自動車保険の代車特約は必要か?修理費用補償特約とは?入る?入らない?特約の特徴を専門家が回答!
自動車は日常に便益を提供してくれる素晴らしいものです。一方で、事故と隣り合わせの危険なものでもあります。
ひとたび自動車事故を起こしてしまうと、相手方との解決のための交渉や、自身の自動車が走行できなくなってしまった場合等は、その後の移動手段をどうするか等、考えることがたくさん増えてしまいます。
今回の記事では、事故時のストレスを軽減するのに力になってくれる、自動車保険の特約について、様々な状況を例にして解説していきたいと思います。
目次
質問:自動車保険に加入しているので保険で車の傷と友人宅の壁の修理は可能ですか?
親友が一戸建てに引っ越したため車で遊びに行ったのですが、車庫が小さく戸建て前の道路も狭いために車を擦ってしまうという事故を起こしてしまいました。
車の車体に大きく傷がついてしまい、相手のドアフォンがついている壁の端が削れてしまいました。友人には本当に申し訳ないことをしてしまったと猛反省しています。
自動車保険に加入しているため、保険で車の傷と友人宅の壁の修理をしたいと思うのですが、友人宅には一銭もかからずに修理できる理解であっていますでしょうか。
回答:対物賠償責任保険が付帯されていれば、補償されます。
まずご加入中の自動車保険の補償内容を確認してみましょう。
ご自身の車は車両保険、ご友人の壁の修理費用は対物賠償責任保険が付帯されていれば、補償されます。
ただし、一銭もかからずに修理できるかどうかは、車両保険、対物賠償責任保険で設定されている保険金額と免責金額が関わってきます。
たとえば、対物賠償責任保険に500万円の保険金額・免責金額なし、という補償内容をご契約だとします。
ご友人の壁の修理費用の見積もりが600万円であれば100万円の自己負担が発生します(今回の事例は質問者様が起こした事故なので、ご友人に修理費用を求める案件ではありません。)。
私自身、様々な保険の相談を受ける中で、自動車保険の保険証券を見る機会にも恵まれます。
多くの方が対人賠償・対物賠償は無制限の保険金額・免責金額なしで設定されていますが、ごくまれに対物賠償のみ500万円など、無制限に設定されていない方にお会いすることがあります。
たしかに無制限に設定すると当然保険料負担は増えますが、ここは節約せず、きちんと無制限に設定することを強くお勧めします。
質問:バス会社の保険会社に対して修理費用を全額支払ってもらうことは出来ますか?
3車線の大通りを走っていたところ、後ろから直進してきたバスが車線を大きくはみ出しておりバスのミラーが私の車のドアにぶつかりました。
元から車線自体が狭くバスはいつもはみ出て運転しているのを知っているのですが、直前に車線変更した私にも多少過失はあるという話になっており全く納得がいきません。
バス会社の保険会社に対して修理費用を全額支払ってもらうことは難しいのでしょうか。衝突による首の痛みの通院も保障していただけるのでしょうか。
回答:自動車同士の事故の場合、過失割合というものを決めることになります。
走行している自動車同士の事故の場合、過失割合というものを決めることになります。過失割合とは、交通事故の際に、事故当時者双方にどれだけの責任があるのかを数値化したものです。
事故当時者同士が(厳密には双方の加入している自動車保険の保険会社同士が)過去の判例を基準として協議して決めていくことになります。
保険金の支払いを受ける際、この過失割合に基づいて支払われることになります。
たとえば、過失割合が3(自分):7(相手)の事故の場合で、自分の自動車の修理費用が100万円かかるとします。この場合、自分にも3割の責任があるとして、相手に請求できるのは70万円となります。
ご質問の事例で質問者様に過失割合が1割でもつけば、全額の請求はできないことになります。
なお、ご質問者様は事故によって首のケガをされていますが、この補償をカバーする人身傷害保険では、過失割合に関係なく契約した保険金額を上限に保険金を受け取ることができます。
たとえば治療費の総額で500万円の認定が得られれば、500万円が補償されます。
※人身傷害保険で500万円以上を設定していることが前提です。
質問:保険契約の際に代車費特約は代車を持ってきてくれるのでしょうか?
毎日の通勤を含め、車を日常の足として利用しています。
保険契約の際に代車費特約をつけたのですが、万が一事故を起こしてしまった場合は現地に代車を持ってきてくれるのでしょうか。
また、用意される代車自体はしっかり整備されて保険なども付帯されているという理解であっていますか。
いざ代車が来たときに今までと使い勝手が異なっていたり難ありということになると困ると思い事前に確認しておきたいです。
回答:自動車が事故、故障、トラブルによって走行不能となり、レッカー移動された場合
自動車保険の代車費用特約とは、ご契約の自動車が事故、故障、トラブルによって走行不能となり、レッカー移動された場合に、被保険者が負担した以下の費用を払うものです。
※保険会社により補償内容は異なります。
●代車費用・・・修理などで契約自動車を利用できない期間のレンタカー費用が支払い対象。支払金額の算出方法は、代車の利用日数×記載の保険金額となる。
●移動費用・・・契約自動車の代わりの移動手段として、保険金額(1万円など)を限度に実費が支払い対象となる。
●宿泊費用・・・事故によって急きょ宿泊が必要となった場合に、保険金額(1万円など)を限度に実費が支払い対象となる。
代車費用特約は、代車の費用を保険によって補償するものであり、現地まで代車を持ってきてくれる、といったものではございません。
なお、整備工場等で用意してくれる代車の整備状況や付帯されている保険の内容については、借りる前に必ず整備工場に確認するようにしましょう。
質問:自動車保険を検討していますが代車費用特約はつけた方が良いでしょうか?
車を購入することになり自動車保険を検討していますが、代車費用特約はつけた方が良いでしょうか。
事故の際に代車が必要となったときにはがお世話になっているディーラーが有償で代車を用意してくれるものだと思っていました。
両親はいつもそのような形を取っていたので、保険特約をつけておくべきか悩んでいます。長期的に見て保険で賄うか、都度ディーラーに依頼をするのかどちらの方にメリットがありますか。
金額面、利便性で話を聞きたいです。
回答:代車費用特約は付帯しておくことをおすすめします。
結論を先に言いますと、代車費用特約は付帯しておくことをおすすめします。
通勤に自動車を使用している方や日常生活における自動車の使用頻度が高い方は特におすすめです。
代車費用特約で補償される金額は、保険会社によって若干の差はあるものの、おおむね1日あたり5,000円~10,000円くらいとなっています。
懇意にしているディーラーの代車費用がいくらであっても、こちらの特約が付帯されていれば、設定されている保険金額の範囲内は補償されますので、金額面での心配は不要になります。
一方で利便性の面でも、代車費用特約を付帯している方がメリットはあります。仮に懇意にしているディーラーが、タイミングによっては一時的に代車の在庫がないという状況もあるでしょう。
そのような場合、保険会社によっては代車を手配してくれるというところもあります。金額面、利便性の両方の点において、代車費用特約は付帯することをおすすめします。
質問:超過修理費用補償に入っていなかったために相手との交渉がこじれています。
先日私が100%の有過失事故を起こしてしまいました。
相手の方は命に別状はありませんが車の修理が必要な状態です。
相手のクルマの時価額が50万円で、修理費用が80万円と見積もりが出たのですが、超過修理費用補償に入っていなかったために相手への損害賠償支払いは50万円になってしまうとのことです。
相手はまだ車を買い換えるつもりはなかったそうで納得してくれておらず、交渉がこじれてしまいます。
この場合どう解決すれば良いのでしょうか。被害者の方に対して不足分を実費で支払うしかないでしょうか。
回答:対物賠償責任保険で補償対象となるのは時価額までとなります。
質問者様がおっしゃる通り、対物賠償責任保険で補償対象となるのは時価額までとなります。
法律上は時価額までしか賠償義務はないのですが、事故の被害者側としては当然納得できるものではありません。
この場合の解決方法としては、弁護士に相談する等して、双方が納得できる形での示談の模索を進めるしかありません。
対物超過修理費用特約は、自動車の修理費用が時価額を超えた場合に、その差額を補償するものです。
保険会社によって保険金額に差はありますが、おおむね30万円~50万円くらいが補償されます。
今回のような修理費をめぐるトラブルに際して、示談交渉のストレスを軽減し、交渉そのものをスムーズに進めるのにも役立ちます。
自動車保険を契約するうえで必須の特約といえます。