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2023.02.28

出産のときに医療保険は適用?対象になる?いざという時に損をしないための知識

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著者情報 森 逸行 FP歴15年 経験した事を伝え解決に導く『金融パーソナルトレーナー』

出産 医療保険

妊娠・出産は人生における大きなイベントのひとつです。

大変なこともあるかと思いますが、家族にとって嬉しい出来事であると言えるでしょう。

しかし出産まで、そして出産後もさまざまな費用がかかります。

どのタイミングでいくら費用がかかるのか把握しておき、生活の負担を軽減するために利用できる制度や保険について理解を深めておくことが大切です。

この記事でそのポイントを解説していくので、ぜひ参考にしていただけると幸いです。

妊娠から出産までに必要な費用

妊娠して出産するまでには、ある程度の期間がかかります。

本記事では「妊娠時にかかる費用」と「出産時にかかる費用」に大きく分けて、必要な費用を解説していきます。

妊娠時にかかる費用

妊娠したかもしれない、と初めて妊婦健診を受けた時、思いもよらなかった金額を請求されることがあるかもしれません。

なぜなら、普段ケガなどで病院に行くときは健康保険証を提示して診察をしてもらうことがほとんどですが、妊娠は病気ではないため健康保険の適用外となるからです。

地域や病院によって異なるものの、妊婦検診にかかる費用は下記の通りです。

●初回の妊婦健診:10,000~20,000円ほど
●妊婦健診費:1回5,000円ほど(血液検査がある場合は1回10,000~15,000円程度)
●その他:妊娠高血圧症候群や悪阻(つわり)などへの対応

初回の妊婦検診で妊娠が確定後、2回目以降の妊婦検診では居住している各自治体に届出をすることで、補助券をもらうことができます。

そのため、2回目以降では負担を少なくすることができるのです。

現在は全自治体で14回以上の補助が受けられるようになっていますが、補助内容と補助額は各自治体によって異なるため、事前に確認すると良いでしょう。

妊娠は病気ではないため健康保険の適用外と述べましたが、妊娠高血圧症候群や悪阻(つわり)などの症状については、健康保険が適用されます。

出産時にかかる費用

出産時にかかる費用は、出産方法や産院の種類によって異なります。出産方法には下記の2パターンが考えられるでしょう。

●自然分娩
●帝王切開分娩

覚えておきたいポイントとして、上記の出産方法によって費用が大きく異なる点です。それぞれ詳しく解説していきます。

自然分娩の場合

自然分娩は医療介入をせずに自然に出産することを指し、一般的に40万円から80万円ほどの費用がかかるとされています。

医療介入をしないため、原則として健康保険が適用されず入院費などが自己負担となります。

帝王切開分娩の場合

お腹をメスで切り赤ちゃんを取り出す帝王切開分娩は健康保険が適用される医療行為であるため、地域や医療機関の違いにかかわらず22万2,000円の費用がかかります。

健康保険が適用されることで自己負担は3割となりますが、自然分娩とは異なり入院期間が長くなる傾向にあるため、自己負担額は40万〜100万円程度になると考えられるでしょう。

出産場所による費用の違い

出産場所によっても費用が異なり、下記のとおり上から順に費用が高いとされています。

●個人病院
●総合病院
●大学病院
●助産院

病院の種類に関係なく、個室の設備や食事のサービスなどが充実している病院では、より費用が高くなることを覚えておきましょう。

また、助産院は費用が低めに設定されているものの、医療行為が認められていない為帝王切開分娩や会陰切開など、助産院では対応できない状況では提携している総合病院などへ転院する可能性も考えられます。

【注意】正常分娩では民間の医療保険は使えない

重要なポイントとして、正常分娩では民間の医療保険は使えないことを覚えておきましょう。

「健康保険が利用できなくても医療保険に入っていれば安心」と考える人も多いかもしれませんが、医療保険でカバーできるのは医療行為が認められた場合のみです。

つまり正常分娩は医療介入しないため、保険でカバーできないのです。

妊娠中の医療行為として認められるのは、前述した通り「妊娠高血圧症候群」や「貧血」「重度のつわり」などの治療を行う場合です。

また、出産時の医療行為として認められるのは「帝王切開の手術」や「陣痛促進剤」「吸引・鉗子分娩手術」などです。

民間の医療保険でも、加入している保険商品によっては保障の対象外となるものもあるため、自身が加入している医療保険を事前に確認しておくことが大切です。

出産時に利用できる公的補助制度

ここまでで、「出産時には医療保険を活用できる範囲が少ない」と感じる人も多いのではないでしょうか。

医療行為が認められるものしか医療保険を活用することはできないものの、出産時に利用できる公的補助制度があるため覚えておくと良いでしょう。

具体的には下記の5つです。

①出産育児一時金
②出産手当金
③傷病手当金
④高額療養費制度
⑤医療費控除

それぞれ、詳しくご紹介していきます。

出産育児一時金

出産育児一時金は、被保険者及びその被扶養者が出産した場合に子供一人につき42万円が支給される制度です。

適用されるには、妊娠4ヶ月(85日)以降での出産が条件となります。

この制度を利用するためには、自身もしくは配偶者が加入している健康保険組合

・共済組合に申請しましょう。

出産手当金

出産手当金は、被保険者が出産のために会社を休む時、その期間の給与が支払われなかった場合に標準報酬日額の2/3が支給される制度です。

労働基準法第65条では、企業は42日(双子など多胎妊娠の場合は98日)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合、これを認めなければならないと定められています。

傷病手当金

傷病手当金は、被保険者が病気やケガで会社を休んだ際に、標準報酬日額の2/3が支給される制度です。

先ほどご紹介した出産手当金と似ていますが、傷病手当金は切迫流産や悪阻(つわり)などで会社を休んだ場合にも適用されます。

高額療養費制度

高額療養費制度は、1カ月間にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、年齢や所得などから設定される「自己負担限度額」を超えた金額が払い戻される制度です。

自然分娩では利用できないものの、帝王切開分娩や切迫早産などの医療行為が必要になった際に利用することが可能です。診断報酬明細書の審査後に健康保険より支払われます。

医療費控除

医療費控除とは、一年間の医療費が世帯の合計で10万円(総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%)を超えた場合に受けられる所得控除制度の一つです。

確定申告を行って管轄の税務署に必要書類を提出することで、還付金を受け取ることができます。

医療費控除の対象者は、自分自身と、生計を一にする配偶者や親族です。子どもや収入のない家族や別居をしている家族の医療費を支払った場合も、医療費控除の対象になります。

まとめ

本記事でご紹介したとおり、妊娠から出産するまでには多くの費用がかかります。

また、医療保険を活用できるのは医療行為があった場合のみです。自然分娩では保険が適用されないことを覚えておきましょう。

とはいえ、保険ではカバーしきれない範囲を公的補助制度で補うことが可能です。

利用できる制度をしっかりと活用して、なるべく出産にかかる費用を抑えられるようにしておきましょう。

この記事が出産にかかる費用で悩む人のヒントになれば幸いです。

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