旅館・ホテルに必要な旅館賠償責任保険とは?保険料の相場を比較して割安に加入する方法を解説します!
新型コロナウイルスの状況はひとまずの落ち着きを見せ、外出や旅行の動きが活発になってきました。
その意味で、ホテルや旅館を営む観光業者にとって、今のこの状況は喜ばしい状況といえます。
一方で、人の出入りが活発になるということは、様々な事故が発生する可能性が上昇するということでもあります。
今回の記事では、ホテルや旅館を取り巻く賠償リスクについて検証し、それらリスクに備える保険の最適な組み方について解説していきたいと思います。
旅館・ホテル業に必要な旅館賠償責任保険をどこよりも安く加入できる方法あり!
目次
ホテル・旅館を取り巻く賠償リスク
まず、ホテル・旅館で発生しうる事故の4つのリスクについて検証します。
●お客様からの預かり品を汚損させてしまうリスク
●提供した食事等に関するリスク
●施設の管理不備によるリスク
●その他の賠償リスク
お客様からの預かり品を汚損させてしまうリスク
ホテル・旅館にチェックインの際に、お客様から荷物を預かることがあります。
もしその預かり品を、従業員の管理不備等によって紛失したり、盗難にされてしまったり、汚損させてしまったりすると、お客様に対して損害を賠償しなければなりません。
対応するのが従業員である以上、人為的ミスの発生はある程度想定しておくことが必要です。
提供した食事等に関するリスク
ホテル・旅館で出される食事は、旅行における大きな楽しみの一つです。
食事内容を見て宿泊先を選定するなんて人も多いのではないでしょうか。
そのようなホテル・旅館から提供された食事が原因で食中毒が発生してしまうと、提供した側は損害賠償責任を負うことになります。特に食中毒の場合、保健所の検査が入ることにもなり、対応が必要となります。
さらに集団食中毒ともなると、被害者の数だけ責任も重くなり、損害賠償額も大きくなります。
その後の風評被害も含めて、提供した食事等に関するリスクは、経営に大きなインパクトを与えかねない重大なリスクといえます。
施設の管理不備によるリスク
これまで説明したリスクは、その原因が人為的なミスによるものです。ホテル・旅館では人為的なミスで片付けられないリスクについても考慮しなければなりません。それが施設の管理不備によるリスクです。
たとえば下記のような事例を想像してみてください。
〈事例〉
・ホテル建物の劣化により排水管が破裂して、宿泊客の私物を汚損させてしまった。
・建具の取付け等が不十分で、ふとした拍子に倒れてしまい、宿泊客にケガをさせてしまった。
・ホテル内で火災が発生。非常口等の導線が確保されておらず、宿泊客を死傷させてしまった。
上記のような事故が発生した場合、ホテル・旅館側の施設の管理不備による責任を問われる可能性が高いものとなります。
宿泊客の私物の汚損害程度なら、損害賠償額としては少額になりますが、死傷事故のような場合には、損害賠償額は数千万円~1億円超なんてことも十分にありえます。
その他の賠償リスク
たとえば飲食物の提供時にワインを誤ってこぼしてしまい、お客様の衣類をよごしてしまった場合や、宴会場の設営作業中に、従業員がお客様と衝突してケガを負わせてしまった場合等、これまでに説明したリスク以外に考えられるリスクです。このようなリスクも、従業員の不注意が主な原因となる人為的なミスに該当します。
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ホテルを取り巻く賠償リスクに備えるには
これまでにホテル・旅館を取り巻くリスクについて考えてきましたが、ここではそのようなリスクに備えるのに最適な手段(保険)について解説していきます。
受託者賠償責任保険
お客様からの預かり品を汚損させてしまうリスクに備えるには、受託者賠償責任保険が最適です。
受託者賠償責任保険とは、貴社が他人から預かった受託物を保管もしくは管理している間に誤って壊したり、汚したり、紛失したり、または盗まれたりして、預けた人に元の状態では返還できなくなった場合に、受託物について正当な権利を有する者に対し、貴社が法律上の損害賠償責任を負担することによって被る損害に対して、保険金をお支払いします。(※三井住友海上 受託者賠償責任保険の補償内容より抜粋)
ここで、受託者賠償責任保険における事故事例を紹介します。
〈事故事例〉
・一時的に預かっていたコートを従業員の不注意から汚損させてしまい、クリーニング代として10,000円を支払った。
・預かっていた貴重品の入ったバッグが盗難に遭ってしまった。総額30万円の損害について保険金を受け取った。
なお、受託者賠償責任保険は保険会社によってはホテル・旅館業は補償対象外としているところも多いため、事前に必ず確認するようにしましょう。
生産物賠償責任保険(PL保険)
提供した食事等に関するリスク、食中毒等のリスクに備えるには生産物賠償責任保険(PL保険)を付保する必要があります。
この保険では、作ったものや仕事の結果に欠陥があったことに起因して第三者に損害を与えてしまった場合に負うこととなる法律上の賠償責任を補償してくれます。
提供した食事等に関するリスクの項でも触れましたが、ひとたび集団食中毒を発生させてしまうと、損害額は非常に大きくなります。
飲食物を提供する事業者にとって、PL保険は必要不可欠の保険と言っても過言ではありません。
PL保険についても事故事例を紹介します。
〈事故事例〉
・焼き肉チェーン店にて提供したユッケが原因で集団食中毒が発生。訴訟を提起され、最終的に1億7,000万円の賠償命令が下った。
・提供した料理の中に金属片が混入していて、食事をしたお客様の歯が欠けてしまった。
施設賠償責任保険
施設の管理不備によるリスクや、その他のリスクの項で紹介したケースに対応するのが施設賠償責任保険になります。
施設賠償責任保険とは、施設の管理や仕事の遂行に起因する対人・対物事故による賠償責任を補償します。(※東京海上日動HP 施設賠償責任保険 より抜粋)
施設賠償責任保険における事故事例は下記となります。
〈事故事例〉
・飲食店において、厨房内のガス管からガスが漏れだし爆発事故が発生。30人を超える死傷者が出ることとなった。損害額は6,000万円を超える見込み(現在も係争中)。
・結婚式会場で火災が発生してしまう。避難経路が確保されておらず、多数の来場者が負傷してしまった。施設管理不備が原因とされ、損害額は4,000万円を超えた。
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事業者を取り巻く賠償リスクに総合的に備えるには
ここまででホテル・旅館を取り巻く賠償リスク、およびそれらリスクに備える保険について解説してきました。
それぞれのリスクに対してそれぞれ保険を付保することで補償を得ることはできますが、そのような手法は保険の付保の仕方という観点から、決して合理的とはいえません。
もし事業者を取り巻く幅広いリスクを1つの保険で備えることができるとしたら、管理も楽になり、合理的と言えるのではないでしょうか?実はそのような保険があるのです。
本記事でテーマとなっているホテル・旅館事業者を例として解説していきます。
旅館賠償責任保険
損害保険には、業種が抱える特有のリスクに総合的に備えるパッケージ商品があり、多くの保険会社が販売しています。
たとえば医者特有のリスクに備える医師賠償責任保険、弁護士業務特有のリスクに備える弁護士賠償責任保険、整骨院における施術等、整体師特有のリスクに備える賠償責任保険などがあります。
【参考サイト:全国弁護士協同組合連合会 弁護士賠償責任保険】
【参考サイト:全国柔整鍼灸協同組合 接骨院の職業賠償責任保険・施設管理賠償責任保険】
このようなカテゴリの中に、ホテル・旅館業特有のリスクに備える旅館賠償責任保険というものもあるのです。
旅館賠償責任保険の補償内容について、その概要を解説します。
旅館賠償責任保険の補償内容
旅館賠償責任保険では、大きく分けて下記の3つの事故を補償対象としています。
施設および業務における事故(施設危険条項で対象となる事故)
例)旅館やホテルの構造上の欠陥や、管理・使用上の不備、または被保険者もしくはその従業員等の業務上の不注意によって生じた事故。
販売・提供した飲食物もしくは商品による事故(生産物危険条項で対象となる事故)
例)旅館やホテルで販売・提供した飲食物など(生産物)が原因で生じた事故。
保管または管理する財物の事故(受託物危険条項で対象となる事故)
例)宿泊客や休憩のお客さまから預かった貴重品・携帯品などの受託物を損壊しまたは紛失しもしくは盗取されたり、旅館やホテル内でお客さまの所持品が盗難にあったりしたために生じた事故。(※三井住友海上 旅館賠償責任保険 より抜粋)
旅館賠償責任保険という1つの保険で、本記事のホテル・旅館を取り巻くリスクの項で紹介したリスクをすべて補償対象としています。
このような点で合理的な備え方ということができます。
事業活動における様々なリスクをまとめて補償する保険
損害保険の中には、業種の枠を超えて、事業における様々なリスクを包括的に補償してくれる保険もあり、多くの損害保険会社で販売しています。
こういった保険でも、設計の仕方を工夫すれば、1つの保険で事業特有の賠償リスクをカバーすることができます。
参考までに総合賠償責任保険の例を下記にいくつか紹介します。
なお、上記の保険では設計の仕方を工夫することで、賠償責任だけでなく、企業の財物の損害や従業員の労災リスクも補償対象に含めることができます。
ぜひ参考にしてください。
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提案事例の紹介
ここで、実際の提案事例を紹介します。
今回の事例のお客様は、全国にホテルを10棟所有する事業者様でした。
10棟それぞれに旅館賠償責任保険を付保しており、ホテル・旅館を取り巻くリスクに対してしっかり認識し補償していました。
ただ、保険始期・終期はバラバラだったため、満期管理だけでも大変とのことで相談を受けました。
既契約の付保状況は下記の通りとなります。
10施設:旅館賠償責任保険 合計保険料:562,140円
10の施設は加入の時期もバラバラで加入し、合計の保険料も562,140円になります。
↓
上記の付保状況に対し、下記の内容で提案しました。
↓
提案①:旅館賠償責任保険
【商品名】:旅館賠償責任保険
【保険料】:562,140円
【契約方式】:1契約明細付き
【補償差異】:なし
【割引対応】:不可
提案②:総合保険
【商品名】:総合保険
【保険料】:349,000円(フラット保険料、売上高×業種で試算)
【契約方式】:企業包括・エコノミープラン
【補償差異】
・受託物保険金額(150万⇒100万)
・受託物対象範囲(現金・有価証券等は免責)
・異動対応(賠償総合保険は保険期間中の物件の追加・解約の異動対応不要)
【割引対応】
・リスク実態に応じて割引適用可
保険料213,140円の削減に成功
総合保険では、『受託物対象範囲(現金・有価証券等は免責)』の免責になるため同条件とは言えないですが、年間の保険料が562,140円から349,000円になり213,140円の削減になりました。
年間の保険料が20万程度になることを考慮すると、旅館やホテルの事業者は免責を含めて検討する価値があるかと思います。
今回の提案で工夫したこと
・満期管理の簡略化
・総合保険を活用
・明細割引や無事故割引を適用
今回の提案で工夫したことは、お客様のご要望にあった満期管理の負担軽減に重点を置き、1つの保険にまとめることで、満期管理の簡略化を目指しました。
A社の提案では1契約の明細付きに、B社の提案では、事業活動における様々なリスクをまとめて補償する保険の項で紹介した、総合保険を活用することでその実現をはかりました。
またそれぞれに割引(明細割引、無事故割引)を適用することで保険料の削減にも成功しました。
工夫次第で管理の合理化・保険料の削減を実現できることを学んだ良い経験でした。参考になれば幸いです。
まとめ
今回の記事では、ホテル・旅館を取り巻く賠償リスクについて検証し、それらリスクに備える保険について解説しました。
ホテル・旅館を運営する上で考えられるリスクのそれぞれに対し、個別に保険を付保する方法が必ずしも合理的とは限りません。
1つの保険であらゆるリスクに備えることも、管理の簡略化の面で検討の余地があります。
保険会社によっては、業種ごとに特有の賠償リスクに備えるパッケージ商品を販売しているところもあります。
そういった保険を採用することも一つの方法です。
パッケージ保険の取り扱いのない業種の場合でも、業種の枠を超えて、事業を取り巻くあらゆるリスクに対応した総合賠償責任保険を取り扱っている保険会社もあります。
これも候補のひとつとして検討するようにしましょう。合理的な加入の仕方について迷った際には保険会社・代理店に気軽に相談することをおすすめします。
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