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2024.07.31

対人・対物賠償責任保険の補償は無制限にすべき理由をプロが解説いたします。

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著者情報 森 逸行 FP歴15年 経験した事を伝え解決に導く『金融パーソナルトレーナー』

対人・対物賠償責任保険の補償は無制限にすべき理由をプロが解説いたします。
自動車を持っている人のほとんどが万が一の事故に備えて任意の自動車保険に加入しています。

自動車保険の毎月の保険料は決して安い金額ではなく、できるだけ費用負担を減らしたいと誰もが思うでしょう。

自動車保険の補償内容を削減することで、保険料を安く抑えることはできますが、自動車保険の中には決して削ってはけないものがあります。

それが対人・対物賠償責任保険です。

今回の記事では対人・対物賠償責任保険について解説していきます。

対人賠償責任保険とは

対人賠償責任保険とは、自動車事故によって他人を死傷させてしまい、法律上の損害賠償責任を負った場合に、自賠責保険(強制保険)で支払われる金額を超える損害賠償額に対して、保険金が支払われるものです。

自動車事故で相手方に怪我を負わせたり、死亡させたりすると、怪我の治療費や休業補償、慰謝料等を支払う責任が生じます。

大きな事故によって死亡させたり後遺障害を負わせてしまったりすると、その金額は億を超えることもあります。

人身事故における高額賠償事例を紹介

ここで、これまでにあった高額賠償事例について見ていきたいと思います。

人身事故における高額賠償事例を紹介

認定総損害額:52,853万円
被害態様:死亡
被害者性別年齢:男41歳
被害者職業:眼科開業医
判決年月日:2011/11/1

認定総損害額:45,381万円
被害態様:後遺障害
被害者性別年齢:男30歳
被害者職業:公務員
判決年月日:2016/3/30

認定総損害額:45,375万円
被害態様:後遺障害
被害者性別年齢:男50歳
被害者職業:コンサルタント
判決年月日:2017/7/18

認定総損害額:45,063万円
被害態様:後遺障害
被害者性別年齢:女19歳
被害者職業:大学生
判決年月日:2021/8/26

認定総損害額:43,961万円
被害態様:後遺障害
被害者性別年齢:女58歳
被害者職業:教師
判決年月日:2016/12/6

認定総損害額:39,725万円
被害態様:後遺障害
被害者性別年齢:男20歳
被害者職業:大学生
判決年月日:2011/2/18

認定総損害額:39,510万円
被害態様:後遺障害
被害者性別年齢:男20歳
被害者職業:大学生
判決年月日:2011/2/18

※損害保険料率算出機構 自動車保険の概況(2022年度統計)より抜粋

上記のように、過去には億を優に超える賠償事例があります。

被害者の態様や職業、家族構成、所得等の諸条件を考慮した結果、このような高額賠償判決が出ることになるのです。

自賠責保険(強制保険)の補償内容とは

ここで自賠責保険の補償内容について解説します。

自賠責保険は、法律によって自動車1台ごとに加入が義務付けられている強制保険です。

対人賠償責任保険は、自賠責保険(強制保険)で支払われる補償額を超える損害賠償額に対して保険金が支払われます。

では、自賠責保険はどういった補償内容になるのでしょうか。

以下に払われる保険金の限度額について記載します。

死亡:3,000万円
ケガ:120万円
後遺障害:後遺障害の程度に応じた等級によって75万円~4,000万円

※一般社団法人 日本損害保険協会 自賠責保険より抜粋

死亡、後遺傷害といった大きな事故の加害者になってしまうと、自賠責保険の補償内容を超える損害賠償責任が発生することも珍しくありません。

それは、先ほど紹介した高額賠償事例を見ても明らかです。

自賠責保険はあくまで最低限の補償と考えておくべきです。

自賠責保険の詳しい情報は下記参考サイトをご確認ください。

【参考サイト:一般社団法人 日本損害保険協会 自賠責保険】
自賠責保険|日本損害保険協会 (sonpo.or.jp)

対人賠償責任保険の補償は無制限にすべき

任意の自動車保険の補償内容を検討するにあたり、対人賠償責任保険の補償は無制限に設定して契約するのを基本と考えるべきです。

保険料の節約を考えて無制限以外の補償にすることは、決しておすすめできません。

上記の高額賠償事例で挙げたように、億単位の賠償責任を負う危険性もあります。

また、そもそも無制限以外に設定してもさほど保険料に差異はなく、節約にもなりません。

参考資料:某社自動車保険 対人賠償責任保険 保険料比較
【参考資料:某社自動車保険 対人賠償責任保険 保険料比較】

対人無制限プラン

車種:フリード
免許証の色:ゴールド
ノンフリート等級:10
使用目的:日常・レジャー使用
対人賠償責任保険:無制限
対物賠償責任保険:無制限
人身傷害保険金額:5,000万円
保険期間:1年間
年間保険料:111,170円

対人5,000万円プラン

車種:フリード
免許証の色:ゴールド
ノンフリート等級:10
使用目的:日常・レジャー使用
対人賠償責任保険:5,000万円
対物賠償責任保険:無制限
人身傷害保険金額:5,000万円
保険期間:1年間
年間保険料:108,500円

年間の保険料差額2,670円を節約するためにリスクを負うのが良いか、今一度よく考えてみましょう。

対物賠償責任保険とは

対物賠償責任保険とは、いわゆる自動車保険におけるモノの損害を補償する保険です。

自動車事故によって他人のモノを壊してしまい、法律上の賠償責任を負った場合に保険金が支払われます。

モノの例として、自動車や建物、ペットといった他人の財物だけでなく、信号機やガードレール、電柱といった公共物も含まれます。

モノの損害においてもその賠償額は高額の事例があります。

物損事故における高額賠償事例を紹介

人身事故同様、物損事故についても過去にあった高額賠償事例を紹介します。

物損事故における高額賠償事例を紹介

認定総損害額:26,135万円
裁判所:神戸地裁
被害物件:積み荷(洋服)
判決年月日:1994/7/19

認定総損害額:13,450万円
裁判所:東京地裁
被害物件:店舗
判決年月日:1996/7/17

認定総損害額:12,036万円 裁判所:福岡地裁
被害物件:電車  判決年月日:1980/7/18

認定総損害額:11,798万円
裁判所:大阪地裁
被害物件:トレーラー
判決年月日:2011/12/7

認定総損害額:11,347万円
裁判所:千葉地裁
被害物件:電車
判決年月日:1998/10/26

認定総損害額: 6,124万円
裁判所:岡山地裁
被害物件:積み荷
判決年月日:2000/6/27

認定総損害額: 4,141万円
裁判所:大阪地裁
被害物件:積み荷
判決年月日:2008/5/14

※損害保険料率算出機構 自動車保険の概況(2022年度統計)より抜粋

人身事故ほどではないにせよ、物損事故においても上記のように億を超える高額賠償事例が出ています。

高価なものを損壊させてしまった場合や、事故に伴う火災・爆発といった二次災害が引き起こされると、損害賠償額は高額化する傾向があります。

対物賠償責任保険の補償も無制限にすべき

対物賠償責任保険の補償金額を検討する際も、無制限にするのが基本と考えるべきです。

上記の事例でも見たように、損害を与えた対象物や事故の状況によっては、損害賠償額が億を超えるほどの高額になってしまうことは十分に考えられます。

対物賠償責任保険においても、保険料の節約を優先して、補償額を削るべきではありません。

また、対人賠償責任保険同様、対物賠償責任保険においても保険料の差はそれほど発生しません。

参考資料:某社自動車保険 対物賠償責任保険 保険料比較

【参考資料:某社自動車保険 対物賠償責任保険 保険料比較】

対物無制限プラン

車種:フリード
免許証の色:ゴールド
ノンフリート等級:10
使用目的:日常・レジャー使用
対人賠償責任保険:無制限
対物賠償責任保険:無制限
人身傷害保険金額:5,000万円
保険期間:1年間
年間保険料:111,170円

対物5,000万円プラン

車種:フリード
免許証の色:ゴールド
ノンフリート等級:10
使用目的:日常・レジャー使用
対人賠償責任保険:無制限
対物賠償責任保険:5,000万円
人身傷害保険金額:5,000万円
保険期間:1年間
年間保険料:110,030円

対物賠償責任保険においても、無制限と5,000万円とで年間保険料の差額は1,140円です。

車種や年齢条件によって差額は前後しますが、概して大きな金額にはなりません。

この差額を高いと考えてリスクを負うのが良い判断とは決して思えません。

まとめ

自動車を運転する以上、どんなに安全運転に気を付けていても、交通事故の危険はあります。

誰でも加害者になってしまう可能性があるのです。

本記事でも高額賠償事例を紹介しましたが、だれでも高額賠償の当事者になってしまう可能性があります。

ほんのわずかな保険料をケチって補償金額を削減したばかりに、補償金額を超える賠償責任を負ってしまっては、保険の意味がありません。

対人賠償、対物賠償については、あらゆるリスクを想定して、無制限に設定しておきましょう。

最後に一点、注意すべき点に触れておきます。

保険金額が無制限ということは、保険金を無制限に払うということではありません。

自動車保険を検討する上で、ぜひ参考にしてください。

【参考サイト:一般社団法人 日本損害保険協会 損害保険Q&A】

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