
同じ年収1,000万円の家庭でも、年間300万円で生活している家庭と年間600万円使っている家庭では、無理なく返済できる住宅ローンの金額は当然違います。
確認するのは、
・毎月の生活費
・教育費
・保険料
・自動車関連費
・旅行やレジャー費
・その他の大きな支出
などです。
特に子どもがいる家庭では、今後の教育費をどの程度見込むかによって住宅購入予算が大きく変わる場合があります。
中学・高校・大学を公立にするのか私立にするのか。
大学進学時に自宅から通うのか、一人暮らしになる可能性があるのか。
こうした将来の希望も含めて考えていきます。
すべての資料が揃っていなくても相談できます
ここまで読むと、
「こんなに資料を揃えないと相談できないの?」
と思われるかもしれません。
最初からすべての資料が揃っている必要はありません。
まずは現在分かる範囲で、
・金融資産
・収入
・生活費
・住宅ローン
・候補物件
・現在の自宅の査定価格
などを確認します。
不足している情報については、初回のヒアリングをしながら整理していくこともできます。
むしろ、「何を確認すればよいのか分からない」という段階から相談することにも意味があります。
住宅購入前に知りたいのは「借りられる金額」ではなく「無理なく買える金額」
住宅購入では、大きな金額が動きます。
だからこそ、
「銀行が貸してくれるから」
「不動産会社から大丈夫と言われたから」
という理由だけで住宅予算を決めてしまうのはおすすめできません。
大切なのは、その住宅を購入した後です。
住宅ローンを返しながら教育資金を準備できるのか。
希望する生活を続けられるのか。
老後資金を残せるのか。
万が一、収入が減少した場合でも対応できるのか。
こうしたことを確認したうえで、
「わが家の場合、いくらまでなら無理なく住宅に使えるのか」
を考えることが大切です。
住み替えの場合は「今の家をどうするか」まで一緒に考える
住み替えの場合は、新規購入よりも資金計画が複雑になります。
現在の住宅の売却価格、住宅ローン残高、新居の購入価格、購入・売却にかかる諸費用、手元に残す金融資産などを同時に考えなければなりません。
さらに、
「先に売るのか、先に買うのか」
によっても資金計画は変わります。
だからこそ、物件を決めて住宅ローンを申し込む直前ではなく、**「住み替えようかな」と考え始めた段階で、一度家計全体を整理しておくことをおすすめします。**
住宅購入・住み替え前のライフプランニング診断
当事務所では、住宅購入や住み替えを検討されている方に対して、ライフプランニング診断を行っています。
住宅ローンの借入可能額だけを見るのではなく、
現在の金融資産、今後の収入、生活費、教育費、老後資金、住宅ローン、資産運用などを総合的に確認し、将来の資産推移をシミュレーションします。
「8,000万円の住宅を購入しても大丈夫なのか」
「今の家を売却して1億円の住宅へ住み替えられるのか」
「頭金はいくら入れたほうがいいのか」
「住宅購入後もNISAなどの資産運用を続けられるのか」
こうした疑問についても、家計全体を見ながら一緒に整理していきます。
住宅は、一度購入すると簡単にはやり直せない大きな買い物です。
「買えるかどうか」ではなく、「買った後も安心して暮らせるかどうか」。
住宅購入や住み替えを検討されていて、「自分たちの場合はいくらまでなら無理なく購入できるのだろう?」とお悩みでしたら、物件を決めてしまう前に一度ご相談ください。




