火災保険と動産保険の違い?どんな事故?加入メリットや注意点?いる?いらない?について回答します。

保険業界は時代の変化に対応すべく、ひと昔前と比べ、様々な損害保険商品が開発され、販売されています。
なかには似たような補償内容のものが販売されて、多くの消費者の混乱を招くこともあります。
似たような保険のひとつとして、動産総合保険と火災保険があります。
今回の記事では、動産総合保険に焦点をあてて、適宜火災保険との比較を交えつつ、質問に対する回答を通じて解説していきたいと思います。
目次
火災保険とは
火災保険は、建物および建物に付属する設備・家財などを対象に、火災や台風、水害といった自然災害によって被った損害を補償する保険です。
補償対象となる主なリスク
火災保険では、保険会社によって区分は若干異なりますが、主に下記のリスクを補償対象としています。
・火災、落雷、破裂・爆発
・風災・雹災・雪災
・水漏れ(給排水設備の事故による)
・盗難(一部の契約プランによる)
・水災(オプションで付加)
・破損、汚損等
保険の対象
火災保険で補償対象としているのは、主に下記のものとなります。
●建物(住宅・事務所など)・・・住宅、マンション、店舗、オフィスなどの建築物そのもの(外壁・屋根・柱・天井など)
●建物内の家財(家具・電化製品など)・・・家具、家電、衣類、食器、パソコンなど居住に必要な物品
火災保険の特徴
補償対象は主に不動産や家財、生活用動産が中心です。
建物に紐づいて契約されることが多いものの、賃貸住宅の入居者は、自分の持ち物である家財道具のみに火災保険を付保します。
建物に対する補償は、建物オーナーが付保するためです。
ただ、賃貸住宅の入居者が火元となって建物に損害を与えてしまった場合の補償として、「借家人賠償特約」を火災保険に付帯することが一般的です。
火災保険の保険金支払い事例
火災保険のイメージを具体的に持っていただくべく、保険金の支払い事例をいくつか紹介したいと思います。
事例①:住宅火災による建物全焼
【事故内容】
ガスコンロの火の不始末が原因で火災が発生し、木造2階建て住宅が全焼。
【火災保険の補償対象・保険金額】
建物・・・保険金額:1,800万円(再取得価額)
家財・・・保険金額:500万円(再取得価額)
【保険金支払い額】
約2,300万円(建物と家財の全損認定)
事例②:台風による屋根破損
【事故内容】
台風による強風で、瓦屋根の一部が飛ばされる。屋内に雨漏り被害が発生。
【火災保険の補償対象・保険金額】
建物・・・保険金額:1,500万円(再取得価額)
家財・・・保険金額:700万円(再取得価額)
【保険金支払い額】
約100万円(屋根の修繕費、ソファ・カーペット等の家財の被害を認定)
事例③:給排水設備の事故による水濡れ
【事故内容】
給排水管が破裂し、階下の部屋に漏水損害を与えた。住人が異物をトイレに流してしまったことが原因。
【火災保険の補償対象・保険金額】
家財・・・保険金額:300万円(再取得価額)
※個人賠償責任補償特約付帯(保険金額:1億円)
【保険金支払い額】
約80万円(家財の損害、階下の住人に対する賠償)
参考:地震保険とは?
本記事のテーマである「動産総合保険と火災保険の違い」とは直接関連はありませんが、火災保険が話題に出た以上、地震保険の内容についても触れておきたいと思います。
地震保険は、地震・噴火・津波による損害を補償する保険です。
火災保険ではこれらの災害による損害は原則として補償されません。
地震・噴火・津波による損害を補償するためには、別途地震保険に加入する必要があります。
地震保険の主な補償内容
地震等によって次のような損害が発生した場合に補償されます。下記に補償内容の具体例を整理しました。
損害の種類 |
解説 |
地震による火災 |
地震を直接の原因として出火した火災被害(火災保険では補償対象外)。 |
建物の倒壊 |
地震による建物の全壊・半壊など。 |
津波被害 |
地震によって発生した津波によって建物・家財が流された。 |
地盤沈下・液状化 |
地震で地盤が沈み、建物が傾いたなど。 |
噴火による被害 |
火山噴火による損害(火山灰・噴石など)。 |
加入のしかたと補償対象について
項目 |
解説 |
加入方法 |
火災保険とセットで加入(地震保険のみの単独では加入不可) |
契約対象 |
住宅用建物と家財(事業用建物や動産は原則対象外) |
保険期間 |
1年または火災保険と同一(最長5年) |
補償限度額 |
火災保険の保険金額の30〜50%が上限 |
例)火災保険で建物2,000万円の補償 → 地震保険は最大1,000万円
保険金の支払い基準(損害区分)
地震保険では、損害の程度に応じて次のように定額で支払われます。
項目 |
支払割合 |
例)保険金額1,000万円の場合 |
全損 |
100% |
1,000万円 |
大半損 |
60% |
600万円 |
小半損 |
30% |
300万円 |
一部損 |
5% |
50万円 |
※鑑定により損害区分が決定されます。
地震保険の保険金支払い事例
地震保険についても、補償のイメージを具体的に持っていただくべく、保険金の支払い事例をいくつか紹介したいと思います。
事例①:築40年の木造住宅(全損判定)
【概要】
・地域:宮城県石巻市(東日本大震災)
・建物:木造2階建て住宅、築40年
【被害状況】
津波により1階部分が水没、構造材が流出。
家財もほぼ全壊。
【地震保険金額と損害割合、支払保険金】
建物:1,000万円 × 100%(全損)=1,000万円
家財:500万円 × 100%(全損)=500万円
⇒ 合計1,500万円支払い
事例②:築15年の軽量鉄骨住宅(小半損判定)
【概要】
・地域:熊本県熊本市(熊本地震)
・建物:軽量鉄骨造、築15年
【被害状況】
外壁に複数のひび割れ。
屋根瓦の一部が落下。
内装(クロスやフローリング)の損傷。
【地震保険金額と損害割合、支払保険金】
建物:1,500万円 × 30%(小半損)=450万円
⇒ 450万円支払い
事例③:分譲マンション6階(家財のみ契約、一部損)
【概要】
・地域:大阪府大阪市(大阪北部地震・2018年)
・建物:RC構造マンション、築20年
【被害状況】
家具が転倒し、テレビ・パソコンなどの家財が破損。
食器棚が倒れて中身の食器類も複数割れる。
【地震保険金額と損害割合、支払保険金】
家財:300万円 × 5%(一部損)=15万円
⇒ 15万円支払い
事例④:新築住宅で大半損(構造の歪み)
【概要】
・地域:北海道厚真町(北海道胆振東部地震)
・建物:木造平屋、築3年
【被害状況】
地盤の液状化により家が傾く。
柱や基礎部分に目に見える歪みとひびが発生。
【地震保険金額と損害割合、支払保険金】
建物:2,000万円 × 60%(大半損)=1,200万円
⇒ 1,200万円支払い
事例⑤:空き家でも保険金支払いあり
【概要】
・地域:福島県(東日本大震災)
・建物:木造、空き家(定期的に点検あり)
【被害状況】
倒壊はしていないが、基礎の亀裂と屋根瓦の広範な損傷が発生。
【地震保険金額と損害割合、支払保険金】
建物:1,200万円 × 30%(小半損)=360万円
⇒ 360万円支払い
保険料の特徴
地震保険は、火災保険を初めとする多くの損害保険とは、保険料の算出の方法が異なっています。その特徴を下記にまとめておりますので、参考にしてください。
特徴 |
内容 |
都道府県ごとに異なる |
地震リスクに応じて保険料が変わる(高リスク地域は高額となる)。 |
建物の構造で変動 |
木造(H構造)と耐火構造(T構造)、マンション構造(M構造)で保険料が異なる。 |
保険料割引あり |
耐震等級・免震構造・建築年によって最大50%割引が可能。 |
国が運営に関与 |
民間保険会社が販売するが、政府と共同運営されており安心感がある。 |
メリットと注意点
地震保険のまとめとして、地震保険ならではのメリットと注意点を解説します。
メリット
・地震災害という大規模リスクに備えることができる。
・火災保険では補償されない部分をカバーできる(火災保険では、地震を直接の原因とする火災は補償対象外)。
・国の再保険制度による安心感がある。
・所得税・住民税の面で地震保険料控除が適用可能
注意点
・補償額が火災保険より少ない(最大で火災保険金額の50%、または建物は5,000万円、家財は1,000万円のいずれか低い額)
・すべての地震被害に満額支払いされるわけではない(損害区分による)
・加入は火災保険とセットでしかできない
動産総合保険とは?
動産総合保険は、名前の通り「動く財産(=動産)」を対象とした保険で、特定のリスクに限らず、多くの偶発的事故による損害を幅広く補償します。
補償対象となる主なリスク
・火災、落雷、破裂・爆発
・風災、雹災、雪災
・落下・飛来・衝突
・水濡れ
・いたずら
・盗難
・破損
・運送中の事故
※「オールリスク型」の契約であれば、特定の免責事由(戦争・故意など)以外の事故はほぼ補償対象になります。
保険の対象
・機械設備
・商品・在庫品
・美術品・骨董品
・パソコン・精密機器
・展示物・貸出品 など
※契約の締結にあたっては、補償対象物を特定する必要があります(家財道具一式、等といった付保の仕方はできないということです)。
動産総合保険の特徴
事業に使用する設備や機械類に付保するという活用が大半のため、主に企業や事業者向けの損害保険になります。
建物に固定されていない動産が補償の対象となり、倉庫での保管中や配送中の事故もカバーできます。
また、運送保険と組み合わせて使われることもあります。
動産総合保険の保険金支払い事例
動産総合保険についても、険金の支払い事例をいくつか紹介したいと思います。
事例①:倉庫内在庫商品の火災による焼失
【事故内容】
隣接工場からの延焼で、自社倉庫内の商品(在庫品・什器含む)が全焼。
【動産総合保険の付保状況】
・在庫商品(1,200万円)
・作業用機器(80万円)
【保険金支払額】
約1,250万円(保険金額設定に基づく時価評価)
事例②:精密機械の運搬中に破損
【事故内容】
取引先に搬入中、機械がトラック荷台で転倒して破損。
【動産総合保険の付保状況】
・精密機器本体(450万円)
【保険金支払額】
約450万円(新品同等品の取得費用として)
事例③:イベント展示中の盗難
【事故内容】
展示会で展示中の高級時計が盗難被害に遭う。
【動産総合保険の付保状況】
・展示中だった時計(100万円)
【保険金支払額】
約95万円(免責5万円を差し引いて支払い)
事例④:フォークリフト事故による商品破損
【事故内容】
倉庫内作業中にフォークリフトが商品棚に衝突し、商品多数が落下・破損。
【動産総合保険の付保状況】
商品(300万円)
【保険金支払額】
約290万円(破損分の評価による)
動産総合保険と地震保険について
地震保険は火災保険とセットで付保することが原則となっていて、地震保険のみを単体で契約することは、基本的にはできません。
なぜなら地震保険は、住宅用建物・家財を対象とした、国の法律(地震保険法)に基づく制度だからです。
この原則は動産総合保険に関しても同様で、特定の動産を対象に、地震保険のみを付保することはできません。
さらに動産総合保険に関して言うと、補償の対象が主に事業用の動産(機械・商品・什器など)となるので、動産総合保険に「地震保険」という形で付帯することも、基本的にはできません。
ただし、以下のような形で地震による損害に備える方法があります。
1.地震危険担保特約(動産総合保険に付加)・・・一部の保険会社では、地震による「火災」や「破損」などをカバーする特約を設定可能
2.企業向け地震補償保険(単体契約)・・・別途、企業財産に対する地震損害を補償する専用商品も存在(例:地震災害包括保険など)
3.火災保険の地震特約との併用・・・建物・什器など不動産部分は火災保険+地震保険、商品や機械は別設計にて対応することが多い
ただし上記の取り扱いは保険会社によって異なります。
取り扱い不可としている保険会社もありますので、事前に必ず確認するようにしましょう。
また多くの場合、地震補償は保険料が高額になる傾向があり、支払限度額や免責金額が大きく設定されることもあります。
倉庫や工場の所在地が地震多発地域(南海トラフ想定エリアなど)の場合、地震補償の選択肢が制限されることもおさえておきましょう。
火災保険と動産総合保険の違い
ここまで解説した火災保険と動産総合保険の違いを、各項目ごとに整理したいと思います。
補償の違い
比較項目 |
火災保険 |
動産総合保険 |
補償対象 |
建物・家財 |
動産(動く財産) |
主な対象者 |
個人・住宅所有者 |
企業・事業者 |
補償範囲 |
火災や風災など主に自然災害 |
火災・盗難・破損など幅広いリスク |
補償の網羅性 |
限定的 |
広範囲 |
移動中の補償 |
基本的に対象外 |
補償対象になる |
火災保険の保険料の目安と決定要素
・保険料の相場(個人住宅の場合):
約 30,000円~100,000円(建物のみ、補償内容により変動)
※木造住宅(延床面積100㎡、東京都、5年契約)の場合
・保険料に影響する主な要素
建物の構造(木造か鉄筋か鉄骨か等による)
建物の所在地(災害リスクが地域によって異なる)
補償範囲(火災のみ or 水災・盗難もカバーするか等による)
保険期間(1年/3年/5年など)
家財補償の有無と金額
動産総合保険の保険料の目安と決定要素
・保険料の相場(中小企業向け/在庫商品・設備など1,000万円相当の場合):
年間保険料:約70,000円~200,000円 以上
(※補償内容・対象資産・業種により大きく異なる)
・保険料に影響する主な要素:
保険の対象(商品・在庫・機械・什器など)
補償範囲(破損・盗難・落下・輸送中も含めるか)
所在地や使用環境(工場/倉庫/屋外など)
資産の管理状況(盗難防止対策の有無など)
損害率(業種ごとの事故発生傾向)
保険料の比較から分かる、賢い選び方
【個人・住宅所有者の場合】
補償対象も明確で、基本的に火災保険で十分なケースほとんどです。火災保険が必要となるシーンは主に下記のときです。
・自宅や所有ビルなどの建物に対するリスクに備えたい
・住宅ローン契約に伴って保険加入が求められている
・家財もまとめて補償しておきたい
上記のシーンは主に個人・住宅所有者にあてはまります。事業者であっても、自社ビルの建物やテーブル・椅子といった備品類は火災保険でカバーできます。家財についても、重要な資産であれば動産総合保険での追加補償を検討する余地はありますが、火災保険で明記物件特約を付帯することで、ある程度高価な財物をカバーすることも可能となっています。
【企業・事業者の場合】
高価な設備や商品を扱う業種は、事故リスクが高いため保険料は割高となってしまいますが、リスク回避効果も大きいため、動産総合保険の検討は必須です。動産総合保険が必要となるのは、主に下記のシーンです。
・製品や商品など移動する資産を取り扱っている企業
・展示会やイベントで高価な機材や美術品を運搬・使用する
・盗難や破損など偶然の事故リスクにも幅広く備えたい
動産総合保険の付保にあたっては、適切な評価額の設定と補償範囲のバランスが重要となります。
質問:動産総合保険の補償内容と火災保険とでは何が違うのでしょうか?
コピー機や複合機のリース業をしています。
先日懇意にしている保険会社の営業担当者から、動産総合保険の加入をすすめられました。
そもそも動産総合保険とはどういう保険なのでしょうか?
パンフレットを確認しても火災保険とよく似ていて、イマイチ違いがわかりません。
私としては火災保険で設備什器にしっかりかけているので十分だと考えておりました。
動産総合保険の補償内容と火災保険とでは何が違うのでしょうか。
教えてください。
回答:よく似ていますが火災保険と動産総合保険は異なります。
損害保険の現場に身を置いていると、家財を補償対象とした火災保険(以下、火災保険と表記します)と動産総合保険について、その違いの問い合わせをよく受けます。
たしかに質問者様おっしゃる通り、火災保険と動産総合保険はよく似ています。
どちらも動産を補償対象とすることができる等、共通点もあるため、非常に紛らわしいのは事実です。
しかし火災保険と動産総合保険とでは以下の点で異なります。
・火災保険は建物内の家財一式といったように、補償対象に対して包括的に保険金額を設定するのに対して、動産総合保険は1個、もしくは1組に対して個別に保険金額を設定します。
・火災保険では家財は建物内にある場合のみが補償対象となる(持ち出した場合は補償対象とならない)のに対し、動産総合保険は動産そのものに個別に保険がかかっているので、建物内にあるか否かは問われません。
・火災保険は1個、もしくは1組30万円以上の高価な家財は明記物件として申告しなければ補償対象とはなりません。また申告したとしても限度額があります(限度額の設定は保険会社によって異なります)。それに対して動産総合保険は、保険金額の設定に自由度があります。
・火災保険では地震保険を付帯することで地震に対する補償を担保できますが、動産総合保険の場合、地震に対する補償がありません。
このように上記の点で火災保険と動産総合保険は異なります。
それぞれの保険の持つ特徴と、補償対象とする動産を加味し、適切に付保するようにしましょう。
質問:動産総合保険ではどんな事故が対象になるのでしょうか?
動産総合保険ではどんな事故が対象になるのでしょうか?
補償内容は確認したつもりですが、具体的な事故事例がどうもイメージしづらいです。
実際の事故事例について、いくつか教えてほしいです。
回答:火災保険と動産総合保険の補償内容についての大まかに比較しました。
まず火災保険と動産総合保険の補償内容について、大まかな比較をしました。
以下の比較表をご確認ください。
火災保険 動産総合保険 補償内容比較
火災保険 | 動産総合保険 | |
---|---|---|
火災 | 〇 | 〇 |
落雷 | 〇 | 〇 |
破裂・爆発 | 〇 | 〇 |
風災・ひょう災・雪災 | 〇 | 〇 |
水災 | 〇 | × |
盗難 | 〇 | 〇 |
外部からの物体の衝突 | 〇 | 〇 |
水濡れ | 〇 | 〇 |
破損・汚損等 | 〇 | 〇 |
地震・噴火・津波 | 〇 | × |
火災保険と動産総合保険の補償内容を比較すると、上記のようになります(保険会社によって若干の差異はあります)。
なお火災保険は、たとえば水災補償や地震補償は削除したりと、補償をある程度ニーズに合わせて組み合わせたりすることができます。
一方で動産総合保険は、基本的に補償設計の自由がないパッケージ商品となっております。
保険会社によっては特約が用意されていたりするので、詳細は必ず確認するようにしましょう。
動産総合保険の保険金支払い事例
参考までに、動産総合保険において想定される保険金支払い事例をいくつか紹介します。
・演奏発表会のため、大きな管楽器を担いでの移動中、うっかり階段を踏み外し、転倒してしまう。担いでいた管楽器が損傷してしまった。
・事務所の金庫に現金と小切手を保管していたところ、火災が発生。現金、小切手が金庫もろとも焼失してしまった。
・展示会に展示する絵画を運んでいたところ、輸送車が事故を起こしてしまい、展示予定であった絵画を汚損させてしまった。
なお実際に損害があった場合には、可能な限りすみやかに保険会社へ損害報告するとともに、証拠写真等、損害状況を証明できる資料の手配が必要になります。
具体的な資料は保険会社の事故担当者から指示がありますので、確認するようにしましょう。
質問:動産総合保険をかけることのメリットは何がありますか?
動産総合保険をかけることのメリットは何がありますか?
火災保険と補償が似ているので、うまく活用して合理的に付保できればと思っております。
火災保険にはない動産総合保険ならではの補償・メリットについて知りたいです。
回答:火災保険にはない補償があり、動産総合保険ならではの強みがある。
動産総合保険はたしかに火災保険とよく似た補償内容をもっています。
しかし火災保険にはない補償内容を持っています。
動産総合保険ならではの強みをいくつか紹介したいと思います。
補償を付保したい動産を個別に指定できる
動産総合保険のもつ特性上、補償対象とする動産を特定する必要があります。
補償対象を特定することでメリットが発生するのです。たとえば保管中から輸送中まで、どの流通過程においても補償することができるようになります。
火災保険であれば、建物内に所在している家財のみが補償対象となるのと違い、動産総合保険は広い範囲で補償できるというのが強みです。
高額な貴金属や骨とう品等に対して、保険金額設定が自由にできる
火災保険であれば、高額な貴金属や骨とう品を補償対象とするためには、明記物件として申告する必要があります。
また申告したとしても補償できる額には限度があります(保険会社によって限度額が異なります)。
それに対して動産総合保険では高額な動産に対しても保険金額を自由に設定できるのです。動産総合保険ならではの強みといえます。
補償したい流通過程を指定できる
動産総合保険ではどの流通過程でも補償対象とすることができますが、逆に特定の流通過程のみを補償するといった設計もできます。
たとえば商品の輸送は専属の運送業者に任せているので、その間のリスクは不要といった場合には、輸送中不担保にするなど、保険の設計に自由度が認められています。
このように動産総合保険ならではの強みがいくつか考えられます。
商品の製造から運送、販売までをワンストップで行っている製造業者や、高価な商品を取り扱う卸売業者、オフィス機器のリース業者は動産総合保険をうまく活用することで合理的なリスク対策ができるのではないでしょうか。
ぜひ参考にしてください。
質問:動産総合保険をかけるうえで注意点はどのような点でしょうか?
動産総合保険をかけるうえで注意すべき点はどのような点でしょうか?
補償内容を勉強して、とても魅力的な保険だなと思いました。
高価な骨とう品や貴金属の運送をともなう仕事をしているので、動産総合保険でリスクヘッジしたいと思っております。
注意すべき点等あればいくつか教えてください。
回答:最低限ここだけはおさえておきたい注意点をいくつか紹介します。
質問者様おっしゃる通り、動産総合保険はとても魅力的な補償内容をもった保険商品です。
しかし保険を付保するうえで注意すべき点があるのも事実です。
最低限ここだけはおさえておきたい注意点をいくつか紹介します。
補償対象外となる動産に注意
動産総合保険は動産であれば無制限に補償対象とできるわけではありません。
以下のものは動産総合保険では補償対象外となります。
・自動車・・・自動車保険で引き受ける
・組立中の機械・・・組立保険で引き受ける
・船舶・・・船舶保険で引き受ける
・航空機・・・航空機保険で引き受ける
保険料の注意点
動産総合保険は補償過程が広い分、火災保険と比較すると保険料は高く設定されています。
補償する金額に対して保険料が高いとあまり保険としての意味はありません。
補償対象とする動産をしっかり選別し、安価なものはあえて補償を付保しないという選択肢も検討しましょう。
補償内容の注意点
動産総合保険は火災保険と比較すると補償過程は広いものの、補償対象とするリスクは狭い作りとなっています。
具体的には、動産総合保険では「水災」「地震」の補償は担保されていません。
火災保険と同じと考えていると痛い目をみてしまいます。この点はしっかり押さえておきましょう。
火災保険との補償の重複に注意
補償内容の注意点で紹介した内容とは逆に、補償が重複するケースもあります。
たとえば動産総合保険で補償対象とした動産が事務所内に保管されているようなケースでは、動産総合保険においても、事務所の設備什器に対して付保した火災保険においても補償対象となります。
つまり動産総合保険との補償の重複が発生し、ある意味保険料の無駄払いになります。
補償の付保漏れが生じるよりは良いとの考え方もあるかもしれませんが、合理的に保険を付保するためには、対象とする動産の流通過程をよく吟味する必要があります。
いかがでしたでしょうか。
火災保険と比較することで、動産総合保険ならではの特徴をある程度理解していただけたのではないでしょうか。
なお、動産総合保険については下記の記事でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。
【参考記事:動産保険とは?レンタルやリース重機での保険料?メリットは?ショベルやブルドーザの保険加入を詳しく解説します。】