自転車に個人賠償保険が義務化?自転車保険の補償内容や加入方法について解説!
自転車は現代社会において欠かすことのできない移動手段となっています。
レンタサイクルやシェアサイクル等、自転車を持っていない方でも手軽に利用できるサービスも普及しています。
その一方で、自転車による事故によって怪我をしたり、障害状態に陥ったり、万が一の事態を引き起こしてしまう事例があるのも事実です。
今回の記事では、自転車事故の現況と自転車保険の補償内容や加入方法について解説していきます。
目次
自転車賠償保険(個人賠償責任保険)義務化の背景
自転車保険は、2015年に兵庫県の条例で義務化されたのを皮切りに全国に広まりました。
令和5年4月1日時点で、全国32都府県において条例によって自転車保険への加入を義務化、10道県で努力義務化する動きとなっています。
【参考資料:国土交通省 自転車損害賠償責任保険等への加入促進】
高額賠償判決となった賠償事例
この全国の自治体での義務化、努力義務化の背景にあるのが、高額賠償事例です。
ここで、高額賠償判決となった賠償事例をいくつか紹介します。
賠償額:9,521万円
事故状況
賠償額:9,330万円
事故状況
賠償額:9,266万円
事故状況
※日本損害保険協会より
もしも自転車保険未加入で、上記のような大きな事故を起こしてしまったと考えるとゾッとするでしょう。
たとえ自転車の運転者がまだ幼い小学生だったとしても、その保護者が損害賠償責任を負わなければなりません。
危険な運転をしていた場合や、被害者が亡くなってしまったり、重い障害状態になった場合等は高額賠償となる傾向があります。
まさに自転車保険の義務化が加速している所以です。
自転車事故をとりまく状況
警察庁のまとめによると、自転車に乗った人が死傷した交通事故は2022年に6万9985件(前年比291件増)に上りました。
自動車を含めた交通事故そのものの件数自体は減少傾向にあるものの、自転車の事故が交通事故全体に占める割合(自転車関与率)は増えています。
冒頭に申し上げた通り、様々な自転車のサービスが普及していることが背景にあると考えられます。
【参考資料;警視庁 自転車事故の推移(2023年中)】
また、自転車事故で加害者となった人の年齢について考察すると、13~18歳の若年層が一番多いというデータもあります。
自転車は利用するのに免許が不要だという手軽さがあります。
手軽であるがゆえに、事故を起こしてしまった場合の想像力や安全運転の意識が不足していることは否めません。
自転車保険(個人賠償責任保険)の補償内容、加入方法について
ここまで説明してきたように、自転車は時に第三者に危害を加える可能性を秘めた危険な乗り物です。
高額賠償となった事例も数多く出てきており、こういったリスクにきちんと備えなければなりません。
ここで、自転車事故のリスクに備えるのに最適な自転車保険について、解説します。
自転車保険(個人賠償責任保険)の補償内容
自転車保険で主となる補償は下記の2点です。
・相手に対する補償
・自分自身の怪我等の補償
相手に対する補償は、自分自身に責任のある自転車事故によって相手を死傷させてしまったり、相手のモノを壊してしまった場合の、相手に対する損害賠償責任を補償するものです。
高額賠償判決となった事例で紹介したように、賠償額は数千万円~1億円を超えることもありえます。
設定保険金額は充分な金額を付保しておくべきです。
自分自身の補償とは、自転車関連の事故によって、自分自身が死傷してしまった場合の、死亡補償や、病院への入院・通院費用を補償するものです。
自転車は相手を大怪我させてしまう危険性を持っているのと同様に、自分自身が大怪我をしてしまう危険性をもっています。
自分自身の補償についてもしっかり付保しておきましょう。
自転車保険(個人賠償責任保険)の加入方法
自転車保険の補償内容のうち、相手に対する補償部分は比較的簡単に付保することができます。
それは、下記のような損害保険に、特約として「個人賠償責任保険」を付保することです。
・自動車保険
・火災保険
・傷害保険
日常生活において、自身の過失から他人にケガをさせてしまった場合や他人のモノを壊してしまった場合、民事上の損害賠償の責任が生じることがあります。
このようなときの賠償金の支払いに備えられる保険が、個人賠償責任保険です。
【参考サイト:損保ジャパン 個人賠償責任保険とは】
個人賠償責任保険とは | 【公式】損保ジャパン (sompo-japan.co.jp)
自転車保険の補償内容のうち、相手に対する補償部分をしっかりカバーしていることがわかります。
一方、自転車保険の補償内容のうち、自分自身の怪我等の補償部分については、特約で付保することはできません。
傷害保険に加入することでカバーする方法が最も合理的です。
自転車を高頻度で利用する人だけでなく、スポーツやアウトドア等、アクティブに活動する人も傷害保険はおすすめです。ぜひ活用しましょう。
その他:マンション組合で加入している火災保険に付帯されている
分譲マンションに住んでいる方は、基本マンション組合に加入しております。
マンション組合では、専有部に関しては、マンション組合が火災保険に加入しております。
このマンション組合で加入している火災保険に『個人賠償責任保険』が付帯されているケースがあります。
分譲マンションに住んでいる方は一度、マンションの管理会社や管理人に確認すると良いです。
『個人賠償責任保険』は重複して保険を使いえないこともあるので、確認する事で、重複加入の防止や生活費の削減にも繋がります。
まとめ
これまで説明してきたように、自転車保険の加入義務化が進んできており、この動きは今後も続くでしょう。
自転車保険による高額賠償事例が後を絶たないという状況が、全国の各自治体に被害者救済に力を入れさせています。
ただ、自転車保険の加入義務化は進んでいるものの、罰則規定がなく、各運転者の危機意識の高さに頼るしかない状況です。
危機意識を高める第一歩として、まず自転車保険の加入を検討しましょう。
加入手段は前述の通り一般的になってきています。
まず、いま加入している損害保険の補償内容を確認し、個人賠償責任保険が付保されているかチェックしてみましょう。