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2024.11.07

生産物・PL保険賠償事故!損害保険金支払い事例17件を一挙公開

カテゴリー名
著者情報 ファイナンシャルプランナー森 逸行 FP2級・住宅ローンアドバイザー。住宅購入、投資、相続など自身の経験を活かし、実践的かつ現実的なアドバイスを提供。公的保障から資産形成まで、人生とお金をトータルサポート

生産物・PL保険賠償事故!損害保険金支払い事例17件を一挙公開

 近年、飲食店が提供した料理を食べたことによって生じたトラブルが増えています。

厚生労働省のデータ(厚生労働省「食中毒統計調査」)によると、食中毒事件数はここ3年間で増加傾向にあります。

飲食店経営者にとって、これは無視できるデータではなく、PL保険に加入する等、しっかり備えておかなければならないことを示していると言えます。

今回の記事では、PL保険の補償内容について解説し、損害保険の現場に身を置く筆者が実際に経験した損害事例を紹介したいと思います。 

生産物・PL保険賠償事故!損害保険金支払い事例17件を一挙公開
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【実話】・PL保険賠償事故!損害賠償保険金支払い事例20件を一挙公開

目次

生産物賠償事故とは?

製造業者が造ったものや、販売業者が行った業務において生じた瑕疵が原因で、エンドユーザーに損害を与えてしまう事故を、生産物賠償事故といいます。

このような事故が生じた場合、製造業者や販売業者等のサービス提供者は、生じた事故の結果によってエンドユーザーに損害を与えた場合、その損害を賠償しなければなりません。

PL法(製造物責任法)では下記のように定められています。

この法律は、製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係る被害が生じた場合における製造業者等の損害賠償の責任について定める

e-GOV法令検索 製造物責任法 第一条 より抜粋)

このような製造業者や販売業者等のサービス提供者の損害賠償責任を補償するために、各損害保険会社よりPL保険が販売されています。

次項でその補償内容を詳しく解説します。

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生産物・PL保険賠償事故!損害保険金支払い事例20件を一挙公開-2

今日のPL保険に至った背景

PL保険を語る上で、PL法の制定・施行は大きな転換点といえます。

日本では1995年に施行されました。施行前、日本では様々な製品が安価で手に入れることができる状況で、非常に高い生活水準への移行期でした。

一方で、不運にも不具合のある製品を手にしてしまったことによる損害も多発していたのです。

その際、損害を被った被害者は、製造業者に損害賠償請求するためには、業者側の故意・過失を「被害者側が」具体的に立証しなければなりませんでした。

しかし実際には、被害者側で業者側の責任を立証するのは限界があります。

そのような社会的状況を背景として、199571日のPL法施行により、被害者は、製造業者の製品に欠陥があることを立証するだけでよく、業者側の故意や過失を問わず、損害賠償請求が可能になったのです。

PL保険の補償内容とは

この項では、PL保険の補償内容について解説していきます。

対象となる者

まずPL保険の対象となる者(補償を受けることができる者)について説明します。

①・・製品等を製造した者、販売した者、飲食店等

電気器具、食品、料理等、店舗やレストランで販売・提供されたものの欠陥、不具合に起因する損害が補償の対象となります。

②・・工事や作業を請け負った者

建設工事・内装工事、機械類の設置工事、清掃作業の結果に起因する損害が補償の対象となります。

※①②ともに法律上の賠償責任が認められる範囲に限られます。

支払い対象となる損害

次に、具体的にどのような保険金を受け取ることができるのか、について説明します。

・損害賠償金
・損害防止費用
・権利保全行使費用
・緊急措置費用
・協力費用
・争訟費用

損害賠償金

法律上の損害賠償責任に基づいて被害者に支払う金額であり、PL保険のメインの補償です。具体的には被害者の治療費や慰謝料だけでなく、和解金・示談金等も含まれます。なお、法律上の賠償義務がないのにも関わらず支払われた見舞金等は、補償対象外となります。

損害防止費用

事故が発生した場合の損害の発生または拡大の防止のために必要または有益であった費用をいいます。実際に事故が発生すると、損害が拡大するのを防ぐことも重要です。さらに、保険法においても、事故が発生した際の損害防止義務を遂行しなければならない旨、規定されています。このような費用も補償対象となります。

権利保全行使費用

第三者に損害賠償を請求できる場合に、その権利を保全・行使するための費用をいいます。たとえば建設工事業を営んでいるとして、建設工事において、工事完成し引き渡したものの(仕事の結果)、施工ミス等によってエンドユーザーに損害を与えたとします。建設工事の場合、下請け業者が入ることが一般的です。元請の工事業者がエンドユーザーから損害賠償請求されたとしても、下請け業者の仕事の結果、損害が発生したのであれば、当該下請け業者も責任を負う必要があります(元請業者も監督責任は問われます)。

このようなケースで、元請業者がエンドユーザーに損害賠償金を全額支払った後で、下請け業者の過失割合に応じて請求することになりますが、その手続きにかかる費用を権利保全行使費用といいます。

緊急措置費用

事故が発生した場合の緊急措置(ケガ人の救助活動、応急手当等)に要した費用をいいます。②の損害防止費用ともリンクしますが、事故が発生した際の初動対応を迅速にしっかりすることで、結果的に損害賠償が発生せずに済むこともあります。PL保険ではその費用も補償対象としているのです。

協力費用

事故が発生した場合、保険会社へ事故報告をします。保険会社も事故解決にあたる場合で、保険会社へ協力するために必要となる費用をいいます。

争訟費用

裁判費用、弁護士報酬等、損害賠償に関連する争訟について支出した費用をいいます。PL事故が発生すると、エンドユーザーより損害賠償請求訴訟を提起されることもありえます。この裁判の結果如何によって、損害賠償金の支払額、そもそも支払うべきものなのかどうか、といった点が大きくかかわってきます。このような費用もPL保険で補償対象となるのです。

特約の補償内容

前項で解説したものは、PL保険の基本補償になります。どこの損害保険会社で販売されているPL保険においても、基本補償部分に相違点はありません。

この基本補償の内容を拡大するために付保する特約についても解説します。

特約は各損害保険会社によって特色の出る部分で、会社によっては用意していないところもあります。

・不良完成品損害補償特約
・リコール費用補償特約
・食中毒・特定感染症利益補償特約
・被害者対応費用補償特約
・事故対応特別費用補償特約

不良完成品損害補償特約

基本補償において保険金の支払対象外とされている、生産物が部品等として使用された完成品の損壊に起因する損害に関し、この特約を付保することで補償対象とすることができます。

リコール費用補償特約

製造した製品によるエンドユーザーへの損害が発生し、損害原因となった製品を回収する費用を補償するものです。なお、特約の支払限度額は決して十分な額が補償されているとはいえず、リコールの費用をしっかり備えるためにはリコール保険の付保をおすすめします。

食中毒・特定感染症利益補償特約

飲食店において食中毒、保険会社所定の感染症が発生し、営業休止となった際の損失を補償するものです。

被害者対応費用補償特約

損害が発生した際、被害者に対して支払った見舞金や、初期対応に要した臨時費用を補償するものです。なお、このような補償内容の特約はどこの損害保険会社のPL保険にも用意されているものですが、各社ごとに特約の名称が異なります(初期対応費用補償特約など)。

事故対応特別費用補償特約

PL保険の支払い対象となりそうな損害賠償請求をされた場合に、その対処のために要した費用(文書作成費用、交通費、通信費など)を補償するものです。

生産物・PL保険賠償事故!損害保険金支払い事例17件を一挙公開
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保険金支払い事例を紹介

ここで、保険金の支払い事例をいくつか紹介します。

筆者が実際に現場で対応に当たった事例も含めて紹介したいと思います。

事故事例①防水コンセントの不備により漏電する事故発生。

事故日:2015.1.11
事故内容・詳細:リフォーム工事での内装引渡し後、防水コンセントの不備により漏電する事故発生。

保険金支払額

保険金支払額:1,008,073円

事故事例②店の室外機と外壁を汚損する事故発生。

事故日:2016.12.23
事故内容・詳細:設置した排煙口からの油成分が隣地パチンコ店の室外機と外壁を汚損する事故発生。

保険金支払額

保険金支払額:1,380,000円

事故事例③戸建て住居での雨漏れによる家財破損事故発生。

事故日:2021.1.18
事故内容・詳細:リフォーム工事引き渡し後、戸建て住居での雨漏れによる家財破損事故発生。

保険金支払額

保険金支払額:635,500円

事故事例④工事用のサッシビスが駐車場に残っており、施主運転自動車がパンクさせる事故発生。

事故日:2020.12.5
事故内容・詳細:新築戸建引き渡し後、工事用のサッシビスが駐車場に残っており、施主運転自動車がパンクさせる事故発生。

保険金支払額

保険金支払額:99,000円

事故事例⑤トイレが詰まり排水管から漏水しクロス破損する事故。

事故日:2024.6.8
事故内容・詳細:トイレが詰まり公示後に排水管から漏水しクロス破損する事故。

保険金支払額

保険金支払額:204,000円

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事故事例⑥リフォームで給湯器の水抜き作業の不備で排水管が凍結する。

事故日:2022.9.10
事故内容・詳細:中古戸建販売時のリフォームで給湯器の水抜き作業の不備で排水管が凍結する。

保険金支払額

保険金支払額:90,420円

事故事例⑦漏水によりコピー機を破損させる事故発生。

事故日:2014.3.25
事故内容・詳細:エアコン設置後の漏水により施主所有のコピー機を破損させる事故発生。

保険金支払額

保険金支払額:162,300円

事故事例⑧ボードアンカーの締付の弱さからクロスごと剥がれ落下する事故発生。

事故日:2020.5.19
事故内容・詳細:1年前に設置したエアコンが、ボードアンカーの締付の弱さからクロス横2m縦50㎝ごと剥がれ落下する事故発生。

保険金支払額

保険金支払額:332,400円

事故事例⑨エアコンが落下した際に壁クロスに接触し傷をつける。

事故日:2014.11.20
事故内容・詳細:2013年に設置したエアコンが落下した際に壁クロスに接触し傷をつける。

保険金支払額

保険金支払額:99,930円

事故事例⑩1年前に設置引き渡しをしたエアコンドレーン部分より漏水。

事故日:2018.10.17
事故内容・詳細:1年前に設置引き渡しをしたエアコンドレーン部分より漏水。2階の個室と階下個室に漏水被害。漏水原因はドレーンホースが冷媒配管に押しつぶされ逆流したため事故になった。

保険金支払額

保険金支払額:1,423,000円

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事故事例⑪飛んだ鉄骨が雨どいに付着し、さびとなり居住者より請求をお受ける。

事故日:2020.7.12
事故内容・詳細:マンション屋上修繕工事中に強風により飛んだ鉄骨が雨どいに付着し、さびとなり居住者より請求をお受ける。

保険金支払額

保険金支払額:558,900円

事故事例⑫3年前に設置したエアコンが落下し、家財破損の請求を受ける事故。

事故日:2021.7.20
事故内容・詳細:3年前に設置したエアコンが落下し、エアコンの買替・クロス張替・家財破損の請求を受ける事故。

保険金支払額

保険金支払額:249,800円

事故事例⑬エアコン設置後に排水管より漏水

事故日:2019.3.21
事故内容・詳細:エアコン設置後に排水管より漏水し、居住人所有物の高級ブランドバッグ複数点を汚損させた。

保険金支払額

保険金支払額:428,200円

事故事例⑭給水管工事完了後HVP管が接続不良により階下へ漏水した。

事故日:2019.7.9
事故内容・詳細:キッチン周りのリフォームを受注し、給水管工事完了後HVP管が接続不良により抜けてしまい階下へ漏水した。

保険金支払額

保険金支払額:1,880,800円

事故事例⑮トイレ給水配管工事の引き渡し二日後に配管部分より漏水した。

事故日:2019.3.22
事故内容・詳細:法人企業様の事務所トイレ給水配管工事の引き渡し二日後に配管部分より漏水した。原因はVP管の接合部に塗料残りがあり接合部が抜け落ちたため漏水事故に繋がった。

保険金支払額

保険金支払額:1,820,900円

生産物・PL保険賠償事故!損害保険金支払い事例17件を一挙公開
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事故事例⑯エアコン設置後に漏水し居住者のソファーとベッドと壁を汚損させた。

事故日:2021.1.6
事故内容・詳細:エアコン取り付け作業を受注し、エアコン設置後に漏水し居住者のソファーとベッドと壁を汚損させた。

保険金支払額

保険金支払額:486,900円

事故事例⑰キッチン排水ホース交換作業引き渡し後、2カ月ほどして漏水する事故が発生。

事故日:2022.10.11
事故内容・詳細:キッチン排水ホース交換作業引き渡し後、2カ月ほどして階下に漏水する事故が発生。原因は排水ホースナットとパッキンのネジ口径が合っておらず隙間から漏水した。

保険金支払額

保険金支払額:218,000円

上記で紹介した事例は主に物損損害です。不幸中の幸いなのか、賠償金額はそれほど高額にはなりませんでしたが、人身損害ともなると、損害額は高額化する傾向にあります。

たった一度の事故でも経営を揺るがしかねない経済的損失を被る可能性があります。

しっかりPL保険でそのような損害に備えておくことは大切です。  

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製品の欠陥や不具合による事故・トラブル、万が一に備えていますか?
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Q&A:PL保険に関連した質問と回答

本記事の最後に、PL保険に関連した質問と、それに対する回答をいくつか紹介いたします。

ここまでの解説で、PL保険の補償内容がわかりにくいと感じられている方でも、以下に紹介するQ&Aを確認することで、補償のイメージがしやすくなるかと思います。

補償内容の見直しや、これから加入を考えている方は、ぜひ参考にしてください。 

質問①:PL保険で補償される損害はどのようなものですか?

初めまして、PL保険について質問です。詳細は伏せますが、私は部品を作っている会社の経営している者です。

つい先日、父親から経営権を引き継いだばかりの新米経営者です。

会社全体の状況を把握する一環で、保険の加入状況を確認していたところ、PL保険に加入していないことがわかりました。

製造業者にとってPL保険は必須だと、漠然と理解しているので、早く加入しなければと思うものの、私自身あまりよくPL保険の補償内容についてわかっていないのです。

PL保険ではどのような損害が補償されるのでしょうか?まずそこから理解したいと思います。 

回答|製品の欠陥によって第三者に損害が生じた場合の、治療費や修理費等が補償されます。

PL保険は「Product Liability」の略称で、製造物賠償責任保険といいます。

この保険では、企業や事業者が製造・販売した製品に欠陥があり、それによって第三者(消費者など)に対して発生した身体的または物的な損害に対する損害賠償責任をカバーします。

ここでいう「損害」とは、具体的に次の2つに大別されます。 

身体的損害(人身損害)

製品の欠陥によって人が負傷したり、病気になったり、最悪の場合、死亡してしまうような事故が発生した場合に、被害者やその家族に対して支払う賠償金が対象となります。 

【具体例】
・家電製品が発火して使用者がやけどを負った。
・食品に異物が混入しており、消費者が食中毒を起こした。
・自転車のブレーキが利かず、乗っていた人が転倒して骨折した。
・病院で手術を受けた患者が、手術に使用された医療機器の欠陥により死亡した。

これらのケースでは、治療費・慰謝料・休業損害・葬儀費用などがPL保険による補償の対象となります。 

財物損害(物損)

製品の欠陥によって、第三者の財産(持ち物、建物、機器など)が破損・汚損した場合の損害賠償責任についても、PL保険では補償されます。 

【具体例】
・家電製品がショートして、家の一部や家具が焼けてしまった。
・自動車用部品(ブレーキ)に欠陥があり、走行中うまく作動せず、住宅建物に衝突してしまった。
・洗剤の成分が強すぎて顧客の衣類を変色させてしまった。
・看板設置工事が完了し引き渡した後、看板の建付けが悪く、落下してしまった。停めてあった自動車に損害を与えてしまった。

このような場合に、壊れた物の修理費用や交換費用、使用できなくなったことによる損失(営業損失など)が請求された際に、PL保険が対応します。 

注意点:補償されない損害の例

PL保険はあくまでも「第三者への損害賠償責任」を補償するものであり、以下のような損害は補償対象外となります。

補償対象外の事例解説
自社製品そのものの修理、回収費用欠陥がある自社製品自体の損害には適用されません。(リコール特約などが別途必要)
使用者の誤使用による事故使用方法が明らかに誤っていた場合には補償対象外になる可能性があります。
仕様通りの性能であると判断された場合欠陥ではなく、設計通りであると判断された場合は責任が否定されることがあります。
契約違反に基づく損害(納期遅延など)製品に問題がなく、商取引上のトラブルによる損害は補償されません。

結論

PL保険は、「製品の欠陥によって第三者に実際の被害が生じた場合」のみを補償対象とする保険です。

人命に関わる重大な損害から、他人の財産を壊してしまった場合まで幅広くカバーしますが、自社の損失や単なる製品の不具合には対応しないという点には注意が必要です。

しっかりおさえておきましょう。

また、企業にとってPL保険は万が一のリスクに備えるだけでなく、取引先や消費者への信頼性を担保する手段にもなります。

製造業や販売業においては、企業の信用・継続的取引のためにも、しっかりとしたリスク管理の一環として加入を検討するべき保険といえます。

質問者様はまだ未加入ということなので、保険会社に相談する等して、早めに加入することを強くおすすめします。  

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質問②:PL保険の保険料はどのように決まりますか?

PL保険の保険料について質問させてください。私の会社ではPL保険に加入しているのですが、保険料がちょっと高いのでは、と感じています。

先日とある経営者の集まりに顔を出したときに、保険の話になったのですが、PL保険の保険料を聞いてみたところ、私のものよりだいぶ安いなと感じました。

PL保険の保険料はどんな要素で金額が決まるのでしょうか? 

回答|PL保険の保険料は、売上高等、多面的な要素で決まります。

PL保険(製造物責任保険)の保険料は、企業や事業者が提供する製品のリスク特性や事業規模、設定保険金額や特約といった補償内容など、複数の要素を総合的に評価して計算されています。

以下に、主な保険料算出の要因と、それぞれが保険料にどのように影響するかを詳しく解説します。 

製品の種類・危険度(リスクの高低)

PL保険料にもっとも大きく影響するのは、補償対象とする製品の性質や用途です。

製品によって事故の発生頻度や損害の大きさが異なるため、リスクの高い製品を扱っている企業は、一般的に保険料も高額になります。 

【リスクが高いとされる製品の例】

製品カテゴリリスク要因
食品・飲料食中毒、異物混入など健康被害のリスク
化粧品・医薬部外品肌トラブルやアレルギー反応
電気製品・家電感電、発火、火災のリスク
乗り物関連部品交通事故や重大事故につながる可能性

 逆に、文房具や家具などは損害保険会社の評価としてはリスクが低いとされており、保険料が安く抑えられる傾向にあります。 

年間売上高(保険料算出の基礎)

PL保険は、製品が市場に出回る規模(=売上高)に応じて保険料を計算するのが一般的です。

これは、売上が多ければ多いほど、消費者に渡る製品数も増え、それに比例して事故の発生可能性も上がるためです。

例えば、年間売上高が1億円の企業と10億円の企業では、同じ製品を扱っていたとしても、後者の方が製品が市場に出回っていると評価され、保険料は高くなります。 

補償限度額・免責金額

契約時に設定する支払限度額(1名あたり・1事故あたり)や、免責金額(自己負担額)も保険料に直接影響します。

具体的には以下のような図式となります。

・高額な支払限度額を設定する保険料は高くなる
・免責金額(例:10万円)を大きくする保険料は安くなる

海外輸出の有無

製品を海外に輸出している場合、PL保険の保険料はさらに上がる傾向にあります。これは、各国の製造物責任法の違いや、賠償金額の水準(特に米国は高額)が異なるためです。

海外対応には通常「海外賠償特約」などのオプションを付帯したり対応します。これにより、現地での事故や訴訟費用もカバーされますが、その分保険料も加算されます。

ただ、一般的に「海外賠償特約」では、補償される金額は充分な額とは言えません。海外でのPLリスクが考えられる製品の製造者は、別途「海外PL保険」に加入する等して対応することをおすすめします。 

過去の事故歴・損害賠償請求履歴

企業の過去の事故歴(クレーム件数や支払い実績)も保険料に影響します。事故や保険金請求が多い企業は「リスクが高い」と評価され、保険料が割増となることがあります。逆に、事故のない企業には無事故割引制度を提供する保険会社もあります。 

企業の業態や役割(製造者/販売者/輸入者)

PL法では、製品の欠陥によって生じた損害に対して、「製造者」だけでなく「販売者」や「輸入者」にも賠償責任が及ぶことがあります。特に輸入業者は、日本で流通する製品の「最終責任者」と見なされやすく、保険料も高めに設定される傾向があります。

結論

PL保険の保険料は、単純に一律ではなく、以下のような多面的な要素を組み合わせて個別に算出されます。

保険料に影響する主な要素内容
製品の種類・用途危険度に応じてリスク評価
年間売上高市場流通量に基づく基本計算式
支払限度額・免責金額高額補償には高い保険料が必要
海外輸出の有無輸出先リスクにより加算される
事故歴や過去の請求歴多ければ割増、少なければ割引
企業の役割(製造/販売/輸入)責任範囲によりリスクが変動

 保険会社や保険代理店では、これらの情報を元に見積もりを作成し、企業のリスクに最適な補償内容を提案してくれます。

特にPL保険は業種ごとに細かい基準が異なるため、複数の保険会社から見積もりを取り、内容と金額を比較することが重要です。 

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質問③:海外に輸出する製品もPL保険でカバーされますか?

PL保険は日本国内だけが補償対象となるのでしょうか?弊社で作っている製品は一部海外にも輸出しています。

そんなに多くはなく、製品の特性上、それほどPLリスクはないものではありますが、万が一のリスクに対応できればと思い、質問させていただきました。 

回答|基本契約は日本国内のみ。海外対応には別途対応が必要です。

結論から言えば、PL保険で海外に輸出した製品による事故や損害も補償対象とすることは可能です。

しかし、これにはいくつかの重要な条件や制限があるため、契約内容を慎重に確認する必要があります。

以下に、海外輸出品に関するPL保険の補償内容や注意点について詳しく解説します。 

基本契約では「国内限定」が一般的

多くのPL保険(製造物責任保険)の基本契約では、補償の対象となる事故の発生地が日本国内に限定されています。

つまり、基本契約のままでは、海外で発生した製品事故や損害賠償請求には対応できません。

これは、日本の法律や慣習を前提とした保険設計となっているためで、海外の法律や訴訟リスクをカバーするには、追加での契約や特約の付帯が必要になります。 

「海外PL特約」の付帯で補償範囲を拡張することが可能

海外に製品を輸出している場合は、「海外PL特約(海外リスク担保特約)」を付帯することで、海外で発生した事故や賠償責任に対しても補償されるようになります。 

【海外PL特約でカバーされる内容(具体例)】
・製品の欠陥により、米国で消費者がけがをした。
・欧州で販売された製品が火災を起こし、顧客の財物が損傷した。
・アジアの販売代理店が現地で損害賠償請求を受けた。

【補償対象となるのは・・・】
・製品を使用した第三者に生じた身体・財物損害
・海外での損害賠償請求に対応するための弁護士費用、訴訟費用など

米国をはじめとする高リスク国への輸出は要注意!

特にアメリカ合衆国はPL訴訟の件数・賠償額ともに世界で突出しており、訴訟リスクが非常に高いため、保険会社も慎重にリスク査定を行っているという実情があります。

【米国PL訴訟の特徴】
・少額の事故でも集団訴訟に発展する可能性がある
・裁判費用や和解金が非常に高額になる傾向がある
・製造者責任が厳しく問われる(懲罰的損害賠償が科される可能性もある)

そのため、アメリカを含む輸出先がある場合には、PL保険料が大きく増額されることがあります。また、米国向けPL特約を個別に契約する必要があるとしている保険会社もあり、さらには引き受け自体を制限する保険会社もあります。 

販売チャネルと法的責任の所在に注意

海外で事故が発生した場合、誰が法的責任を負うかは、販売チャネル(直販か代理店経由か、輸入業者の有無など)や契約条件によって変わってきます。

【具体例】
・日本企業が直接海外の小売業者に販売日本企業が損害賠償請求される可能性あり
・現地の販売代理店が販売現地代理店に責任が問われるケースもある

いずれにしても、日本の製造者・販売者が「責任主体」として訴えられる可能性があるため、PL保険における補償対象となる被保険者の範囲も明確にしておく必要があります。 

海外対応の保険会社・サポート体制の重要性

海外PL特約をつける場合は、国際的な対応力を持つ保険会社を選ぶことが非常に重要です。現地でのトラブル対応や、海外訴訟へのサポート体制(通訳・弁護士・調査機関など)が整っているかどうかが、実際に事故が発生した際の安心感につながります。

結論

いただいたご質問に対する回答を、下記のようにまとめました。

項目解説
基本契約日本国内の事故のみ補償が基本
海外対応には特約が必要「海外PL特約」を付けることで海外の事故も補償可能
米国輸出は特に注意高額な訴訟リスクに備え、特別な保険設計が必要
販売ルートと責任関係海外での責任の所在を明確にしておくことが重要
対応力のある保険会社を選ぶ海外でのトラブルにも対応可能な会社が安心

 PL保険で海外リスクをカバーするには、企業の輸出戦略・販売国の法制度・現地の訴訟文化などを総合的に考慮する必要があります。

保険会社との綿密な相談と、自社のリスク実態に合った補償設計が不可欠です。 

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質問④:PL保険に加入していても、損害賠償されないケースはありますか?

とある部品を作っている工場を経営しています。ないとは思いますが、万が一、欠陥品を作ったことで損害が発生したときに備えて、PL保険に入っています。

けれど、そんなPL保険でも補償されないケースってあるのでしょうか?リスク対策は万全にしておきたいので、参考にしたいです。 

回答|PL保険でも補償対象外となることはあります!

PL保険は、製品の欠陥によって発生した第三者の身体の障害や財物の損壊に対して、企業が負う損害賠償責任をカバーする保険です。

しかし、あらゆる損害や事故に無制限で補償されるわけではありません。

保険契約には補償の対象外となる「免責事項」が定められており、これに該当する場合には、PL保険に加入していても損害賠償が支払われないケースが存在します。

以下に、補償されない主なケースとその理由を詳しく解説します。 

製品自体の損害

PL保険は、第三者が被った損害を補償する保険です。よって、欠陥があった自社製品そのものに生じた損害(たとえば破損や不良など)に関しては、補償対象外です。

【具体例】
・食品が腐敗して販売できなくなった保険金は支払われない
・電気製品の内部で部品が壊れたが他人に損害なし補償対象外

このような「自分の損害」は、ケースバイケースではありますが、別途「動産総合保険」や「リコール保険」などで対応する必要があります。 

リコールに関する費用(回収費用など)

製品に欠陥があった場合、企業が自主的に市場から回収(リコール)することがありますが、PL保険では通常、リコール関連の費用は補償対象外です。

【具体例】
・問題のある製品を回収・交換するための費用
・消費者への通知費用
・社員による回収対応や物流コスト

ただし、「リコール費用補償特約」を付保することで、これらの費用を一定範囲内でカバーすることができる商品を提供している保険会社はあります。 

故意や重大な過失による損害

保険は本来、偶然の事故に備えるものです。そのため、製造者や事業者が意図的に欠陥を放置したり、重大な過失で安全管理を怠ったようなケースでは、補償を受けることができません。 

【具体例】
・欠陥を認識しながら製品の販売を継続した
・安全検査を実施せず製品を出荷した
・法令違反を伴う製造工程があった

このような場合、PL保険では支払いを拒否できる契約条項が設けられています。

誤使用・不適切な使用による損害

製品が正しい使い方をされていなかった場合、損害が発生しても補償対象とならないことがあります。これを「誤使用」や「不適切な使用」といいます。

【具体例】
・工具を誤った用途に使って破損・事故が発生
・注意書きや使用説明書に明記された禁止行為を無視して使用した

ただし、注意表示やマニュアルが不十分であれば、メーカー側の責任と判断されることもあるため、補償の可否はケースバイケースとなります。 

契約違反に基づく損害(納期遅延・仕様違反など)

製品そのものに欠陥がなく、取引条件の不履行による損害(納期の遅れ、仕様未達など)は、PL保険の補償範囲外です。

【具体例】
・約束した納期に商品を届けられず、取引先が損害を受けた
・契約した仕様通りの性能が出ずに契約違反とされた

こうした「商取引上の責任」や「契約違反による損害」は、PL保険では対応できません。

ただし、損害保険会社の中には、納期遅延や仕様違反等の事由でも補償対象となりうる保険商品を販売しているところもあります。その点については下記の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。 

【参考記事:EO保険とPL保険の違い?保険金支払い事例やメリットとデメリットを質問に回答します。】

E&O保険とPL保険の違い?保険金支払い事例やメリットとデメリットを質問に回答します。 | FP立川・吉祥寺・国分寺ファイナンシャルプランナー相談はファイナンシャルトレーナー

環境汚染・知的財産侵害・名誉毀損など特殊な損害

PL保険はあくまで「製品の欠陥によって生じた人身・物損」に限った保険です。

そのため、以下のような特殊な損害は対象外とされます。

【具体例】
・環境汚染(工場の排水による河川汚染など)
・商標・特許などの侵害行為
・名誉毀損、プライバシー侵害など

これらに関しては、別途「環境汚染賠償責任保険」や「知的財産権保険」など、適切な保険商品で備える必要があります。

補償期間外の事故

PL保険には「事故発生ベース」または「請求ベース」といった補償の対象となる期間の定義があります。契約外の期間に発生した事故や請求については、保険金が支払われない可能性があります。たとえば、契約期間終了後に発生した事故や、請求が遅れて期間外に出されたものなどは注意が必要です。

結論

PL保険は、製品の欠陥によって第三者に損害が生じた場合の強力な備えとなりますが、すべての損害を自動的にカバーしてくれるわけではありません。

補償されない主なケース補足説明
製品自体の損害自社製品の破損や不良品は補償対象外。
リコール費用通常は補償対象外。特約で対応可能な保険会社あり。
故意・重過失企業の不注意や違法行為は補償対象外。
誤使用使用者の不適切な利用による損害。
契約違反納期遅延・仕様未達は商取引上の問題。
環境・知財などそれ専用の保険加入が必要。
補償期間外の事故契約期間の確認が必要。

 PL保険を盲信することはせず、自社でのリスクマネジメントの強化や、製品の品質管理体制の徹底が、より重要です。

また、保険会社との契約時には、どのような場合に保険金が支払われないのかを明確に確認しておくことが、万が一のトラブル防止につながります。

商品パンフレット記載の、「保険金が支払われない主な場合」の項目をしっかり理解した上で保険に加入するようにしましょう。

まとめ

今回の記事では、PL保険の補償内容について解説し、実際の損害事例も紹介しました。

PL事故は生命を危険にさらす可能性を孕んでいる、決して軽視できないリスクです。

損害額によっては経営を揺るがすダメージにもなりえます。

PL保険の補償内容についてしっかり理解し、適切にリスクに備えるようにしましょう。

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