生命保険の配当金・大数の法則・特定契約・口数・免責を保険のプロがわかりやすく解説します!
生命保険は相互扶助の精神にもとづき、契約者の万が一の事態における経済的な不安をカバーし、安心を提供しています。
このような社会的意義の深い生命保険事業が健全に運営されるために、様々な仕組みや法則のもとに成り立っています。
今回の記事では、生命保険事業の根本原理となる様々な仕組みや法則ついて解説していきます。
目次
質問|保険の配当金ってなんですか?わかりやすく教えて!
保険の配当金があると聞いた事があるのですが、配当金とはわかりやすく教えて頂けますか?自分で加入している保険に期間毎にギフトや配当金が貰えるのでしょうか?
掛け捨てではなく積立型ではないと貰えないとか、ドル建ての保険じゃないと貰えないとかあると思いますが、保険の配当金についてわかりやすく教えてください。
回答:生命保険にも配当金がありますので、配当金の基礎知識について解説
株式には配当があるというのは当たり前の感覚かもしれませんが、生命保険と配当金というといまいちピンとこない方が多いのではないでしょうか。
実は生命保険にも配当金があるのです。今回は配当金の基礎知識について解説していきたいと思います。
生命保険の保険料の仕組み
配当金について解説する前提知識として、生命保険はどのような仕組みで保険料を算定しているのかについて触れたいと思います。
生命保険の保険料は純保険料と付加保険料で構成されています。純保険料とは、保険金を支払いの原資となるお金です。
付加保険料は保険会社が事業を運営するための必要経費となります。
純保険料は「予定死亡率」「予定利率」をもとに、付加保険料は「予定事業費率」をもとに算定しています。
いま取り上げた3つの予定率について、その意味は下記となります。
・予定死亡率・・・統計データを基に、年齢別・男女別の死亡者数を予測したもの
・予定利率・・・・保険会社が保険料を運用して得られるであろう収益を予測し、その予測から保険料を割り引く率のこと
・予定事業費率・・・保険会社が事業を運営するにあたり試算された費用のうち、保険料に組み込まれた比率のこと
生命保険の配当金とは
上記の3つの予定率はあくまで「予定」です。実際の数字とはどうしても差異は発生します。
3つの予定率によって算定した数値と、実際の数値との差によって発生した一定額の剰余金を契約者に還元する仕組みがあります。この契約者に還元するお金のことを配当金と呼ぶのです。
【参考サイト:公益財団法人 生命保険文化センター 配当金の仕組み】
配当金のある生命保険の種類
生命保険には、配当金が分配される有配当保険と、分配のない無配当保険とがあります。
さらに有配当保険には以下の2種類があります。
・3利源配当タイプ
上記で説明した3つの予定率(予定死亡率、予定利率、予定事業費率)と実際の数値との比較で生じた利益を用いて配当金を支払うタイプ。
・利差配当タイプ
3つの予定率のうち、予定利率に限定し、予定利率よりも実績利回りが高かった場合に生じる利益を用いて配当金を支払うタイプ。
ここまでみてくると、無配当保険よりも有配当保険の方にメリットがあるように思いますね。
しかし有配当保険でも、必ず配当金が支払われるわけではないことをしっかり押さえておきましょう。
また、有配当保険は無配当保険よりも保険料は割高に設定されています。
保険を選択する上では、有配当か無配当かという基準に加えて、保障内容をしっかり吟味して検討することが大切です。
質問|大数の法則が理解出来ないわかりやすく教えて!
保険とは大数の法則に基づいて、計算されていると聞いた事があるのですが、わかりやすく言えばどの様な意味になるのでしょうか?保険加入時に出来る限りの事を調べてから入りたいと思っています。
大数の法則を検索はしたのですが、自分的には意味が理解出来ませんでした。
保険の事に詳しい方に質問すればわかりやすく教えてもらえると思って質問しました。
回答:実は大数の法則は生命保険事業の収支が安定し、保険契約者に安心を提供するうえで非常に大事な要素
大数の法則というと、難しい数学的な法則を想像する方が多いでしょう。
実は大数の法則は生命保険事業の収支が安定し、保険契約者に安心を提供するうえで非常に大事な要素なのです。ここでは大数の法則について具体例をあげて解説します。
たとえばサイコロを振った場合、1回だけでは1の目が出るのか、2の目が出るのか、どの目が出るのかはわかりません。
ところが何千回、何万回と振る数を重ねていくと、1から6までのそれぞれの目が出る確率が6分の1の割合に近づいて出るようになることがわかります。
このように、数少ない経験では何の法則もないような事象でも、数多く経験を重ねていけばいくほど、一定の法則があることがわかります。これを大数の法則というのです。
この法則は人間の生死にも当てはめることができます。
多くのデータを集めることで、年齢別・男女別にまとめた生命表を作成することができます。
生命保険会社ではこの生命表を活用し、さらに保険契約者に加入時の健康状態の告知を求めることで、保険料が危険度に応じた適正な金額となるよう算出しているのです。
保険を契約するうえで、必ず知っていなければならない知識ではありませんが、こういったことを知っておくと、生命保険の果たす社会的意義が理解でき、生命保険そのものに関心が持てるようになるのではないでしょうか。ぜひ参考にしてください。
【参考サイト:一般社団法人 生命保険協会 STEP.3生命保険の仕組み】
質問|特定契約とはわかりやすく言うと何でしょうか?
知り合いから保険に加入をするか検討中なのですが、知り合いの保険会社の担当が言う用語が良く理解出来ませんでしたが、聞き難くてスルーしてしまいました。
特定契約とはわかりやすく言うと何でしょうか?
契約する側に関係する事なのでしょうか?メリットやデメリットに関しても出来る限り初心者でもわかるようにわかりやすくお願いします。
回答:保険代理店と人的または資本的に密接な関係を有する者(=特定者)を保険契約者または被保険者とする保険契約を指します。
生命保険を契約するにあたり、親戚や友人知人に勧められたのをきっかけに加入したという人は多いのではないでしょうか。
生命保険に関しては、知り合いに勧められたので、保障内容についてよく理解しないまま、知り合いとの関係を壊したくないとの思いから契約をしてしまったという人の割合は非常に多いのです。
このような生命保険の状況を踏まえて、特定契約について以下に解説します。
特定契約とは、保険代理店と人的または資本的に密接な関係を有する者(=特定者)を保険契約者または被保険者とする保険契約を指します。
監督官庁はこの特定契約の割合を制限し、保険代理店における特定契約の保険料の合計額が、それぞれ総取扱保険料の50%を超える場合、その代理店は「特定契約取扱代理店」に該当し、代理店登録の取消しや所属保険会社との代理店委託契約の解除等、処分・措置を受けることになります。
特定契約の保険料の合計額が、総取扱保険料の30%を超える場合も、所属保険会社と連携のうえ、速やかに比率を改善する必要があります。
知り合いに勧められるがまま保障内容をしっかり理解せずに仕方なく契約をするというのは、生命保険事業を健全に運営するうえで、決して好ましい状態とはいえません。
特定契約の制限は、生命保険の大切さを本当の意味で理解した上で加入してもらうための必要なことといえます。
質問:わかりやすく言うと保険の口数は何の事ですか?
保険の口数とは何の事ですか?わかりやすく教えて欲しいです。
保険の知識が全然ないので、教えて欲しいのですが、口数とはどの様な事なのでしょうか?
通常の保険契約者にも影響するような事でしょうか?加入者に関してはデメリットなどがある内容なのかが気になり質問を致しました。
保険料や保険の契約と保証などに影響するのですか?
回答:口数という用語は医療保険においてよく使われます。
口数という用語は医療保険においてよく使われます。
口数を使用する医療保険では、病気やケガによる入院・通院等の保障において、最高で何口までの契約が可能なのかが定められています。
契約者は契約時に希望する口数を指定し、保険料はその口数に応じた金額になります。
要するに、口数が多ければ多いほど保障額は大きくなりますが、それに比例して保険料負担も大きくなります。
なお、保険会社によっては、被保険者の年齢や加入時の健康状態によって、契約できる口数に制限が発生するという点には注意が必要です。
たとえば、とある医療保険において、1口あたり入院日額1,000円、1口当たりの月額保険料500円という基本契約があるとします。
入院日額が5,000円の保障が欲しいと考えるならば5口加入し、保険料は月額2,500円の負担をすることになります。
生活環境や保障に対する考え方の変化によって、口数を変更したいと思うこともあるでしょう。
口数の変更は、保険会社によってその手続き方法や取り扱いが異なります。
変更できる期間が1年間の間で決まっている場合もあります。見直しの際には保険会社の営業担当者に相談してみましょう。
質問|わかりやすく言うと保険の免責ってなんですか?
わかりやすく言うと保険の免責とはどのような事でしょうか?軽く聞いた事があるのですが、何らかの理由により保険が加入者に支払われない可能性などがあると言う事でしょうか?
契約書などに細かい文字とかで盛り込まれている内容なのでしょうか?
保険が適応されないと困ってしまいますので加入前に知りたいです。保険員に聞いたら誤魔化されそうな気がしましたので。
回答:生命保険に限らず、保険契約では約款にて必ず免責について記載があります。
生命保険に限らず、保険契約では約款にて必ず免責について記載があります。ここで免責について、その意味を具体例を挙げつつ解説します。
まず免責の対象となる概念である「支払事由」について解説します。
支払事由
保険会社が約款で定めている、保険金・給付金等を支払わなくてはならない理由を指します。
たとえば入院給付金日額5,000円の医療保険に加入している場合の支払事由は、病気やケガによる入院です。
被保険者が病気やケガによって入院した場合、保険会社は入院日数に応じた保険金を支払う義務が発生することになります。
被保険者サイドからみれば入院した時点で、保険金を請求する権利が発生することになります。
免責
一方で免責とは、保険会社が約款で定めている、保険金・給付金の支払いを免れる理由を指します。たとえば入院給付金日額5,000円のがん保険に加入していたとします。
がん保険は責任開始日より90日間は免責となっているので、その間にがんにり患しても保険金を受け取ることはできません。
免責事由の具体例
ここで、上記に挙げたがん保険の90日免責以外の免責事由について見ていきたいと思います。
・自殺・・・死亡保険契約の責任開始日から一定期間内に被保険者が自殺した場合、保険金は支払われません。
・故意によって死亡させた場合・・・契約者や受取人が故意に被保険者を死亡させた場合、保険金は支払われません。
・戦争、暴動等によって死亡した場合・・・支払事由に該当する被保険者の数がその保険の計算の基礎に影響を及ぼすときには、保険会社は保険金を支払わない場合があります。
これまで免責についてみてきましたが、生命保険を検討する上で、支払事由以上に免責事由は重要です。
免責事由について理解していないと、もらえると思っていたお金がもらえない等、落とし穴になりかねません。
免責事由は、実は支払事由よりも重要な要素なのです。
生命保険を契約する際には、免責事由についてもしっかり理解した上で、保障内容を検討するようにしましょう。