万が一や死亡時に少しでも家族や子供にお金を残す方法3選
「死んでお金を残す」というと、自殺をして家族にお金を残すようなニュアンスで聞こえてしまうかもしれませんが、今回の記事でお伝えしたいのは、「万が一、亡くなってしまっても、家族が困らないようにお金を残してあげる方法」です。
一般的には、相当多くの資産がなければ、家族の生活を支え続けるだけのお金を残してあげることはできませんが、資産がなくても家族が安心して生活していける資金を残せるおすすめの方法を3つご紹介していきます。
目次
公的年金、特に「厚生年金保険」に加入する
公的年金というと、「老後のため」に積み立てる年金を想像されるかもしれません。
しかし、実際には非常に手厚い「遺族への保障」機能があります。
支給対象は子のいる家庭で、「遺族年金」として手厚い給付がなされます。
会社員で厚生年金に加入している「月収35万円の夫」が亡くなり、配偶者と18歳未満の子が1名いる場合は、おおよそ月13万円程度(年間で約156万円)が支給されます。 18歳未満の子が2名いる場合には、子の加算があり、おおよそ月14.8万円程度(年間で約177万円)が支給されます。
もしも、夫が自営業で国民年金に加入しており、配偶者と18歳未満の子が1名いる場合は、おおよそ月8.3万円程度(年間で約99.6万円)が支給されます。
18歳未満の子が2名いる場合には、子の加算があり、おおよそ月10.2万円程度(年間で約122.4万円)が支給されます。
会社員で厚生年金の場合と自営業で個人事業主の場合では、年金額の差は、子1名で月5万円(年間約60万円)、子2名の場合は月4.2万円(年間約50万円)ほど支給に差が出ます。 したがって、保障面だけを考えると国民年金(自営業)よりも厚生年金(会社員)のほうが有利となります。
もちろん厚生年金の方がより多く年金保険料を支払うこととなりますが、万が一の時だけでなく老後に老齢年金として積み立てた保険料は戻ってきますので、支払えるのであれば厚生年金は非常に優れた制度だということがわかります。
ただし、自営業の方でも自営業から法人化をして、株式会社・合同会社を設立し、その代表として同じ事業を行うことで、厚生年金に加入することも可能です。法人と個人で社会保険料を負担することになりますが、手厚い社会保険に加入することができますので、「亡くなっても家族にお金を残してあげる」という側面を考えると、法人化して厚生年金加入したほうが得策といえます。
生命保険、特に「収入保障保険」に加入する
例え、資産がなくとも、保険料を支払っていれば万が一亡くなってしまったときも、家族に定めた保険金を残すことができます。
生命保険は、大まかに「終身保険・養老保険・定期保険」の3種類の保険が存在しますが、それぞれ活用方法が変わります。
終身保険は、一生涯の保障なので葬儀費用などの死後整理金として活用することが一般的です。
※あわせて読みたい記事 終身保険ってどんな保険?その仕組みと3つの特徴
一方で定期保険は掛け捨てとなることが多いため、貯蓄性は少ないものの、ていれいな保険料で大きな保障を確保することができます。
したがって、家族にとって一時金で必要となる資金(子どもの学費や借入金の返済など)の備えとすることができます。
特に、定期保険の中でも「収入保障保険」は、公的年金と同じように年金形式で遺族へ保険金を支給できる仕組みで、加入当初は保障額が大きく、満了に向かって保障が少しずつ減っていく仕組みなので、保険料がていれいですが、加入当初に非常に大きな保障を確保できるのが特徴です。
※あわせて読みたい記事 収入保障保険と所得補償保険の3つの違いと具体的な活用方法
下図は30歳で収入保障保険に加入した例で、年金月額10万円で65歳までのプランです。
この保険では、家族の必要な生活費の不足分に合わせて保障額を設定することができます。
例えば、家族で毎月30万円の生活費が必要な場合、今までの貯蓄と公的年金で毎月15万円は確保できたとします。
その場合、30万円から15万円を控除し、差額の15万円分を収入保障保険で補填するように保障に加入することで、万一亡くなってしまったとしても、家族が今までと同じような生活をしていくことができるようになります。
また、生命保険の保険金には2つの特徴があります。
保険金受取人を指定
保険金受取人を指定することができるため、お金に名前をつけるような効果があります。
非課税枠 法定相続人×500万円分
非課税枠があり、法定相続人×500万円分が相続税の課税対象から控除されますので、相続税対策を取ることができます。
したがって、資金を残したい人に、税金を取られないようにしながら、死亡時にお金を残すことができます。
加えて、これはあってはならないことですが、保険は自殺でも保険加入から3年程度経過していれば、保険金が出る商品が一般的です。
大手の保険会社が、自殺は加入時の状況とは関係なく外的要因によってもたらされてしまう死であると解釈をしたことから自殺でも保険金が給付されるようになったのです。
加入するときは、全くそのようなことがなくても、免責期間が経過して、精神的に追い込まれ自殺をしてしまうようなことがあっても、大切な家族の生活を守ることができるのが、生命保険の社会的責任を担っている部分であると感じています。
不動産を購入し「団体生命保険」に加入する
最後に、仕組みとしては2の収入保障保険に限りなく近いのですが、不動産を購入し住宅ローンを組むことで、団体信用生命保険に加入することができます。
団体信用生命保険とは、債務者が亡くなったときに、住宅ローンの残債と保険金を相殺し、債務をなくしてくれる制度です。
この制度があることで、万が一亡くなってしまい、住宅ローンを支払えないような状況になってしまっても、ローンをなくし、家族の住む家を残してあげることができます。
団体信用生命保険という住宅ローンの残債に連動した保障に加入することで、債務なしで不動産を家族に残してあげることができるので、実態は収入保障保険に限りなく近い商品性ですが、収入保障保険よりも加入しやすい場合があるなどのメリットもあります。
この団体信用生命保険には、保険料は上がりますが加入しやすいプランなどもあり、体況に不安のある方にもある程度対応できるようにしています。
現金で家族に資産を残し、安心を提供することもできますが、生活費でウェイトの重い住宅費を免除する形の資産の残し方もあります。
そして、ライフサイクルが変わったときは住宅を第三者へ売却して一時金を手に入れることもできます。
余談ですが、この団体信用生命保険も、一般的には自殺による免責期間が過ぎれば、自殺も保障の対象となります。
自殺をせず、自己破産・生活保護などのセーフティネットを活用して経済的な再スタートを切っていただくのがベストですので、このような事由で保険金を活用することがないことを願っています。
まとめ
今回は、FPがおすすめする「死んでお金を残す方法」3選ということで、私がおすすめする「万が一、亡くなってしまっても、家族が困らないようにお金を残してあげる方法」を3つご紹介させていただきました。
まず、一番大切なのは公的年金、特に厚生年金保険で備えることです。 次に、家族の保障を守るために必要な保障を考え、その生活が実現できるように生命保険、特に収入保障保険を活用することがおすすめです。
最後に、住宅を購入される予定であれば、団体信用生命保険を活用して住宅(不動産)という形で資産を家族に残してあげることをおすすめしました。
本日ご紹介した3つの方法はあくまでも資産を残すための方法のほんの一部ですので、それぞれの悩みを解決するには、より良い答えがあるかもしれません。 そのような場合は、経験が豊富で、信頼のできるファイナンシャルプランナーへ相談してみてください。
ファイナンシャルトレーナーでは無料保険相談をお受けしております。簡単に予約が可能ですので、是非ご利用ください。以下の「お問い合わせ」ボタンから申し込みができます。