自動車保険の代車特約は必要か?修理費用補償特約とは?入る?入らない?特約の特徴を専門家が回答!

自動車は日常に便益を提供してくれる素晴らしいものです。
一方で、事故と隣り合わせの危険なものでもあります。
ひとたび自動車事故を起こしてしまうと、相手方との解決のための交渉や、自身の自動車が走行できなくなってしまった場合等は、その後の移動手段をどうするか等、考えることがたくさん増えてしまいます。
今回の記事では、事故時のストレスを軽減するのに力になってくれる、自動車保険の特約について、様々な状況を例にして解説していきたいと思います。
目次
- 1 自動車保険の特約とは?
- 2 Q&A:自動車保険の特約に関する質問と回答
- 3 質問:自動車保険に加入しているので保険で車の傷と友人宅の壁の修理は可能ですか?
- 4 質問:バス会社の保険会社に対して修理費用を全額支払ってもらうことは出来ますか?
- 5 質問:保険契約の際に代車費特約は代車を持ってきてくれるのでしょうか?
- 6 質問:自動車保険を検討していますが代車費用特約はつけた方が良いでしょうか?
- 7 質問:超過修理費用補償に入っていなかったために相手との交渉がこじれています。
自動車保険の特約とは?
自動車保険には「任意保険」と「自賠責保険(強制保険)」があり、どちらも交通事故に付随して発生しうる経済的損失に備える上で欠かせない存在です。とくに任意保険は、対人・対物・車両・人身など、自賠責保険ではカバーしきれない幅広い補償を提供してくれるので、任意保険という位置づけではありますが、必須の保険と考えるべきです。しかし交通事故においては、このような任意保険の基本的な補償内容でもカバーしきれないケースもあります。そんな時に役立つのが「特約」です。
特約は、基本の保険に追加して付けることで、補償範囲をより細かく、あるいは広く設定できるオプションです。生活スタイルや車の利用状況に応じて最適な補償を選ぶことで、万が一の時の不安を大きく減らしたり、保険料の面での合理化を期待できるものです。
特約の基本的な役割 ~自動車保険を自分仕様にカスタマイズする鍵~
自動車保険における「特約」は、例えるなら「注文住宅におけるオプション設備」のようなものです。基本構造はすでに整っていても、生活スタイルに合わせて設備を追加することで、快適さと安心感が大きく向上します。同様に、任意保険の基本補償(対人・対物・車両・人身など)ではカバーしきれないニーズに応えるのが、特約の主な役割です。以下、特約の担う役割について詳しく解説していきたいと思います。
リスク補完:基本補償の「スキマ」を埋める
任意保険の基本補償は、いわば「必要最低限の備えるべき補償」です。しかし、現実の事故やトラブルでは、基本補償だけではカバーしきれないケースが往々にして発生します。以下のような交通事故の場面では、特約の有無が大きな差を生み出します。
・他人の車を借りて事故を起こした →「他車運転特約」がなければ補償されない
・被害者になり、過失割合が0%だった →「弁護士費用特約」がないと相手との交渉は自力で行う必要がある
・自転車で人をケガさせた →基本補償では補償対象外。「個人賠償責任特約」で対応可能
このように、特約は「基本では補償されない、でも起こり得る事態」に対する補完的なセーフティネットなのです。
生活スタイルへの適合:一人ひとりに合った補償を設計
現代の生活様式や家族構成、車の使い方は多様です。たとえば、以下のようなケースを考えてみましょう。
・子どもが原付バイクを通学に使っている
・高齢の親がたまに自転車で外出している
・平日は電車通勤、週末だけドライブに使用
これらの状況に対し、特約を上手く組み合わせることで、自動車保険をオーダーメイド化できます。たとえば原付には「ファミリーバイク特約」、日常の対人トラブルには「個人賠償責任特約」、週末だけの使用なら「運転者限定特約」といった特約を付帯することにより、補償内容を拡張したり、保険料を合理化したりすることも可能です。
経済的損失の最小化:予期せぬ高額出費への備え
事故によって生じる出費のなかには、基本補償では賄えない高額な支払いが発生することもあります。特約は、それら突発的で重い経済的損失から契約者を守る重要な役割を果たします。
・弁護士費用(数十万~数百万円) → 弁護士費用特約
・修理中のレンタカー代や通勤費 → 代車費用特約
・遠方での事故による宿泊・帰宅費 → ロードサービス特約の付帯内容により対応可
これらは一見すると稀なケースに思えますが、実際には多くの利用例があります。こうした事態に事前に備えることは、経済的にも精神的にも安心感をもたらします。
トラブル対応の支援:迅速・適切な行動を可能にする
交通事故は突然起こるものです。そういった現場では、多くの人が冷静さを欠いてしまいます。そのような非常時に、保険会社のサポートと併せて特約による支援があると、対処の質とスピードが格段に向上します。
・ロードサービス特約により即座にレッカー車を手配
・弁護士費用特約があればすぐに法律専門家に相談
・自損事故でも車両無過失特約があれば損害補償の請求がスムーズ
こうした仕組みは、単に金銭的な補償以上に、対応の際の自信と迅速な判断を支える「安心材料」となるのです。
保険の効率化・最適化:無駄の削減と価値の最大化
特約は、必要に応じて細やかに補償を追加できる点で、保険料の最適化にも寄与します。
たとえば、下記のような使い方が考えられます。
・「運転者限定特約」で運転者を家族に絞れば保険料が安くなる
・「免責ゼロ特約」で初回の修理費用負担を減らす代わりに保険料がやや上がる
このように、リスクと保険料のバランス調整が可能です。「足りない補償」を足すのはもちろん、「不要な補償」をそぎ落とすという視点でも、特約は有効なツールです。
ここまで特約の役割を解説してきましたが、特約は、単なる「追加のオプション」ではなく、その人のライフスタイル、運転傾向、家族構成などを反映した補償設計の核心ということができます。
保険契約の際には「なんとなく加入する」のではなく、自分自身の暮らしを見つめ直し、それに合った特約を選ぶことが、真の安心を手に入れる第一歩となります。
代表的な特約の種類と特徴
ここで、自動車保険における代表的な特約について、いくつかピックアップして詳しく解説していきたいと思います。
弁護士費用特約
交通事故の被害者になったとき、多くの人が直面するのが「示談交渉」という難題です。事故相手とのやり取りは、感情的な対立や専門的な知識を要する局面が多く、精神的にも負担が大きくなります。そんな時に頼りになるのが「弁護士費用特約」です。
この特約は、事故に関連する法的な問題に対して弁護士へ依頼するための費用を補償する特約であり、自動車保険に付帯することで、法的トラブルへの備えが飛躍的に強化されます。
なぜ弁護士費用特約が必要なのか?
① 保険会社は過失割合0%の事故では交渉できない
意外に知られていない重要なルールとして、「保険会社は、契約者の過失がゼロ(0%)の場合、事故相手との示談交渉を代行できない」という決まりがあります。これは、「弁護士法第72条」という法律で、弁護士資格を持たない者が他人の法律トラブルに介入することを禁止しているためです。
つまり、自分が完全な被害者であっても、保険会社は「相手に損害賠償請求する」という行為を代行できず、被害者自身が示談交渉を行わなければならないのです。
② 交通事故後のトラブルは「法的」なものに発展しやすい
たとえば、以下のようなトラブルが挙げられます。
・相手が過失を認めない・連絡が取れない
・損害賠償額に大きな開きがある
・物損事故扱いにされて人身事故として認められない
・被害者側が精神的なショックで後遺症を抱えるケース
こういったケースではすべて、法律に基づいた判断や交渉が必要になります。素人がこれを行うのは困難であり、結果的に泣き寝入りする人が少なくないのが現状です。
弁護士費用特約の補償内容
一般的な弁護士費用特約では、以下の費用が補償対象になります。
【弁護士費用特約の補償内容】
補償対象 |
内容 |
弁護士への相談料 |
1回あたり〇万円、年間〇回までなどの制限あり(保険会社により異なる) |
着手金 |
弁護士に案件を依頼する時にかかる初期費用 |
成功報酬 |
訴訟で勝訴したり、示談金を得た際に支払う報酬 |
訴訟費用 |
裁判にかかる印紙代や郵送料、交通費など |
【弁護士費用特約の対象になるケース例】
ケース |
補償可否 |
解説 |
自分の車で事故に巻き込まれた |
◎ |
基本的な対象ケース |
歩行中に車にはねられた |
◎ |
歩行中・自転車利用中でも対象になる保険会社も多い |
他人の車を借りて運転中に事故にあった |
◯ |
特約によっては対象外になることもあるため要確認 |
同居家族が別の車で事故に巻き込まれた |
◎ |
家族全員を対象とする特約が一般的 |
自分に過失がある事故 |
△ |
過失割合に応じて、保険会社が対応する場合がある |
弁護士費用特約のメリット
自分で示談交渉をしなくて済む
弁護士費用特約における最も大きなメリットと言っても過言ではありません。相手方との示談交渉はストレスがかかるだけでなく、知識がなければ相手の言いなりになってしまう可能性もあります。弁護士が代わりに対応してくれることで、冷静かつ法的に適切な判断が可能になります。
被害者なのに負担が大きいという状況からの脱却
過失ゼロの被害者が、法律的な負担まで背負うのは不合理です。この特約があれば、そうした理不尽さに対して備えることができます。
費用の心配をせずに弁護士に相談できる
「弁護士=高額の費用がかかる」というイメージがありますが、特約があれば保険でカバーされるため、心理的ハードルが大きく下がります。これは事故後の精神的ダメージを軽減することにもつながります。
保険料への影響
弁護士費用特約は、多くの保険会社で「年額1,000円~2,000円程度」と非常にリーズナブルな価格で提供されています。このコストで、万一の法的トラブルに備えられるという点では、費用対効果が極めて高い特約と言えます。
総評:弁護士費用特約は「泣き寝入りのリスク」を減らす保険
交通事故に巻き込まれることは、誰にでも起こり得る現実です。そしてその後に生じるトラブルは、法的な知識と交渉力が求められる厄介なものです。
弁護士費用特約は、「法律のプロ」によるサポートを、日常の安心として取り込める仕組みです。自動車事故以外の相談(例:自転車事故、日常生活での賠償問題)にも対応できる場合が多く、その応用範囲は想像以上に広いのです。
自動車保険を選ぶ際には、保険料だけでなく、「本当に困った時に助けてくれるかどうか」という視点から、この特約の有無をぜひ見直してみましょう。
他車運転危険補償特約
自分の車以外を運転する機会は、意外と多くあります。友人の車を借りたり、実家の車を運転したり、職場で臨時的に車を使う場面などがその典型です。こうした場合、「万が一事故を起こしてしまったら、どの保険が使えるのか?」という不安が付きまといます。それに応えるのが、「他車運転危険補償特約」です。この特約を付けていれば、他人の車を一時的に運転している時に起きた事故でも、自分の自動車保険を使って補償を受けることができます。以下、その仕組みや補償内容を詳しく解説していきます。
基本的な仕組みと目的
他車運転危険補償特約とは、自分が契約している自動車保険の補償(対人・対物・車両など)を、一時的に他人の車を運転していた場合にも適用できるようにするための特約です。
【具体例】友人の車を運転して事故を起こした場合
・事故車両:友人の乗用車
・運転者:あなた(保険契約者)
・通常:友人の自動車保険で処理
・他車運転特約がある場合:あなたの自動車保険でも補償が可能になる
特約がある場合とない場合とで、保険の適用関係は上記のように整理することができます。つまり他者運転危険補償特約は、他人の車であっても「自分の保険でカバーできる」セーフティネットということができます。
補償の対象と範囲
他車運転危険補償特約が適用される場面を整理すると、下記のようになります。
事故の種類 |
適用される保険 |
内容 |
他人のケガ |
対人賠償責任保険 |
他人を死傷させた場合の補償 |
他人の財物の |
対物賠償責任保険 |
他人の財物(車・建物・標識など)を |
自分、同乗者の |
人身傷害保険 |
同乗者や自分がケガをした場合の補償 |
借りている車の |
車両保険 |
借りた車が壊れた場合の補償 |
適用条件(満たすべき要件)
保険契約者が運転していること
この特約は、保険契約者本人、または記名被保険者とその配偶者など、特定された運転者にしか適用されません。家族全員に自動的に適用されるわけではないので要注意です。
一時的な運転であること
「一時的に借りた車(臨時運転)」が対象です。たとえば、以下のようなケースは「一時的」と見なされます。
・友人に頼まれてコンビニまで車を動かした
・帰省中に父親の車を1日だけ借りた
・同僚の車を使って荷物を運んだ
他人の車を無断で借りた場合や、無断でなくとも1年間借り続けている場合等は補償対象外となります。
対象外の車両がある
この特約の適用対象となるのは、自家用8車種という下記の対象車種です。
・自家用普通乗用車
・自家用小型乗用車
・自家用軽四輪乗用車
・自家用小型貨物車
・自家用軽四輪貨物車
・自家用普通貨物車(最大積載量0.5トン以下)
・自家用普通貨物車(最大積載量0.5トン超2トン以下)
・特殊用途自動車(キャンピングカー)
たとえば下記のような車両は適用対象外となります。
車両の種類 |
適用の可否 |
解説 |
レンタカー |
× |
原則対象外。レンタカー保険に加入すべき。 |
業務用の車 |
× |
業務目的で使う営業車・社用車は対象外。 |
常用している家族の車 |
× |
配偶者や同居家族の車は「他人の車」と見なされない。 |
不法に借りた車 |
× |
借用許可がない車は補償対象外(無断運転など)。 |
実際の活用シーン
・友人や知人の車を運転中に事故を起こした
→ 友人の保険で補償しきれない場合に、自分の保険が使える。
・実家に帰省中に、親の車を1日だけ借りた
→ 車が自分の所有でない限り、特約適用可能。
・災害時などに、近所の人の車を緊急的に運転した
→ 一時的で善意の行為であれば、補償対象になることがある。
他車運転特約が役立つ理由
・借りた車の保険が「無保険」「補償が薄い」の場合の備え
→車を貸す側(友人など)が任意保険に未加入、もしくは対物補償が限定的な場合、自分の保険が頼みの綱になる。
・事故後のトラブルを減らすことができる
→「保険を使って弁償できる」という安心感があることで、事故相手や車の持ち主との関係悪化を防ぎ、円滑な賠償対応が可能になる。
・免責や示談交渉も自分の保険会社が対応してくれる
→この特約があれば、自分が契約している保険会社が介入できるため、交渉や対応の負担が軽減される。
保険料への影響
他車運転危険補償特約は、多くの場合、自動的に基本契約に含まれていることが多く、追加保険料が不要のケースが主流です。ただし、保険会社によっては別途オプション扱いとして設定していることもあり、付帯の有無は必ず確認しておくようにしましょう。
総評:他車運転危険補償特約は「臨時運転時の保険の空白」を埋める重要な仕組み
「自分の車以外を運転中に事故を起こす」というシチュエーションは、想像している以上に起こり得ます。その際、誰の保険が使えるのか、何が補償されるのかを明確にしておくことが、事故後のトラブル回避に大きく寄与します。この特約を正しく理解し、適切に活用できれば、他人の車を運転するときも自分の保険が守ってくれる、という安心感が生まれます。
個人賠償責任補償特約
個人賠償責任補償特約は、日常生活の中で偶然の事故によって他人にケガをさせたり、物を壊してしまった場合に、その賠償責任を補償する特約です。この特約は自動車保険や火災保険、傷害保険などに付帯できるものとして非常に広く普及しており、保険業界では「一家に一契約は必須の神特約」とも言われています。
個人賠償責任特約の基本的な仕組み
個人賠償責任特約は、法律上の賠償責任が生じたときに、加害者(契約者)側が支払うべき損害賠償金を肩代わりしてくれる補償制度です。
【典型的な事故例】
シチュエーション |
発生する賠償責任 |
子どもが遊んでいて他人の車を傷つけた |
修理代の賠償責任 |
自転車で人にぶつかり、けがをさせた |
医療費・慰謝料など |
飼い犬が散歩中に通行人を噛んだ |
通院費・精神的損害など |
マンションの洗濯機のホースが外れて水漏れ |
階下に損害 修繕費や家財損害の賠償 |
ゴルフ中に他人にボールを当てた |
医療費・逸失利益など |
いずれも「意図的ではない事故」であっても、民法上の過失責任が認められれば、加害者として損害賠償を支払う義務が生じます。個人賠償責任特約があれば、こうした費用を保険会社が肩代わりしてくれます。
補償の範囲と上限
主な補償対象
・他人の身体に損害(ケガ・死亡)を与えた場合
・他人の財物に損害(破損・汚損・盗難)を与えた場合
・一部のケースでは借り物やレンタル品への損害も対象になることあり
補償限度額
・多くの保険会社では「1億円」「無制限(保険金額の上限なし)」などの高額設定が可能
・高額賠償となる自転車事故や集合住宅の漏水事故などにも十分対応できる水準
特徴①:家族全体をカバーする「世帯向け保険」
この特約の大きな特徴は、契約者本人だけでなく家族全体が補償対象になることです。
【一般的な補償対象者】
人物 |
補償の可否 |
備考 |
契約者本人 |
〇 |
もちろん対象。 |
配偶者 |
〇 |
同居・別居問わず対象(※扶養関係でなくてもOK)。 |
同居の親・子・祖父母 |
〇 |
一緒に住んでいれば対象となる。 |
別居の未婚の子 |
〇 |
学生などで一人暮らし中でも対象になる場合が多い。 |
別居の既婚の子 |
× |
一般的に対象外。別世帯と見なされるため。 |
そのため、一家に一契約あれば十分で、複数契約する必要がありません。これは保険料の節約にもつながります。
特徴②:自転車事故にも対応! 重大事故のリスクに備える
【自転車事故の高額賠償の現実】
過去には、以下のような判決が実際に出ています。
・小学生が自転車で歩行者にぶつかり、後遺障害 → 9,521万円の賠償命令(神戸地裁)
・高校生が通勤途中の男性に衝突し、重傷 → 約5,000万円の賠償判決
こうした高額判決を背景に、多くの自治体では「自転車保険の義務化」が進められており、個人賠償責任特約がそれを満たす保険として注目されています。
特徴③:弁護士費用・示談交渉サービス付きもあり
多くの保険会社では、個人賠償責任特約に「示談交渉サービス」が自動で付帯されます。これにより、
・相手方との賠償交渉
・過失割合の判断
・損害額の査定
・法的な争いの対応
などを保険会社が代行してくれるため、本人や家族が交渉に巻き込まれる精神的負担を大幅に軽減できます。
なお、一部の火災保険に付帯される個人賠償責任特約では、示談交渉サービスが付かないことがあるため、契約時には必ず確認するようにしましょう。
特徴④:安価で加入できる「コスパ最強」の特約
この特約の大きな利点は、保険料が非常に安いことです。
・年間数百円~数千円(目安:年間1,000円〜3,000円程度)
・一度加入すれば、家族全体をまとめてカバー可能
・自動車保険・火災保険・傷害保険などに簡単に付帯できる
つまり、低コストで重大リスクに備えられるという、非常に費用対効果の高い補償内容になっています。
よくある誤解と注意点
誤解・注意点 |
実際のところ |
故意の事故も補償される |
❌ 補償されるのは「偶然の事故」のみ。故意・犯罪行為は対象外。 |
自分の家財や自分のケガも補償される |
❌ 他人に与えた損害に対する補償。自分の損害は対象外。 |
同居の親族が2契約しても両方使える |
❌ 補償は1契約で足りるが、重複契約しても1契約分しか使えない。 |
ペットによる事故はすべて補償対象 |
△ 飼育の状況や種類によっては対象外(危険動物など)。 |
火災保険・自動車保険のどちらに付けるべきか?
どちらにも付帯できますが、それぞれ以下のような特徴があります。
・自動車保険に付ける
→契約の更新等、契約管理が必要。示談交渉付きが多い。
・火災保険に付ける
補償期間が長期(5年など)の場合が多く、更新手続き不要。
どちらにも一長一短ありますが、示談交渉サービスの有無・対象範囲の広さで選ぶのがポイントです。
総評:個人賠償責任特約は「現代の必須リスク対策」
今や日常生活の中で、他人に損害を与えてしまうリスクは避けられません。自転車事故、子どものいたずら、ペットの咬傷、漏水、スポーツ事故……こうした日常生活における「うっかり」が、一瞬で何百万円・何千万円もの賠償に発展することも珍しくない時代です。そんなとき、個人賠償責任特約があれば、あなたと家族を経済的・法的にしっかりと守ることができます。
・保険料は安く
・補償は広く
・一家に一契約でOK
という点からも、「備えておいて損はない」「むしろ備えないと損」と言えるほど、現代の生活には不可欠な補償といえます。
ファミリーバイク特約(原付特約)
「ファミリーバイク特約(正式名称:原動機付自転車補償特約)」は、原動機付自転車による事故に備えるために、自動車保険(任意保険)にオプションで付ける特約です。
これは、自分や家族が所有または使用する原付バイクに対して、自動車保険の補償を拡張するしくみで、原付を別途バイク保険で契約しなくても、最低限の賠償・対人・対物補償などを得ることができるものです。
なぜファミリーバイク特約が必要なのか?
原付(排気量50cc以下)を運転する際には、法律上は自賠責保険への加入が義務ですが、自賠責では対人事故しか補償されず、対物賠償・自分のケガなどは補償されません。つまり、以下のようなケースでは自腹で高額な支払いが必要になることがあります。
・コンビニに突っ込んでガラスや商品を破損 → 対物損害
・高齢者をはねて重傷 → 高額な賠償責任(逸失利益・慰謝料)
・自分自身も骨折し長期入院 → 自身の治療費
こうしたリスクに備えられるのが、ファミリーバイク特約なのです。
補償対象となる人:誰が運転しても補償される?
ファミリーバイク特約は、その名のとおり「ファミリー」単位で補償される仕組みです。契約の種類によって、補償される運転者の範囲が異なります。
・タイプ1:本人・配偶者型(限定的)
→契約者本人と配偶者のみが対象
※子どもや親などの家族が乗る場合は補償されない
・タイプ2:家族型(一般的におすすめ)
→契約者と配偶者、および同居の親族全員が対象
※未婚の別居の子どもも含まれる場合あり(保険会社による)
したがって、「高校生や大学生の子どもが原付通学する」という家庭では家族型にしておくのが必須です。
ファミリーバイク特約で補償される内容
自動車保険の主契約と連動するため、契約している任意保険の内容に応じて補償内容が決まります。
補償項目 |
内容 |
対人賠償責任保険 |
原付で他人をケガ・死亡させたときの賠償責任を補償(自賠責では足りない分をカバー)。 |
対物賠償責任保険 |
他人の物(車・建物・店舗等)を壊した場合の損害賠償責任を補償。 |
人身傷害補償 |
自分自身のケガ・死亡・後遺障害に対して補償。 |
無保険車傷害特約 |
相手が無保険車だった場合でも補償(自分のケガや死亡時)。 |
つまり、ファミリーバイク特約を付けることで、原付にも任意保険レベルの補償を付けることができるという点が最大の特徴です。
特徴①:保険料が非常に安い!
ファミリーバイク特約の魅力は、そのコストパフォーマンスの高さにあります。
・年間の保険料は約6,000~10,000円前後
・個別に原付の任意保険を契約するよりも圧倒的に安い
たとえば、大学生の子どもがバイトで原付を使うとき、わざわざ高額なバイク保険を契約せず、親の自動車保険にファミリーバイク特約を付けておけば、家族全体を安く安全にカバーできます。
特徴②:複数の原付に乗っても1契約で補償OK!
ファミリーバイク特約は車両を特定しない「人にかかる保険」です。そのため、
・自宅にある2台の原付
・友人から借りた原付
・職場に置いてあるシェア原付
など、家族が運転するさまざまな原付を補償対象にすることができるのです。これも、特に大学生や共働き家庭にとって非常に実用的です。
総評:原付ユーザー・学生・家族持ちにとっての「必須級特約」
ファミリーバイク特約は、以下のような人々にとって非常に有用な保険です。
・高校生・大学生が原付通学する家庭
・夫婦で原付を共有している世帯
・自動車も原付も使う機会がある人
・原付による万が一の事故に備えて、対人・対物賠償を安く確保したい人
特に、未成年者や初心者が原付を運転する場合は、事故リスクが高いため、最低限の備えとして加入を強くおすすめします。
Q&A:自動車保険の特約に関する質問と回答
自動車保険の特約に関する質問と、それに対する回答をいくつか紹介したいと思います。
どのような場面で特約が効力を発揮するかイメージできるようになってます。
質問にあがった特約の付帯をしていない方は、ぜひ参考にしてください。
質問:自動車保険に加入しているので保険で車の傷と友人宅の壁の修理は可能ですか?
親友が一戸建てに引っ越したため車で遊びに行ったのですが、車庫が小さく戸建て前の道路も狭いために車を擦ってしまうという事故を起こしてしまいました。
車の車体に大きく傷がついてしまい、相手のドアフォンがついている壁の端が削れてしまいました。友人には本当に申し訳ないことをしてしまったと猛反省しています。
自動車保険に加入しているため、保険で車の傷と友人宅の壁の修理をしたいと思うのですが、友人宅には一銭もかからずに修理できる理解であっていますでしょうか。
回答:対物賠償責任保険が付帯されていれば、補償されます。
まずご加入中の自動車保険の補償内容を確認してみましょう。
ご自身の車は車両保険、ご友人の壁の修理費用は対物賠償責任保険が付帯されていれば、補償されます。
ただし、一銭もかからずに修理できるかどうかは、車両保険、対物賠償責任保険で設定されている保険金額と免責金額が関わってきます。
たとえば、対物賠償責任保険に500万円の保険金額・免責金額なし、という補償内容をご契約だとします。
ご友人の壁の修理費用の見積もりが600万円であれば100万円の自己負担が発生します(今回の事例は質問者様が起こした事故なので、ご友人に修理費用を求める案件ではありません。)。
私自身、様々な保険の相談を受ける中で、自動車保険の保険証券を見る機会にも恵まれます。
多くの方が対人賠償・対物賠償は無制限の保険金額・免責金額なしで設定されていますが、ごくまれに対物賠償のみ500万円など、無制限に設定されていない方にお会いすることがあります。
たしかに無制限に設定すると当然保険料負担は増えますが、ここは節約せず、きちんと無制限に設定することを強くお勧めします。
質問:バス会社の保険会社に対して修理費用を全額支払ってもらうことは出来ますか?
3車線の大通りを走っていたところ、後ろから直進してきたバスが車線を大きくはみ出しておりバスのミラーが私の車のドアにぶつかりました。
元から車線自体が狭くバスはいつもはみ出て運転しているのを知っているのですが、直前に車線変更した私にも多少過失はあるという話になっており全く納得がいきません。
バス会社の保険会社に対して修理費用を全額支払ってもらうことは難しいのでしょうか。衝突による首の痛みの通院も保障していただけるのでしょうか。
回答:自動車同士の事故の場合、過失割合というものを決めることになります。
走行している自動車同士の事故の場合、過失割合というものを決めることになります。過失割合とは、交通事故の際に、事故当時者双方にどれだけの責任があるのかを数値化したものです。
事故当時者同士が(厳密には双方の加入している自動車保険の保険会社同士が)過去の判例を基準として協議して決めていくことになります。
保険金の支払いを受ける際、この過失割合に基づいて支払われることになります。
たとえば、過失割合が3(自分):7(相手)の事故の場合で、自分の自動車の修理費用が100万円かかるとします。この場合、自分にも3割の責任があるとして、相手に請求できるのは70万円となります。
ご質問の事例で質問者様に過失割合が1割でもつけば、全額の請求はできないことになります。
なお、ご質問者様は事故によって首のケガをされていますが、この補償をカバーする人身傷害保険では、過失割合に関係なく契約した保険金額を上限に保険金を受け取ることができます。
たとえば治療費の総額で500万円の認定が得られれば、500万円が補償されます。
※人身傷害保険で500万円以上を設定していることが前提です。
質問:保険契約の際に代車費特約は代車を持ってきてくれるのでしょうか?
毎日の通勤を含め、車を日常の足として利用しています。
保険契約の際に代車費特約をつけたのですが、万が一事故を起こしてしまった場合は現地に代車を持ってきてくれるのでしょうか。
また、用意される代車自体はしっかり整備されて保険なども付帯されているという理解であっていますか。
いざ代車が来たときに今までと使い勝手が異なっていたり難ありということになると困ると思い事前に確認しておきたいです。
回答:自動車が事故、故障、トラブルによって走行不能となり、レッカー移動された場合
自動車保険の代車費用特約とは、ご契約の自動車が事故、故障、トラブルによって走行不能となり、レッカー移動された場合に、被保険者が負担した以下の費用を払うものです。
※保険会社により補償内容は異なります。
●代車費用・・・修理などで契約自動車を利用できない期間のレンタカー費用が支払い対象。支払金額の算出方法は、代車の利用日数×記載の保険金額となる。
●移動費用・・・契約自動車の代わりの移動手段として、保険金額(1万円など)を限度に実費が支払い対象となる。
●宿泊費用・・・事故によって急きょ宿泊が必要となった場合に、保険金額(1万円など)を限度に実費が支払い対象となる。
代車費用特約は、代車の費用を保険によって補償するものであり、現地まで代車を持ってきてくれる、といったものではございません。
なお、整備工場等で用意してくれる代車の整備状況や付帯されている保険の内容については、借りる前に必ず整備工場に確認するようにしましょう。
質問:自動車保険を検討していますが代車費用特約はつけた方が良いでしょうか?
車を購入することになり自動車保険を検討していますが、代車費用特約はつけた方が良いでしょうか。
事故の際に代車が必要となったときにはがお世話になっているディーラーが有償で代車を用意してくれるものだと思っていました。
両親はいつもそのような形を取っていたので、保険特約をつけておくべきか悩んでいます。長期的に見て保険で賄うか、都度ディーラーに依頼をするのかどちらの方にメリットがありますか。
金額面、利便性で話を聞きたいです。
回答:代車費用特約は付帯しておくことをおすすめします。
結論を先に言いますと、代車費用特約は付帯しておくことをおすすめします。
通勤に自動車を使用している方や日常生活における自動車の使用頻度が高い方は特におすすめです。
代車費用特約で補償される金額は、保険会社によって若干の差はあるものの、おおむね1日あたり5,000円~10,000円くらいとなっています。
懇意にしているディーラーの代車費用がいくらであっても、こちらの特約が付帯されていれば、設定されている保険金額の範囲内は補償されますので、金額面での心配は不要になります。
一方で利便性の面でも、代車費用特約を付帯している方がメリットはあります。仮に懇意にしているディーラーが、タイミングによっては一時的に代車の在庫がないという状況もあるでしょう。
そのような場合、保険会社によっては代車を手配してくれるというところもあります。金額面、利便性の両方の点において、代車費用特約は付帯することをおすすめします。
質問:超過修理費用補償に入っていなかったために相手との交渉がこじれています。
先日私が100%の有過失事故を起こしてしまいました。
相手の方は命に別状はありませんが車の修理が必要な状態です。
相手のクルマの時価額が50万円で、修理費用が80万円と見積もりが出たのですが、超過修理費用補償に入っていなかったために相手への損害賠償支払いは50万円になってしまうとのことです。
相手はまだ車を買い換えるつもりはなかったそうで納得してくれておらず、交渉がこじれてしまいます。
この場合どう解決すれば良いのでしょうか。被害者の方に対して不足分を実費で支払うしかないでしょうか。
回答:対物賠償責任保険で補償対象となるのは時価額までとなります。
質問者様がおっしゃる通り、対物賠償責任保険で補償対象となるのは時価額までとなります。
法律上は時価額までしか賠償義務はないのですが、事故の被害者側としては当然納得できるものではありません。
この場合の解決方法としては、弁護士に相談する等して、双方が納得できる形での示談の模索を進めるしかありません。
対物超過修理費用特約は、自動車の修理費用が時価額を超えた場合に、その差額を補償するものです。
保険会社によって保険金額に差はありますが、おおむね30万円~50万円くらいが補償されます。
今回のような修理費をめぐるトラブルに際して、示談交渉のストレスを軽減し、交渉そのものをスムーズに進めるのにも役立ちます。
自動車保険を契約するうえで必須の特約といえます。
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