動産保険とは?レンタルやリース重機での保険料?メリットは?ショベルやブルドーザの保険加入を詳しく解説します。
動産総合保険とは、その名の通り、動産を不慮の損害から補償するための保険で、損害保険会社各社より販売しています。
そもそも動産とは何を指すのだろうと思ったことのある人は多いのではないでしょうか。
民法第86条2項にて、動産を下記のように規定しています。
”不動産以外の物は、すべて動産とする ”(民法 e-Gov法令検索より)
上記に基づくと、不動産以外のものはすべて動産総合保険に加入すれば補償されるのでしょうか。
今回の記事では、動産総合保険について、補償内容や対象とするものについて詳しく解説していきたいと思います。
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動産総合保険とは?
某大手損害保険会社の商品パンフレットでは、動産総合保険の補償概要を下記のように紹介しています。
動産総合保険は、事業用の什器・備品、機械、器具、商品または個人所有のカメラなどの動産を対象とした総合保険です。
運送中や使用中の破損や盗難など、偶然な事故による損害を補償します。
動産総合保険ではどのようなものが保険の対象となるのか、またどのような事故による損害が補償対象となるのか、そもそもどういった形式で契約できるのか、詳しく見ていきます。
補償対象となるもの
基本的にほとんどすべての動産を補償の対象とすることができます。
動産総合保険では、補償対象となる動産を、その種類に応じて下記のように分類しています。
後に説明しますが、動産の分類に応じて契約方式を定めているのです。
特定の動産
法人や個人が所有している営業用の什器・備品・展示品、高額の家財等を個別に指定し、補償の対象とすることができます。
(例)オフィス機器、精密機器、美術品、カメラ、プロジェクター、ステレオ
商品・製品・半製品・在庫品
商品や在庫品、製品完成前の半製品等を補償の対象とすることができます。
特に製造業者にとっては、商品の運送中や半製品の保管中のリスクは気になるところです。
現金・小切手・手形・有価証券
サービス業等の売上現金や従業員に支払う給与等についても補償の対象とすることができます。
上記のように、大抵のものは動産総合保険の補償対象となりえます。ただし、他の保険で対象としているものについては、動産総合保険にて補償を付保することはできません。
たとえば下記のようなものです。
・自動車、船舶、航空機・・・これらはそれぞれ自動車保険、船舶保険、航空保険で補償対象とします。
・組み立て途上の機械・設備・・・これらは組立保険や機械保険で補償対象とします。
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補償対象となる事故
動産総合保険では、保険対象とした動産の使用中、保管中、運送中、展示中に被る様々な事故を補償します。
具体的には下記の事故です。
※保険会社によって対象となる事故は異なりますが、概ね下記の事故を補償対象としていいます。
・火災
・落雷
・破裂または爆発
・風災、雹災、雪災
・落下
・飛来
・衝突
・水濡れ
・いたずら
・盗難
・破損
・運送中の事故
契約方式
動産総合保険では、補償の対象となる動産に応じて、下記4種類の契約方式が用意されています。
特定動産契約方式
法人の事務所や店舗、病院にある事務用機器、据え付けの機械、X線撮影装置等、特定の動産を対象に契約する方式。
展示契約方式
展示会に出品する美術品等の動産を対象として、保管している店舗・倉庫から出品・展示先までの運搬中、および展示中のリスクを一貫して引き受ける方式。
商品・在庫品契約方式
製造業者が所有する自社製品を保管中から出荷、運送中、引き渡しまでを一貫して引き受ける方式。
現金・小切手契約方式
現金、小切手、有価証券等に関し、事務所内に保管中から運送中における強盗やひったくり等のリスクを補償する方式。
なお、事務所内に保管中のみを補償対象とすることで保険料を安くすることもできます。
火災保険との違い
ここまでの説明を聞いて、多くの人が火災保険の家財に対する補償とよく似ていると感じられたことと思います。
火災保険と動産総合保険とでは、どのような違いがあるのでしょう。
火災保険と動産総合保険の3つの相違点
火災保険と動産総合保険の3つの相違点について解説します。
保険の対象の分類
火災保険では家財一式に対して保険金額を設定し、補償の対象とします。
ソファやテーブルは補償の対象とするが、ベッドは補償の対象としないといったように、家財によって補償の有無を設定することは、基本的にできません。
一方で動産総合保険の場合は、特定の動産に対して補償を付保します。
損害の際、保険の対象がどこにあったか
火災保険において、もし家財に損害が発生した場合、家財が収容されている自宅建物から持ち出された状態で損害を受けたのだとしたら、火災保険では補償の対象外となります。
あくまで自宅建物内にある家財のみが火災保険の対象となるからです。
一方で動産総合保険の場合、あくまで特定の動産に対し補償を付保するという性質上、それが運搬途上等、自宅建物外にある状態で損害が発生しても補償の対象となります。
美術品等の取り扱い
火災保険の場合、基本的に美術品や骨とう品等は、1つまたは1組で30万円以内のもののみを補償の対象としています。
30万円を超えるものを補償対象とする場合、明記物件として申告し、別途保険金額を設定する必要があります。
一方で動産総合保険の場合、保険金額を任意に設定できるので、火災保険のような制限はありません。
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動産総合保険をかけることのメリット
上記で火災保険との違いを説明しましたが、家財が自宅建物内にある場合ならば、火災保険であっても動産総合保険であっても補償対象となります。
このように補償内容は両穂保険で重なるのです。
では、あえて動産総合保険を付保することのメリットはどこにあるのでしょう。
保険金額に限度がない
火災保険との違いの項でも説明しましたが、動産総合保険では対象となるものを指定して、それに対して保険金額を設定します。
火災保険であれば高価なものを補償対象にしようとした場合、どうしても保険金額に制限を受けることになりますが、動産総合保険ではそのような制限なく、保険金額を基本的に自由に設定できるのです。
持ち出し中も補償対象となる
動産総合保険では、補償対象となる動産がどこにあっても、補償対象となります。
たとえば自宅建物内で損害を被った場合は火災保険でも補償対象とすることはできますが、自宅建物外に持ち出した際、家財として補償対象とはなりません。
その点、動産総合保険では、持ち出し中・運送中であっても補償対象となるのは大きなメリットです。
法人・個人問わず補償対象となる
動産総合保険では、補償対象となる動産の所有者が法人であっても個人であっても付保することができます。
現場でお客様と接していると、動産総合保険は法人でしか加入できないと思っていた、といったことをよくお聞きします。
動産総合保険は、何も法人に限定された保険ではないのです。
ショベルやブルドーザ重機の保険料の相場は?
ここで、動産総合保険の保険料の一例を紹介します。
紹介するのは、筆者が実際にお客様に提案した内容です。
動産総合保険の保険料相場を知る上で、ぜひ参考にしてください。
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保険金支払い対象外となる事例
動産総合保険に限らず、保険を契約する上で一番注意すべき点は、保険金の支払対象外となる事例についてしっかり理解することです。
動産総合保険の保険金支払対象外となる事例について、代表的なもののみピックアップして紹介します。
保険会社によって取り扱いは異なりますが、概ね下記の内容が保険金をお支払いできない主な場合として列挙されています。
・故意によるもの
・保険の対象の欠陥によるもの
・自然の消耗もしくは劣化によるもの
・台風、暴風雨によって生じた水災によるもの
・電気的、機械的事故によるもの
・詐欺、横領、紛失、置き忘れによるもの
水災のように火災保険では補償の対象となっていても、動産総合保険では対象外としている事案もありますので、よく確認しておくようにしましょう。
ファイナンスローンでの購入で保険契約の対象外となるケース
最後に、保険契約の対象外となる事例を紹介します。
これは筆者が現場で実際に経験した事案です。
とある重機メーカー(以下、A社とします)の重機を建設元請会社(以下、B社とします)がファイナンスローンで購入しました。
さらにB社は建設下請け業者(以下、C社とします)に当該重機を貸し出しました。
筆者はC社より当該重機の保険について相談を受け、動産総合保険を付保すべく各損害保険会社へ相談しましたが、軒並み引き受けできないとの回答を得たのです。
保険会社の主張としては、B社がファイナンスローン返済中(いわゆる借金返済中)にも関わらず、当該重機を転貸することになることが保険引受不可とする理由だとのことです。
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ただこのような状況下でも、1社だけはC社を契約者として当該重機に動産総合保険を付保することができたため、無事契約を結ぶことができました。
なかなかややこしい状況で、かなり苦労したことを覚えています。
動産総合保険は、保険の対象そのものが、規定上、補償の対象となるものであっても、ファイナンスの状況によっては損害保険会社が引き受けを断るケースもあるのです。
このような特殊な状態の場合は、必ず事前に保険会社へ確認することが大事です。
まとめ
今回の記事では、動産総合保険について、その補償内容と対象となるものについて詳しく説明しました。
火災保険と補償内容は非常に似ていますが、まったく同じものと考えると思わぬ落とし穴がありますので注意しましょう。
最後の項で説明したように、補償対象となるものについても、ファイナンス等の状況によっては補償対象外となることもありますので注意が必要です。
必ず保険会社へ確認の上、手続きを進めるようにしましょう。
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