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2024.07.23

個人事業主に必要な損害保険はなに?損害保険のプロが分かりやすく解説いたします。

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著者情報 森 逸行 FP歴15年 経験した事を伝え解決に導く『金融パーソナルトレーナー』

 コロナ禍によるリモートワーク普及の影響もあり、ネットで副業をする人が増えてきました。

副業のやりがい、仕事環境の充実さに惹かれ、脱サラを決意し、副業を本業にし始めた人も多いのではないでしょうか。

しかし個人事業主になると、恵まれた環境の反面、万が一のトラブルはすべて自分で解決しなければなりません。

今回の記事では、個人事業主を取り巻くリスクにスポットライトをあてて、深く堀り下げていきたいと思います。 

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個人事業主が想定すべきリスクとは

まず、個人事業主として最低限考えなければならないリスクを4点紹介します。 

火災、台風、水災等、自然災害による損害のリスク

まず、火災や台風等といった自然災害によって、事務所建物や設備・什器、備品に損害を被るリスクを考えなければなりません。

業種によっては営業を存続できないほどのダメージを負ってしまいます。たとえば飲食業等であれば、火災によって店舗が焼失してしまった場合、営業をすることができません。

上記のように、特に火を使う業種であればまず第一に考えておかなければならないリスクといえます。 

自動車事故のリスク

業務で自動車を使う場合、交通事故のリスクを考えなければなりません。

交通事故によって相手に怪我をさせてしまったり相手のモノを壊してしまったり、自分自身が怪我をしてしまったりと、様々なリスクが想定されます。

運送業や移動手段として日常的に自動車を使用する頻度の高い方は、常に交通事故のリスクを考えなければなりません。 

賠償責任を負うリスク

業務遂行中のうっかりしたミスで、第三者に損害を与えてしまうリスクが該当します。

たとえば飲食店の場合を例に考えてみると、具体的に下記のような賠償事例が想像できると思います。 

・提供した料理が原因で、お客様が食中毒を起こしてしまうリスク

・お客様から預かった私物を汚損したり紛失してしまうリスク

・従業員が料理を提供する際、不注意でワインをこぼしてしまい、お客様の洋服を汚損してしまうリスク

・店舗施設内の管理不備が原因で、お客様が転倒し、怪我を負ってしまうリスク

上記は飲食店に絞ってリスクを考察してみましたが、業種が変われば当然想定されるリスクも変わります。

今一度、自分自身の事業について、想定されるリスクの棚卸しをしてみましょう。 

情報漏洩リスク

いまや情報を取り扱わない事業はないと言っても過言ではありません。情報とは、お客さまの個人情報だけでなく、取引先の法人・個人情報をも含みます。

こういった情報の管理は事業を営む者にとっては必須の義務といえます。いざ情報が漏洩した場合、その件数が多ければ多いほど損害賠償費用は多額になります。

情報を扱うすべての事業において対策は必須となります。 

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それぞれのリスクと損害額について考察

上記で様々なリスクについて考察してきましたが、ここでそれぞれの事故の具体例と想定される損害額についても触れていきたいと思います。 

火災、風災等、自然災害による事故の事例

事例1:タバコの火の不始末でぼやが発生。建物、設備・什器にそれぞれ損害を受ける。

 被害総額:1,969,500

事例2:台風によって飲食店店舗の外壁、窓ガラス、造作設備が損害を受ける。

 被害総額:6,690,000

事例3:連日続いたゲリラ豪雨により、事務所室内に浸水被害。建物、設備什器、商品にそれぞれ損害を受ける。

 被害総額:4,880,000 

自動車事故事例

事例1:住宅街を配送業務中、交差点右から出てきた自転車に衝突。自転車の破損、自転車運転者の腰と右ひざに怪我を負わせてしまった。

被害総額:225,970円(過失割合9:1)

事例2:取引先への移動中、ふと気が緩み、脇見運転をしてしまい、赤信号で停車中の前方車両に衝突してしまった。前方の車両は自走不可の損害を負い、運転者も救急車で搬送されることになった。

被害総額:1,926,330

事例3:赤信号にて停車していたところ、左より大型トラックが交差点を右折侵入。角度が浅かったため、自動車の右側面にぶつけられてしまった。しかしトラックの運転者は真摯に示談に応じようとせず、弁護士に相談した。

被害総額:322,240円(弁護士への相談費用を含む) 

賠償事故事例

事例1:飲食店にて、生食用のカキを提供したところ、集団食中毒が発生。保健所の調べによると、提供した生食用のカキがウイルス感染していたことが発覚。消費者が当該飲食店を相手取って損害賠償請求を起こす。

被害総額:約600万円

事例2:結婚式場にて、お客様より預かったコートを紛失してしまい、コートの相場価格を弁償することになった。

被害総額:約20万円

事例3:事務所にて取引先の来客対応中、コーヒーを出そうとした従業員が誤ってこぼしてしまい、相手方の衣類を汚損させてしまった。

被害総額:2万円 

情報漏洩事例

事例1:顧客情報を取り扱っている士業事務所にて、PCがウイルス感染し、メールは誤送信され、PC内に保存していた取引先や顧客の情報が漏洩してしまった。

被害総額:約500万円

事例2:コンビニにて車を停めていたところ、車上荒らしに遭い、個人情報500人が入ったPCが盗難されてしまった。

被害総額:約200万円 

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それぞれのリスクに備える保険

ここで、これまで挙げたリスクに対し、カバーできる保険について解説していきます。 

火災保険

火災、台風、水災等、自然災害によって、建物や設備什器、商品製品が損害を負った場合に備えるには、火災保険が最適です。

火災保険とは、火災や風災、水災といった自然災害などによる、建物や家財、設備什器・商品製品などの損害を補償する保険です。ただし、地震や噴火、津波などによる損害、地震を直接の原因とする火災は補償されない点に注意が必要です。

この場合、別途地震保険への加入が必要になります。

 【参考サイト:一般財団法人日本損害保険協会 地震保険】

 モノを作る事業はもちろん、どのような業種であっても最低限パソコンや机、椅子といった什器備品は使用します。

自然災害等で焼失した場合に備えて、火災保険をしっかり付保しておきましょう。 

自動車保険

自動車保険は、自動車の運転中の事故などによって生じた損害を補償してくれる保険です。

自動車の事故によって、他者に怪我を負わせてしまったり、他者の自動車に損害を与えてしまうこともあるでしょう。

逆に自分自身が怪我を負ってしまったり、自分の自動車が損害を負ってしまったりすることも想定されます。そういった損害を総合的に補償するものです。

なお、自動車には自賠責保険という強制加入の保険があり、一定額の対人事故が補償されます。

しかし自賠責保険の補償内容はあくまで最低限のものであり、決して充分な補償とは言えません。

自動車保険は自賠責保険の補償内容を超えて補償してくれるものです。

 【参考サイト:一般財団法人日本損害保険協会 自賠責保険】

自動車保険に関しては、どのような業種であっても自動車を運転する可能性があるのであれば、しっかり付保しておきましょう。

自動車を運転する以上、被害者にも加害者にもなりえます。どんなに安全運転をしている方でも事故をもらってしまう可能性があるからです。 

賠償責任保険

賠償責任保険とは、偶発的な事故により、他人を死傷させたり、他人のモノに損害を与え法律上の損害賠償責任を負った場合に、その損害額に対して支払われる保険をいいます。

賠償責任保険には様々な種類があります。

最低限おさえるべき賠償責任保険について説明します。 

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生産物賠償責任保険(PL保険)

製造・販売する生産物や工事が結果で起こった事故による賠償責任を補償してくれる保険です。

飲食店における食中毒の補償であったり、防水工事における工事不備による水漏れ損害が代表的な損害事例です。 

施設賠償責任保険

施設の欠陥等や仕事の遂行が原因となって他者にケガを負わせてしまったり、他者のモノに損害を与えたりした場合に、賠償金等の費用を補償する保険です。 

受託者賠償責任保険

他人から預かった物(受託物)を保管中、誤って破損や汚損、紛失、火災による焼失、盗難などによって、その受託物を他人に返せなくなった場合に負う法律上の賠償責任を補償する保険です。 

請負業者賠償責任保険

工事等の請負業務遂行中に発生した偶然な事故、または請負作業遂行のために所有、使用もしくは管理している施設の欠陥、管理の不備により発生した偶然の事故に起因して、他人の生命や身体を害したり、他人の財物に損害を与えた場合に、被保険者が法律上の賠償責任を負った場合に被る損害を補償するための保険です。

事業を営んでいる以上、賠償責任を負うリスクをゼロにすることは難しいです。

また、賠償責任に関しては、業種によって想定されるリスクが様々です。リスクの洗い出しが難しいようなら、思い切って保険会社に相談して、適切で合理的な備えを準備しましょう。 

個人情報漏洩保険

事業主が管理している個人情報の漏洩によって生じる、損害賠償や訴訟費用を補償する保険です。

特約を付保することで、原因調査費用や初期対応のサポート費用を補償することもできます。

 個人情報を多く取り扱う業種にとっては必須の保険といえます。PCのウイルス感染だけでなく、人為的なうっかりミスによっても情報漏洩してしまうリスクはあります。

しっかり備えておきましょう。 

まとめ

冒頭にも触れたように、コロナ禍によるリモートワークの浸透等によって、個人が開業しやすい土壌が育まれてきました。

開業前の会社員の時であれば、万が一のリスクに際しては、基本的に会社が備えていました。

しかし独立をすると、自分自身で全責任を負わなければなりません。

自分の業種がどのようなリスクがあるのかをしっかり把握し、備えておきましょう。

その備えとして、保険をうまく活用するようにしましょう。

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