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2025.01.31

動産保険と火災保険違い?どんな事故?加入メリットや注意点?いる?いらない?について回答します。

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著者情報 森 逸行 FP歴15年 経験した事を伝え解決に導く『金融パーソナルトレーナー』

動産保険と火災保険違い?事故の対象は?加入メリットや注意点?いる?いらない?について回答します。

 保険業界は時代の変化に対応すべく、ひと昔前と比べ、様々な損害保険商品が開発され、販売されています。

なかには似たような補償内容のものが販売されて、多くの消費者の混乱を招くこともあります。

似たような保険のひとつとして、動産総合保険と火災保険があります。

今回の記事では、動産総合保険に焦点をあてて、適宜火災保険との比較を交えつつ、質問に対する回答を通じて解説していきたいと思います。  

質問:動産総合保険の補償内容と火災保険とでは何が違うのでしょうか?

コピー機や複合機のリース業をしています。

先日懇意にしている保険会社の営業担当者から、動産総合保険の加入をすすめられました。

そもそも動産総合保険とはどういう保険なのでしょうか?

パンフレットを確認しても火災保険とよく似ていて、イマイチ違いがわかりません。

私としては火災保険で設備什器にしっかりかけているので十分だと考えておりました。

動産総合保険の補償内容と火災保険とでは何が違うのでしょうか。

教えてください。 

回答:よく似ていますが火災保険と動産総合保険は異なります。

損害保険の現場に身を置いていると、家財を補償対象とした火災保険(以下、火災保険と表記します)と動産総合保険について、その違いの問い合わせをよく受けます。

たしかに質問者様おっしゃる通り、火災保険と動産総合保険はよく似ています。

どちらも動産を補償対象とすることができる等、共通点もあるため、非常に紛らわしいのは事実です。

しかし火災保険と動産総合保険とでは以下の点で異なります。 

・火災保険は建物内の家財一式といったように、補償対象に対して包括的に保険金額を設定するのに対して、動産総合保険は1個、もしくは1組に対して個別に保険金額を設定します。 

・火災保険では家財は建物内にある場合のみが補償対象となる(持ち出した場合は補償対象とならない)のに対し、動産総合保険は動産そのものに個別に保険がかかっているので、建物内にあるか否かは問われません。 

・火災保険は1個、もしくは1組30万円以上の高価な家財は明記物件として申告しなければ補償対象とはなりません。また申告したとしても限度額があります(限度額の設定は保険会社によって異なります)。それに対して動産総合保険は、保険金額の設定に自由度があります。 

・火災保険では地震保険を付帯することで地震に対する補償を担保できますが、動産総合保険の場合、地震に対する補償がありません。 

このように上記の点で火災保険と動産総合保険は異なります。

それぞれの保険の持つ特徴と、補償対象とする動産を加味し、適切に付保するようにしましょう。 

動産保険と火災保険違い?事故の対象は?加入メリットや注意点?いる?いらない?について回答します。-2

質問:動産総合保険ではどんな事故が対象になるのでしょうか?

動産総合保険ではどんな事故が対象になるのでしょうか?

補償内容は確認したつもりですが、具体的な事故事例がどうもイメージしづらいです。

実際の事故事例について、いくつか教えてほしいです。 

回答:火災保険と動産総合保険の補償内容についての大まかに比較しました。

まず火災保険と動産総合保険の補償内容について、大まかな比較をしました。

以下の比較表をご確認ください。 

火災保険 動産総合保険 補償内容比較

火災保険動産総合保険
火災
落雷
破裂・爆発
風災・ひょう災・雪災
水災×
盗難
外部からの物体の衝突
水濡れ
破損・汚損等
地震・噴火・津波×

火災保険と動産総合保険の補償内容を比較すると、上記のようになります(保険会社によって若干の差異はあります)。

なお火災保険は、たとえば水災補償や地震補償は削除したりと、補償をある程度ニーズに合わせて組み合わせたりすることができます。

一方で動産総合保険は、基本的に補償設計の自由がないパッケージ商品となっております。

保険会社によっては特約が用意されていたりするので、詳細は必ず確認するようにしましょう。

動産総合保険の保険金支払い事例

参考までに、動産総合保険において想定される保険金支払い事例をいくつか紹介します。 

・インテリア家具を倉庫から店舗へ配送中、商品を積んだトラックが交通事故を起こしてしまい、炎上。トラックに積んであった商品が損害を受けた。
・演奏発表会のため、大きな管楽器を担いでの移動中、うっかり階段を踏み外し、転倒してしまう。担いでいた管楽器が損傷してしまった。
・事務所の金庫に現金と小切手を保管していたところ、火災が発生。現金、小切手が金庫もろとも焼失してしまった。
・展示会に展示する絵画を運んでいたところ、輸送車が事故を起こしてしまい、展示予定であった絵画を汚損させてしまった。 

なお実際に損害があった場合には、可能な限りすみやかに保険会社へ損害報告するとともに、証拠写真等、損害状況を証明できる資料の手配が必要になります。

具体的な資料は保険会社の事故担当者から指示がありますので、確認するようにしましょう。 

質問:動産総合保険をかけることのメリットは何がありますか?

動産総合保険をかけることのメリットは何がありますか?

火災保険と補償が似ているので、うまく活用して合理的に付保できればと思っております。

火災保険にはない動産総合保険ならではの補償・メリットについて知りたいです。 

回答:火災保険にはない補償があり、動産総合保険ならではの強みがある。

動産総合保険はたしかに火災保険とよく似た補償内容をもっています。

しかし火災保険にはない補償内容を持っています。

動産総合保険ならではの強みをいくつか紹介したいと思います。 

補償を付保したい動産を個別に指定できる

動産総合保険のもつ特性上、補償対象とする動産を特定する必要があります。

補償対象を特定することでメリットが発生するのです。たとえば保管中から輸送中まで、どの流通過程においても補償することができるようになります。

火災保険であれば、建物内に所在している家財のみが補償対象となるのと違い、動産総合保険は広い範囲で補償できるというのが強みです。

高額な貴金属や骨とう品等に対して、保険金額設定が自由にできる

火災保険であれば、高額な貴金属や骨とう品を補償対象とするためには、明記物件として申告する必要があります。

また申告したとしても補償できる額には限度があります(保険会社によって限度額が異なります)。

それに対して動産総合保険では高額な動産に対しても保険金額を自由に設定できるのです。動産総合保険ならではの強みといえます。

補償したい流通過程を指定できる

動産総合保険ではどの流通過程でも補償対象とすることができますが、逆に特定の流通過程のみを補償するといった設計もできます。

たとえば商品の輸送は専属の運送業者に任せているので、その間のリスクは不要といった場合には、輸送中不担保にするなど、保険の設計に自由度が認められています。 

このように動産総合保険ならではの強みがいくつか考えられます。

商品の製造から運送、販売までをワンストップで行っている製造業者や、高価な商品を取り扱う卸売業者、オフィス機器のリース業者は動産総合保険をうまく活用することで合理的なリスク対策ができるのではないでしょうか。

ぜひ参考にしてください。 

質問:動産総合保険をかけるうえで注意点はどのような点でしょうか?

動産総合保険をかけるうえで注意すべき点はどのような点でしょうか?

補償内容を勉強して、とても魅力的な保険だなと思いました。

高価な骨とう品や貴金属の運送をともなう仕事をしているので、動産総合保険でリスクヘッジしたいと思っております。

注意すべき点等あればいくつか教えてください。 

回答:最低限ここだけはおさえておきたい注意点をいくつか紹介します。

質問者様おっしゃる通り、動産総合保険はとても魅力的な補償内容をもった保険商品です。

しかし保険を付保するうえで注意すべき点があるのも事実です。

最低限ここだけはおさえておきたい注意点をいくつか紹介します。

補償対象外となる動産に注意

動産総合保険は動産であれば無制限に補償対象とできるわけではありません。

以下のものは動産総合保険では補償対象外となります。 

・自動車・・・自動車保険で引き受ける
・組立中の機械・・・組立保険で引き受ける
・船舶・・・船舶保険で引き受ける
・航空機・・・航空機保険で引き受ける

保険料の注意点

動産総合保険は補償過程が広い分、火災保険と比較すると保険料は高く設定されています。

補償する金額に対して保険料が高いとあまり保険としての意味はありません。

補償対象とする動産をしっかり選別し、安価なものはあえて補償を付保しないという選択肢も検討しましょう。

補償内容の注意点

動産総合保険は火災保険と比較すると補償過程は広いものの、補償対象とするリスクは狭い作りとなっています。

具体的には、動産総合保険では「水災」「地震」の補償は担保されていません。

火災保険と同じと考えていると痛い目をみてしまいます。この点はしっかり押さえておきましょう。

火災保険との補償の重複に注意

補償内容の注意点で紹介した内容とは逆に、補償が重複するケースもあります。

たとえば動産総合保険で補償対象とした動産が事務所内に保管されているようなケースでは、動産総合保険においても、事務所の設備什器に対して付保した火災保険においても補償対象となります。

つまり動産総合保険との補償の重複が発生し、ある意味保険料の無駄払いになります。

補償の付保漏れが生じるよりは良いとの考え方もあるかもしれませんが、合理的に保険を付保するためには、対象とする動産の流通過程をよく吟味する必要があります。 

いかがでしたでしょうか。

火災保険と比較することで、動産総合保険ならではの特徴をある程度理解していただけたのではないでしょうか。

なお、動産総合保険については下記の記事でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。 

【参考記事:動産保険とは?レンタルやリース重機での保険料?メリットは?ショベルやブルドーザの保険加入を詳しく解説します。】

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