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2024.10.04

火災保険の保険金請求する時の注意点と手続きの流れを解説します。

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著者情報 森 逸行 FP歴15年 経験した事を伝え解決に導く『金融パーソナルトレーナー』

火災保険 保険金請求

 生涯で一番高い買い物であるといわれるマイホーム。

そんな大切なマイホームを自然災害等で損壊した場合の経済的リスクに備えて、多くの人が火災保険に加入します。

火災保険の加入率は全国民の約8割を超えると言われています。

一方で、火災保険の保険金請求をしたことがある人は1割に満たないとも言われています。

この事実は、保険金請求できるのにも関わらず、やり方がわからない、そもそも保険金請求できることを知らなかった、といったことが要因なのではないでしょうか。

今回の記事では、火災保険の保険金請求のやり方、注意点について、保険代理店の営業担当者である筆者の視点を加味して解説していきたいと思います。 

保険金請求の前に注意すべきこと

まず火災保険の保険金請求をする前に注意すべきことを説明したいと思います。 

損害の原因を把握する

はじめに、損害の原因を把握することが大事です。

損害の原因は、保険金請求する際に必要な情報だからです。明確にわからなくても大まかな状況からの予測でも結構です。

たとえば、下記のような大雑把な予想でも問題ありません。 

〇月×日PM●時頃、建物2階部分の窓ガラスが破損しているのを発見。強風により石が衝突したことで窓ガラスが破損したものと思われる。

 上記のように、主観であっても原因をある程度把握していないと、保険会社側としても損害認定をするのが難しいのです。 

火災保険の補償内容の確認

次に、ご自身が加入している火災保険の補償内容を確認します。

確認の方法は、保険証券やパンフレット、約款等を参考にします。

その際、パンフレットや約款を隅々まで読み込む必要はありません。大まかな内容の確認のみで大丈夫です。

たとえば先ほどの強風による窓ガラス破損の事例に当てはめて考えてみます。

保険証券を確認した際に、風災に〇がついてるから保険金請求できそうだな、くらいの確認でも全然大丈夫です。 

証拠、記録をとっておく

最後に、できる限り損害箇所の写真等、証拠資料を取っておくことが非常に大事です。

写真も保険金請求の際に保険会社へ提出する資料になります。

写真の撮り方も特にこれといった決まりがあるものではありません。

損害箇所が認識できれば十分です。

それから、損害を発見したときの日付、時間、その日の天気等も簡単にメモをしておくことも大事です。こういったメモは後々に活きてきます。 

ここまでの作業を、損害発見の際にお済ませておくと保険金請求をスムーズに行うことができます。

火災保険 保険金請求-2

保険金請求の流れ

それでは実際の保険金請求の流れについて解説していきます。 

①保険会社へ連絡

まず、損害があったことを保険会社に連絡します。

連絡先は保険会社でなく代理店でも問題ありません。

代理店を通しても保険会社へ必ず連絡が行くことになります。

損害報告の連絡の際、手元に保険証券と損害を発見したときに控えたメモなんかを用意しておくとスムーズに話を進めることができます。

報告の際に聞かれることは主に下記の内容です。 

・事故日(損害を発見した日)

・事故の原因(自身の主観や予測でも大丈夫です)

・損害箇所

 なお、損害箇所に関しては、損害報告後に新たに別のものが出てきたりすることもあります。

最初の損害報告以外の損害内容を保険金請求書に記載したとしても、しっかり査定してくれるので心配無用です。 

②保険金請求書に必要事項を記入

保険会社(代理店)への損害報告を終えると、保険会社より保険金請求に必要な書類一式が契約者住所に送られてきます。

送られてくる書類に必要事項を記入し、契約者側で手配する資料を揃えて保険会社へ返送することになります。

保険会社へ返送すべき資料は主に下記のものとなります。 

・保険金請求書(保険会社から送られてきます)・・・住所、氏名等の契約者の情報、証券番号、保険金の振込先口座等の情報を記入します。

・事故状況報告書(保険会社から送られてきます)・・・事故時の状況を記載します。この書類を書くときに、保険金請求の前に行った作業が活きてきます。

・損害状況のわかる写真(契約者側で手配します)

・修理、修繕の見積書(契約者側で手配します)

 上記のほかにも損害の規模や損害額が大きかったりすると、登記簿謄本や印鑑証明書が必要になることもあります。 

③保険会社側で査定

保険会社は保険金請求書類と添付資料を受け取ると、損害額の査定に入ります。

ここで保険会社は、報告を受けた損害原因と保険金請求書類の中の損害箇所との因果関係がきちんと結びついているかを判断します。

損害額が大きかったり、送られてきた資料では因果関係が確認できなかったりすると、実際に損害の現場に出向いて査定することもあります。

その際に査定するのは損害保険鑑定人と呼ばれる人で、厳密に言うと保険会社の人間ではありません。

保険会社より依頼を受けて査定を実施する人になります。

保険会社は損害保険鑑定人の見解を踏まえて、最終的な査定結果を出すことになるのです。 

④査定結果の確認

保険会社で算出した査定結果は最終的に保険契約者に通知されます。

この時の注意点として、査定結果は必ず明細を書面でもらうようにしましょう。

そして、面倒がらずにその書面を細部まで確認することが重要です。修理見積額(請求額)に対して、損害認定額が足りていない部分があったら、納得するまで保険会社の査定担当者に確認するようにしましょう。

保険会社は、契約者の承諾なしには保険金支払い手続きをすることができないので、損害認定額の根拠の説明義務があります。

 

①~④の流れを経て、保険会社の査定した損害認定額を契約者が承諾すると保険金が支払われることになります。

この流れ全般で重要なことは、代理店と密に連携を取ることです。

親切な代理店の営業担当者は、損害認定額や保険会社の対応に納得できないときは、契約者側に立って真剣に保険会社と交渉してくれます。

また、④の項でも触れましたが、損害認定額が修理見積額(請求額)に満たないときは、簡単に承諾しないことが重要です。

ここからの交渉次第では、当初の査定を上回る査定を勝ち取ることが案外できるものです。

筆者も以前に漏水の損害対応で契約者側に立って保険会社に交渉したことがありました。

当初は約400万円の請求に対して、80万円の査定だったのです。

しかし、明細項目をひとつひとつ確認し、複数回の交渉を重ねて、最終的に約320万円の査定まで勝ち取ることができました。

満額の認定にはなりませんでしたが、それでも当初の査定結果を大幅に上回る結果です。

ダメもとでも交渉することは非常に重要です。 

保険会社の査定、対応に納得できないとき

複数回の交渉を重ねた結果、それでも納得のいく回答を得られない場合もあるでしょう。

そのような場合の対応についても触れておきたいと思います。 

お客様センターへ相談

保険会社で損害対応を担当する人は大勢いて、担当者ごとに対応方法や査定の厳しさが異なったりするケースは実際にあります。

契約者側からの視点で、いわゆる「ハズレ」の担当者に当たってしまい、査定結果に納得が得られないような場合、保険会社のお客様センターに相談してみることをおすすめします。

お客様センターに相談することで、いち担当者の案件ではなく、保険会社全体の案件となるのです。

「ハズレ」の担当者の査定がここで補正される可能性も十分に期待できます。 

そんぽADRセンター

保険会社そのものの対応に不信感がある場合、保険会社の外部に相談することができます。

日本損害保険協会の「そんぽADRセンター」は、損害保険の契約者の相談対応、保険会社に対する苦情・紛争の解決をはかってくれる、お客様対応窓口です。

HP上でその活動は下記のように記載されています。

 そんぽADRセンターは、当協会のお客様対応窓口です。
専門の相談員が、損害保険や交通事故に関するご相談に対応しています。
また、保険業法に基づく指定紛争解決機関(金融ADR機関)として、損害保険会社とのトラブルが解決しない場合の苦情の受付や損害保険会社との間の紛争解決の支援(和解案の提示等)を行っています。交通事故被害者からのご相談や苦情等にも対応しています。(※日本損害保険協会 そんぽADRセンター より抜粋)

 保険会社の対応に疑問がある場合は、外部機関であるそんぽADRセンターへの相談も検討しましょう。 

豆知識

この項では、筆者の損害対応の経験から感じた豆知識をいくつか紹介したいと思います。

あくまで筆者の主観なので参考程度に読んでください。 

①大規模災害のときは査定が甘くなる

台風による風災、線状降水帯等の大雨に伴う水害が発生すると、被害のあった地域からの損害報告が激増します。

当然、保険会社は損害対応に追われることになります。

限られた人員で多くの件数を捌かなくてはならないため、損害額と事故原因とで、ある程度の合理性が認められると、細部まで詰めずに認定する傾向が感じられました。

もしこのような大規模災害に遭われてしまった場合は、極力早めに保険会社へ損害報告すると、良い結果が得られるかもしれません。

②大地震のときは査定が簡略化する

①と似通った話ですが、大規模な地震が発生すると、震源地近くのエリアからは損害報告が増えます。

通常、地震の損害報告を受けると、損害保険鑑定人が現場まで行って現地調査を行います。

それが大規模地震ともなると、損害保険鑑定人だけでは査定が追い付かず、損害保険会社の営業社員も現地調査に駆り出されることになります。

営業社員は、本職でない現地調査の仕事を要領よく捌くために、査定を簡略化して行う傾向があります。 

③現場査定の際、代理店担当者にも立ち会ってもらう

損害報告をすると、損害額の規模が大きかったり損害と事故原因との因果関係が不明瞭であったりすると、損害保険鑑定人が現場で実地検証を実施することは以前にも触れました。

その実地検証の際に、代理店担当者にも立ち会ってもらうことをおすすめします。代理店の担当者は基本的に保険会社側ではなく、契約者側に立ってくれます。

保険会社は損害認定額がなるべく高額にならないようにしようとの心理が働くかもしれませんが、それは代理店側には関係のないことなのです。

むしろ代理店側にとっては、損害対応をがんばって顧客の信頼を勝ち取ろうとの心理が働き、保険会社側に一生懸命交渉する人もいるのです。 

まとめ

今回の記事では、火災保険の保険金請求について解説しました。

冒頭にも触れましたが、本来は火災保険を請求できるのに、請求していない人が大勢います。

保険金の請求は、契約者の大切な権利です。遠慮せず権利行使するべきです。

保険金請求をしても、保険会社の算出した査定額や対応に疑問を持ったら、代理店担当者、保険会社のお客様相談センター、そんぽADRセンター等、相談できる先はたくさんあります。

一人で抱え込まず、いろんな人を巻き込んで解決しましょう。

今回の記事が保険金請求に少しでも役立てば幸いです。

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