第三者賠償保険とは!事故で元請業者や施工管理業者の管理責任が問われる!
建設工事の現場横を通過するとき、足場が崩れて頭に落ちてきたらどうしよう、と思ったことのある人は多いのではないでしょうか。
現に強風等で解体工事現場の足場が崩れる事故は、これまでにも多く発生しています。
このような事故で通行人が怪我を負ってしまった場合等、工事の元請業者や施工管理業者は足場の施工不良の責任を問われ、数千万~1億円超の賠償責任を負ってしまう可能性があります。
このような事例において、第三者に対する法律上の賠償責任を補償するのが第三者賠償責任保険です。
今回の記事では、第三者賠償責任保険について解説していきたいと思います。
【参考サイト:NHK WEB 川崎 強風で解体工事現場の足場崩れる 800戸余が一時停電】
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第三者賠償責任保険とは?
ここで、まず第三者賠償責任とは何なのか、その大まかな概要を説明します(補償内容の詳細は後ほど説明します)。
第三者賠償責任保険とは、建設工事現場や土木工事現場において、通行人等の第三者に対してケガを負わせたり、持ち物を壊したり汚損させてしまった場合の、治療費であったり持ち物の修繕費用といった法律上の賠償責任を補償する保険です。
たとえば工事現場の高所から工具等を落下させ、たまたま歩いていた通行人の頭の上に落してしまい、通行人が大怪我を負った、といった例は簡単に想像できるのではないでしょうか。
このような場合に発生する、通行人の治療費やその方の休業補償等を第三者賠償責任保険では補償しているのです。
第三者賠償責任保険は請負業者賠償責任保険という名称で損害保険会社各社にて販売しています。
工事に関連するすべての業者は加入必須の保険であるといえます。
高額賠償事例
これまでにあった第三者賠償事故の事例について紹介します。下記一覧表をご確認ください。
上記のように、損害が大規模なものになると、数千万円から場合によっては数億円の損害にも発展してしまいます。
保険に加入していないと、経済的損失はもちろんのこと、事故処理にかかる多大な労力と時間によって、精神的にも参ってしまい、本業に支障を来たしてしまいます。
事故はどんなに気を付けていても、ちょっとした不注意から起こりえるものです。
経営者は事故が起こってしまった場合、誠意をもって対応する必要がありますが、経済的な心配事を取り除くだけでも精神的負担は軽減されます。
その意味で、請負業者賠償責任保険の果たす役割は非常に大きいといえます。
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請負業者賠償責任保険の補償内容について
請負業者賠償責任保険の基本的な補償内容について解説します。
この保険は損害保険会社各社より販売されている商品ですが、基本的な補償内容は各社で大きな相違はありません。
補償内容について、5つのポイントで解説します。
どのような事故で補償される?
ある損害保険会社の商品パンフレットには下記のように明記されています。
請負工事(作業)の遂行により、第三者の身体の障害または財物の損壊が発生した場合に、貴社(被保険者)が法律上の賠償責任を負担することによって被る損 害を補償します。
例えば、下記のような事故が支払い事例となると解釈できます。
●工事用資材の飛散・落下により通行人にケガをさせた。
●管理ミスで資材置場の材木が倒れ、近くで遊んでいた子供がケガをした。
●足場の倒壊により、第三者の自動車にキズをつけた。
●窓ガラス清掃中に清掃用具が落下して、駐車中の他人の自動車を破損させた。
●ビル建設工事の足場が外れて落下し、隣接する建物を損壊した。
このような事故の中には、いくら注意しても防ぎきることはできない人為的なミスも含まれます。
事故を起こした企業は、被害者が負ってしまったケガの治療費の支払い義務が発生するだけでなく、後遺障害や死亡してしまった場合の逸失利益についても本人や遺族から請求されることも十分考えられます。
請負業者賠償責任保険は業務遂行中の事故で、企業に損害賠償責任が発生した場合に補償されるのです。
どのような費用が補償されているか?
ある損害保険会社では基本補償として下記6つの事由を定めています。
1.損害防止費用
損害防止費用・・・損害の発生や拡大を防止した際に支出した費用
2.緊急措置費用
緊急措置費用・・・事故における被害者に対する応急手当、緊急処置のために支出した費用
3.権利保全行使費用
権利保全行使費用・・・第三者に損害賠償請求できる場合に、その権利を保全・行使するために支出した費用
4.争訟費用
争訟費用・・・事前に保険会社に承認を得て支出した訴訟費用、弁護士報酬等
5.協力費用
協力費用・・・保険会社が発生した事故の解決にあたる際に、協力する費用を
6.損害賠償金
損害賠償金・・・被害者に支払うべき法律上の損害賠償金
※1~5の費用は全額が支払い対象となりますが、6の損害賠償金は契約時に設定した支払限度額が上限となります。
訴訟となると一般的に損害賠償金が確定するまで時間がかかります。
請負業者賠償責任保険は上記のように損害賠償金だけでなく、それ以外の付随する費用も補償対象としているのです。
基本補償については、保険会社によって名称に若干の相違はあるものの、おおむね上記の内容となっています。
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補償内容を充実させる特約の種類は?
補償内容を充実させる目的でよく利用される特約で代表的なものを紹介します。
支給財物損壊担保特約
仕事の遂行のために支給された道具、資材等の損壊について、支給財物について正当な権利を有する者に対して法律上の賠償責任を負担することによって被る損害を補償します。
リース・レンタル財物損壊担保特約
仕事を遂行するために工事場内、施設内において使用または管理するリース・ レンタル財物の損壊について、リース・レンタル財物の所有者に対して法律上の賠償責任を負担することによって被る損害を補償します。
工事遅延損害担保特約
基本補償で補償対象となる事故が発生し保険金が支払われる場合において、対象工事が履行期日の翌日から起算して6日以上遅延したことにより、発注者に対して法律上の遅延損害賠償金を負担することによって被る損害を補償します。
データの損壊担保特約
電子データ、データベース、ソフトウェア、プログラムなどの情報メディアが消去・欠損してしまった場合に、法律上の賠償責任を負担することによって被る損害を補償します。
物理的損傷を伴わない財物の使用不能損害担保特約
他人の財物の物理的損傷や紛失や盗難を伴わない使用不能損害に対して、法律上の賠償責任を負担することによって被る損害を補償します。
代表的なものは以上となります。必ずしも全部の特約を付保する必要はありませんが、請け負っている業務の内容に応じて付保すべき特約を検討するようにしましょう。
保険料について
請負業者賠償責任保険の保険料は下記の要素で決まります。
・対象工事
・支払限度額(保険金額)
・免責金額(自己負担額)
・売上高
・付帯する特約
【保険料例】
・対象工事:管工事業
・支払限度額(保険金額):1億円
・免責金額(自己負担額):0円
・売上高:5千万円
・付帯する特約:交差責任担保特約、リース・レンタル財物損壊補償特約、支給財物損壊補償特約
・年間保険料:約450,000円
上記の保険料は割引の適用のない、いわゆる定価の保険料です。
保険会社によってはリスク診断割引や団体割引といったものを用意していますので、契約を検討する際には必ず保険会社の営業担当者に割引の適用可否を確認することをおすすめします。
保険金が支払われない場合は?
請負業者賠償責任保険に限らず、保険を検討する上で、保険金の支払い対象外となる事例を確認しておくことは非常に重要です。
商品パンフレットに必ず保険金をお支払いしない主な場合として明記されています。
わかりにくい場合は必ず保険会社に確認して、しっかり理解しておくようにしましょう。
念のため、請負業者賠償責任保険を検討する上で、特に誤解しやすい支払い対象外となる事例を下記にいくつか列挙しておきます。
●業務終了後に発生した事故や、建設現場における自社所有の資材自体の修理費用
●販売した商品、飲食物を原因とする食中毒その他の事故
●被保険者が直接作業を加えている財物(その作業の対象となっている部分をいいます。)
●戦争、変乱、暴動、騒じょう、労働争議および地震、噴火、洪水、津波または高潮
●保管施設において保管するために預かっている財物
●被保険者が直接作業を加えている財物(その作業の対象となっている部分をいいます。)
●他人から借りている財物(リース契約により被保険者が占有する財物を含みます。)
上記の中には、特約を付帯することで補償対象とすることができる事例もあります。
詳細はパンフレットや保険会社に確認するようにしましょう。
まとめ
請負業者賠償責任保険は工事業者にとって必要不可欠の保険です。
高額賠償事例でも示したように、数千万円~数億円の賠償事例が過去には出ています。
どんなに気を付けて業務に取り組んでいても、ふとした不注意から事故は発生し、第三者を巻き込んでしまう可能性を秘めています。
業種ごとに考えられるリスクについてしっかり想像し、各種特約で補償範囲を拡張するなどして、万が一の場合に備えてしっかり付保しておきましょう。
また、補償内容以上に保険金支払い対象外となる事例についてしっかり理解することも重要です。
保険会社に相談するなどして、しっかりリスク管理しましょう。
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