運送保険とは?いる?リスクや加入目的?補償内容?支払対象外は?サイバーリスクは?事故事例を元に解説いたします。

インターネットや通販の普及に端を発して、欲しいものはネットで簡単に手に入れられるようになりました。
こういった状況から、配送業者を利用する機会が増えたことで、運送業界は活況を呈しています。
また業界自体の特徴として、クロネコヤマトや佐川急便といった大手企業から、一人ひとりが個人事業主の形式をとっている赤帽まで、実に様々な規模の法人個人が参入しています。
そのような運送業界ですが、事業者側は運営面で様々なリスクを想定しなければなりません。
配送中の事故によるドライバーのケガ、事故の相手方に対する賠償責任、配送を委託された貨物に損害を与えてしまうリスク等、挙げたらキリがありません。
数あるリスクの中、今回の記事では預かった荷物に損害を与えてしまうリスクについて、解説していきたいと思います。
運送事業を営まれている方は、どのようなリスクが考えられるのか、保険ではどのように補償されるのか、という点を意識して読んでいただけたら幸いです。
目次
- 1 運送保険とは
- 2 運送保険における損害事例
- 3 運送保険に関連する質問と回答
- 4 まとめ
運送保険とは
運送保険とは、正式名称を運送業者貨物賠償責任保険といい、多くの損害保険会社で販売されている保険商品です(以下、運送保険と表記します)。
顧客から預かった貨物の運送業務中に、その貨物に生じた損害に対する賠償責任を補償する保険です。
運送業者にとっては必須の保険であると言えます。
また運送業者が貨物に対する賠償リスクを負うのは、なにも輸送中だけのことではありません。
たとえば倉庫等に保管中も、貨物は損害を被るリスクがあります。
次項で詳しく解説しますが、運送保険では貨物の保管中にまで補償を拡大したりと、契約者のニーズに応じて補償範囲を拡張することができる仕組みとなっています。
運送保険の補償内容
まず運送保険の補償内容について詳しく解説します。
貨物がどこにあるときに補償するか
貨物の輸送中だけでなく、契約者のニーズに応じて貨物の保管中にまで補償範囲を拡張できる旨は前項で説明した通りです。
では具体的に輸送中・保管中とはどのような場面を指すのでしょうか。
・輸送中・・・トラック等の車両に貨物を積んでの配送中、荷捌き業務等のために貨物を車両に積んだまま一時的に貨物が底流する時間、積込み・荷卸し中を指す。
・保管中・・・輸送待ち、荷捌き、仕分け等の輸送業務の遂行にあたって生じる作業のために、車両以外の場所で一時的に貨物が滞留する期間をいう。具体的には倉庫保管中、梱包・開梱作業中、値札を貼ったりする流通加工中を指す。
なお、リスクの範囲設定にあたっては、輸送中を基本補償とし、ニーズに合わせて保管中の補償も付帯できるという仕組みとなっています。
輸送中の補償ありきという点はしっかり押さえておきましょう。
補償するリスク
貨物が具体的にどのような損害を被った場合に補償対象となるのかについて説明します。
なお、保険会社によって補償内容はじゃっかん異なりますので、必ず商品パンフレット等で確認するようにしましょう。
・火災・爆発
・輸送用具の衝突
・輸送用具の転覆・横転
・破損
・水濡れ
・盗難
補償するリスクについても、範囲を限定することで保険料の削減効果を得ることもできます。
また一部の貨物では補償するリスクが変更になります(※後ほど解説します)。
支払われる保険金・費用について
実際に損害が生じた場合、保険会社から支払われる保険金・費用について説明します。
・損害賠償金・・・法律または運送契約に基づく、荷主に対して支払う損害賠償金。
・損害防止費用・・・損害の拡大防止のために支出した費用。ただし支出にあたっては保険会社による事前の承認が必要となる。
・争訟費用・・・裁判費用や弁護士報酬等の費用。こちらも保険会社による事前の承認が必要となる。
・協力費用・・・保険会社が契約者に代わって事故解決にあたる場合で、保険会社に協力するために支出した費用。
補償範囲を拡張するための特約
支払われる保険金・費用についての項で解説したものは、あくまで基本の補償となります。
ここでは、いくつかある補償範囲を拡張する特約を、代表的なものにしぼって紹介します。
・第三者賠償責任・・・荷役作業中に、通行人にケガをさせてしまった場合等に生じる、第三者に対する法律上の賠償責任についても補償範囲を拡張する特約。契約者の下請けの輸送人が第三者に対して負った賠償責任も補償範囲となる。
・残存物片付け費用・・・事故の発生の結果、損害を被った貨物、現場に散乱した残存物の片付け、廃棄、処分等に要する費用を補償する。
・継搬費用・・・貨物の輸送中に輸送用具が損害を被った結果、自力走行ができなくなった場合の、貨物を積み替えて輸送するために発生した荷卸し、一時保管、代車費用等の、追加で発生した費用を補償する。
・誤配費用・・・誤配送、積忘れ、荷卸し忘れが生じたことにより、貨物を輸送開始時の目的地まで継搬または急送する費用、貨物を回収するための費用等を補償する。
特約の取り扱いは保険会社によって実に様々です。
上記に紹介したものはあくまで一例なので、実際の取り扱いは必ず確認するようにしましょう。
運送保険で注意すべき点
ここで、運送保険を契約する上で注意すべき点を紹介します。
保険金の支払対象外となる場合
保険金の支払対象外となるケースをしっかり理解しておくことは、補償されるリスクを理解すること以上に重要です。
商品のパンフレットには保険金をお支払いしない主な場合の記載が必ずありますので、確認しましょう。以下に、いくつか支払対象外となる事例を紹介します。
・輸送用具、輸送方法または輸送に従事する者が出発の当時、貨物を安全に輸送するのに適していなかったことによる損害
・戦争、ストライキ、暴動等による損害
・貨物が陸上にある場合において、地震、噴火、もしくはこれらに起因する津波またそれらに関連する火災によって生じた損害
・サイバー攻撃によって生じた損害
商品パンフレットに記載がなく判断が難しいような事例は自己判断せず、必ず保険会社に確認しましょう。
補償の対象とならない貨物
運送保険で補償の対象とならない貨物(除外貨物といいます)については注意が必要です。
加入を検討するにあたって、まずは除外貨物にあたらないかどうかを確認することを出発点としましょう。
具体的には下記の貨物が除外貨物と規定されています(概ねどこの保険会社でも共通した取り扱いとなっています)。
・貨幣・有価証券・新株券
・金・銀・白金の地金
・輸送用具自体および被けん引車両
・菌類、細菌類、細胞、ウイルス、臓器
なお、上記の貨物については他の保険で補償対象とできる可能性があります。
車両については自動車保険の守備範囲になるでしょうし、その他の貨物については動産総合保険で引き受けできる可能性があります。
必ず保険会社に確認してみましょう。なお動産総合保険については、下記の記事でも解説しています。参考にしてください。
【参考記事:動産保険と火災保険違い?どんな事故?加入メリットや注意点?いる?いらない?について回答します。】
補償内容が変更される貨物
運送保険ならではの特徴と言えますが、補償対象とする貨物の種類によって、補償内容が変更されます。
この点は事故時の誤解やトラブルを生みやすい点です。
しっかり注意しておきましょう。具体的には下記の貨物が変更対象となります。
・植木・苗・生花
・ばら積み貨物(液状、粉状、粒状、気状、泥状、結晶状、塊状、棒状等の形状で、個数によらず重量または容積により取引が行われる貨物で梱包をせずに輸送用具にそのまま積載して輸送される貨物)
・生動物
・屋外設置の自動販売機内収容商品
・冷凍・冷蔵・保温・保冷貨物
なお、どのように補償内容が変更されるかについては、対象貨物により異なります。
必ずパンフレットや約款で確認するか、保険会社の担当者に聞くなど、しっかり理解しておきましょう。
運送保険における損害事例
運送保険における損害事例を紹介します。
筆者が実際に損害対応したものから同僚から聞いたもの等、可能な限り具体的にわかりやすく紹介したいと思います。
事故内容・詳細:車両が全焼してしまった。
物流ターミナルで火災が発生し、建物の他、保管中の荷物・一部の車両が全焼してしまった。原因は漏電によるものと判明。
保険金支払額
24,980,000円
事故内容・詳細:保管中の荷物が水濡れ損害を被った。
台風による豪雨で倉庫に浸水。保管中の荷物が水濡れ損害を被った。
保険金支払額
832,000円
事故内容・詳細:カーブを曲がり切れず横転。
貨物を積載した状態で目的地まで高速道路を走行中、カーブを曲がり切れず横転。貨物の大部分に損害を与えてしまった。
保険金支払額
4,880,000円
事故内容・詳細:空き巣に入られ盗難被害を受ける。
顧客から配送を依頼された荷物を倉庫にて保管していたところ、空き巣に入られ盗難被害を受ける。預かった荷物の大部分を盗まれてしまった。
保険金支払額
692,000円
事故内容・詳細:荷物を盗まれてしまった。
荷物の積み込み作業中、ちょっと目を離した隙に荷物を盗まれてしまった。
保険金支払額
231,000円
事故内容・詳細:コンテナがシャーシから落下し道路上に横転
精密機器を積んだ貨物車両(トレーラー)を運転中、交差点を左折後、直進するタイミングでコンテナがシャーシから落下し、道路上に横転し、大破した。貨物は精密機器であることから全損と認定。
保険金支払額
1,828,000円
事故内容・詳細:放火被害に遭った。
化学薬品の配送を依頼された業者が配送前に倉庫にて保管中、放火被害に遭った。預かった化学薬品が可燃性だったこともあり、倉庫もろとも全焼。貨物は全焼との認定を受ける。
保険金支払額
8,628,000円
事故内容・詳細:貨物を腐敗させてしまう。
猛暑の時期に冷凍が必要となる貨物を輸送中、車両の温度調節機械の故障により、貨物を腐敗させてしまう。荷主より全額の損害賠償を請求された。
保険金支払額
3,250,000円
事故内容・詳細:交差点にて停車中に後ろから追突される。
植木、その他植物を輸送中、交差点にて停車中に後ろから追突される。貨物の大部分に損害を受けた。
保険金支払額
598,000円
事故内容・詳細:強盗に遭い荷物の一部に盗難損害発生。
高額貴金属製品の荷卸し中、強盗に遭い、荷物の一部に盗難損害が発生。
保険金支払額
3,000,000円
いかがでしたでしょうか。
扱う貨物や事故の内容によっては数千万円を超える損害額にまで発展する危険性をはらんでいることをわかったいただけたのではないでしょうか。
事故の規模によっては経営に深刻な影響を及ぼしかねません。適切な補償の付保が必要です。
運送保険に関連する質問と回答
最後に運送保険に関連する質問・回答を紹介します。
筆者がお客様より実際に問い合わせを受けたものや、当サイトに問い合わせのあったものからピックアップして紹介します。
運送保険の補償内容や、運送業者のかかえるリスクの理解に参考になればと思います。
質問①:運送業におけるリスクは?
初めまして、質問させていただきます。私は従業員を50名程かかえて運送業を営んでいます。
従業員に対しては荷主から預かった貨物の取り扱いに十分に気を付けるよう、常に注意喚起しています。
ここでいったん初心というか基本に立ち返りたいのですが、そもそも運送業におけるリスクはどのようなものがあるのでしょうか?
ある程度従業員も増えてきたので、いま一度整理したいと思います。
回答|最低限5つのリスクについてはおさえるべき
運送業は一般的なデスクワークに比べてリスクの高い業種であると言えます。ただ漠然とわかっていても、具体的にどのようなリスクがあるのか理解することはとても重要です。
ここでは運送業が備えるべき最低限のリスクについて整理します。具体的には下記の5つのリスクです。
・受託貨物の損害に関連する賠償責任を負うリスク
・業務遂行・施設に起因して賠償責任を負うリスク
・仕事の結果に関連する賠償責任を負うリスク
・業務災害リスク
・物損害リスク
以下、それぞれについて深堀りしていきます。
◆受託貨物の損害に関連する賠償責任を負うリスク
このリスクについては質問者様もよく認識されているかと思いますが、荷主より預かった貨物に損害が発生すると、荷主に対して賠償責任負うことになります。
倉庫等での保管中や輸送中に、火災や自然災害、その他不測かつ突発的な事由による破損・汚損、盗難等による紛失が想定されます。
ここで注意が必要なのが、運送業者は預かった貨物に対して、無過失責任を負うという点です。
つまり受託貨物に損害が生じたとすれば、運送業者の保管に過失がなかったとしても損害賠償責任を負わなければならないのです。しっかり押さえておきましょう。
◆業務遂行・施設に起因して賠償責任を負うリスク
受託貨物の輸送業務中や、事務所施設の管理・用法に起因して第三者に賠償責任を負うリスクになります。具体的に想定されるのは下記のようなケースです。
・荷主から預かった貨物を輸送中、交通事故を起こし、通行人にケガを負わせてしまった。
・荷物の搬入作業中、たまたま通りかかった第三者に衝突し、ケガを負わせてしまった。
・会社事務所の看板が強風によってネジが外れ、たまたま通りかかった通行人の頭部めがけて落下、後遺障害を負わせてしまった。会社は設備の管理不備の責任を問われた。
◆仕事の結果に関連する賠償責任を負うリスク
輸送業務の結果、その仕事内容に不備があったことに起因して第三者に賠償責任を負うリスクです。このリスクについても想定されるケースを紹介します。
・搬入した荷物の置き方の不備によって、荷物が崩れてしまった。結果的に搬入先企業の従業員にケガを負わせてしまった。
・冷凍食品の輸送を請け負い、輸送業務を完了したが、その食品を食べた消費者が食中毒を起こしてしまった。輸送車両の室温調節に不備があり、運送業者の責任とされた。
◆業務災害リスク
文字通り、従業員が業務災害を負うことに起因するリスクです。従業員がケガをして仕事ができない場合には、会社として治療費や休業中の収入を補償してあげたりと、被災従業員に対するケアが必要となります。また、運送業界特有の長時間労働、不規則なシフトによる労働に起因して従業員が死亡してしまったような場合、会社は従業員に対する安全配慮義務違反を根拠として遺族より訴訟を提起される危険性もあります。業務災害リスクは、単に従業員の業務中のケガだけでなく、そこから派生して様々なリスクを含んでいると言えるのです。
◆物損害リスク
会社事務所の建物や、デスク・パソコンといった什器・備品が、火災・その他自然災害によって損害を被ってしまうリスクが物損害リスクです。また運送業者にとって生命線ともいえる輸送車両が事故等によって走行不能になってしまうリスクも、広い意味で物損害リスクといえます。
このように運送業者のリスクは、上記で紹介した5つが最低限押さえておきたい部分です。
自社の従業員の勤務体系や受託貨物、輸送距離等の諸要素を勘案して、リスクごとに対策の優先順位をつけて、その対策順位の高いリスクから保険を付保するのが合理的なリスク対策といえます。
それぞれのリスクをしっかり認識し、適切に備えられているかいま一度確認してみましょう。
質問②:運送業がかかえるリスクを総合的に補償する保険はある?
中小規模の運送業の会社の総務部で働いている者です。従業員もたくさんいるわけではないので、従業員の安全管理、リスク管理に関しても私が担当しています。
運送業をとりまくリスクについてはある程度理解しているつもりですが、それぞれのリスクについて保険をかけるのは非効率的な気がしています。
運送業において考えられるリスクを包括的にカバーできるような、そんな都合の良い保険なんてあるのでしょうか?もしあるのであれば検討したいです。
回答|運送業がかかえるリスクを包括的に補償する保険はあります
運送業は様々なリスクが想定されます。一般的にリスクの多い業種に分類されます。
そのような運送業をとりまく様々なリスクを、1つの保険で包括的に補償することができます。
運送業総合保険といい、多くの保険会社で販売されています。ここでは運送業総合保険の補償内容や特徴を紹介します。
◆基本補償
運送業総合保険では、基本補償として下記3点の賠償責任を補償しています。
受託貨物の損害に対する賠償責任
受託貨物の輸送中、保管中、作業中の事故に起因して受託貨物に損害を与えた場合に補償します。
業務遂行・施設の管理に起因する賠償責任
施設の安全性の管理不備や構造上の欠陥、施設の用法に伴った仕事の遂行に起因して第三者にケガをさせたり、財物を損壊させたりした場合に補償します。
仕事の結果に関する賠償責任の補償
仕事の終了後、行った結果が原因となり、第三者にケガをさせたり、財物を損壊させたりした場合に補償します。
◆オプション補償
基本補償とは別に、オプションの補償を追加することで、補償範囲を拡大することができる仕組みになっています。具体的には、下記の補償をオプションとして追加することができます。
業務災害に関する補償
業務中の事故に起因してケガを負ったり病気にかかってしまった場合の、治療費、入院費等の費用を補償します。
物損害に関する補償
デスクや椅子といった会社の什器・備品等が火災等によって損害を被った場合の修理費や再調達費用を補償します。
また、保険会社によってはさらに特約を付帯することで、補償される費用を手厚くすることもできます。
代表的なものは下記となります。
・漏水補償特約・・・施設の給排水管設備からの水濡れ損害を補償します。
・昇降機危険補償特約・・・エレベーターやエスカレーターの機能の故障に起因する事故を補償します。
・生産物・仕事の目的物損壊補償特約・・・仕事の結果、第三者に損害を与えた場合で、仕事の目的物そのものの損害も補償対象とします。
なお、特約の種類は保険会社ごとに実に様々な特徴がありますので、実際の取り扱いの有無は必ず確認するようにしましょう。
◆割引制度
損害保険には保険種類によってはいくつかの割引制度が用意されています。運送業総合保険も例外ではありません。代表的なものをいくつか紹介します。
※見積もりを依頼する際にはダメ元で割引制度を確認することは重要です。
自動車保険の付保状況における割引制度
法人で10台以上の自動車を自動車保険で契約する場合、全所有自動車を一括で契約する方式をとることになります。その方式をフリート契約といい、個々の自動車のノンフリート等級という考え方を排除し、保険期間中の保険金支払額に応じて次年度以降の保険料の割引率が決まる形になります。
このフリート契約の割引率が良好の場合、運送業総合保険においても一定の割引を得ることができるのです。なお、所有自動車が9台以下でフリート契約を適用できない場合でも、全自動車のノンフリート等級が一定以上であること等、諸条件を満たすことで割引の適用はあります。
安全管理割引
法人として講じている安全・環境対策の取り組み状況によって、一定の割引率の適用があります。具体的には以下のような取り組みが評価項目となっています。
・貨物車両へのデジタルタコグラフを搭載していること
・ISO9000シリーズ、HACCP等を取得していること
・公益社団法人全日本トラック協会の定めるGマークの交付を受けていること(安全性優良事業所の認定を受けていること)
・グリーン経営認証または脳MRI健診推進事業者証を取得していること
無事故割引
政府労災において、直近1年間が無事故の場合や、直近3年間の業務災害状況が良好の場合に適用されます。
その他にも、保険会社によっては社内の法定外補償の規程が整備されていたり、一部の車両を補償対象外にすることで割引を適用といった取り扱いをしているところもあります。詳細は必ず確認するようにしましょう。
注意点
運送業総合保険を検討する上でおさえておくべき注意点に触れたいと思います。
自動車保険との関連
運送業総合保険は運送業をとりまくリスクを包括的に補償するものではありますが、自動車事故によって生じた下記の損害は補償対象外となります。
・対人事故に伴う賠償責任
・対物事故に伴う賠償責任
・車両の損害に伴う補償
上記の補償はあくまで自動車保険でカバーすることになるものです。
保険金支払対象外となる事例
運送業総合保険に限らず、保険金支払対象外となる事例はしっかり理解しておきましょう。
運送業総合保険は補償内容が非常に幅広いので、補償分野ごとに保険金支払対象外となる事例がパンフレットに記載されています。必ず確認するようにしましょう。
質問③:運送業においてもサイバーリスクはありますか?
運送業を営んでいます。先日、懇意にしている保険代理店からサイバー保険というものを提案されました。
正直、我々のような業種とサイバーが結びつくとは思えず、担当者の話にあまり関心を持てませんでした。
ただ、テレビや同業他社からサイバー関連の情報を耳にしたりすることもあり、気になってきたのも事実です。運送業においてもサイバーリスクってあるのでしょうか?
回答|運送業においてもサイバーリスクと無縁ではありません
サイバーというとIT事業だけのものと連想しがちですが、運送業においてもサイバーリスクと無縁とは言えません。特にトラック業界では、急激なIT化が進んでいるのです。質問者様に対しては釈迦に説法となってしまいますが、運送業でIT活用している一例を下記に示します。
・輸送車の適切な配置のために活用する輸配送管理システム
・輸送車両の積載効率を高めるために活用する積載シミュレーション
・ターミナルにおいて在庫管理の際に活用する在庫管理システム
もし上記のようなシステムが、サイバー攻撃を受けたことで稼働が止まってしまった場合、業務に多大な影響が出るのは明らかです。
自社で活用しているITシステムをいま一度確認し、サイバー攻撃を受けた場合に想定されるリスクを検証してみましょう。
そしてサイバー攻撃に対する経済的な補償を担保するためには、サイバー保険に加入する必要があります。
補償内容や特徴については下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
【参考記事:サイバー保険とは?いる?いらない?保険料の相場や補償範囲を事例で解説!】
まとめ
今回の記事では運送業界をとりまくリスクについて触れ、Q&A等も取り入れて解説しました。
とりわけ、受託貨物に与えてしまった損害に対する補償については、詳細な解説を心がけました。
様々なリスクが考えられる運送業にとって、運送保険への加入は必要最低限の対策といえます。
ただ、運送保険でカバーされるリスクは、荷主からの預かり貨物の補償に限定されており、運送業がはらむ数あるリスクのうちの一部に過ぎません。
実際に業務を運営する上では、従業員の業務災害リスク、事務所施設などの管理不備に起因する賠償リスク、仕事の結果に対するリスク、サイバーリスクまで様々なリスクが考えられます。
保険会社の担当者等、専門家に相談することで、適切にリスク対策を講じましょう。
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