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2024.10.17

新築一戸建ての火災保険を保険料の相場・安い順に比較してみた!【2024年10月更改】

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著者情報 森 逸行 FP歴15年 経験した事を伝え解決に導く『金融パーソナルトレーナー』

新築一戸建ての火災保険を保険料の安い順に比較してみた!【2024年10月更改】

 新築であろうと中古であろうと、戸建て住宅を購入する際、ほとんどの人が火災保険に加入します。

大切な住宅を、自然災害によって被った損害を経済的に補償するのがその目的です。

そんな火災保険ですが、保険会社ごとに特徴があり、補償内容・保険料は一律ではありません。

今回の記事では、損害保険に現役で携わっている筆者の視点から見た、火災保険の保険料の仕組みについて解説します。

保険料の相場も、実際の提案に使用した例を駆使して説明したいと思います。 

火災保険とは

まずは火災保険とは何なのか、その概要について説明します。

火災保険とは、大切なお住まいが自然災害等の外的な原因によって被ってしまった損害に対して、経済的に補償するものです。

現場でお客様とお話をしていると、「火災」保険という名称から、火事の場合にしか補償されないと思っていた、という話をよく耳にします。

火災保険の補償内容は筆者が思っている以上に浸透していないと感じました。実際には火災だけでなく、台風等といった風災、河川の氾濫やゲリラ豪雨による水害、空き巣被害等、非常に多くの損害に対して補償対象としてくれるのです。

ただし、注意すべき点があります。地震を原因とする損害は火災保険では補償対象外という点です。

この部分は地震保険の守備範囲になるのです。

たとえば、火災によって自宅建物が焼失してしまった場合でも、火災のそもそもの原因が地震によるものである場合は、火災保険では補償されないのです。 

新築一戸建ての火災保険を保険料の安い順に比較してみた!【2024年10月更改】-2.

火災保険の保険料は何で決まる?

そもそも火災保険の保険料はどういった要素で決まるのでしょう。

広い家だとなんとなく保険料も高そうだなと想像できますが、必ずしもそれだけではありません。

戸建て住宅を例にして、保険料が決まる上での必須の要素5点について解説します。 

建物の構造

まずは建物の構造です。先にマンションの場合の構造級別について説明します。

下記の分類をご確認ください。 

・M構造・・・コンクリート造り

・T構造・・・鉄骨造り

・H構造・・・木造等、非耐火構造

保険料はコンクリート造りが安く、鉄骨造り、非耐火構造となるにしたがって段々と高くなっていきます。 

一方で戸建て住宅の場合、主に木造建築物が一般的ですが、火災が発生した際に、同じ木造でも燃えにくいかどうかで下記のような分類がされています。 

・耐火建築物(※1)

・準耐火建築物(※2)

・省令準耐火建築物(※3)

 (※1)建築物の特定主要構造部(柱・梁・床・屋根・階段)に耐火被覆がほどこされた建築物。

(※2)建築物の特定主要構造部に準耐火性能のある被覆がほどこされた建築物。

(※3)住宅金融支援機構が定める仕様に合致する建築物。具体的には外壁及び軒裏が防火構造である等、一定の要件を満たす必要がある。

 木造でも上記のように耐火等の建築物に該当することが建築確認資料等で確認できれば、T構造の保険料率を適用することができます。

耐火等の建築物に該当しない、根拠資料の提出がない場合はH構造となり、火災保険料率は建物の構造において一番高いものが適用されるのです。 

建物の面積

この項の冒頭でも触れましたが、建物の広さ(面積)も当然保険料決定の必須の要素のひとつです。

なぜなら建物の広さによって建物の評価額が決まるからです。広い建物ほど評価額は高く見積もられます。

なお、建物の広さは登記簿謄本や建築確認書類によって算出することになります。

現地で実測するといったことはほぼありません。 

保険金額

火災保険の保険料は、設定する保険金額に対して保険料率を乗じることで算出します。

保険料を決める直接の要素は保険金額になります。

建物の構造、面積といった要素が、適正な保険金額設定のために必要となる、という仕組みです。

なお、保険金額を設定する際、建物の構造、面積に応じて算出された参考の評価額の、上下30%以内に設定するという取り扱いが一般的です。

保険会社によっては、参考評価額の上限30%を超える設定はそもそもできなかったり、下限30%を下回ると保険料が割高になったりと、取り扱いが異なります。

30%の範囲を超えての設定を検討する場合は必ず保険会社に確認しておきましょう。 

補償範囲

補償範囲の設定も保険料を決めるうえで当然かかわってきます。

火災保険は保険契約者のニーズによって、ある程度自由に補償範囲を設定することができます。

火災保険の補償範囲は主に下記となります。 

①火災、落雷、破裂・爆発
②風災・雹災・雪災
③盗難
④建物外部からの物体の落下、飛来、衝突等
⑤給排水設備の事故による水濡れ
⑥騒擾、労働争議に伴う暴力・破壊行為
⑦水災

 上記はA損害補保険会社の火災保険の補償内容を例示しました。

保険会社によって細かい差異はあるものの、概ね上記のような補償内容となります。

①~⑦すべてを補償範囲とすれば保険料は高くなりますが、最低限の補償(①②の補償を最低限の補償としている保険会社が一般的です)にすれば、その分保険料は安くなります。

余談ですが、筆者が以前火災保険の提案をしたお客様の中で、補償範囲は最低限に抑えて保険料を少しでも安くしたいというニーズの方がいらっしゃいました。

②の風災すら不要だということで、保険会社を探したところ、某損害保険会社の火災保険で、①のみの補償内容の設定が可能であることがわかりました。

その旨をお客様に伝えたうえで、最低限①②だけでも補償しておいた方が良いとの説得をしたものの、結局当初の意向通り①のみで契約されました。

数年後、そのお客様は建物に台風による損害を受けられました。損害対応に関し、相談があったもののどうにもできず、当然保険金を支払うことはできませんでした。

お客様の意向を満たす提案ももちろん大切ですが、補償の重要さを理解してもらうことも同様に大切だと感じました。 

保険期間

保険期間を長期にすればするほど保険料は高くなることは感覚的にわかるかと思います。

ただし無制限に長く設定することはできません。保険期間は1~5年で設定する必要があります。

以前、火災保険は最長で36年間の設定ができました。

住宅ローンを35年で組んで、その期間に合わせて火災保険も長期で付保することが比較的一般的でした。

しかし近年では、台風に代表される自然災害が激増し、保険会社の保険金支払額も比例して激増したことで、保険会社もリスクを予測することが難しくなってきました。

そのような状況から、201510月以降は最長でも10年、202210月以降は最長で5年と改定されました。

今後もこのような傾向が続くことが予想され、火災保険の引き受けの制限がかかる日がくるかもしれません。 

地震保険料は何で決まる?

火災保険を解説する上で地震保険に触れないわけにはいきません。

ここでは地震保険の保険料が決まる要素について解説します。 

都道府県・構造

地震保険の保険料率は都道府県ごとに定められています。

総じて地震の発生頻度の高い地域は料率が高く、発生頻度の低い地域は低い傾向にあります。

なお、地震保険においても建築物の構造に応じて料率が設定されていますが、火災保険における構造の分類とは異なります。具体的には下記の分類となります。 

・イ構造・・・耐火性能を有する建物および準耐火性能を有する建物

・ロ構造・・・イ構造以外の建物

保険金額

地震保険においても、火災保険同様、保険金額に地震保険料率を乗じることで地震保険料を算出します。

なお、地震保険金額の設定額は火災保険金額の50%が上限となります(地震保険は火災保険とセットでないと加入できません)。 

割引の有無

地震保険は建物の建築年月や耐震構造に応じた割引があります。

代表的な割引を下記に紹介します。

なお、割引を適用するには建築確認資料等、根拠資料の提出が必須です。 

・免震建築物割引・・・免震建築物と評価されると50%の割引が適用される。

・耐震等級割引・・・耐震等級が1~3に該当すると最大50%の割引が適用される。

・耐震診断割引・・・耐震診断または耐震改修により、建築基準法に定める現行耐震基準に合致していることが証明されると、10%の割引が適用される。

・建築年割引・・・198161日以後に新築された建物に10%の割引が適用される。 

参考:地震保険料はどこも同じ

地震保険料は火災保険とセットでないと加入できないことは先ほど触れたとおりです。

火災保険料は保険会社によって差があるものの、地震保険料は付保条件が同じであれば、どこの保険会社で加入しても保険料は変わりません。

保険会社の負う地震保険の責任の一部を、政府が再保険により引き受ける、いわゆる保険会社と国との共同運営の形式で成り立っているからです。 

保険料を抑えるための工夫

火災保険料の仕組みがわかったところで、保険料を抑えるための工夫について解説していきたいと思います。

長期契約にする

現在、火災保険は最長で5年間の設定が可能となっています。

長期契約にすると長期による割引が適用されます。

ここ数年は頻繁に火災保険の料率改定(実質値上げ)が実施されているので、長期契約にすることで値上げの影響を多少は先延ばしにすることができます。 

補償範囲をしっかり選別する

お住まいの地域のハザードマップを確認することは、補償内容を検討する上で非常に重要です。

お住まいの地域の特性を調べたうえで、不要と思う補償は思い切って外すことも保険料合理化のひとつの方法です。

その他、付帯する特約についても検討してみましょう。

たとえば「個人賠償責任補償特約」は、自動車保険や傷害保険等、ご自身の他の保険契約で付保されていれば、わざわざ火災保険で付保する必要はありません。

補償内容が重複してしまうからです。特約保険料自体、それほど高いものではありませんが、こういった小さな積み重ねが保険料を少しでも安くする上で重要になります。 

複数社で見積もりをとる

火災保険に限らず、保険の加入を検討する上で一番重要なのが、必ず複数社で見積もりをとることです。

下記に筆者が実際に提案に使用した見積もりを参考資料として紹介します。

戸建て火災保険 実際に提案に使用した見積もり

 

保険期間:5年間
建物の構造:H構造
建物保険金額:1,060万円
地震保険金額:530万円
火災:〇
落雷:〇
破裂・爆発:〇
風災・ひょう災・雪災:〇
水災:〇
盗難:〇
外部からの物体の衝突:〇
水濡れ:〇
破損・汚損等:〇

長期一括払保険料

長期一括払保険料
A保険会社:156,220円
B保険会社:173,540円
C保険会社:185,030円

1年あたり保険料

1年あたり保険料
A保険会社:31,244円
B保険会社:34,708円
C保険会社:37,006円

保険料比較結果:156,220円/5年(31,244円/1年あたり)

→長期一括払保険料:A保険会社:156,220円

→1年あたり保険料:A保険会社:31,244円

上記のように同じ補償内容で比較しても保険料に差が出るのです。

最低でも3社程度で見積もりをとって比較検討するようにしましょう。 

まとめ

今回の記事では、火災保険の保険料が決まる仕組みを、戸建て住宅を例にして解説しました。

保険料の仕組みを理解することは、補償内容を見直し、保険料を安くする上で非常に役に立ちます。

そして、実際に加入を検討する際には必ず複数社で見積もりをとることが重要です。

詳しい補償内容については保険会社に確認した上で検討するようにしましょう。

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