雇われ社長にD&O保険は必要?経営判断で個人に損害賠償請求されるリスクをFPが解説
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近年、中小企業でも代表取締役や役員個人が損害賠償請求を受けるケースが増えています。
特に、オーナー企業で代表交代が行われた場合や、事業承継によって新たな代表取締役へ就任した場合は、経営判断に伴う責任やリスクを十分に理解しておくことが重要です。
実際に私も、
・新たに代表取締役へ就任した
・雇われ社長として会社経営を任された
・D&O保険を勧められたが必要性が分からない
というご相談を数多くいただいています。
D&O保険(会社役員賠償責任保険)は、
会社を守る保険ではなく、
役員個人を守るための保険です。
本記事では、
・D&O保険とは何か
・雇われ社長になぜ必要なのか
・実際の相談事例
・補償内容
・注意点
・よくある質問
について、FPの視点から分かりやすく解説します。
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目次
相談事例|オーナー社長から代表交代した会社
今回ご相談いただいたのは、
創業10年、売上約10億円まで成長した企業です。
創業社長は100%株主であり代表取締役として会社を経営していました。
事業は順調に成長していましたが、
コンプライアンス上の問題が発生し、
株主総会で代表取締役を退任することになりました。
新たに選任されたのは、
オーナーではない、
いわゆる「雇われ社長」です。
代表就任後、
真っ先に相談された内容が
「自分自身を守る保険に入りたい」
というものでした。
会社を守る保険には加入していましたが、
役員個人を守る保険には加入していなかったのです。
D&O保険とは?
D&O保険とは、
正式名称を
会社役員賠償責任保険(Directors & Officers Liability Insurance)
といいます。
会社役員が、
業務上の判断や職務執行について責任を問われ、
損害賠償請求を受けた際、
役員個人を補償する保険です。
雇われ社長にD&O保険が必要な理由
代表取締役になると、
会社の経営判断を行う立場になります。
その結果、
会社へ損害が発生した場合、
役員個人が責任を問われることがあります。
つまり、
会社が責任を負うだけではなく、
社長個人が訴えられる可能性
があるのです。
誰から訴えられる可能性があるのか
役員が責任追及される相手は、
株主だけではありません。
例えば、
・株主
・会社
・新しい代表取締役
・他の役員
・取引先
・債権者
・従業員
などから損害賠償請求を受ける可能性があります。
特に株主代表訴訟では、
会社の損害について役員個人へ責任追及されるケースがあります。
相談時に実際にご提案した補償内容
今回のご相談では、新たに代表取締役へ就任されたことから、役員個人が負うリスクをできる限りカバーできるよう、D&O保険の補償内容を一つひとつ確認しながら設計しました。
D&O保険は商品によって補償内容が異なるため、「保険に加入しているから安心」ではなく、どのような特約が付帯されているかが非常に重要です。
今回、特に重視した補償内容をご紹介します。
① 株主代表訴訟担保特約
今回最も重視した補償です。
株主(オーナーを含む)が、
「役員の経営判断や業務執行によって会社へ損害が生じた」
として役員個人を訴えた場合、
次のような費用を補償します。
・損害賠償金
・和解金
・弁護士費用
・その他争訟費用
近年では、中小企業でも株主代表訴訟のリスクは決して他人事ではありません。
特に代表交代後は、過去の経営判断について責任を追及される可能性もあるため、重要な補償と考えました。
FPポイント
訴訟が長期化すると、弁護士費用だけでも数百万円以上になるケースがあります。
そのため、
「賠償金だけでなく争訟費用まで補償されるか」
を必ず確認することが大切です。
② 争訟費用(弁護士費用)の前払い
D&O保険の中でも、
非常に重要な補償の一つです。
通常、
裁判は判決まで数年かかることもあります。
その間、
役員個人が弁護士費用を負担し続けることになれば、
資金面でも大きな負担となります。
今回選択した商品では、
裁判終了を待たず、
訴訟中から弁護士費用を保険会社が前払いできる仕組みとなっています。
FPポイント
経営者が安心して訴訟対応に専念するためにも、
「前払い対応が可能かどうか」
は比較したいポイントです。
なお、最終的に故意や重大な法令違反など免責事由に該当すると判断された場合には、前払いされた争訟費用の返還を求められる場合があります。
③ 退任後の発見期間延長特約
代表取締役を退任した後でも、
在任中の経営判断について、
数年後に損害賠償請求を受けるケースがあります。
そのため今回は、
退任後も一定期間補償される
発見期間延長特約
を付帯しました。
FPポイント
現役の役員は契約を更新することで補償が継続しますが、
退任後は契約内容によって補償期間が決まります。
商品によって異なりますが、
汎用型D&O保険:約20年間
簡易型D&O保険:約10年間
などの違いがあります。
④ 会社補償(第3条)特約
役員が訴えられた際、
会社が弁護士費用や賠償金を一時的に立て替えるケースがあります。
会社補償特約では、
その会社が負担した費用を保険会社が会社へ補償します。
役員だけでなく、
会社の資金流出を抑える重要な補償です。
FPポイント
この特約を利用するには、
会社として役員補償制度を整備していることが前提となる場合があります。
また、商品によって免責金額(自己負担額)が異なるため、事前に確認しておくことが重要です。
汎用型D&O保険と簡易型D&O保険の違い
今回のご相談では、
複数の商品を比較しました。
大きな違いは次のとおりです。
| 項目 | 汎用型D&O保険 | 簡易型D&O保険 |
|---|---|---|
| 発見期間 | 最長約20年 | 約10年 |
| 特約追加 | ○可能 | ×不可 |
| カスタマイズ | ○自由度が高い | △パッケージ型 |
| 中小企業向け | ◎ | ○ |
| 年間保険料 | △割高 | ◎割安 |
FPとしては、
役員構成や企業規模、将来の事業承継まで考えると、
特約を自由に設計できる汎用型D&O保険の方が適しているケースも多いと感じています。
FPからのアドバイス
D&O保険は、
「加入しているかどうか」
ではなく、
「どこまで補償されるのか」
が重要です。
特に今回のように、
・雇われ社長への交代
・事業承継
・オーナーと経営者が異なる会社
では、
役員個人が負う法的リスクは想像以上に大きくなります。
加入を検討する際は、保険料だけで比較するのではなく、
・株主代表訴訟への対応
・弁護士費用の前払い
・退任後補償
・会社補償特約
まで確認した上で、自社に合った補償内容を選ぶことをおすすめします。
今回加入した主な補償①株主代表訴訟担保特約
株主から
「役員の判断で会社へ損害が発生した」
として提訴された際、
・損害賠償金
・和解金
・弁護士費用
などを補償します。
弁護士費用の前払い
D&O保険では、
裁判終了後ではなく、
訴訟中から必要となる弁護士費用を前払いできる商品があります。
長期間の訴訟では非常に重要な補償です。
退任後の補償
役員は退任したあとでも、
在任中の経営判断について訴えられることがあります。
今回も、
退任後の補償期間を延長する特約を付帯しました。
会社補償特約
役員が訴えられ、
会社が弁護士費用などを立て替えた場合、
その費用を保険会社が会社へ支払います。
会社と役員双方を守る重要な特約です。
D&O保険で補償される主な内容
商品によって異なりますが、
一般的には、
・損害賠償金
・和解金
・弁護士費用
・争訟費用
・初期対応費用
・社内調査費用
・第三者委員会費用
・株主代表訴訟費用
などが補償対象になります。
退任後や死亡後も安心とは限らない
意外と知られていませんが、
役員本人が亡くなった後でも、
在任中の経営判断について、
法定相続人が責任追及を受ける場合があります。
そのため、
退任後補償や法定相続人補償があるかどうかも重要な確認ポイントです。
D&O保険でも補償されないケース
D&O保険は万能ではありません。
一般的には、
・故意の違法行為
・犯罪行為
・私的利益の取得
・不正利益
・身体障害
・財物損壊
などは補償対象外となります。
加入前に補償内容を確認することが重要です。
FPから見たD&O保険の必要性
今回ご相談いただいた新代表は、
「会社だけでなく、自分自身や家族も守りたい」
という思いから加入を決断されました。
実際に法人向け保険のご相談を受ける中で感じるのは、
会社の火災保険や賠償責任保険には加入していても、
役員個人を守るD&O保険まで準備できている企業はまだ多くありません。
特に、
・代表交代
・事業承継
・M&A
・IPO準備
・売上拡大
などのタイミングでは、
役員個人のリスクも大きくなります。
経営者が安心して意思決定を行うためにも、
D&O保険は重要な経営リスク対策の一つといえるでしょう。
質問: 雇われ社長でも加入できますか?
はい。役員としての責任を負う立場であれば加入を検討する価値があります。
質問:中小企業でも必要ですか?
はい。近年は中小企業でも株主代表訴訟や役員責任が問われるケースが増えています。
質問:弁護士費用だけでも補償されますか?
商品によりますが、多くのD&O保険では争訟費用や弁護士費用も補償対象です。
質問:退任後も補償されますか?
退任後補償(発見期間延長特約)が付帯されている商品であれば、一定期間は補償されます。
まとめ
D&O保険は、
会社を守る保険ではなく、
経営判断を行う役員個人を守る保険です。
特に、
・雇われ社長
・代表交代
・事業承継
・IPO準備
・成長企業
では必要性が高まります。
今回の相談事例でも、
新たな代表取締役は、自身だけでなく家族を守るためにD&O保険への加入を決断されました。
経営には常にリスクが伴います。
だからこそ、「万が一」に備えた準備が、安心して経営に専念できる環境づくりにつながります。
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法人保険
事業承継
雇われ社長向けリスク対策
についてご相談を承っています。
このような方はお気軽にご相談ください。
✅ 新しく代表取締役へ就任した
✅ 雇われ社長になった
✅ D&O保険が必要か知りたい
✅ 今加入している内容が十分か確認したい
オンライン相談にも対応しております。
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