がん保険は必要?不要?後悔しないために備えておくべき3つの判断基準
がん保険が「必要」か「不要」か、人によってそれぞれ意見が分かれるかと思います。
発症する割合が二人に一人と言われているがんですが、がん保険の必要性を身近に感じている方は意外に少ないかもしれません。
特に掛け捨てタイプのがん保険の場合、加入する費用対効果が見合わない、と言ったケースも考えられます。
この記事ではがん保険の必要性について、また後悔しないために備えておくべき判断基準についてまとめています。ぜひ参考にしてみてください。
目次
がん保険が不要と言われている理由
がん保険が不要だと言われている理由について説明する前に、まずは「がん保険」について理解を深めておく必要があります。
そもそもがん保険とは、がんと診断された場合や、がんによる所定の治療を受けた際に給付金が支払われる保険のことです。がんに特化した保障内容であるため、がん以外の病気や怪我などは原則支払いの対象にはならないことに注意が必要です。
そのことを踏まえて、がん保険が不要だと言われている理由を下記3つにまとめてみました。
●医療保険に加入していれば十分
●がんにならないと保障が受けられない
●充実した公的医療保険制度が利用できる
それぞれ、詳しく解説していきます。
医療保険に加入していれば十分
保険には様々な種類があり、医療保険に加入している方も多いかと思います。
医療保険は病気やケガに幅広く備えることができる保険なので、病気という枠組みにはがんも含まれます。
また、がんで入院をした場合は入院日額を、所定の手術を行った場合は手術給付金を受け取ることができるのが特徴です。
加えて、がんに関する特約を付加できることがほとんどなので、「がん保険」にあえて加入する必要がないと考える人が多いのではないでしょうか。
「がん保険」と「医療保険」どちらか(もしくは両方)への加入を検討している方は、がん保険と医療保険のがんに関する特約は保障内容が重複するケースもあるため、保険の内容をしっかりと確認する必要があるでしょう。
がんにならないと保障が受けられない
先述した通り、がん保険は「がん」に特化した保険商品です。
他の保険商品も同様ですが、保険金は保険会社が定めた事由に該当しなければ支払いはされません。万が一のことがあれば保険金で対応できるものの、がん保険の多くは掛け捨て型となっています。
そのため、がんにならないと保障を受けることができず、支払ったお金が無駄になってしまうことも考えられるでしょう。
充実した公的医療保険制度が利用できる
日本は公的医療保険が充実しているため、医療費などの自己負担を軽減するための給付制度がいくつか存在します。
この制度を活用することで、無理に保険に加入せずとも最低限の保障を利用することができ、万が一の時に備えられると考える人も多いのではないでしょうか。
公的医療保険制度には下記のような種類があるため、覚えておくといいでしょう。
●療養の給付
●入院時食事療養費
●入院時生活療養費
●高額療養費制度
●傷病手当金
●出産育児一時金
●出産手当金
●埋葬料
【年齢別】がんのリスク
がんは発症するリスクが二人に一人と言われていますが、健康的な生活を送っている方にとってはあまり馴染みのない病気です。
基本的にがんにかかる確率は、男性:63%、女性:47%(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター「最新がん統計」)となっており、年齢によってもリスクは変化します。
そこでもう少し掘り下げて、年齢別によるがんの発症リスクについてまとめていきたいと思います。
男性の場合
女性の場合
生涯のがん罹患リスクについて
先述した通り生涯におけるがん罹患リスクは、男性:63%、女性:47%(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター「最新がん統計」)となっています。
数字だけをみると、誰にでもリスクがあると思うかもしれません。
また、がんを患った方の5年後の生存率は、男性62.0%、女性66.9%という結果が出ています。こちらの生存率は発症する部位によって差はあるものの、前立腺や皮膚、甲状腺や乳房(女性)などでは90%を超えています。
がん治療にかかる費用
日本は充実した公的医療保険制度があるとは言え、がん治療には一体どれくらいの費用がかかるのでしょうか。
一般的に、入院の場合では窓口支払い総額は20万円〜30万円台で、高額療養費制度が適用されると実際の自己負担額は9万円程度になります。(3割負担の場合で算出)
厚生労働省の「平成29年(2017)患者調査」によると、がんによる入院の平均日数は17.1日。ひと月の医療費が高額になった場合には高額療養費制度が適用でき、自己負担限度額を超える分は払い戻されます。
しかし、高額療養費は所得によって自己負担の限度額が異なることに注意が必要です。また、保険適用診療以外の費用については、高額療養費の対象にはならず、全額が自己負担になることも覚えておきましょう。
具体的には、先進医療を受けたときの技術料や差額ベッド代、食事代の一部、入院時の衣類やタオル、洗面用具などの日用品代、テレビ代、見舞いに来る家族の交通費や食費などが該当します。
がん保険が必要な人の3つの判断基準
条件が限定的であるがん保険ですが、ぜひ加入を検討しておきたい方の特徴があるため詳しくまとめていきます。
●自分の貯金だけではがん治療が不安な人
●万が一の場合に備えたい人
●先進治療など医療の選択肢を広げたい人
上記3つの判断基準について、ぞれぞれ詳しくご紹介していきます。
自分の貯金だけではがん治療が不安な人
今では二人に一人がかかるとされているがんであるため、自分も発症してしまうリスクはゼロとは言い切れません。
そのため、万が一がんを発症してしまった場合、自分だけの貯金ではどうしようもない場合があるでしょう。
自分や家族にがんが見つかっても、「問題なく支払いできるだけの貯蓄がある」のであれば問題ないですが、おそらく少数派だと思います。
傷病手当金や障害年金など、長期間働けなくなった際の公的保障もありますが、それだけではすぐに貯金額が不安になってしまうでしょう。もし公的保障で足りなければ貯金を切り崩し、貯金が足りなければ「治療を断念」もしくは「お金を工面する」という選択肢に迫られてしまします。
万が一の場合に備えたい人
がんだけに限った話ではありませんが、病気のリスクは誰にでもあるものです。しかし、がんの場合は高額な治療費や長期間仕事に復帰できないことによるい収入減少・休職や退職、また治療の副作用や場合によっては死亡リスクも考えられます。
がんは本人だけの問題ではなく、看護する家族側の精神的な負担や生活の維持など、あらゆる問題を想定しておく必要のある病気です。
このように、万が一の場合にしっかりと備えておきたい方は、がん保険に加入しておくと安心できるでしょう。
先進治療など医療の選択肢を広げたい人
がんの治療には、主に3大治療やその他がんに特化した治療法があります。
がんに特化した治療には多額の費用が必要になるため、先進治療など医療の選択肢を広げたい方はがん治療への加入を検討しても良いでしょう。
がん保険の選び方
がん保険への加入を検討している方向けに、がん保険の選び方についてまとめていこうと思います。選び方については、下記3つのポイントを意識するといいでしょう。
●保障内容や給付条件
●保障対象の範囲
●保険期間の違い
それぞれ、詳しく解説していきます。
保障内容や給付条件
基本的なことですが、がん罹患時に備えて保障内容や給付条件をきちんと満たしたがん保険を選ぶことが大切です。
例えば、がんが発覚したタイミングで診断給付金(一時金)を受け取れるタイプなど、がん保険にも種類がさまざまです。最近ではがん保険の保障内容も目まぐるしく変化しているため、ご自身に一番あったがん保険を選んでいきましょう。
保障対象の範囲
がん保険を検討する際は、保障対象となる範囲についても確認しておく必要があります。
がんには「悪性新生物」と「上皮内新生物」の2周類があり、がん保険の種類によっては一方の場合だと保障対象にならないケースもあるため注意が必要です。
上皮内新生物とは臓器の表面に止まっているがん細胞で、手術により取り除けば転移の可能性が低いです。また、その分治療による負担が軽いことが特徴的。
一般的に「がん」と呼ばれているのは「悪性新生物」なので、がん保険に適応されるのは悪性新生物のみである場合が多いです。上皮内新生物の場合は、保障対象外もしくは保険金が安くなる場合があるため、保障対象の範囲は事前に確認しておくことが大切です。
保険期間の違い
保険期間には「終身型」と「定期型」に分かれており、それぞれ特徴やおすすめできる人など異なります。まずは2つの保険期間の違いについて、確認してみましょう。
- 終身型:一生涯同じ保障を受けられ、保険料が変わらない
- 定期型:加入時の保険料が終身型より安く、保障内容が変更されると更新時に最新の内容になる
それぞれ特徴は異なりますが、「終身型」は保険内容が変更されても反映されない。「定期型」は保険期間が期間限定のため、終了すると更新しない限り保障がなくなるなどのデメリットがあることに注意が必要です。
それぞれにメリット・デメリットがあり、ライフスタイルによって向き不向きがあるためしっかりと検討する必要があるでしょう。
例えば、常に最新の保障内容で備えたい人や、がん保険を定期的に見直したい人、また子供が幼く教育費がかかるなど出費が多い一時期だけ保障を手厚くしたい人は、定期型のがん保険がおすすめです。
一方で、ライフステージに関わらず一生涯変わらないベースとなる保障を持っておきたい人は、終身型のがん保険がおすすめです。
まとめ
「がん保険は不要」と言われているものの、年齢や性別などによってリスクが変化するがんは、今では二人に一人が発症するリスクがあるとされる病気です。
20代や30代など年齢が若い場合でも、発症リスクは決してゼロではありません。
がんの治療費は高額になりやすい上、入通院などさまざまな費用がかかります。
また、高額療養費制度があったとしても、公的医療保険が適用されない治療などに大きなお金が必要となることもあるので、がん保険への加入を検討しておくことで、治療の選択肢を広げることができるでしょう。