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2024.03.03

扶養に入る?入らない?どんな時におすすめか?社会保険のメリット・デメリットがあるか?家族以外でも入れますか?

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著者情報 森 逸行 FP歴15年 経験した事を伝え解決に導く『金融パーソナルトレーナー』

扶養に入るのはどんな時におすすめか?社会保険で何かメリット・デメリットがあるか?家族でなくても入れますか?

 

病院にいくと会計の際に保険証の提示を求められますよね。

その保険証には、本人用や家族用などがあり、1種類だけではないことをご存知の方はそう多くないでしょう。

本人用は保険料を負担している本人であることを指し、家族用は被扶養者であることを指すのです。

今回の記事では、被扶養者の要件について、社会保険だけでなく税金の面でも、質問に対する回答を通じて考察していきたいと思います。

質問:扶養に入るメリット・デメリットがあれば教えてください。

現在正社員として働いていますが、正社員を辞めてパートとして働き、旦那の扶養に入ろうかなと思っています。

正社員を辞めようと思ったのは、子供の習い事の送迎や家事などの負担で正社員がしんどく、働く時間を短くしたいと思ったのがきっかけです。

もし扶養に入る際に気を付ける事や、あまり知られていない扶養に入る事のメリット・デメリットがあれば教えてください。

回答:「103万円の壁」「130万円の壁」という話がでてきます。

扶養に入るという議論になると、「103万円の壁」、「130万円の壁」という話がでてきます。

「103万円の壁」は税金の壁であり、被扶養者の年間の給与収入が103万円を超えると、扶養者の所得税に影響がでます。

一方で「130万円の壁」は社会保険の壁であり、被扶養者となる人の年間の給与収入が130万円を超えると、被扶養者でなくなり、自身で社会保険の加入が必要になります。

※扶養者が会社員であると仮定しての話です。

以上を踏まえた上で、メリット・デメリットについて考えていきたいと思います。

回答|社会保険の面でのメリット・デメリット

社会保険の面でのメリット

メリットとして、被扶養者になると社会保険料の負担が必要なくなることが挙げられます。

扶養者の加入する健康保険の被扶養者として健康保険証が発行され、原則3割負担で医療を受けることができます。

年金の面でも、国民年金第3号被保険者となり、健康保険同様に保険料負担はありません。

社会保険の面でのデメリット

一方でデメリットは、被扶養者は傷病手当金を受給することができなくなります。

傷病手当金とは、病気や怪我で働けない期間、給料が下がったり、支払われなかったりした場合に、その一部を保障するというものです。

支給対象者が保険料を負担している扶養者に限られるので、被扶養者は対象外となるのです。

パート等で収入があるような方は病気や怪我で給与収入がなくなってしまっても、傷病手当金は受給できないのです。

年金の面でもデメリット

年金の面でもデメリットがあります。将来の年金受給額が少なくなってしまうという点です。

日本の年金制度はいわゆる二階建てといわれていて、一階部分が国民年金、二階部分が厚生年金という構造になっています。

厚生年金保険の加入者であれば、老後に一階部分と二階部分からそれぞれ年金を受給することができますが、被扶養者は国民年金の第3号被保険者となるため、一階部分からしか年金を受給することができないのです。

老後の生活を考えて、あえて扶養から外れてしっかり働くというのも一つの方法です。

回答|税金の面でのメリット・デメリット

所得税を納める必要がなくなります。

年間の給与収入103万円以下におさえると、基礎控除48万円、給与所得控除55万円をそれぞれ控除した結果、課税所得が0になるためです。しかし、このメリットを享受するためには働き方を調整しなければならないという点がデメリットとして挙げられます。

ただし質問者様に関して言えば、家族のために働く時間を短くしたいとの希望がありますので、この点はデメリットではないかもしれないですね。

おおまかには以上となります。

ご家族の生活環境や子供の成長に応じて、扶養に対する考え方も変わってくると思います。ぜひ参考にしてみてください。

質問:手取りは月に10万円ほどで収入的に家族扶養に入れるか分かりません。

正社員という雇用形態が自分に合わないのを感じて正社員を辞め、今現在バイトとして働いています。

もともと飽き性なのもありますが、なかなかしっくりくるバイトがなく、働いたり辞めたりしています。

個人的にその方が性に合っているのでいいかなと思っています。

手取りは月に10万円ほどですが仕事内容によって給料も変わってくるので、はっきりとした金額が分かりません。

年間収入が130万円を超える可能性を考えると、やはり扶養に入るのは難しいでしょうか?

回答:被扶養者となるには、130万円の壁というものが存在します。

社会保険の被扶養者となるには、いわゆる「130万円の壁」というものが存在します。

年間収入が130万円以上となると、被扶養者の認定から除外され、社会保険料を自分で負担しなければならなくなります。

130万円を少しだけ上回る程度の場合、130万円未満の場合と比べ、手取り額は大幅に減ることになります。

そのため、年末近くになると多くの人が130万円未満に抑えようと労働時間を調整することになり、企業によっては労働力不足が問題となっていました。

そこで2023年10月より新ルールが導入され、「130万円の壁」に一時的な解決が図られました。

130万円を超えることがあっても、それが一時的なものであれば、引き続き被扶養者として認定するというものです。ただし注意すべき点もあります。

「同一の者について、連続2回までであること」「(基本給の増加等)恒常的な収入の増加は対象外」の2点を満たす必要があるということです。

(厚生労働省からのお知らせ 「年収の壁・強化支援パッケージ」より

PowerPoint プレゼンテーション (mhlw.go.jp)

 

上記より、扶養認定の要件は緩和傾向にありますが、扶養内で働こうと思うのならば、毎月一定の額を得るというような働き方が、年末近くに収入額を気にする必要もなくなるので、質問者様にとってもスッキリするのではないでしょうか。

質問:またいつ働くかわからない場合、扶養に入らない方がいいですか?

正社員として働いていたので社会保険に入っていましたが、少し前に会社を辞めました。

旦那も働いており子供もいないので、金銭的にも余裕はあるしすぐに働かなくてもいいかなと思っています。

また、この機会にずっと行けていなかった旅行に行ったりしたいという気持ちもあります。

もちろんまた仕事を探して働きますが、次いつ働くか分からない場合、旦那の扶養には入らない方がいいですか?

回答:次に働くまでの間は、旦那さんの扶養に入っておいた方が良いでしょう。

次に働くまでの間は、旦那さんの扶養に入っておいた方が良いでしょう。

扶養に入っておけば(被扶養者となっておけば)、社会保険料の負担がなくなります。

扶養から外れると、国民年金、国民健康保険に加入することになりますが、そこから受給する保険給付と、旦那さんの被扶養者として受給できる保険給付とで、大きな差はありません。

もちろん旦那さんの扶養に入ることで、旦那さんの会社には手続きにおける事務手続きが発生しますが、そこは質問者様の感知するところではありません。

具体的に次の仕事が決まって、正社員として働くようになるまでは、旦那さんの扶養に入っておくことをおすすめします。

質問;自分の給料を減らして夫の扶養に入った方が得ですか?

アルバイトとして働いています。給料は月に11万円です。家にいる時間が増えるのも嫌なので働く時間を減らす事はあまりしたくないのですが、働く時間をもう少し減らせば夫の扶養に入れます。

もし扶養に入った方が金銭的に得なら、働く時間が少し減るだけなので、そうしようかなと思っています。

収入を減らして扶養に入った方が得なのか、今までのように働いた方がいいのか教えてください。

回答:扶養の壁には2種類あり「103万円の壁」、「130万円の壁」といわれている

扶養の壁には2種類あります。それぞれ「103万円の壁」、「130万円の壁」といわれるもので、「103万円の壁」は税金の壁であり、「130万円の壁」は社会保険料の壁を意味します。

扶養の壁「103万円」の壁

質問者様は一か月あたりの給与収入が11万円であり、単純計算すると年間の給与収入が121万円になります。

その上で、働く時間を減らして扶養内に入る場合のご質問なので、「103万円の壁」(税金の壁)に関する疑問と仮定して話を進めます。

年間の給与収入が103万円を超えると、超えた額に対して所得税・住民税が課税されます(住民税の計算はお住まいの市区町村により計算方法が異なるので割愛します)。

たとえば年間の給与収入が105万円だった場合、103万円を超えた2万円が課税される所得金額となり、税率5パーセントをかけた1,000円が所得税となります。

No.2260 所得税の税率|国税庁 (nta.go.jp)

扶養の壁「130万円」の壁

社会保険料の壁である「130万円の壁」と比べると、税金の壁を越えたとしても、収入に大きな差が出るわけではありません。

ただし、旦那さんがお勤めの会社で「家族手当」もしくは「配偶者手当」の支給を受けていて、その要件が配偶者の収入を103万円に設定しているような場合は注意が必要です。

その手当の金額によっては大きなデメリットになる可能性もあります。

その場合には手当の金額と働く時間、得られる収入のバランスをよく検討することをおすすめします。

質問;同居していれば、家族でなくても扶養に入れますか?

同居している友人がいます。友人は大学生で、今年就職する予定です。友人は父母を亡くしており、親の扶養に入れません。友人には祖父母や頼れる親戚もいません。

今は正社員として働く私と生計を共にしているので、もしかしたら私の扶養に入れるのではないか?と思いました。

扶養といえば親の扶養に子供が入る場合や夫の扶養に奥さんが入るイメージですが、同居していれば家族でなくても扶養に入れるのでしょうか?

回答:扶養に関し、税法上と社会保険(主に健康保険)とで規定が異なります。

扶養に関し、税法上と社会保険(主に健康保険)とで規定が異なります。

まずは税法上の規定から確認していきたいと思います。

税法上の扶養親族とは

税法上の扶養親族とは、その年の1231日(納税者が年の中途で死亡しまたは出国する場合は、その死亡または出国の時)の現況で、次の4つの要件のすべてに当てはまる人です。

(注)出国とは、納税管理人の届出をしないで国内に住所および居所を有しないこととなることをいいます。

1)配偶者以外の親族6親等内の血族および3親等内の姻族をいいます。)または都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。

2)納税者と生計を一にしていること。

3)年間の合計所得金額48万円以下(令和元年分以前は38万円以下)であること。

(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)

4青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと。

No.1180 扶養控除|国税庁 (nta.go.jp)

 

上記より、ご友人はそもそも親族を要件とする規定に抵触するので、税法上の扶養とすることは難しいでしょう。

健康保険における扶養とは

次に健康保険における扶養についてみていきます。被扶養者の範囲は下記となります。

.被保険者の直系尊属、配偶者(事実上婚姻関係と同様の人を含む)、子、孫、兄弟姉妹で、主として被保険者に生計を維持されている人
※これらの方は、必ずしも同居している必要はありません。

.被保険者と同一の世帯で主として被保険者の収入により生計を維持されている次の人
※「同一の世帯」とは、同居して家計を共にしている状態をいいます。

① 被保険者の三親等以内の親族(1.に該当する人を除く)

② 被保険者の配偶者で、戸籍上婚姻の届出はしていないが事実上婚姻関係と同様の人の父母および子

③ ②の配偶者が亡くなった後における父母および子

※ただし、後期高齢者医療制度の被保険者等である人は、除きます。

被扶養者とは? | こんな時に健保 | 全国健康保険協会 (kyoukaikenpo.or.jp)

 

健康保険の面でも扶養の要件として、親族であることが要求されています。

同居以前に親族の要件に抵触するので、健康保険の面でも、ご友人を被扶養者とすることはできません。

 

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