任意入院や検査入院は保険適応されるか?県民共済と医療保険の違いも知りたい。専門家が回答!
病院にかかることなく健康に過ごしている人で、医療保険について意識しながら生活している人は少ないでしょう。
しかしひとたび健康診断等で異常を指摘されるたりすると、状況は一変します。
入院となると、加入している民間の医療保険は給付されるのか?
公的医療保険制度はどこまで保障してくれるのか?
といったことが急に気になってくる、という人は多いのではないでしょうか。
今回の記事では県民共済と民間の医療保険との違いについて、公的医療保険の高額療養費制度とのかかわりを含めて解説していきたいと思います。
目次
質問:任意入院と言われ入院を希望した場合でも保険は適用になりますか?
医療保険に加入しています。
精神的に不安定となり精神科にかかったのですが改善されず、数日毎日通院をするか任意での入院を提案されました。
自宅ではメンタルコントロールが難しいことを伝え入院を希望しようと思うのですが、その場合でも入院費用の保障は適用になりますか。
お金に余裕があるわけではないので少しでも保障が出ると有り難いです。
保障が全く出ないのであれば、毎日の通院も検討に入れています。
回答:医療保険で入院給付金の支払い対象となります。
ご質問の事例で入院することを選択した場合でも、医療保険で入院給付金の支払い対象となるでしょう。
精神保健及び精神障碍者福祉に関する法律によると、任意入院とは、同法による入院形態の分類上のひとつで、入院を必要とする精神障碍者で、入院について本人の同意を得ることを基本とするものいう、と定められています。
(厚生労働省「医療保護入院制度について」より)
一方で入院給付金の支払事由は、入院が疾病等の治療を目的とするものであるとする旨が約款でも定められています。
※保険会社により表現は異なります。
任意入院も疾病の治療を目的とする入院ということになりますので、保険金を請求することができます。
質問: 医療保険のがん特約はつけていませんでした。このまま払い続けられるのか心配です。
ここのところ体調が悪いと思っており通院したところ、がんの診断を受けました。
郵便局に勧められた医療保険には加入していましたががん特約はつけていませんでした。
親族にもがんで亡くなった方がいると聞いていたのでそろそろ見直しをしようかと考えていましたが、その前にがんになってしまいました。高額医療を使ってもこのまま払い続けられるのか心配です。
今からでも何か対策できることはありますか。
回答:がんの診断後では、がん特約を付帯したり、新たに保険に加入したり、といったことはできません。
残念ながらご加入中の医療保険・がん保険に関しては、がんの診断が下った後では、がん特約を付帯したり、新たに保険に加入したり、といったことはできません。
今できることは、郵便局に勧められて加入した医療保険の保障内容を再度確認してみることです。
がん特約をつけていないとのことですが、がんを含む三大疾病に罹患したら、以後の保険金の支払いが不要となる特約が付帯されているかもしれません。
また、がん治療するとなると、入院や通院も必要となります。それらの保障はどのようになっているかも確認しておくと良いでしょう。
高額療養費制度に触れられていますが、それに関連する話で「限度額適用認定証」というものがあります。
これを病院の窓口に提示すると、病院で支払う費用が高額療養費制度で定められた自己負担限度額を超える場合は、以後の費用は支払う必要がなくなるのです。(一か月ごとにリセットされます)
医療費の自己負担金額が多額になることが予想される場合は、あらかじめご加入の医療保険者に申請しておくことをおすすめします。
また、がん患者のための独自の補助金を用意している自治体があります。
お住まいの自治体の補助金について調べてみるのもお勧めです。
一度役所に問い合わせてみることをおすすめします。きっと親身になって相談に乗ってくれるはずです。
(参考:がん患者さんが使える全国地方自治体補助金等ガイド – NPO法人日本がんサバイバーシップネットワーク (jcsurvivorship.net))
質問: 介護保険と医療保険どちらを利用するか悩んでいます。
90代の祖母が大腿骨頸部骨折をしてしまいました。年齢もあり日常生活に大きな影響が出ています。
子供や孫は皆フルタイムで仕事をしているため、毎日平日日中に祖母のサポートをすることは難しい状態です。
普段はデイサービスに通っていますが、しばらくは自宅に来てもらう介護サービスが必要になりそうな状況です。
困難介護保険と医療保険どちらを利用するか悩んでいるのですが、判断基準はありますか。
回答:公的医療保険と公的介護保険はどちらを使うかを選ぶことができるものではありません。
公的医療保険と公的介護保険はどちらを使うかを選ぶことができるものではありません。
それぞれに目的とするものが異なるため、基本的には併用することもできないのです。
医療保険は病気やケガの治療を目的としており、介護保険は介護を必要とする方に対するサービスや支援がその目的となります。
ただし、原則として併用することのできない医療保険と介護保険ではありますが、例外もあります。
対象とする疾病、怪我が異なれば併用は可能です。
質問者様の事例で大腿骨警部骨折とありますが、その原因がたとえば脳梗塞の後遺症で半身が麻痺している方が転倒したことによるものであれば、骨折の治療は医療保険の給付対象となりますし、脳梗塞によるリハビリは介護保険の給付対象となります。
医療保険と介護保険とでは目的が異なるということに注意しておきましょう。
質問: 健康体なので医療保険はいらないと思っていましたが、年収が高いと医療費も高くなるのは本当でしょうか。
大企業のフルタイムで働く20代女子です。
今まで医療保険はいらないと思っていましたが、会社に来ている保険営業の方に「年収が高いと医療費も高くなりますよ」と言われ不安でいっぱいです。
急いで保険契約を検討しようと思いま、保険会社に勤める友人に連絡したところ高額療養費制度が関わっているという話を聞きました。
今すぐ対策できることや加入しておいた方がいい保険があれば教えてください。
回答:高額療養費の自己負担限度額の算定にあたって、年収が関わってきます。
質問者様のご友人のおっしゃる通り、高額療養費の自己負担限度額の算定にあたって、年収が関わってきます。高額療養費制度とは、同一月にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が、あとで払い戻される制度です。(協会けんぽホームページ 高額な医療費を支払ったとき より)
一般的に年収が高い人ほど(厳密には、標準報酬月額の高い人ほど)、自己負担限度額は高くなるということになります。
かたや民間の医療保険は、加入時の健康状態によって毎月の支払保険料が割増になることはあっても、年収によって負担する保険料が変わることはありません。
そのため、今すぐできる対策という点でいえば、民間の医療保険に加入することをおすすめします。
保険会社によっては健康体であることの割引の取り扱いがあるところもあります。
さらにいうと、20代の頃は健康体であっても、30代、40代も健康に過ごせるとは限りません。
年齢を重ねるごとに疾病のリスクは高くなっていきます。いまのうちに加入しておくことが合理的といえます。
質問:県民共済に入っているので医療保険はいらないと思うのですが万が一のリスク管理としてはどうでしょうか。
医療保険には加入せず県民共済のみに加入しています。
親からは医療保険も入っておけば?と言われましたが、保険料も安くないため最低限の保証としていました。
県民共済に加入していれば傷病手当金や高額療養費があるため医療保険はいらないと思っていたのですが、先日交通事故に遭い長期入院がありました。
高額医療制度は自己負担を超えた分は申請後戻ってくるまで約3カ月程度かかると知り、後悔しています。リスク管理として不十分だったのでしょうか。
回答:経済的負担が大きなものから優先的に保険などで準備することです。
質問者様は傷病手当金や高額療養費制度の仕組みを理解されているようで、県民共済も準備されていたので、リスク管理として不十分だったとは決して思いません。
リスク管理を考えるうえで大切なことは、あらゆる危険を想定し、それぞれのリスクの発生確率はどれだけあり、それが発生した場合にどれだけの経済的負担が生じるかを見積もり、その経済的負担が大きなものから優先的に保険などで準備することです。
ここで、リスク管理をさらに精度高めるために、共済と民間の医療保険の簡単な違いを説明します。
共済とは:組合員の日常生活における様々なリスクを相互扶助する制度
共済とは、全国にある協同組合の組合員が掛金を出し合って、組合員の日常生活における様々なリスクを相互扶助する制度です。
組合員は何らかのリスクに見舞われると、お金を受け取ることができるのです。
営利を目的とした団体ではないので、掛金が安いのが特徴です。
ただ、保障内容は加入時に選べる特約のバリエーションは少なく、さらに60歳を過ぎると保障内容は削減されます。
医療保険とは:保障内容や選べる特約の自由度は高いというのが特徴
一方で民間の医療保険は、共済と比較すると一般的に保険料は割高になりますが、保障内容や選べる特約の自由度は高いというのが特徴です。
ある年齢に達したら保障内容が削減されるということもございません。
共済と民間の医療保険の活用方法
ここで、参考までに共済と民間の医療保険の活用方法を紹介します。
共済の特徴である、掛金は安いが60歳を過ぎると保障が削減されるという点に着目し、共済で働き盛りの保障を手厚くし、民間の医療保険で一生涯・引退後の保障もある程度確保しておくという方法です。
リスク管理は、置かれた生活環境やその時々の考え方によって変わるものなので、意見のひとつとして参考にしてみてください。