自転車事故が急増!事故での個人賠償責任保険金支払い実例11例を一挙公開!

日常生活を営んでいると、たとえ平穏な生活を心がけていたとしても、時として様々なトラブルに巻き込まれます。
たとえば自転車で移動中、通行人にぶつかってしまったり、ショッピング中、ペットボトルのドリンクをうっかりこぼして店の商品を汚してしまったりと、様々な事例が考えられます。
今回の記事では、このような日常生活における第三者に対する賠償責任を負った場合に頼りになる、個人賠償責任保険について解説します。
損害保険の現場に身を置いている筆者が、実際に処理した事故事例もいくつか紹介したいと思います。
目次
- 1 個人賠償責任保険・自転車保険とは?
- 2 損害事例を紹介
- 2.1 事故事例①:排水ホースが外れて階下に水漏れ損害を与えてしまう事故
- 2.2 事故事例②:飼い犬が散歩中に通行人に噛みつきケガをさせてしまう。
- 2.3 事故事例③:小学生が民家の窓ガラスを割ってしまった。
- 2.4 事故事例④:自転車で通行人に激突してしまい後遺障害を負わせてしまう。
- 2.5 事故事例⑤:骨董市で商品を誤って破損させてしまう。
- 2.6 事故事例⑥:立食パーティー中にワインを落としてしまい、隣の人のドレスを汚してしまう。
- 2.7 事故事例⑦:友人宅のテレビに誤って液晶画面に損害を与えてしまう。
- 2.8 事故事例⑧:スキーをしていたところ、誤って他人に激突し後遺障害を負わせてしまう。
- 2.9 事故事例⑨:近所をランニング中に通行人と激突し、転倒させてしまう。
- 2.10 事故事例⑨:トイレに異物を流し、階下に水濡れ損害を与えてしまう。
- 2.11 事故事例⑪:ドックランで飼い犬が他人の犬をかじり大けがになる。
- 3 個人賠償保険の注意点
- 4 Q&A:個人賠償責任保険について質問と回答
- 5 まとめ
個人賠償責任保険・自転車保険とは?
そもそも個人賠償責任保険とはどういった保険なのでしょうか。
某大手損害保険会社では、その補償内容を下記のように規定しています。
日常生活において、自身の過失から他人にケガをさせてしまった場合や他人のモノを壊してしまった場合、民事上の損害賠償の責任が生じることがあります。
このようなときの賠償金の支払いに備えられる保険が、個人賠償責任保険です。
近年、自転車による賠償事例が多発しており、全国的に注意喚起がなされています。
自治体によっては、自転車保険への加入を原則義務化しているところもあるくらいです。
ここでいう自転車保険は、個人賠償責任保険の補償内容に、契約者自身のケガの補償がプラスされたものと考えて差し支えありません。
自分の補償は不要だけれども、せめて他人に対する賠償責任だけは備えておきたいといった方は、個人賠償責任保険を付保しておきましょう。
損害事例を紹介
ここで、筆者が実際に対応した個人賠償責任保険の損害事例をいくつか紹介したいと思います。
自転車事故に限らず、様々な事例が個人賠償事故に該当します。
こんな事故も個人賠償責任保険で対応できるんだ!といった新たな気づきがあると思います。参考にしてください。
事故事例①:排水ホースが外れて階下に水漏れ損害を与えてしまう事故
事故日:2019年8月
事故内容・詳細
マンションで洗濯機の排水ホースが外れて階下に水漏れ損害を与えてしまう。
保険金支払額
保険金支払額:88,600円
事故事例②:飼い犬が散歩中に通行人に噛みつきケガをさせてしまう。
事故日:2019年8月
事故内容・詳細
飼い犬のピットブルが散歩中、通行人に噛みつきケガをさせてしまう。
保険金支払額
保険金支払額:89,000円
事故事例③:小学生が民家の窓ガラスを割ってしまった。
事故日:2017年7月
事故内容・詳細
小学生の児童が空き地でボール遊びをしていたところ、遠くへ飛ばしてしまい、民家の窓ガラスを割ってしまった。
保険金支払額
保険金支払額:33,800円
事故事例④:自転車で通行人に激突してしまい後遺障害を負わせてしまう。
事故日:2021年7月
事故内容・詳細
自転車で移動中、通行人に激突。スピードを出していたこともあり、後遺障害を負わせてしまう。
保険金支払額
保険金支払額:53,000,000円
事故事例⑤:骨董市で商品を誤って破損させてしまう。
事故日:2019年10月
事故内容・詳細
骨董市で商品を物色、誤って商品を落としてしまい、破損させてしまう。
保険金支払額
保険金支払額:3,840,000円
事故事例⑥:立食パーティー中にワインを落としてしまい、隣の人のドレスを汚してしまう。
事故日:2019年10月
事故内容・詳細
結婚式の二次会の立食パーティー中、料理やワインを落としてしまい、隣の人のドレスを汚してしまう。
保険金支払額
保険金支払額:140,000円
事故事例⑦:友人宅のテレビに誤って液晶画面に損害を与えてしまう。
事故日:2023年8月
事故内容・詳細
子どもが友人宅で遊んでいたところ、友人宅のテレビに誤って激突してしまい、液晶画面に損害を与えてしまう。
保険金支払額
保険金支払額:99,000円
事故事例⑧:スキーをしていたところ、誤って他人に激突し後遺障害を負わせてしまう。
事故日:2023年8月
事故内容・詳細
スキーをしていたところ、誤って他人に激突し、後遺障害を負わせてしまう。
保険金支払額
保険金支払額:34,000,000円
事故事例⑨:近所をランニング中に通行人と激突し、転倒させてしまう。
事故日:2018年9月
事故内容・詳細
近所をランニング中、交差点で出てきた通行人と激突し、転倒させてしまう。右手首を骨折してしまった。
保険金支払額
保険金支払額:76,000円
事故事例⑨:トイレに異物を流し、階下に水濡れ損害を与えてしまう。
事故日:2018年9月
事故内容・詳細
マンション個室内において、トイレに異物を流し、階下に水濡れ損害を与えてしまう。
階下の住人の家電製品を含む家財道具多数に損害を与えてしまう。
保険金支払額
保険金支払額:488,000円
事故事例⑪:ドックランで飼い犬が他人の犬をかじり大けがになる。
事故日:2024年7月
事故内容・詳細
ドックランで飼い犬を放し飼いで遊ばせている中で、他人の犬がじゃれてき、タイミング悪く後ろから覆いかぶさりびっくりしてか噛んでしまう。
保険金支払額
保険金支払額:90,000円
上記の中には数千万円を超える賠償事例もあります。
後遺障害になるような大けがを負わせてしまうと、賠償額は高額になります。
日常生活を平穏に営むにあたり、トラブルに巻き込まれないよう気を付けて過ごしていても、高額の賠償事故の加害者になってしまう危険性は常に隣り合わせなのです。
個人賠償保険の注意点
個人賠償責任保険は火災保険や自動車保険、傷害保険といった損害保険に特約として付保することが一般的です。
自分でも気が付かないうちに実は加入していたなんてこともあります。
ここで一点注意点です。たとえば自動車保険、火災保険でそれぞれ個人賠償責任補償特約を付保していたとします。
そのような方がうっかり第三者に100万円の損害を与えてしまい、個人賠償責任補償特約で100万円全額の認定が得られたとしても、自動車保険、火災保険それぞれから100万円を受け取れるわけではないのです。
このようにどちらか一方は補償の重複、いわゆる保険料の無駄払いになります。
しかし、これは筆者の個人的な見解ですが、個人賠償責任補償特約に関する限り、補償の重複はあまり気にする必要はないのではないでしょうか。
個人賠償責任補償特約の保険料はそれほど高いものではありません。
せいぜい月額100円程度のものです。
うっかり主契約の更新漏れで補償がなくなってしまうリスクを考えたら、重複していても気にする必要はありません。
あくまで参考程度にしてください。
保険金が支払われない場合
個人賠償責任保険で補償対象となるのは、あくまで補償対象者の「過失」であることが原則です。
つまり故意に他人にケガをさせてしまったり、他人の物を壊してしまっても、個人賠償責任保険で補償することはできません。
このようなことがまかり通ってしまうと、世の中に犯罪が蔓延ってしまうことにもなります。
また、同居の親族に対する賠償責任についても、個人賠償責任保険では補償対象外となることも押さえておきましょう。
個人賠償責任保険は、あくまで他人に対する賠償責任を補償するものなのです。
Q&A:個人賠償責任保険について質問と回答
ここで、個人賠償責任保険について、筆者がこれまでお客様からよく問い合わせいただいたものをいくつか紹介したいと思います。個人賠償責任保険はコスパの良い保険である一方で、補償内容については勘違いされている方が多いなと感じます。今回紹介するQ&Aを確認することで、補償内容はよりわかりやすくなると思います。まだ加入していない方は、ぜひ参考にしてください。
質問①:どんな事故でも補償されますか?
個人賠償責任保険について質問です。3歳の子(男の子)を持つ主婦です。
まわりの知り合いから個人賠償責任保険の加入を勧められていて、いま加入を検討中です。
知り合いが言うには、小さい子どもがいる家庭は絶対必要な保険だとのことですが、私個人としては、肝心な補償内容が理解できず、加入にいま一歩踏み切れません。
個人賠償責任保険は、どのような補償内容なのでしょうか?どんな事故でも補償してくれるものなのでしょうか?
回答|どんなときも補償対象となるわけではなく、補償対象外となる事例はあります。
どんな事故でも補償されますか?という問いに対する回答としては、「NO」となります。
個人賠償責任保険で補償対象とするのは、あくまで被保険者が「法律上の損害賠償責任」を負う場合のみです。
具体的な事例としては、以下のようなケースは補償対象外になることが多いです。
【補償対象外となるケース(具体例)】
・故意に起こした事故
・自動車やバイクの運転中の事故(自動車保険の守備範囲となります)
・業務や仕事中の事故(事業用保険の範囲)
・契約違反や借りた物の損害(除外条件あり)
・自分や家族の物への損害
個人賠償責任保険における基本的な考え方 — 「どんな事故でも」は×
個人賠償責任保険は「法律上の損害賠償義務(他人にケガをさせたり他人の物を壊したことによる賠償責任)」を補償する保険です。
ただし、すべての事故が自動的に補償されるわけではなく、保険約款で除外事項や補償対象が定められています。
したがって、実際に保険が使えるかどうかは「事故の原因・状況・加害者の状態(故意か過失か等)」「その行為が業務や自動車利用にあたるか」などによって判断されます。
【補償対象となる典型的なケース(イメージ)】
・自転車での運転を誤って(故意ではない)歩行者にぶつかりケガをさせて治療費や慰謝料を請求された場合
・子どもが遊んでいて隣家の窓ガラスを割ってしまった場合
・洗濯機のホース外れで階下の住戸に水漏れ被害を与えてしまった場合
・飼い犬が他人を噛んで治療費や慰謝料を請求された場合
これらは日常生活での偶然な事故(過失)として、多くの個人賠償責任保険でカバーされる代表例です。一方で、補償対象外となる典型例については、下記のような特徴があります。
【補償対象とならない典型的なケース】※保険会社・保険商品により差があります
・故意(わざと行った行為)
→ ほぼすべての保険で除外されます。例えば腹いせに他人の家の窓を割った場合などは対象外です。
・業務・事業活動による事故
→ 仕事として行った行為(自営業での販売、報酬を得たサービス提供など)による損害を補償するには、事業用の賠償責任保険に加入していることが必要です。たとえばネットショップの商品が原因でエンドユーザーがケガをした場合など(この場合はPL保険の守備範囲となります)。
・自動車・原動機付自転車の運転中の事故
→ 自動車事故は自動車保険(自賠責保険や任意保険)の適用が原則となります。原付や125cc超のバイク等も対象外になることが多いです(電動アシスト自転車は商品によって扱いが異なる)。
・契約上の責任(契約に基づく特別な賠償義務)
→ 契約で責任を負うと約束した場合(例:レンタル契約での損害賠償の一部を契約上約束している)などは除外されることが多いです。ただし「契約がなくても発生した通常の不法行為責任」は対象になることがあります。
・家族間(被保険者同士)の請求事案
→ 被保険者本人や同居家族間の賠償請求については原則対象外となります(例:夫が妻に対して損害賠償請求するケース)。同一生計内の請求事案は、同じ財布の中でお金が動くだけと見なされ、補償対象外となります。
・預かり物・管理物の損壊
→ 他人から預かっている物や借りている物の損害は、原則除外されます。ただし一部商品では短期間の預かり等を限定的に補償する場合はあるので、確認が必要です。
・罰金・制裁金・行政的制裁
→ 刑事罰や行政罰、過料・罰金などは補償対象外となるのが一般的です。
・戦争・テロ・核汚染・故意の広範な環境汚染
→ これらの事案は保険会社全社で共通の免責・除外とされます。
・長期継続する汚染や環境被害
→ 突発的な事故は場合によって補償されても、長期にわたる環境汚染は除外されがちです。
境界線があいまいなケース(判断のポイント)
・「重大な過失」について・・
故意は除外ですが、重大な過失(著しい注意義務違反)を商品によっては除外している場合があります。約款の「故意・重大な過失」条項を確認してください。
・SNSでの誹謗中傷(名誉毀損)・・
故意に相手を中傷した場合は除外されることが多いですが、意図せず誤情報を拡散してしまったケースで補償対象となるかどうかは、保険商品によって差があります。名誉毀損リスクをカバーする個別特約や弁護士特約の有無を確認しましょう。
・海外での事故・・
契約によって「日本国内のみ」「一部の国を除く海外」など範囲が異なります。渡航先での補償を期待するなら海外補償の有無・地域制限をチェックしましょう。
・レンタルやシェアリングでの事故・・
貸主・レンタル事業者の責任や、利用者の責任の線引きは複雑です。短期間の個人間シェアはカバーされる場合もあれば除外される場合もあります。
【具体的事例(補償の可否があいまいな事例)】
・子どもが隣家の窓をボールで割った → 通常カバーされる(偶発的・過失)。
・自転車運転中に歩行者をはねて高額賠償 → 多くの個人賠償でカバーされる(ただし原付・バイクは除外)。
・請負で家事代行をしていてお客様のモノを壊した → 業務扱いとなり除外される可能性が高い(業務用の賠償責任保険の加入が必要)。
・激昂して故意に隣家の車に傷を付けた → 故意なので原則除外。
・海外旅行先でホテルの備品を壊した → 海外補償が付いていればカバーされることがあるが、契約内容による。
加入時に必ず確認すべきチェックリスト
・約款の除外事項(故意、業務、自動車等)を読む(最重要)
・補償の範囲(国内のみ/海外含む)と補償金額(1,000万/3,000万/1億/無制限)を確認
・示談交渉サービスや弁護士費用特約の有無(トラブル時の心理的負担が大きく変わります)
・預かり物・業務上の事故・職業上の過失が含まれるか否か(自営業や副業をしている場合は特に注意)
・家族の範囲(同居/別居の未婚の子ども等)や被保険者の範囲を確認
実用的アドバイス
個人賠償責任保険は、どんな事故でも補償される保険ではありません。
故意・業務・自動車運転中など、明確な除外があります。一方で、日常生活の偶発的な事故(自転車・子どもの破損・水漏れ等)は多くのケースでカバーされるため、個人賠償責任保険は安心度が高い商品です。
業務・事業・職業のリスクについては別の保険(業務用の賠償責任保険など)で備える必要があります。
詳細は必ず商品パンフレットや保険約款で確認してください。
わからなければ、保険会社の相談窓口や代理店に「このケースは補償されますか?」と具体例を挙げて確認しましょう。
質問②:自転車事故も補償されますか?
初めまして。個人賠償責任保険の補償に関して質問です。
私は通勤やプライベート含め、日常的に自転車を使用しているのですが、自転車使用中の事故は個人賠償責任保険で補償されるのでしょうか?
最近よく自転車事故で高額賠償判決となった事例をよく見聞きするので、気になりました。
回答|自転車事故の場合はほとんどの場合カバーされるが、例外・条件があります
個人賠償責任保険では、自転車で他人にケガを負わせたり、他人の物を壊した場合も補償されます。
質問者様も仰る通り、特に近年は、自転車事故による高額賠償の判例もあり、加入を義務化している自治体もあります。
ただし、電動アシスト自転車は基本的に対象となりますが、原動機付自転車(原付)は対象外となることはしっかりおさえておきましょう。
自転車事故が個人賠償責任保険でどう扱われるかは「ほとんどの場合カバーされるが、例外・条件がある」というのが大まかな結論です。以下、詳しく整理します。
自転車事故は基本的に補償される理由
個人賠償責任保険は「日常生活で他人に与えた損害(法律上の賠償義務)」を補償する保険です。自転車で歩行者にぶつかりケガをさせたり、他人の建物や自動車を壊した場合は、通常「不法行為」による損害賠償責任が発生します。したがって、日常の過失による自転車事故は多くの場合、補償対象になります。
【保険金支払いの対象となる典型的な補償項目】
・人身損害:治療費、入院費、通院交通費、休業損害、慰謝料、将来の逸失利益など
・財物損害:相手の自転車や衣類、スマホ、相手方自動車のバンパーなどの修理・買換え費用(相手方が自動車だった場合)。
・示談交渉・訴訟費用:示談交渉サービスや弁護士費用特約があれば、交渉・裁判対応費用もカバーされる。
例外・要注意事項
自転車事故によって相手方に対して損害賠償責任が発生すると、多くの場合、保険金の支払い対象となりますが、補償されない、または保険会社が対応を慎重にするケースもあります。
主な例を以下に挙げます。
【要注意事項】
・故意の行為:わざと人を突き飛ばしたなどは原則補償対象外。
・業務中の事故:配達や仕事として自転車を使っている場合は「業務用」とみなされ、個人賠償責任保険では除外されることが多い(フードデリバリー等は要確認)。
・乗り物(原動機付自転車や125cc超のバイク)での事故:自動車保険の範囲であり、個人賠償責任保険から除外される場合が多い。
・重大な過失、違法行為:著しい注意義務違反や酒酔い運転等、契約により保険金支払いが制限される場合がある。
・家族間の請求:被保険者本人と同居家族間の請求は原則として補償対象外。
・預かり品の損害:他人から預かった物の損害は除外されることが多い。
※具体的な適用は保険約款によるため、必ず契約書(約款)を確認してください。
【その他、注意点:電動アシスト自転車・シェアサイクル・レンタルの扱い】
・電動アシスト自転車:一般的には自転車扱いで補償対象になることが多いですが、保険会社により取り扱いが異なります。
・電動キックボードなど新しいモビリティ:対象商品によって取り扱いの差が大きいので、契約時に保険会社に明確に確認する必要があります。
・シェアサイクル / レンタル:利用者が過失で備品を壊した場合は補償されるケースが多いものの、レンタル契約で利用者に特別な賠償義務を課している場合(契約上の責任)は除外になることがあります。レンタルサービスを提供している会社との契約内容の確認が必須となります。
個人賠償責任保険における補償額について
自転車事故では高額賠償につながるケースが実際に発生しています(長期の後遺障害や逸失利益が問題になるため)。
したがって、補償額は最低でも1億円、できれば無制限を選ぶのが安心という考え方が広まっています。
無制限にした場合と金額設定した場合とで、保険料の差は意外と小さい場合が多いので、ここでは万が一の場合の補償を優先しましょう。
事故時の実務的対応(保険金請求をスムーズにするために)
個人賠償責任保険は加入していても、補償を受けるためには保険金請求手続きをする必要があります。
そこには様々な事務処理や作業が必要となります。
いざ請求するときにパニックにならないよう、以下に記載する必要最低限のことはおさえておきましょう。
・救護・救急車要請:人命最優先。負傷者がいる場合は救急対応しましょう。
・警察への届け出(実況見分):事故の証拠となるため必須となります。
・相手の連絡先・目撃者情報の取得:名前・住所・電話・保険加入有無など確認しておきましょう。
・現場写真の撮影:位置関係・車両・損害の状況を複数角度で撮る。
・診断書・治療記録の保存:治療開始からの明確な記録は重要です。
・速やかに保険会社に連絡:示談交渉サービスや弁護士特約があるか確認しましょう。
・日々の経過記録:治療状況や費用、休業日数などを記録しておく。
結論
自転車事故は個人賠償責任保険でほとんどの場合カバーされますが、契約内容や事故状況次第で補償の可否に差が出ます。
補償を考える上では、示談交渉サービス+弁護士費用特約+高額補償(1億円以上) を備えるのが最も安心です。
配達業や副業で自転車を使う人、電動キックボード等を利用する人は、業務利用や新型モビリティが個人賠償責任保険で補償の対象となるのか、その取り扱いを保険会社に必ず確認しておきましょう。
質問③:示談交渉サービスが付いているタイプと付いていないタイプの違いは何ですか?
個人賠償責任保険に加入している者です。幸いなことに、これまでに保険にお世話になるような事故は起こしたことはなく、平和に過ごせています。
ただ、いざ保険に頼らざるを得ないような事故に巻き込まれた場合に、うまく立ち回れるか、相手方と交渉できるか、といった漠然とした不安を持っています。
ここで質問なのですが、個人賠償責任保険における「示談交渉サービス」とは何でしょうか?
「示談交渉サービス」がついているものとついていないものの違いについて教えてほしいです。
回答|相手方との交渉を誰がやるか、という差があります。
示談交渉サービスが付いているタイプでは、事故の相手方とのやり取りや賠償金額の交渉を保険会社が代行してくれます。
これにより、トラブル時の精神的・時間的負担が大幅に減ります。一方、付いていないタイプでは、保険金は支払われますが、示談交渉は自分で行う必要があります。
法律知識や交渉力が必要になるため、特に交通や自転車事故を想定するなら、示談交渉サービス付きがおすすめです。
示談交渉サービスとは
個人賠償責任保険の「示談交渉サービス」とは、事故の相手方との示談(和解)に関する手続きや交渉を、保険会社が契約者に代わって行ってくれるサービスです。
日常生活の中で発生した賠償事故では、相手方との話し合いが必要になる場面が多く、その過程で以下のような問題が発生しやすいです。
・相手が感情的になって話が進まない
・賠償金額の算定方法がわからない
・相手が弁護士を立ててきた(こちらの交渉力が心もとない)
・どこまでが自分の責任か判断できない
こうした場合、示談交渉サービスがあれば、保険会社が間に入って、専門知識を持った担当者が法的な観点から適切な対応をしてくれます。
示談交渉サービスが付いているタイプのメリット
以下に、示談交渉サービスがついていることのメリットについて、3つに分けて解説していきます。
◆精神的負担の軽減
事故の相手と直接やり取りしなくて済むため、感情的な対立やプレッシャーから解放されます。特に相手が高額な請求をしてきた場合や、口論になりそうなケースでは大きな安心材料です。
◆適正な賠償金額の算定
保険会社は過去の事例や法律に基づき、適切な金額を提示します。相手方からの過大な請求を防ぎ、必要以上の支払いを避けられます。
◆手続きの簡略化
示談書の作成、証拠の整理、損害額の調査などの事務作業を保険会社が代行してくれるため、契約者は必要な情報を提供するだけで済みます。
示談交渉サービスが付いていないタイプの注意点
一方で、示談交渉サービスが付いていない場合、保険会社はあくまで「賠償金の支払い」だけを行い、相手方との話し合いは契約者本人が行う必要があります。
以下に、示談交渉サービスがついていないタイプの注意点についても、3つの観点から解説します。
◆法律や損害額の基準がわからないと不利になる
相手が強気に請求してきた場合、専門知識がないと適切に反論できず、必要以上に支払ってしまうこともあります。
◆時間と労力がかかる
何度も連絡を取り合ったり、証拠を揃えたりする必要があり、特に平日に動く必要がある場合は大きな負担になります。
◆感情的なトラブルに発展しやすい
相手が納得しない場合、交渉が長引き、関係が悪化する恐れがあります。
どちらを選ぶべきか
ここまでの解説の時点で、ほとんどの方が感じられていることと思いますが、おすすめは「示談交渉サービス付き」です。
示談交渉サービスなしと比較しても、年間保険料は数百円程度しか差がないことが多く、安心感や実務面の負担軽減を考えると、付けておく価値は非常に高いです。
ただし、弁護士特約や他の保険で同様のサービスがカバーされている場合、あるいはご自身で交渉対応に慣れている場合は不要かもしれません。
しかし、実際の交渉の現場では時間的拘束やどんなに慣れている方でも心理的な負担は発生します。
その点を考慮すると、ほとんどの人に「示談交渉サービス付き」を個人的にはおすすめします。
結論
示談交渉サービスは、個人賠償責任保険の中でも特にトラブル対応の質を左右する重要な要素です。
「お金の補償」だけでなく「交渉そのものを代行してくれる」という付加価値があるため、日常の安心感が格段に高まります。費用差も少ないため、多くの方にとっては付帯タイプを選ぶのが得策といえます。
質問④:賃貸住宅で水漏れ事故を起こした場合も補償されますか?
個人賠償責任保険の補償内容について教えてください。
日常生活において、他人に損害を与えた場合に補償される保険という理解をしているのですが、これはたとえば賃貸住宅で階下の住人に水濡れ損害を与えてしまった場合も補償される、ということなのでしょうか?
日常生活における第三者に対する損害という意味ではあてはまるのでは、と思いますが、合ってますでしょうか?
私自身、賃貸住宅の高層階に住んでいるので、気になります。よろしくお願いいたします。
回答:個人賠償責任保険で補償されますが、経年劣化等、補償対象外となるケースもあります。
結論から言うと、賃貸住宅で起こした水漏れ事故は、原因や状況によっては個人賠償責任保険で補償されることが多いです。
ただし、すべてのケースで自動的に補償されるわけではなく、原因(突発的な事由か経年劣化によるものか、等)、過失の程度、契約条項(約款)によって扱いが変わります。
以下、詳しく整理します。
補償対象となる典型例
・給水ホースが突然破裂して階下に大量の水が流れ込み、階下の住戸や家具に損害を与えた
→ 多くの個人賠償責任保険で「突発的・偶発的な事故」として補償されやすいです。
・洗濯機のホース外れや排水栓の閉め忘れで階下に被害を与えた
→ 基本的には過失による損害賠償責任として扱われ、補償対象になる場合が多いです。
・浴室の水があふれて隣室の天井や壁を壊した
→ 状況次第ですが通常は補償の対象。示談交渉や修理費用の支払いで保険が使えます。
補償されにくい・注意が必要なケース
・経年劣化・設備の老朽化が原因の場合
→ 配管やパッキンの「経年劣化」が原因で長年じわじわ漏れていたといった場合、ほとんど損害保険では除外されることが多いです。この場合は建物の管理責任(大家・管理会社側)に該当することがあるため、まずは大家側の責任を確認する必要があります。
・重大な過失・故意の場合
→ 故意はほぼ全ての約款で補償外です。著しい注意義務違反(明らかに不注意である・注意喚起を無視していた等)も商品によっては支払いが制限されることがあります。
・長期放置によるカビ・構造的損傷などの蓄積的被害
→ 一時的な水漏れによる直接的損害は補償されても、長期的に進行した損害(劣化やカビの広がり)については補償対象から除外されることがあります。
「借家人賠償責任保険」との違い(賃貸住宅居住者向けのポイント)
・個人賠償責任保険:日常生活で他人に与えた損害全般(対人・対物)をカバーするタイプの保険です。たとえば賃貸住宅の居室で水漏れを発生させてしまった場合の、階下住戸に対する損害や、大家からの損害賠償責任をカバーすることがあります。
・借家人賠償責任保険(借家人賠償特約):火災保険等の特約として設定されることが多く、借家人(借主)が賃貸住宅の建物自体や設備に与えた損害について、賠償責任を補償することを目的にしています。賃貸契約における修繕・原状回復の負担に直接効くため、賃貸住まいの人はこの特約の加入をチェックすると良いです。
実務上、賃貸で水漏れを起こしたときは「借家人賠償特約」か「個人賠償責任保険(特約)」で補償されることが多いため、どちらかが付いているか・補償金額はいくらかを必ず確認しておきましょう。
事故後の実務対応についてのアドバイス(スムーズに保険を使うために)
実際に事故を起こしてしまった場合の対応フローについても解説しておきます。事案によってケースバイケースではありますが、以下の項目を押さえておけば、大きな間違いにはなりません。参考にしてください。
・まず被害最小化(漏水遮断・電源切断など):二次被害を防ぐことが最優先です。
・大家・管理会社・被害を受けた隣人へ速やかに連絡:状況説明と今後の対応を共有します。
・現場の写真・動画を複数角度で保存:水の流れた痕跡、被害箇所、設備の状態(ホースの破断面など)を残しておきます。
・目撃者情報や日時の記録、発生からの時系列メモを作成:あとで説明が必要になったときに役立ちます。
・修理費・応急処置の領収書は必ず保管:保険金の請求で必要になります。
・保険会社へ速やかに連絡(事後連絡義務):示談交渉サービスがあるなら代行してもらいましょう。事故後に保険会社に連絡せずに当事者同士で示談してしまうと、その後の保険適用で不利になる場合があるので注意が必要です。
・過失の認否には注意:相手に過失を全面的に認める文書や支払い約束を安易にしない(示談交渉は保険会社に任せる、もしくは都度、相談しながら進めるのが安全)。
結論
賃貸住宅での水漏れ損害は、「他人の所有物(階下や大家の建物)」に損害を与える典型的な賠償ケースであり、多くの場合、個人賠償責任保険でカバーされます。
ただし 経年劣化・故意・重大な過失・業務利用などは補償対象から除外されることがあるため、発生原因と約款の確認が重要です。
事故後は被害最小化→写真や証拠保存→大家・保険会社へ連絡→示談交渉を保険会社に任せる、という流れを基本にしてください。
もし何をしてよいかわからなくなってしまった場合は、まず保険会社へ事故報告してアドバイスをもらうというのもひとつの手です。自分だけで悩まず、思い切って相談しましょう。
質問⑤:ペットが起こした事故も補償されますか?
個人賠償責任保険の補償範囲について聞きたいのですが、ペットが他人に損害を与えた場合も補償されるのでしょうか?
私は小型犬(ポメラニアン)を飼っているのですが、ヤンチャな性格をしていて、散歩中に通行人を見かけると、嚙みつかんばかりに吠えてしまいます。いつかケガをさせてしまわないかと心配です。
個人賠償責任保険で万が一の際に補償されるのか、教えてください。
回答:個人賠償責任保険で補償される場合が多いですが、補償対象外となる事案もしっかり押さえておきましょう。
ペットが起こした事故は「多くの場合」個人賠償責任保険で補償されますが、すべてのケースが自動的に補償されるわけではありません。
補償の可否は「事故の内容(咬傷・物損など)」「原因(偶発か故意か、経緯)」「飼い主の行為(重大な過失や業務利用か)」「約款(保険商品ごとの除外規定)」によって決まります。
以下、具体的に解説していきます。
個人賠償責任保険で補償される項目
・他人の身体に対する損害:犬や猫が人を噛んでケガをさせた場合の治療費、入院費、通院交通費、慰謝料、休業損害など。
・他人の物に対する損害:家具や衣類、スマホ、家電などをペットが壊した場合の修理・買替費用。
・示談交渉や裁判対応費用:示談交渉サービスや弁護士費用特約が付いていると、交渉・訴訟費用をカバーできる。
※上記はいずれも「飼い主が法律上の賠償責任を負う場合」に支払い対象となります。
補償されにくい・除外されがちなケース
故意の行為:わざと噛ませた、故意に物を壊したなどは原則として補償対象外となります。
・重大な過失:飼育上の注意義務を著しく怠った場合(放置・鎖の外し方が著しく危険など)は保険金支払が制限される場合があります。
・業務・事業としての飼育・使用:訓練士の業務中、ペットホテルや繁殖業、警備用犬など業務中に生じた事故は、個人賠償責任保険の補償範囲から除外される場合が多いです。
・同居家族とのトラブル:被保険者同士のトラブルをみなされ、請求は除外されることが多いです。
・ペット自身の治療費:被害者ではなく「被保険者のペット本人」の医療費は、個人賠償ではなくペット保険でカバーするのが通常です。
よくある具体例と実務的扱い
・散歩中に犬が通行人(子ども)を噛んで治療が必要となった → 多くの個人賠償責任保険で補償対象となります。示談交渉・高額賠償になった場合の備えが重要です。
・来客の所有物(高級かばん)を猫が引っ掻いて破損させてしまった → 個人賠償責任保険で補償されることが多い。
・庭で放し飼いにしていた犬が隣家の鶏を襲った → 鶏の損害を賠償するケースも補償対象になり得る(ただし放し飼いが重大な過失とみなされる場合もあり、ケースバイケースです)。
飼い主としての予防策(リスク低減策)
ペットによる第三者に対する損害については、筆者もよく相談を受ける事案のひとつです。
保険に加入しておくことももちろん重要ですが、それ以上に損害を発生させないようにすることも重要です。
以下に、飼い主として講じるべき予防策についても触れたいと思います。
・適切なしつけ(噛まない、吠えない等)と社会化トレーニング。
・散歩時はリード着用・制御を徹底。公共マナーの徹底。
・ワクチン・寄生虫予防・定期健診でペットの健康管理を行う。
・名札や迷子札(連絡先)を装着。
・住宅のフェンス・柵の点検や室内造成物の耐久性チェック。
その他、万が一に備えて写真や日常の記録(しつけ状況など)を残しておくと、重大な過失を否定するのに役立つことがあります。できることから取り組んでみましょう。
結論
ペットが起こした事故は、多くの場合、個人賠償責任保険でカバーされますが、約款の除外や業務利用などで対象外になるケースがあります。
保険金額(高額化リスク)の設定と示談交渉/弁護士費用特約の有無がとくに重要です。
ペットの事案でよく勘違いされることではありますが、ペット保険(ペット自身の医療費)と個人賠償責任(第三者への賠償)は役割が違います。
それぞれの目的にあわせて適切に備えを検討するようにしましょう。
まとめ
今回の記事では個人賠償責任保険について、補償内容の概要を解説し、実際の損害事例についても紹介しました。
どんな人でも、いくら注意深く平穏な生活を心がけていても、高額の賠償責任を負ってしまうリスクがあります。
個人賠償責任保険では、運悪く加害者になってしまった場合の、経済的なリスクを補償します。
今一度、ご自身の加入している損害保険で個人賠償責任補償特約が付保されているか確認してみましょう。
いくつかの保険で重複して加入していても、あまり気にする必要はありません。
付保漏れになってしまうよりは、しっかりと補償されている安心感をもつことが大事です。