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2024.07.26

自転車に個人賠償保険が義務化?自転車保険の補償内容や加入方法について解説!

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著者情報 ファイナンシャルプランナー森 逸行 FP2級・住宅ローンアドバイザー。住宅購入、投資、相続など自身の経験を活かし、実践的かつ現実的なアドバイスを提供。公的保障から資産形成まで、人生とお金をトータルサポート

自転車に賠償保険が義務化された!?

 自転車は現代社会において欠かすことのできない移動手段となっています。

レンタサイクルやシェアサイクル等、自転車を持っていない方でも手軽に利用できるサービスも普及しています。

その一方で、自転車による事故によって怪我をしたり、障害状態に陥ったり、万が一の事態を引き起こしてしまう事例があるのも事実です。

今回の記事では、自転車事故の現況と自転車保険の補償内容や加入方法について解説していきます。 

目次

自転車賠償保険(個人賠償責任保険)義務化の背景

自転車保険は、2015年に兵庫県の条例で義務化されたのを皮切りに全国に広まりました。

令和541日時点で、全国32都府県において条例によって自転車保険への加入を義務化、10道県で努力義務化する動きとなっています。

 【参考資料:国土交通省 自転車損害賠償責任保険等への加入促進】

高額賠償判決となった賠償事例

この全国の自治体での義務化、努力義務化の背景にあるのが、高額賠償事例です。

ここで、高額賠償判決となった賠償事例をいくつか紹介します。 

高額賠償判決となった賠償事例

賠償額:9,521万円

賠償額:9,521万円

事故状況

男子小学生(11歳)が夜間、帰宅途中に自転車で走行中、歩道と車道の区別のない道路において歩行中の女性(62歳)と正面衝突。女性は頭蓋骨骨折等の傷害を負い、意識が戻らない状態となった。( 神戸地方裁判所、平成25(2013)年7月4日判決)

賠償額:9,330万円

賠償額:9,330万円

事故状況

男子高校生が夜間、イヤホンで音楽を聞きながら無灯火で自転車を運転中に、パトカーの追跡を受けて逃走し、職務質問中の警察官(25歳)と衝突。警察官は、頭蓋骨骨折等で約2か月後に死亡した。(高松高等裁判所、令和2(2020)年7月22日判決)

賠償額:9,266万円

賠償額:9,266万円

事故状況

男子高校生が昼間、自転車横断帯のかなり手前の歩道から車道を斜めに横断し、対向車線を自転車で直進してきた男性会社員(24歳)と衝突。男性会社員に重大な障害(言語機能の喪失等)が残った。(東京地方裁判所、平成20(2008)年6月5日判決)

※日本損害保険協会より

 もしも自転車保険未加入で、上記のような大きな事故を起こしてしまったと考えるとゾッとするでしょう。

たとえ自転車の運転者がまだ幼い小学生だったとしても、その保護者が損害賠償責任を負わなければなりません。

危険な運転をしていた場合や、被害者が亡くなってしまったり、重い障害状態になった場合等は高額賠償となる傾向があります。

まさに自転車保険の義務化が加速している所以です。 

自転車事故をとりまく状況

警察庁のまとめによると、自転車に乗った人が死傷した交通事故は2022年に69985件(前年比291件増)に上りました。

自動車を含めた交通事故そのものの件数自体は減少傾向にあるものの、自転車の事故が交通事故全体に占める割合(自転車関与率)は増えています。

冒頭に申し上げた通り、様々な自転車のサービスが普及していることが背景にあると考えられます。 

【参考資料;警視庁 自転車事故の推移(2023年中)】

 

また、自転車事故で加害者となった人の年齢について考察すると、1318歳の若年層が一番多いというデータもあります。

自転車は利用するのに免許が不要だという手軽さがあります。

手軽であるがゆえに、事故を起こしてしまった場合の想像力や安全運転の意識が不足していることは否めません。 

自転車保険(個人賠償責任保険)の補償内容、加入方法について

ここまで説明してきたように、自転車は時に第三者に危害を加える可能性を秘めた危険な乗り物です。

高額賠償となった事例も数多く出てきており、こういったリスクにきちんと備えなければなりません。

ここで、自転車事故のリスクに備えるのに最適な自転車保険について、解説します。 

自転車保険(個人賠償責任保険)の補償内容

自転車保険で主となる補償は下記の2点です。 

・相手に対する補償
・自分自身の怪我等の補償

相手に対する補償は、自分自身に責任のある自転車事故によって相手を死傷させてしまったり、相手のモノを壊してしまった場合の、相手に対する損害賠償責任を補償するものです。

高額賠償判決となった事例で紹介したように、賠償額は数千万円~1億円を超えることもありえます。

設定保険金額は充分な金額を付保しておくべきです。

 自分自身の補償とは、自転車関連の事故によって、自分自身が死傷してしまった場合の、死亡補償や、病院への入院・通院費用を補償するものです。

自転車は相手を大怪我させてしまう危険性を持っているのと同様に、自分自身が大怪我をしてしまう危険性をもっています。

自分自身の補償についてもしっかり付保しておきましょう。 

自転車保険(個人賠償責任保険)の加入方法

自転車保険の補償内容のうち、相手に対する補償部分は比較的簡単に付保することができます。

それは、下記のような損害保険に、特約として「個人賠償責任保険」を付保することです。 

・自動車保険
・火災保険
・傷害保険

日常生活において、自身の過失から他人にケガをさせてしまった場合や他人のモノを壊してしまった場合、民事上の損害賠償の責任が生じることがあります。

このようなときの賠償金の支払いに備えられる保険が、個人賠償責任保険です。

【参考サイト:損保ジャパン 個人賠償責任保険とは】

 自転車保険の補償内容のうち、相手に対する補償部分をしっかりカバーしていることがわかります。

 一方、自転車保険の補償内容のうち、自分自身の怪我等の補償部分については、特約で付保することはできません。

傷害保険に加入することでカバーする方法が最も合理的です。

自転車を高頻度で利用する人だけでなく、スポーツやアウトドア等、アクティブに活動する人も傷害保険はおすすめです。ぜひ活用しましょう。 

その他:マンション組合で加入している火災保険に付帯されている

分譲マンションに住んでいる方は、基本マンション組合に加入しております。

マンション組合では、専有部に関しては、マンション組合が火災保険に加入しております。

このマンション組合で加入している火災保険に『個人賠償責任保険』が付帯されているケースがあります。

分譲マンションに住んでいる方は一度、マンションの管理会社や管理人に確認すると良いです。

『個人賠償責任保険』は重複して保険を使いえないこともあるので、確認する事で、重複加入の防止や生活費の削減にも繋がります。 

自転車保険Q&A:よくある質問とその回答

自転車は手軽で便利な交通手段ですが、ひとたび事故を起こすと、数千万円から1億円を超える賠償責任が発生することもありえるということをわかっていただけたと思います。

そのため、「自転車保険」の必要性が高まっているのです。ここでは、利用者から寄せられることの多い質問と回答をまとめました。

自転車保険の加入に二の足を踏んでいる方は、ぜひ参考にしてください。 

質問①:自転車保険には必ず加入しなければいけないのですか?

最近ネットのニュース等でよく自転車保険のことを耳にするのですが、自転車保険の加入は義務なのでしょうか?

私は自転車は持ってますが、それほど使用頻度はないですし、事故を起こさないよう、気を付けて運転しているので、万が一にも加害事故を起こすことはないと自負しています。

そんな私でも、自転車保険は必ず加入しなければならないのでしょうか? 

回答|実質的に義務と考えるべきです!

自転車保険の加入は、必ずしも全国一律で義務付けられているわけではありません。

しかし、近年は自転車事故による高額賠償の事例が相次いでいることから、各自治体が独自に条例を制定し、加入の義務化または努力義務化の流れが広がっているのは事実です。

自転車保険加入が義務化されている地域

自転車保険の加入義務化とされている代表的な自治体として、兵庫県・大阪府・東京都・埼玉県などがあります。

たとえば、兵庫県では2015年に全国で初めて条例により加入が義務化され、大阪府や東京都もこれに続きました。

条例に基づき、県民・府民・都民に対して「自転車を利用する場合は必ず自転車保険に加入しなければならない」と定めています。

違反した場合に直ちに罰金が科せられるわけではないものの、事故を起こした際に無保険であれば加害者自身やその家族が数千万円もの賠償金を負担しなければならず、事実上の必須加入と考えられます。

義務化されていない地域の状況

一方で、まだ義務化が進んでいない地域も存在します。

しかし、義務化されていない地域であっても、学校や会社が独自に自転車保険加入を条件としているケースが増えてきています。

例えば、子どもの通学で自転車を使う際に学校側が加入を義務付けたり、企業が社員に自転車通勤を認める条件として加入を必須とする場合などがあります。

こうした動きは、加害者・被害者双方の生活を守るために社会的に必要とされている背景があります。

なぜ加入が求められるのか

自転車保険の加入が義務付けられる最大の理由は、万が一の自転車事故で発生する賠償金が非常に高額になるからです。

過去の裁判例では、被害者が重度の後遺障害を負った結果、9,500万円もの賠償命令が出たケースもあります。

このようなリスクは誰にでも起こり得るため、保険による備えが不可欠とされているのです。

実際のところ「必ず」入るべきか?

条例上の義務がある地域に住んでいる場合はもちろん加入が必要ですが、そうでない場合でも実質的には「加入は必須」と言えます。

自転車事故は加害者・被害者双方の人生に大きな影響を及ぼすため、加入していなければ非常に大きな経済的リスクを背負うことになります。

年間数千円程度の負担で数千万円以上のリスクを回避できることを考えれば、義務化の有無にかかわらず加入すべきなのは明白です。

結論

ここまでの話をまとめると、「地域によっては条例で義務化されている」「義務化されていない地域でも事実上必須の備え」 というのが自転車保険の現状です。

したがって、自転車に乗る機会がある人は誰であっても自転車保険への加入を前向きに検討すべきと言えます。 

質問②:自転車保険ではどんな補償を受けられますか?

自転車保険の補償内容について疑問です。自転車保険の必要性については方々で耳にするのですが、実際に事故に遭った場合、どのような名目で保険金は支払われるのでしょうか?加入する上で、しっかり補償内容を把握しておきたいので、ぜひご教示ください。 

回答|自転車保険の基本となる補償内容を解説します!

自転車保険は、保険会社や付帯される特約によって補償の中身が大きく異なりますが、一般的には「他人に対する損害を補償する『個人賠償責任』」と「自分や家族のケガを補償する『傷害』」を軸に、必要に応じて各種特約が付けられる設計になっています。

ここでは各補償の内容・働き方、よくある注意点、実務上の流れや選び方まで丁寧に解説します。

主な補償内容

まずは自転車保険の主な補償内容について紹介します。保険会社によって多少の相違点はあるものの、概ね下記のような補償内容を備えています。 

◆補償①:個人賠償責任補償(もっとも重要)

【何を補償するか】
自転車を運転中に他人をケガさせた、他人のモノを壊した、などといったケースで発生する法律上の賠償金(治療費、慰謝料、逸失利益、将来の介護費用、訴訟費用など)を保険が支払います。 

【特徴】
高額賠償化しやすい(死亡・重度の後遺障害が残ると数千万円〜数億円規模にもなる事例あり)。被保険者の家族全員を補償対象にできる商品が多い。

【補償額(保険金額)の設定】
1億円以上、あるいは「無制限」にするのが安心。保険会社によっては1事故ごと/年間限度で設定。 

◆補償②:傷害補償(被保険者本人のケガ)

【何を補償するか】

自転車事故で被保険者(本人)が負傷した場合の入院日額、通院保障、手術費用、入院一時金など。

【特徴】
治療費の補填や入院時の生活費をカバー。医療保険や健康保険の上乗せとして機能する。

◆補償③:死亡・後遺障害補償

【何を補償するか】
事故により死亡した場合や後遺障害が残った場合に一定額を一時金で支払う。

【特徴】
被扶養者がいる世帯だと重要。保険金額は商品により差があり、家族構成に合わせて設定すべき。 

◆補償④:弁護士費用特約・示談交渉サービス

【何を補償するか】
被害者との示談交渉や訴訟になった場合の弁護士費用をカバーする特約。保険会社が示談交渉を代行してくれるサービスを伴うことが多い。

【特徴】
賠償金とは別枠で弁護士費用が支払われるため、実務上非常に役立つ(相手側との示談は専門性が高い)。 

◆補償⑤:自転車本体の盗難・損壊補償(オプション)

【何を補償するか】
自転車本体の盗難や転倒による損害(修理費)を補償するタイプもある。スポーツバイク向けの商品に多い。

【特徴】
高級バイクを持つ人向け。有償補償になることが多く、免責金額や自己負担が設定される場合あり。 

◆補償⑥:救援者費用・休業補償

【何を補償するか】
事故により被保険者が救援を必要とした場合の交通費、または事故で働けなくなったときの休業補償を支払う商品もある。

【特徴】
商品により有無が分かれるため、必要なら確認する。 

補償範囲の詳細(被保険者/場所/行為など)

次に、補償範囲の詳細について解説します。

◆被保険者の範囲
契約者本人だけのタイプ、契約者および家族(同居・別居の未婚子など)をカバーするタイプがある。家族型にすると子どもの事故もカバーされ安心。

◆利用場所・用途
日常の私的利用、通学・通勤での使用を補償するかどうかは契約次第。業務使用(業務配達など)は別途業務用の補償が必要になる場合が多い。

◆他人の自転車利用
レンタル自転車や家族の自転車を借りている時の事故をカバーするかも商品で異なる。

よくある除外・免責(保険金が出ない主なケース)

自転車保険における、保険金支払い対象外となる事例の一部を紹介します。

詳細は約款や商品パンフレットで必ず記載されています。

補償内容以上に大事な部分なので、必ず目を通しておきましょう。

・故意の行為:わざと相手を傷つけた場合など。
・犯罪行為・重大な過失:飲酒運転や薬物使用、悪質な無謀運転(極端な速度超過や競技参加など)は支払い対象外になりやすい。
・業務中の事故:業務として配達・送迎中などは除外されるケースがある(業務使用特約が必要)。
・原動機付自転車等:一定条件を超える電動アシスト・原付扱いの車両は対象外の場合あり(製品・スペックで判断)。

支払われる保険金の主な内訳(賠償金がどのように算出されるか)

事故の事例によってケースバイケースではありますが、賠償金は主に以下の要素で構成されます。

・治療費(過去の医療費・将来の医療予測)
・入院・通院の付随費用
・慰謝料(精神的損害)
・逸失利益(働けなくなった分の収入・将来の稼得減)
・介護費用(将来の介護や住宅改修費)
・弁護士費用・訴訟費用

なお、被害者の年齢・職業・後遺障害の程度により、逸失利益や慰謝料が大きく変わるため、最終的な請求額はケースごとに大きく異なります。

補償設計にあたってのポイント(チェック項目)

ここでは、補償を組むにあたってのポイントを紹介します。

下記の項目は最低限押さえておきましょう。

・個人賠償責任の限度額(1億円以上、可能なら無制限)
・被保険者の範囲(家族全員がカバーされるか)
・弁護士費用特約や示談代行の有無
・業務使用や電動アシスト自転車の扱い(自分の利用形態に合うか)
・自転車本体の盗難・修理補償の有無(高級自転車を所有している場合)
・保険料と免責金額のバランス
・他の保険(自動車保険・火災保険)の個人賠償特約で代替可能か 

総括(実務的アドバイス)

自転車事故の賠償は、一件だけでも家計を壊すレベルになり得ます。

自転車保険は低廉な保険料で充実した補償を確保できるため、最優先で確認しましょう。

家族全員をカバーできるか、弁護士費用特約が付いているかは、保険の実効性を大きく左右します。

商品間で細かな条項(飲酒時の扱い、業務利用の定義、e-bikeの扱いなど)が違うため、契約前に約款の「補償対象」「除外条項」「保険金支払基準」は必ず確認しておきましょう。 

質問③:すでに自動車保険や火災保険に入っている場合、自転車保険は不要ですか?

自転車保険について質問させてください。私は任意の自動車保険に加入していて、その保険には個人賠償責任補償特約をつけています。

この特約は自転車事故で相手方にケガをさせたとか、賠償責任を負った場合に補償されるものと理解しています。

その観点からいくと、自動車保険とか火災保険とかで特約をつけていたら、あえて自転車保険に入る必要はないということでしょうか? 

回答|賠償補償のみで充分なら不要ですが、補償上限額、その他の補償の有無を検討しましょう!

すでに加入している自動車保険や火災保険に「個人賠償責任特約」が付いていれば、自転車事故による賠償責任をカバーすることができ、必ずしも別途「自転車保険」に加入する必要はありません。

ただし、補償範囲や対象者、補償限度額などには注意が必要で、内容を確認しないと「実は補償額が足りなかった」等という落とし穴があります。

このあたりについて解説していきます。

個人賠償責任補償特約とは?

自動車保険や火災保険に付けられるオプション(特約)のひとつで、日常生活における賠償事故を広く補償するものです。

例えば「自転車で他人にケガをさせた」「子どもが遊んでいて他人の物を壊した」といったケースまで補償の対象になります。

この特約があれば、自転車保険の「個人賠償責任補償」と同じ機能を果たすため、重複加入する必要は基本的にありません。 

確認すべき3つのポイント

個人賠償責任補償特約において、最低限確認しておくべきポイントを紹介します。

◆補償額の上限
第三者に対する賠償事故で、判例では1億円近い賠償命令が出たケースもあります。そんな中、古い契約だと「3,000万円まで」といった低い設定になっている場合もあるため、最低1億円以上、できれば無制限に設定されているか確認が必要です。

◆家族が対象かどうか
特約によっては「契約者本人のみ」しか補償されないこともあります。自転車事故は子どもや高齢の家族が起こすことも多いので、家族全員が補償対象かどうかを必ず確認しましょう。

◆重複契約の整理
自動車保険と火災保険の両方に個人賠償責任特約を付けていると、どちらか一方しか使えず、保険料の無駄払いになってしまうことがあります。「どの契約で個人賠償を確保するか」を決めて、重複は避けるのが賢明です。

自転車保険ならではの補償との差

個人賠償責任特約でカバーできるのは「加害者になったときの賠償責任」ですが、自転車保険にはそれ以外の補償が含まれる場合があります。

例えば下記のような補償です。

・自分がケガをしたときの傷害補償
・入院・手術費用、死亡・後遺障害補償
・自転車本体の盗難や修理費用(オプション)
・弁護士費用特約や示談交渉サービス

つまり、自動車保険や火災保険に特約があれば「賠償責任の部分」はカバーできますが、自転車事故による自分自身や家族のケガまでしっかり補償したい場合には、自転車保険の方が手厚いという違いがあります。 

結論

自動車保険・火災保険に「個人賠償責任特約」が付いていれば、自転車事故の賠償責任部分はカバーできるので、賠償部分のみの補償で充分と考えるのであれば、必ずしも自転車保険に別途加入する必要はありません。

ただしその場合でも、補償上限額・補償対象範囲・重複契約の有無は必ず確認しましょう。

一方で、自転車事故による「自分のケガへの補償」や「弁護士費用特約」なども欲しいと考えるのであれば、自転車保険の加入を検討しましょう

結論としては、「すでに個人賠償責任保険に入っているから、自転車保険は不要」とは一概に言えず、自分のライフスタイルと既存契約の中身を照らし合わせて判断するのが正解と言えます。 

質問④:子どもが自転車事故を起こした場合も補償されますか?

自転車事故における補償範囲について質問です。我が家は夫婦と子ども2人の4人家族です。

子どもはどもに小学生でやんちゃ盛りです。

自転車にも良く乗るので、マイホームの火災保険で個人賠償責任補償特約をつけて、補償をカバーしているものと認識しています。

ここ最近、ネットニュースとかで自転車事故による高額賠償事例を見るにつけ、個人賠償責任特約で本当に家族全員カバーされているのか心配になりました。

家族全員カバーされていると考えて良いでしょうか?

回答|契約内容によっては子どもを補償対象に含めることもできます!

「子どもが加害者となった事故」も、適切な保険に入っていれば補償されます。

ただし「誰が補償されるか」「どこまで補償されるか」「どんな条件・例外があるか」は契約内容によって大きく異なるため、加入時に詳細を確認することが重要です。

以下、法律面・保険商品の仕組み・実務対応・契約時のチェックポイントを順に解説します。 

法律上の立場(まずは責任の考え方)

被害者救済の観点では、年齢に関わらず「事故を起こした本人(=加害者)」に損害を賠償する義務が生じます。つまり子どもであっても原則的には責任を負います。

しかし、実際に賠償金を支払えるのは資力のある者(本人が未成年で資力がない場合は親など)であるため、親に支払義務が及ぶケースが多いです。

加えて、親が監督を怠ったと認められる場合(小さな子に目を離した、危険な行為を許した等)は、親の監督責任(監督不行き届き)が問われ、親の責任で賠償を命じられることがあります。

学校内や学校行事中の事故は、学校側の安全配慮義務が問題となり、学校・教育委員会の責任が検討される場合もあります(発生状況による)。

※ここでは制度の概念を説明しています。

個別の法的判断は事案ごとに異なるため、法律問題が発生した場合は弁護士など専門家に相談してください。 

保険でのカバー(どんな保険が使えるか)

子どもが起こした事故に対して使える代表的な保険には、次のようなものがあります。

◆自転車向け保険(自転車保険)
個人賠償責任補償を中心に、被害者への賠償(治療費・慰謝料・逸失利益等)補償です。「家族型」にすると契約者の家族全員(未成年の子ども含む)が補償対象になります。

◆自動車保険/火災保険等の個人賠償責任特約
日常生活での他人への賠償責任をカバーする特約です。自転車事故で第三者に対する賠償責任を負ってしまった場合も補償対象となりえます。

ただし「被保険者の範囲」「限度額」については契約ごとに異なるので確認が必要です。

※一般的には、補償対象者の範囲を被保険者と同居の親族・別居の未婚の子とされています。

◆学校加入の児童生徒向け保険
通学中や学校行事中の事故に備える保険(学校が団体で加入)です。ただし賠償額の上限や補償範囲が限定される場合があります。

◆子ども向け傷害保険(自身の治療費や入院給付が目的)
加害者としての賠償まではカバーしない場合が多い(賠償は個人賠償系でカバー)。

◆クレジットカード/携帯会社の付帯サービス
家族向けの個人賠償補償が付帯している場合があります。補償額や補償対象者は確認が必要です。 

保険金の支払いはどう進むか(実務の流れ)

ここでは、実際に事故を起こしてしまい、保険金請求から受け取りまでの実務上の流れの一例を紹介します。

①救護・通報:まずは相手方の救護(必要なら救急搬送)をした上で、警察への届出をします。

②事実の記録:現場の状況証拠を残すため、写真に残しておくなどします。相手と連絡先を交換し、事故状況のメモも残します。

③保険会社へ連絡:契約している保険(家族が使える特約など)を確認し、その保険会社に速やかに事故報告します。

④保険会社による賠償対応:過失割合の調査や治療費等の確認を経て、保険金(被害者への賠償や治療費)が支払われる。

※示談交渉については、保険会社が代行することが多いです。弁護士費用特約があれば弁護士対応も可となります。

重要な点として、補償対象外(故意、重大な無謀行為、飲酒運転等)である場合は、保険金支払いが否認されることになります。また、虚偽内容の申告が判明した場合も支払拒否の原因になるので注意しましょう。

契約時に必ず確認すべきチェックリスト(実務的)

契約を検討するにあたっては、最低限確認しておくべき項目を紹介します。

・家族全員(未成年の子どもを含む)が補償対象になっているか
・個人賠償責任の限度額(最低1億円、可能なら無制限を推奨)
・通学・通勤中も補償対象かどうか(スクールバス・校則による)
・電動アシスト自転車(e-bike)の扱い(車両の仕様で除外される場合あり)
・弁護士費用特約・示談代行の有無
・飲酒・故意・重大な過失での除外条項の内容
・学校・自治体が補償加入を義務付けているか(加入証明書の要否)

総括(実務的なアドバイス)

子どもが起こした事故は親の生活を一変させるほどの賠償リスクがあります。

家族全員を対象にした個人賠償責任の確保(限度額1億円以上)と、示談対応ができる弁護士費用特約の有無は最優先で確認してください。

また、学校の保険だけに頼らず、家庭側で不足がないかを確認することも必要です。

それでも万が一の事故のことを想定して、救護・現場記録・警察届出・保険会社への速やかな連絡方法については、家族間で話し合い共有しておきましょう。

まとめ

これまで説明してきたように、自転車保険の加入義務化が進んできており、この動きは今後も続くでしょう。

自転車保険による高額賠償事例が後を絶たないという状況が、全国の各自治体に被害者救済に力を入れさせています。

ただ、自転車保険の加入義務化は進んでいるものの、罰則規定がなく、各運転者の危機意識の高さに頼るしかない状況です。

危機意識を高める第一歩として、まず自転車保険の加入を検討しましょう。

加入手段は前述の通り一般的になってきています。

まず、いま加入している損害保険の補償内容を確認し、個人賠償責任保険が付保されているかチェックしてみましょう。

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