フリーランスの確定申告のやり方や必要書類は?いくらから申告が必要?家賃は経費?消費税はどう扱う?
フリーランスになると、本業の営業活動はもちろんのこと、各種税金の申告・納付も基本的に自分自身でやらなくてはなりません。
この確定申告という作業が、独立した多くの方がまず最初にぶち当たる壁なのではないでしょうか。
今回の記事では、確定申告がどういったものなのか、その概要と流れについて解説します。
目次
質問:初めての確定申告なのでやり方や必要書類を知りたいです。
フリーランスになりました。初めての確定申告なのでやり方や必要書類を知りたいです。
大学を卒業して、フリーランスになり一年が経とうとしています。
学生時代からずっとブログを書いていたので、すんなりフリーランスになることができました。
税金を納める為にはフリーランスは確定申告をしなければならないという事を知りました。
初めての確定申告なのでやり方や必要書類を知りたいです。意図せぬ脱税などをしてしまわないか心配です。
回答|確定申告とはどういったものなのか、大まかな流れを説明します。
確定申告が初めての人にとっては、すごく難しいものと考えてしまいますよね。
ここで、確定申告とはどういったものなのか、大まかな流れを説明します。
確定申告とは、1年間(1月1日から12月31日)に発生した所得や経費をもとに、所得税を計算して税務署へ申告・納税する手続きをいいます。
具体的には
●確定申告書を記入する
●確定申告書を提出する
という3ステップを踏んで進めることになります。以下、順を追って解説します。
必要書類を準備する
確定申告に必要な書類は以下の5つになります。
・確定申告書・・・国税庁のWEBサイトにて作成が可能です。
【参考サイト:国税庁 確定申告書作成コーナー】
【確定申告書等作成コーナー】-作成コーナートップ (nta.go.jp)
・所得金額がわかるもの・・・白色申告書の場合は収支内訳書、青色申告書の場合は青色申告決算書を利用します。
【参考資料:収支内訳書(一般用)】
【参考資料:所得税青色申告決算書(一般用)】
・控除証明書・・・生命保険料控除、住宅ローン控除といった各種控除を受けるには、控除に該当することを証明する書類が必要になります。以下に各種控除と、その控除を受けるための必要書類の例を記載します。
生命保険料控除:保険会社から毎年10月下旬に送られてくる控除証明書。
住宅ローン控除:住宅借入金等特別控除申告書、住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書。
※なお、確定申告の所得控除は全部で15種類もあります。
・本人確認書類(マイナンバーカード)・・・本人確認の意味で必要になります。なお、マイナンバーカードを持っていない場合は、マイナンバー通知カードや住民票の写しと免許証等の身元確認書類の組み合わせが必要となります。
・銀行口座がわかるもの・・・銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、農業協同組合・漁業協同組合のいずれかが利用できます。
確定申告書を記入する
確定申告書Aは2023年の確定申告から廃止され、確定申告書Bの様式に一本化されました。
【所得税及び復興特別所得税の申告書】
国税庁HP記載の手引きを参考に必要事項を記入します。
【確定申告の手引き】
確定申告書を提出する
申告書の記入まで終わったら、最後に提出します。提出方法は3通りあります。それぞれに提出期限が異なるので注意が必要です。
・税務署窓口への提出・・・3/15の17:00まで
・郵送による提出・・・3/15の消印まで
・e-Taxによるオンライン提出・・・3/15の24:00まで
以上となります。
ここまでで、確定申告について大まかな流れを説明しましたが、やり方について頭を悩ませたり時間を取られてしまうくらいなら、税の専門家である税理士に一任するのもひとつの手です。
時間の有効活用につながります。ぜひ検討してみましょう。
質問:フリーランスの者です。家賃は確定申告でどれだけ経費計上できますか?
フリーランスの者です。ノマドワーカーの人はマックブックを片手にスターバックスやコワーキングスペースで働いていらっしゃいますが、私はずっと家で集中出来るタイプなので職場は家です。
2LDKの寝室にデスクトップのパソコンを設置してそこでサイト運営の作業を一日中しています。家賃は確定申告でどれだけ経費計上できますか?
回答|事業に使用している面積で家事按分割合を算出することが多い
個人事業主の方が自宅の一部を事務所として利用している場合、家賃や光熱費は家事按分に基づいて経費を算出します。
家事按分とは、支払金額を事業経費とプライベートの支出に分けることをいいます。
実は家事按分の比率に関して、国税庁はガイドライン等で明確な基準を定めているわけではありません。個人事業主が自分で判断することになります。
一般的に家賃の場合は、事業に使用している面積で家事按分割合を算出することが多いです。
【具体例】
家賃20万円、80㎡の部屋に住んでいて、20㎡を事業として使っている場合。
家事按分割合:20㎡÷80㎡=25%
経費計上額:20万円×25%=5万円
上記は賃貸物件を想定しましたが、持ち家の場合でも基本的な考え方は同じです。
事業に使用している面積を基準として計算するのが一般的です。
ただし、持ち家の場合は、住宅ローン返済額の元本部分は経費にならない点には注意が必要です。
住居関連費用でその他にも注意が必要な点としては、敷金は経費として計上することはできないことです。
入居時に支払う費用ではありますが、退去時には返金されるお金だからです。一方で、礼金は同じ入居時に支払うお金ではありますが、退去時に返金されるお金ではないので、経費に計上することができます。
このように、似たような費用でも、経費計上できるものとできないものがあります。
もし知らないうちに経費の不正計上してしまうと、加算税等のペナルティが課せられてしまいます。
確定申告の際には税理士に相談するなど、慎重に対応するようにしましょう。
質問:フリーランスですが確定申告が不要なケースはありますか?
私は副業をしているサラリーマンです。いずれフリーランスになろうと思っています。
しかし、フリーランスはサラリーマンと違って会社がやってくれていた年末調整を個人で確定申告や青色申告をしないといけないというのを知りました。
フリーランスの仕事内容自体は好きですが、確定申告は複雑で難しそうなので出来る事なら避けて通りたいです。フリーランスでも確定申告が不要なケースはありますか?
回答|売上から経費を差し引いた所得が48万円以下であれば確定申告は不要
確定申告は必ずしもすべての方がしなければならないものではありません。
確定申告をしなくてもよい金額というものが定められています。
フリーランスの方であれば、売上から経費を差し引いた所得が48万円以下であれば確定申告は不要となります。
ただ、フリーランスとして生計を立てていくことを考えるのであれば、確定申告は避けては通れないと考えるべきです。
そもそも確定申告とはどういった仕組みなのでしょう。確定申告とは、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得の金額とそれに対する所得税の額を計算して確定させる手続きです。
【参考サイト:国税庁 No.2020 確定申告】
国民の義務である納税を果たすための重要な仕組みとなります。
もし仮に確定申告を怠ると、税金の滞納とみなされ、延滞税や無申告加算税といったペナルティが課せられる可能性のある、非常に大事な仕組みです。
しっかり申告・納税するようにしましょう。
質問:フリーランスの確定申告における源泉徴収はどのようなものか教えて下さい。
フリーランスの確定申告における源泉徴収はどのようなものか教えて下さい。
会社員時代、毎年源泉徴収にていくらか手元にお金が返って来ていたのを覚えています。
フリーランスでの確定申告による源泉徴収で返ってくる金額がどれぐらいなのか、どのような理由で手元にもどってくるのかを今後の為にも把握しておきたいので教えて下さい。
回答|給与や報酬を支払う際に、その金額からあらかじめ所得税等を控除して支払う仕組み
フリーランスであっても会社員であっても、源泉徴収とは深く関わっています。そもそも源泉徴収とはどういう仕組みなのか、簡単に解説します。
源泉徴収とは、給与や報酬を支払う際に、その金額からあらかじめ所得税等を控除して支払う仕組みをいいます。
以下、源泉徴収が必要となる報酬の一部です。
※すべての報酬が源泉徴収の対象になるわけではありません。
・原稿料や講演料など
・弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
・外交員報酬
・広告宣伝のための賞金
【参考サイト:国税庁 No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは】
No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは|国税庁 (nta.go.jp)
確定申告をすることで、最終的に納めるべき1年間の税額が確定します。源泉徴収された所得税は、確定申告で清算されます。源泉徴収された金額が本来の所得にかかる税額を上回っていた場合、還付を受けられます。逆に納めるべき税金が不足していれば追徴しなければなりません。
【具体例】
・確定申告にて確定した税額:300万円 > 源泉徴収税額:250万円 差額:50万円の追徴
・確定申告にて確定した税額:250万円 > 源泉徴収税額:300万円 差額:50万円の還付
源泉徴収は所得税の前払いと考えると理解しやすいのではないでしょうか。
フリーランスの人にとって、確定申告は必ずやらないといけない手続きです。
多くの場合、確定申告をすることで、税金の還付を受けられることの方が多いというのが実態です。税理士等の専門家に相談し、しっかり手続きをするようにしましょう。
質問:フリーランスとして働いています。消費税はどのように納めれば良いですか?
フリーランスとして働いています。クラウドワークスにて記事執筆を受注しているウェブライターです。
発注者から報酬を頂くのですが、その報酬から消費税を差し引いて私が消費税として納税する為に手元に置いています。
いまいち消費税について理解をしていないのですが、消費税はどのように納めれば良いですか?
回答|個別消費税(酒税・たばこ税等)とは異なり、消費一般に広く公平に課税する間接税です。
まず消費税の仕組みについて解説します。消費税は、特定の物品やサービスに課税する個別消費税(酒税・たばこ税等)とは異なり、消費一般に広く公平に課税する間接税です。
【参考サイト:国税庁 No.6101 消費税のしくみ】
No.6101 消費税のしくみ|国税庁 (nta.go.jp)
消費税を負担するのはサービスの提供者である事業者ではなく消費者側が負担し、受け取った事業者が消費者に代わって納税するという点が特徴的です。
次に消費税の納税義務者の基準について解説します。
消費税の納税義務が発生するのは、課税期間の前々年(「基準期間」といいます)の課税売上高が1,000万円超となった場合です。
一方で、売上1,000万円未満もしくは開業から2年間は消費税の納税が免除されます。
ただし、「基準期間」の売上高が1,000万円以下であっても、前年の1月1日~6月30日(「特定期間」といいます)の「課税売上高が1,000万円超」、かつ「賞与や手当を含めた従業員の給与等支払額が1,000万円を超えた場合」は納税義務が発生します。
【参考サイト:国税庁 No.6125 国内取引の納税義務者】
No.6125 国内取引の納税義務者|国税庁 (nta.go.jp)
最後に消費税の納め方について解説します。上記で開設した基準により、ご自身に納税義務がある場合、国税庁HP等で消費税の確定申告書、その他添付書類を準備し、必要事項を記入します。
【参考サイト:国税庁 消費税の確定申告の手引き・様式等】
令和5年9月30日までに終了する課税期間分の消費税及び地方消費税の確定申告の手引き・様式等|国税庁 (nta.go.jp)
申告・納付の期限は原則3月末までとなります。納付の方法はインターネットバンキングによる納付、クレカ納付、コンビニ納付等、幅広く用意されています。
【参考サイト:国税庁 申告と納税】
消費税は申告・納付が遅れたりすると、延滞税が課税されたり、差し押さえ等の処分を受けることもあります。
消費税に限らずですが、税金の滞納は、各種助成金や融資などにも影響が出てしまいますので、しっかり申告・納付するようにしましょう。