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2024.11.13

破損・汚損・不測かつ突発的な事故の火災保険金支払い事例20件を一挙公開

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著者情報 森 逸行 FP歴15年 経験した事を伝え解決に導く『金融パーソナルトレーナー』

破損・汚損・不測かつ突発的な事故の保険金支払い事例20件を一挙公開

 住宅を持つ多く人が火災保険に加入していると思います。

住宅を持たない人であっても、賃貸で入居する際、家財道具を対象に火災保険に加入することになります。

損害保険の現場に身を置いて日々お客様とお話していると「火災保険」は、その名称のせいなのか、火災の場合にしか補償されないと思われている方が非常に多いことを実感します。

実際には自然災害に代表される、住宅を取り巻くリスクを幅広く補償としているのです。

ここで一点質問です。

火災保険の商品パンフレットや保険証券を見たときに、補償するリスクの欄に記載のある「破損・汚損」や「不測かつ突発的な事故」って具体的に何のことだろうと思った人は多いのではないでしょうか。

今回の記事では、火災保険の「破損・汚損」「不測かつ突発的な事故」の定義について解説し、実際の損害事例を紹介します。 

目次

「破損・汚損」・「不測かつ突発的な事故」とは

火災保険では補償対象となる事故の区分を細かく分類しています。

分類区分の定義は保険会社によって異なりますが、概ね下記のような分類となります。 

火災保険:補償対象となる事故の区分

①火災、落雷、破裂・爆発
②風災、雹災、雪災
③水ぬれ
④盗難
⑤水災
⑥破損、汚損等
(上記は、某大手損害保険会社の家庭用火災保険における分類です) 

ここで、⑥に「破損、汚損等」が出てくるのですが、上記で紹介した某大手損害保険会社のパンフレットでは、「破損、汚損等」を不測かつ突発的な事故をいいますと定義し、下記のような損害事例を案内しています。 

建物の例

●自転車が飛び込んできて、建物が損害を受けた。

●家具をぶつけて壁を壊してしまった。

家財の例

●誤ってコーヒーをこぼしてパソコンを壊した。

●子供がテレビにぶつかって、壊してしまった。

 

このように事例の記載はあるものの、明確な定義の説明はないのです。

損害保険の支払いにおける重要な要素として、「急激」「偶然」「外来」という3要素があります。

これに当てはめると、「破損・汚損等」とは、①~⑤の分類に該当しないけれども、急激かつ偶然な外来の事故ということができます。

なお保険会社によって、「破損、汚損等」を「不測かつ突発的な事故」と表現するところもあり、両者はほぼ同義と考えて差し支えありません。

破損・汚損・不測かつ突発的な事故の保険金支払い事例20件を一挙公開-2

破損・汚損:損害事例を紹介

ここで実際の保険金の支払い事例について紹介したいと思います。

「破損・汚損等」、「不測かつ突発的な事故」はうっかりという要素が強い事故ですが、数百万円を超える高額の保険金の認定となった事例もあります。

決してうっかりでは済まされない金額です。

ぜひ下記の事例を参考にしてください。

事故内容・詳細:フローリングのタイルを破損する。

キッチンのカップボードより陶器を落としてしまい、フローリングのタイルを破損する。

保険金支払額:99,880円

事故内容・詳細:ガラスに接触しガラスを破損する。

荷物の整理で棚を移動中に、ガラスに接触しガラスを破損する。

保険金支払額:40,300円

事故内容・詳細:梯子の横木が折れる。

2階のロフトに上る際に梯子を登っていたら、梯子の横木が折れる。

保険金支払額:44,000円

事故内容・詳細:アスファルト部分にクラックが発生する。

隣家回収工事の影響で建物スロープのアスファルト部分にクラックが発生する。

保険金支払額:192,500円

事故内容・詳細:屋外のダクト換気用モーターのベルトが外れる。

屋外のダクト換気用モーターのベルトが外れる。モーターに何かが当たり、回転軸が曲がりベルトが外れた。

保険金支払額:648,800円

事故内容・詳細:屋外のダクト換気用モーターのベルトが外れる。

厨房排水管のジョイント部分が割れて外れる。管内の廃棄物の詰まりが原因。

保険金支払額:75,300円

事故内容・詳細:退去時にぶつけて破損・脚立で加重してへこませる・クロス破損

退去時の確認で3点の修理費用の請求あり。①屋根裏部屋ボード張替え(退去時にぶつけて破損)。②フローリング部分張替(脚立で加重してへこませる)。③クロス穴補修(棚を移動する際に破損)。

保険金支払額:112,880円

事故内容・詳細:厨房床からの漏水。

厨房床からの漏水。

保険金支払額:1,488,224円

事故内容・詳細:給排水管の破損箇所より漏水

給排水管の破損箇所より漏水し、階下の店舗に漏水する。

保険金支払額:6,230,447円

事故内容・詳細:レジスターに接触し破損。

お客様がレジスターに接触し破損。

保険金支払額:672,000円

事故内容・詳細:インバータの電流設定を誤りモーター昇温による焼損。

プラント工事引き渡し後、試運転不可確認作業中にルーフファンやインバータの電流設定を誤りモーター昇温による焼損。

保険金支払額:272,498円

事故内容・詳細:地球儀を倒して破損。

掃除機のコードで地球儀を倒して破損。

保険金支払額:83,800円

事故内容・詳細:移動の際にドアにぶつけ破損。

洗濯機移動の際にドアにぶつけ破損。

保険金支払額:87,780円

事故内容・詳細:3階床と2階天井エアコン内に漏水。

3階厨房食洗水道を出しっぱなしにし、3階床と2階天井エアコン内に漏水。

保険金支払額:1,362,445円

事故内容・詳細:大型冷蔵庫を移動中に破損。

厨房で大型冷蔵庫を移動中、空調設備操作盤に当ててしまい、操作盤を破損。

保険金支払額:345,400円

事故内容・詳細:移動中に冷凍庫を落として角で床クロスに穴をあける。

厨房内の戸棚に保管中の液体調味料ボトルが倒れ液だれし、真下の冷蔵庫の基盤に入り冷蔵庫が動かなくなる。また、冷凍庫で移動中に冷凍庫を落として角で床クロスに穴をあける。

保険金支払額:4,102,300円

事故内容・詳細:塀に木材をぶつけてしまい破損。

木工材を移動する際に塀に木材をぶつけてしまい破損。

保険金支払額:447,800円

事故内容・詳細:床タイルを破損。

冷蔵庫から瓶を落とし、床タイルを破損。

保険金支払額:42,300円

事故内容・詳細:換気扇の羽が破損。

設置後試運転中の換気扇の羽が破損。

保険金支払額:668,300円

事故内容・詳細:つまずいてテレビに激突し破損させてしまう。

掃除機のコードにつまずいて、テレビに激突し破損させてしまう。

保険金支払額:400,870円 

 

上記のように、「破損・汚損等」、「不測かつ突発的な事故」は非常に幅広く補償してくれます。

漏水等、水回りの事故でも「破損・汚損等」、「不測かつ突発的な事故」として認定されると、支払い保険金額も高額化する傾向にあります。

前提として、事故が起こらないように日頃から注意して生活することは必要ですが、うっかりは誰にでもあるものです。

そのような場合に備えて火災保険もしっかりと補償しておくことは重要です。 

破損・汚損・不測かつ突発的な事故の保険金支払い事例20件を一挙公開-3

勘違いされやすい保険金支払対象外の事例を紹介

これまで紹介したように、「破損・汚損等」、「不測かつ突発的な事故」は非常に幅広い補償内容ということが言えます。

そうは言っても無制限に補償してくれるわけではありません(無制限に補償してしまうと、保険制度そのものが成り立たなくなってしまいます)。

保険金の支払い対象外となるケースで、勘違いされやすい事例を含めて紹介したいと思います。 

故意によるもの

わざと壊したり汚損させたりした場合は補償対象外になります。

感覚的に理解できるとは思いますが、損害保険の現場で日々活動していると、実際にこのようなケースでも保険金請求の相談を受けることは多々あります。

なお、幼児や子供が遊んでいる中で物を壊してしまったような場合は補償の対象となりますので参考にしてください。 

経年劣化によるもの

「破損・汚損」、「不測かつ突発的な事故」とは?の項でも説明しましたが、損害認定における重要な要素として、「急激」「偶然」「外来」という3つの要素があります。

それにあてはめると、経年劣化とは通常の使用によって品質・性能が劣化することを意味し、「急激」「偶然」「外来」には該当しません。

火災保険に限らず、物保険全般に言えることですが、経年劣化は保険金の支払対象外となりますので、覚えておきましょう。 

スマホ、眼鏡の損害

スマホや眼鏡の損害に関しては、「破損・汚損」、「不測かつ突発的な事故」の補償対象とはなりません。

これらは家財に該当するのではないか?とよく勘違いをされますが、これらはよく身につけているもの、持ち歩くもの(携行品)という解釈となっており、ほとんどの保険会社で免責(保険金の支払対象外)としています。 

家財でも自宅の外に持ち出した場合

家財の損害であっても、自宅外に持ち出した際に被った損害は補償の対象外となります。

あくまで補償の対象となるのは、自宅建物内の損害に限られます。たとえばノートPCを持ち出してコーヒーショップで作業をしていた際に被った損害は補償対象外となります。

これは非常によく勘違いされる事案です。 

ペットによるもの

たとえば飼い犬が自宅の絨毯にオシッコしてしまったといった事例や、猫が自宅の柱を爪とぎに使って破損させてしまった、といった事例は補償対象外となります。 

機能面で問題がない場合

たとえばDVDプレイヤーを持ち運んでいる際に、うっかり落としてしまったとします。

プレイヤーの外側部分に擦り傷ができてしまったが、再生や音源に一切問題がないような場合は補償対象外となります。

このように、ちょっとした破損で機能面で問題が生じていないような場合は「破損・汚損等」、「不測かつ突発的な事故」の対象とはなりません。 

まとめ

今回の記事では、火災保険の「破損・汚損等」、「不測かつ突発的な事故」に焦点をあてて、その具体的な支払事由や支払対象外となるケースについて解説し、実際の損害事例についても紹介しました。

火災保険は昔と比べて非常に幅広く補償してくれるように商品改正されました。

とりわけ「破損・汚損等」、「不測かつ突発的な事故」については支払事由も幅広く、火災保険の支払い件数の大半がこの事由となっているのです。

ここで大事になってくるのが、支払い対象となる場合、ならない場合について正しく理解することです。

日ごろから気を付けて日常生活を送ることが損害を起こさない上での大前提ですが、それでもうっかりはありえます。

そのような場合のために、補償内容を正しく理解し、しっかり備えておきましょう。

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