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2024.04.03

業務災害保険とは?必要性はある?労災との違いは?の質問にプロが回答いたします。

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著者情報 森 逸行 FP歴15年 経験した事を伝え解決に導く『金融パーソナルトレーナー』

業務災害保険とは?必要性はある?労災との違いは?

 仕事をする以上、ケガをするリスクは存在します。

特に建設業などは業務中のケガのリスクの高い代表的な業種です。

事業主はそのような従業員の業務災害のリスクに備える必要があります。

今回の記事では、業務災害のリスクに備えるのに活躍する業務災害保険について、労災保険との違いに触れながら解説していきます。 

質問:業務災害保険とは何でしょうか?

業務災害保険とは何でしょうか?会社を設立してから少しゆとりが出てきたので業務災害保険に加入しようと思っております。

業務災害保険の保障内容やどのような時に役に立つのか教えてください。 

回答|従業員や役員が業務に起因するケガや病気にり患した場合に、その治療費を補償する保険です。

業務災害保険とは、従業員や役員が業務に起因するケガや病気にり患した場合に、その治療費を補償する保険です。

基本的な補償は死亡・後遺障害補償、入院・通院の補償と、保険会社で取り扱っている労災総合保険と非常によく似たものとなっています。

労災総合保険と並んで、政府労災の上乗せ補償として多くの企業が加入しています。

業務災害保険の大きな特徴の一つとして、政府労災の認定を待たずにスピーディーな保険金の支払いが可能という点が挙げられます。

労災総合保険は政府労災の認定を条件としているので、どうしてもスピード感に欠けてしまいます。

このスピーディーな支払いという点が、業務災害保険の大きな特徴たる所以です。

一般的に政府労災は認定に時間がかかると言われています。

目安として、負傷の場合は3か月、死亡の場合は6か月くらい、精神疾患の場合はさらに多くの時間を要することを覚悟しなければなりません。

一方で業務災害保険であれば、保険金請求書とその他必要資料を提出すれば、長くても一週間以内には保険金を受け取ることができます。

また業務災害保険には、使用者賠償責任保険等の特約で補償内容を充実させることができます。

たとえば使用者賠償責任保険は、従業員が業務中の事故で負傷を負った場合に、会社側に安全配慮義務に問題があると認定されると、会社側は従業員に対し賠償義務が発生します。

このような場合に使用者賠償責任保険で補償することになり、企業防衛を考えるうえで必須の補償といえます。

このほかにも業務災害保険には企業がかかえるリスクに応じて様々な特約を付保することができます。

メンタルヘルス対策費用、ハラスメント対応費用など、保険会社によってさまざまな特色をもった特約があります。ぜひ参考にしてみてください。  

質問:業務災害保険の加入にどんな必要性がありますでしょうか。

業務災害保険の加入にどんな必要性がありますでしょうか。

例えば、建設業での必要であるだったり、製造工業での必要であったり、必要性や保険を使ったときは会社に保険金が支払われる仕組みはどのような仕組みになりますか。 

回答|建設業や製造業は、業務災害のリスクの高い業種であるといえます。

建設業や製造業は、たとえば金融業やその他事務職の業務に比べると、業務災害のリスクの高い業種であるといえます。労災保険率をみても比較的高めに料率設定になっています。

 

【労災保険料率表 令和6年4月1日施行】

rousaihokenritu_r05.pdf (mhlw.go.jp)

 

保険料率が高いということは、それだけ業務災害のリスクが高いということを示しています。

その意味でも、業務中のケガに備えて業務災害保険に加入しておくことには大きな意味があります。

また、保険金の受取人を法人に設定することも可能です。

従業員が万が一業務中のケガが原因で死亡してしまった場合、死亡保険金を法人が受け取り、災害補償規程に基づいて、法人から従業員の遺族に支払うことも可能です。

さらに、これは建設業にいえることですが、業務災害保険に加入することは、経営事項審査の加点ポイントになるということが大きな特徴です。

経営事項審査とは、国、地方公共団体が発注する公共工事を請け負う為に必ず受けておかなければならない審査制度です。

ここでのポイントの高い業者が大きな規模の工事を受注できるようになるのです。

建設業にとっては、業務災害リスクだけでなく営業的な意味でも、業務災害保険の加入は必須といえます。 

質問:業務災害保険と労災保険の違いをわかりやすく教えてください。

業務災害保険と労災保険の違いをわかりやすく教えてください。

一般的には仕事上の事故やケガなどに関しては労災保険の適用になると思います。

労災保険と業務災害保険との違いがいまいちわかりません。

よく労災の上乗せのような話を聞いたことがありますが、業務災害保険と労災保険は同時に加入するメリットはあるのでしょうか。 

回答|大きな違いは、業務災害保険は任意加入なのに対し、労災保険は強制加入だという点です。

業務災害保険と労災保険の大きな違いは、業務災害保険は任意加入なのに対し、労災保険は強制加入だという点です。ここで労災保険の補償内容を下記に示します。 

●療養補償給付・・・病院での入通院の費用、手術代を補償

●休業補償給付・・・日額給与の80%を補償

●障害補償給付・・・身体に障害が残ったとき、その等級に応じて補償

●遺族補償給付・・・従業員が死亡した場合、その遺族への補償

 大まかには上記の補償内容となります。

ただ、実際に業務災害が起こった場合、補償額として労災保険だけではとてもカバーしきれない金額が必要になります。

このように労災保険を上回る部分をカバーする意味で、業務災害保険が必要になるのです。

業務災害保険が労災の上乗せと言われる所以です。

さらに業務災害保険には労災保険にはない補償が充実しています。

たとえば労災保険には慰謝料の補償や訴訟等にかかる費用の補償はありません。

業務災害保険では、このような費用も補償対象となり、特約を付加することで、さらに補償を広げることができます。代表的な特約を下記に紹介します。

使用者賠償責任補償特約

使用者賠償責任補償特約・・・補償対象者が業務上の災害によって身体に障害を負い、会社側に責任があるとして損害賠償を求めてきた際に、その賠償金等の費用を補償

雇用慣行賠償責任補償特約

雇用慣行賠償責任補償特約・・・補償対象者が被った差別的行為、ハラスメント等に起因して事業者が負担する賠償損害を補償

メンタルヘルス対策費用

メンタルヘルス対策費用・・・政府労災で認定された精神障害により休職した補償対象者の職場へ向けた対策にかかった費用を補償

事業者費用補償特約

事業者費用補償特約・・・補償対象者の身体障害等により、事業者が臨時に負担した葬儀費用等を補償

 

労災保険は強制加入なので加入の是非は言うまでもありませんが、業務災害保険もしっかり加入して、従業員の業務災害・通勤災害の補償を充実させましょう。  

質問:業務災害保険の保険料を安くするためにはどのような方法がありますか?

現在建設業を営み損害保険の見直しや整理を行っております。

この中で業務災害保険の保険料が高いことに気づきました。この業務災害保険の保険料を安くするためにはどのような方法で安くすればよろしいでしょうか。

コスト削減をよりできるような方法や選択肢加入方法を教えてください。 

回答|保険料を少しでも抑える代表的な方法を2つ紹介します。

 建設業の業務災害保険は、他の業種と比較すると業務災害のリスクが高く、質問者様が仰る通り、保険料は高いです。

そうはいっても従業員の保護、企業防衛を考えるうえで必須の保険であるといえます。

高い保険料を少しでも抑える代表的な方法を2つ紹介します。

●リスク診断割引を使う

●商工団体に加入する

 リスク診断割引を使う

業務災害保険はどこの保険会社の取り扱い商品であっても、リスク診断割引を用意しています。たとえば下記のような質問項目に対し、該当すれば割引ポイントが加算されるといった内容です。保険会社によっては最大で2030%の割引になるところもあります。加入を検討する際には必ず保険会社や保険代理店に確認しましょう。 

質問例1)ISO 9001、ISO 14001ISO 22000ISO45001HACCPのいずれかの認証を取得しているか。

質問例2)安全衛生管理規定を備えているか。

質問例3)職場の安全管理へ取り組んでいるか。

商工団体に加入する

日本商工会議所、全国商工会連合会といった商工団体を経由して加入することで、スケールメリットを生かした割引を受けることができます。

最大で50%超の割引を受けることができます。商工団体に加入していなければ、割引を受けるために商工団体に加入することもひとつの方法です。

たとえば全国中小企業団体中央会の傘下の全国ビジネスネットワーク協会であれば、年会費3,000円で加入することができます。ぜひ検討してみてください。

 

一般社団法人 全国ビジネスネットワーク協会 (nbna.jp)

 

このように、業務災害保険には保険料を抑えるための方法があります。

保険会社ごとに特色のある割引制度が用意されていますので、必ず割引制度の有無は確認しましょう。

 

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