業務災害事故!建築業の損害賠償保険金支払い30例!加入のポイントと請求方法の質問に回答

建設業は他の業種と比べ業務中にケガを負ってしまうリスクが非常に高い業種です。
労災保険率で比較すると、金融業、保険業又は不動産業の2.5/1,000に対し、建設業(水力発電施設、ずい道等新設事業)は34/1,000と実に15倍もの開きがあります。(厚生労働省HP 令和6年度の労災保険率について より抜粋)
まさに建設業における労働災害のリスクの高さを物語っています。
今回の記事では、業務災害を被ったときに、会社や労働者にとって経済的に大きな助けとなる業務災害保険について解説し、実際の業務災害事故の事例を紹介したいと思います。
目次
- 1 業務災害とは
- 2 業務災害補償保険とは?
- 3 業務災害補償保険の保険料例を紹介します
- 4 事故事例の紹介
- 4.1 事故内容・詳細:資材の移動中、足を踏み外し地上まで落下。
- 4.2 事故内容・詳細:鉄塔における高所作業中に転落し、死亡。
- 4.3 保険金支払額(円):48,700,000円 事故内容・詳細:資材に躓き転倒。右手をついた際につき方が悪く、右手首を骨折してしまう。
- 4.4 保険金支払額(円):198,800円 事故内容・詳細:足場上で外壁を塗装作業中、足を踏み外し転落。
- 4.5 保険金支払額(円):426,800円 事故内容・詳細:清掃作業中、脚立から降りる際に足を踏み外し転倒。
- 4.6 保険金支払額(円):489,000円 事故内容・詳細:トラックと台車の間に手を挟み、骨折してしまう。
- 4.7 事故内容・詳細:足場上階から落下してきた鉄骨が背中に激突。
- 4.8 事故内容・詳細:現場監督からの日常的なパワハラを苦に精神疾患とり患。
- 4.9 事故内容・詳細:誤って工具で左手の親指を切断してしまう。
- 4.10 事故内容・詳細:建設現場内で資材移動中、バランスを崩し転倒。
- 4.11 事故内容・詳細:ゴミをおろしていたところ、バランスを崩し転倒。
- 4.12 事故内容・詳細:内装解体作業中に、床を持ち上げた時に腰を痛めた。
- 4.13 事故内容・詳細:資材に躓いて転んでしまい、トラックの角に顔から激突。
- 4.14 事故内容・詳細:会社へ移動中に交通事故を起こし左足太腿部分を骨折してしまう。
- 4.15 事故内容・詳細:ローラーの間に足を踏み外し、足首をひねって捻挫をした。
- 4.16 事故内容・詳細:木材と木材に左手親指を挟み、切断してしまう。
- 4.17 事故内容・詳細:軽量材で下地を組んでいるときにつまづいた。
- 4.18 事故内容・詳細:足場から地上への落下事故。
- 4.19 事故内容・詳細:資材の重さに耐えきれず転倒。転倒した際に頭を打ってしまう。
- 4.20 事故内容・詳細:資材を持ち上げた時に右太ももに肉離れをおこした。
- 4.21 事故内容・詳細:仮囲いの打ちこみパイプにヒザがぶつかり切傷。
- 4.22 事故内容・詳細:鉄板を左足の甲に落としてしまう。
- 4.23 事故内容・詳細:台車が倒れてきて資材に背中を押され、頭部を強打した。
- 4.24 保険金支払額(円)
- 4.25 事故内容・詳細:建設資材を搬入中に転倒。
- 4.26 事故内容・詳細:運搬中に転倒、膝を捻挫する。
- 4.27 事故内容・詳細:手をついた上に材料が落下し右手を骨折。
- 4.28 事故内容・詳細:はしごが頭めがけて落下。
- 4.29 事故内容・詳細:手とひじが、はさまり亀裂骨折。
- 4.30 事故内容・詳細:脚立から降りようとした際に転倒
- 4.31 事故内容・詳細:つまずき足を捻挫
- 5 業務災害補償保険についての質問やその解答
- 6 まとめ
業務災害とは
そもそも業務災害とは何を指すのでしょう。
業務災害とは、労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡をいいます。
業務が原因となった災害ということであり、業務と傷病等との間に一定の因果関係があることをいいます。(※厚生労働省 東京労働局 業務災害について より抜粋)
業務災害の認定について
業務災害として認定されるには、「業務遂行性」、「業務起因性」の2つの要件を満たす必要があります。
・「業務遂行性」・・・労働者が会社(事業主)の管理下にある状態の傷病であること
・「業務起因性」・・・会社(事業主)が労働者にさせていた業務が原因の傷病であること
たとえば建設作業現場において、足場を組んでいる際に高層の足場から転落し、足を骨折してしまった、という事例があったとします。
このような事例であれば、業務と傷病との因果関係は明確で、上記2つの要件を満たし、業務災害の認定は得られるでしょう。
業務災害の認定が難しいケース
作業中の事故であれば業務災害の認定に問題は発生しませんが、仮に休憩中における傷病の発生となると話が変わってきます。
なぜなら休憩中は労働者は基本的に会社の管理下から離れて自由に過ごすことが、労働基準法で定められているからです。
使用者は、第一項の休憩時間を自由に利用させなければならない。
(※e-GOV法令検索 労働基準法第三十四条(休憩)第三項 より抜粋)
この場合、業務災害に該当するか否かは休憩時間中の事故という外形ではなく、実体で判断されることになります。
たとえば休憩時間中に昼食を食べている状況であっても、それが建設作業現場の管理監督者と、工事の進行についての打ち合わせを兼ねたものであれば、業務災害とされます。
一方で、休憩時間中に作業現場を離れて近くの公園でサッカーをしていたところ、足を捻挫した等といった状況であれば、基本的に業務遂行性がないと判断されます。
いずれにしても、事業主としては業務災害の発生によって生ずる費用負担に備えてしかるべき準備をしておくことは重要です。
業務災害補償保険とは?
業務災害によって生じる費用負担に備える保険として最適なのが業務災害補償保険です。
某大手損害保険会社では、業務災害補償保険の概要を下記のように記載しています。
『従業員の業務上の災害にかかわる各種費用の支出・損害賠償責任リスクをニーズに合わせた補償でしっかりカバーする保険』
それでは業務災害補償保険の特徴を、各ポイントごとに詳しく解説していきたいと思います。
補償内容が幅広い(主契約のみ)
業務采配補償保険は、どこの保険会社で販売している商品も非常に補償内容が幅広く、手厚いのが特徴です。
基本補償として下記のようなものが用意されています。
死亡補償保険金
事故日からその日を含めて180日以内に死亡した場合に支払われる保険金。
後遺障害保険金
事故日からその日を含めて180日以内に後遺障害が発生した場合に支払われる保険金。
入院補償保険金
事故による傷病で入院した場合、180日を限度に入院日数に応じた保険金が支払われる。
手術補償保険金
事故日からその日を含めて180日以内に手術を受けた場合に支払われる保険金。
通院補償保険金
事故による傷病で通院した場合、90日を限度に通院日数に応じた保険金が支払われる。
業務中だけでなく通勤中も補償
業務災害補償保険は、労働者の業務や通勤中の傷害や疾病について、会社(事業者)が補償金や賠償金等の費用を負担することで被る損害を補償します。
業務中の災害だけでなく、通勤中の災害についても補償対象としているのです。
使用者賠償にも対応できる
近年は労働者の権利意識の高まりもあり、使用者側の安全配慮義務違反を理由とした損害賠償訴訟件数も増加しています。
また裁判上で確定した賠償額も、高額化傾向にあります。業務災害補償保険ではそのような使用者賠償責任にも対応することができます。
事業者は、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。(e-GOV法令検索 労働安全衛生法 第三条(事業者等の責務)より抜粋)
特約の種類が豊富
業務災害補償保険には補償範囲を拡張できる特約が幅広く用意されています。
以下にその一部を紹介します。
フルタイム補償特約
業務外において発生した事故による傷病も補償対象とするもの。
雇用慣行賠償責任補償特約
労働者に対して行ったハラスメント・不当解雇に起因して会社(事業主)が負う賠償責任を補償するもの。
事業主費用補償特約
会社(事業主)が負担した葬儀費用や花代を補償するもの。
休業補償保険金特約
業務中の傷病によりその日を含めて180日以内に就業不能となった場合、休業補償保険金を補償するもの。
付帯サービス
業務災害補償保険には基本補償や特約以外にも、保険会社によってさまざまな付帯サービスが用意されています。以下にその一部を紹介します。
助成金受給可能性診断
簡単なアンケートに答えるだけで、助成金の受給可能性の診断が受けられる。
就業規則チェックサービス
就業規則に法令違反等の問題がないか、各条文ごとに社会保険労務士によるチェックが受けられる(就業規則の新規作成や改定作業は別途有料になります)。
メンタルヘルスサポート
労災で増加傾向にあるメンタルヘルス問題の解決に向けた様々なサービスが受けられる。
経営セカンドオピニオン
法律・税務・人事労務等の経営に関する相談に対し、各分野の専門家によるアドバイスが受けられる。
経営事項審査の加点対象
業務災害補償保険に加入すると、経営事項審査の加点対象になります。
経営事項審査とは、国、地方公共団体などが発注する公共事業を直接請け負おうとする場合には、必ず受けておかなくてはならないとされている審査です。
経営事項審査における点数に応じて、建設事業者はランク付けされ、ランクに応じた規模の工事に入札できるようになっているため、建設事業者にとって非常に大きなポイントです。
ただし、業務災害補償保険に加入するだけで加点されるわけではなく、補償内容(死亡補償保険金、後遺障害保険金を付帯すること等)に一定の要件があることは注意が必要です
なお、業務災害保険については下記サイトでも違った観点から解説されています。ぜひ参考にしてみてください。
【参考サイト:業務災害保険とは?必要性はある?労災との違いは?の質問にプロが回答いたします。】
【参考サイト:業務災害補償保険と労災の違いを分かりやすく現役の社労士が解説いたします。】
業務災害補償保険の保険料例を紹介します
ここで業務災害補償保険の保険料の例を紹介します。
某大手損害保険会社で試算したものを紹介しますが、保険会社ごとにベースとなる保険料率は異なります。
また割引制度の摘要の有無によっても保険料に差は出ますので、あくまで参考程度にしてください。
業務災害補償保険 比較表
【プランA】
事業種類:建設事業
売上高:1億円
保険期間:1年間
保険料支払い方法:一時払い
死亡補償保険金:1,000万円
後遺障害保険金:1,000万円
入院補償保険金:5,000円
手術補償保険金:5,000円
通院補償保険金:3,000円
プラスの特約
使用者賠償責任補償特約:1億円
事業主費用補償特約:100万円
コンサルティング費用:補償特約100万円
雇用慣行賠償責任補償特約:1,000万円
合計保険料:322,520円
【プランB】
事業種類:建設事業
売上高:1億円
保険期間:1年間
保険料支払い方法:一時払い
死亡補償保険金:1,000万円
後遺障害保険金:1,000万円
入院補償保険金:5,000円
手術補償保険金:5,000円
通院補償保険金:3,000円
プラスの特約
使用者賠償責任補償特約:1億円
事業主費用補償特約:100万円
コンサルティング費用:補償特約100万円
雇用慣行賠償責任補償特約:なし
合計保険料:288,390円
【プランC】
事業種類:建設事業
売上高:1億円
保険期間:1年間
保険料支払い方法:一時払い
死亡補償保険金:1,000万円
後遺障害保険金:1,000万円
入院補償保険金:5,000円
手術補償保険金:5,000円
通院補償保険金:3,000円
プラスの特約
使用者賠償責任補償特約:なし
事業主費用補償特約:なし
コンサルティング費用:なし
雇用慣行賠償責任補償特約:なし
合計保険料:163,330円
上記は保険料のいわゆる定価です。保険会社によっては、全社的に用意されている割引制度であったり、保険会社独自の割引も用意されています。
契約を検討する際には必ず保険会社に割引制度について確認するようにしましょう。
事故事例の紹介
最後に、建設作業現場における業務災害の事故事例を紹介します。
事故内容・詳細:資材の移動中、足を踏み外し地上まで落下。
足場上で資材の移動中、足を踏み外し地上まで落下。腰骨を骨折し、障害が残ってしまう。
職場復帰は不可能となり、慰謝料・逸失利益を請求される。
保険金支払額
保険金支払額(円):92,809,000円
事故内容・詳細:鉄塔における高所作業中に転落し、死亡。
鉄塔における高所作業中に転落し、死亡。労働者の遺族は会社の安全配慮義務違反を理由に訴訟を提起。
裁判で会社側の過失が認定された。
保険金支払額(円)
保険金支払額(円):48,700,000円
事故内容・詳細:資材に躓き転倒。右手をついた際につき方が悪く、右手首を骨折してしまう。
工事現場内を移動中、現場に置いてあった資材に躓き転倒。右手をついた際につき方が悪く、右手首を骨折してしまう。
保険金支払額(円)
保険金支払額(円):198,800円
事故内容・詳細:足場上で外壁を塗装作業中、足を踏み外し転落。
マンションの足場上で外壁を塗装作業中、足を踏み外し転落。右足首の骨折の重症を負う。一か月間の療養を余儀なくされた。
保険金支払額(円)
保険金支払額(円):426,800円
事故内容・詳細:清掃作業中、脚立から降りる際に足を踏み外し転倒。
脚立に乗って清掃作業中、脚立から降りる際に足を踏み外し転倒。右足首の骨折を負ってしまう。
保険金支払額(円)
保険金支払額(円):489,000円
事故内容・詳細:トラックと台車の間に手を挟み、骨折してしまう。
建設工事現場にてトラックの荷台から台車に資材を積み運び中、トラックと台車の間に手を挟み、骨折してしまう。
保険金支払額(円)
保険金支払額(円):342,560円
事故内容・詳細:足場上階から落下してきた鉄骨が背中に激突。
建設現場を移動中、足場上階から落下してきた鉄骨が背中に激突。骨折の診断を受ける。結果的に半年間の療養となってしまった。
保険金支払額(円)
保険金支払額(円):2,893,000円
事故内容・詳細:現場監督からの日常的なパワハラを苦に精神疾患とり患。
従業員が現場監督からの日常的なパワハラを苦に精神疾患とり患。会社側に相談するも、適切な対応が取られることはなかった。当該従業員は結果的に自殺してしまう。従業員の遺族は会社に対し損害賠償を求め、裁判でも会社の過失を認定した。
保険金支払額(円)
保険金支払額(円):68,700,000円
事故内容・詳細:誤って工具で左手の親指を切断してしまう。
建築資材を組み立て中、誤って工具で左手の親指を切断してしまう。
保険金支払額(円)
保険金支払額(円):4,890,000円
事故内容・詳細:建設現場内で資材移動中、バランスを崩し転倒。
建設現場内で資材移動中、バランスを崩し転倒。店頭の際に資材が左足に落ちて打撲挫創。
保険金支払額(円)
保険金支払額(円):453,000円
事故内容・詳細:ゴミをおろしていたところ、バランスを崩し転倒。
ゴミをおろしていたところ、バランスを崩し転倒。その際に右足をくじいてしまい、さらにその足の上に資材が落ちてきてしまった。
保険金支払額(円)
保険金支払額(円):827,000円
事故内容・詳細:内装解体作業中に、床を持ち上げた時に腰を痛めた。
内装解体作業中に、床を持ち上げた時に腰を痛めた。病院にて腰の捻挫との診断を受けた。
保険金支払額(円)
保険金支払額(円):675,000円
事故内容・詳細:資材に躓いて転んでしまい、トラックの角に顔から激突。
建設現場で出た廃材を運んでいるとき、足元に置いてあった資材に躓いて転んでしまい、トラックの角に顔から激突。病院にて眼窩底骨折との診断を受ける。
保険金支払額(円)
保険金支払額(円):985,600円
事故内容・詳細:会社へ移動中に交通事故を起こし左足太腿部分を骨折してしまう。
工事現場から会社へ移動中に交通事故を起こし左足太腿部分を骨折してしまう。日常的な長時間労働による居眠り運転が原因とされ、会社側の安全配慮義務違反を問われた。
保険金支払額(円)
保険金支払額(円):6,820,000円
事故内容・詳細:ローラーの間に足を踏み外し、足首をひねって捻挫をした。
足踏み場と、その下にあるローラーの間に足を踏み外し、足首をひねって捻挫をした。
保険金支払額(円)
保険金支払額(円):51,000円
事故内容・詳細:木材と木材に左手親指を挟み、切断してしまう。
木材を運搬作業中、木材と木材に左手親指を挟み、切断してしまう。
保険金支払額(円)
保険金支払額(円):4,638,000円
事故内容・詳細:軽量材で下地を組んでいるときにつまづいた。
軽量材で下地を組んでいるときにつまづき、つまづいた拍子にスタットに手を掛け持ちこたえようとしたが、持ちこたえられず、すべるように手が流れ、ふれ止めのチャンネルに手を引っかけた。
保険金支払額(円)
保険金支払額(円):198,800円
事故内容・詳細:足場から地上への落下事故。
建設作業現場における足場から地上への落下事故。両足首の骨折を負ってしまう。
保険金支払額(円)
保険金支払額(円):1,870,000円
事故内容・詳細:資材の重さに耐えきれず転倒。転倒した際に頭を打ってしまう。
資材を積んだトラックから資材を降ろす作業中、資材の重さに耐えきれず転倒。転倒した際に頭を打ってしまう。
保険金支払額(円)
保険金支払額(円):878,000円
事故内容・詳細:資材を持ち上げた時に右太ももに肉離れをおこした。
プラントで管工事中に、資材を持ち上げた時に右太ももに肉離れをおこし、救急搬送される。
保険金支払額(円)
保険金支払額(円):198,000円
事故内容・詳細:仮囲いの打ちこみパイプにヒザがぶつかり切傷。
タワークレーンのタラップに昇る時足がすべり、仮囲いの打ちこみパイプにヒザがぶつかり切傷。
保険金支払額(円)
保険金支払額(円):117,800円
事故内容・詳細:鉄板を左足の甲に落としてしまう。
工事現場で廃材運搬中、鉄板を左足の甲に落としてしまう。
保険金支払額(円)
保険金支払額(円):428,700円
事故内容・詳細:台車が倒れてきて資材に背中を押され、頭部を強打した。
資材を積んだトラックからの資材の荷受時に、台車が倒れてきて資材に背中を押され、頭部を強打した。
保険金支払額(円)
保険金支払額(円):1,473,000円
事故内容・詳細:建設資材を搬入中に転倒。
建設資材を搬入中に転倒。腰椎圧迫骨折と診断された。
保険金支払額(円)
保険金支払額(円):3,003,000円
事故内容・詳細:運搬中に転倒、膝を捻挫する。
工事現場で資材を運搬中に転倒、膝を捻挫する。
保険金支払額(円)
保険金支払額(円):418,000円
事故内容・詳細:手をついた上に材料が落下し右手を骨折。
建設現場で、肩に材料を背負って歩行中、段差につまづき転倒。手をついた上に材料が落下し右手を骨折。
保険金支払額(円)
保険金支払額(円):362,000円
事故内容・詳細:はしごが頭めがけて落下。
資材置場の2階へのハシゴでの作業中、強風にあおられたはしごが頭めがけて落下。そのまま緊急搬送された。
保険金支払額(円)
保険金支払額(円):296,000円
事故内容・詳細:手とひじが、はさまり亀裂骨折。
現場のロングパンに手をかけて上に上がっている時に、単管のネットに手とひじが、はさまり亀裂骨折。
保険金支払額(円)
保険金支払額(円):249,000円
事故内容・詳細:脚立から降りようとした際に転倒
工事現場で脚立から降りようとした際に転倒し、右足を骨折する。
保険金支払額(円)
保険金支払額(円):308,000円
事故内容・詳細:つまずき足を捻挫
足場階段を下りるときにつまずき足を捻挫
保険金支払額(円)
保険金支払額(円):103,000円
このように、なかには数千万にものぼる高額賠償事例もあります。
ただ、上記はあくまで建設作業現場における業務災害事故のほんの一部に過ぎません。
労働者としては危険を極力回避できるよう、日々安全作業に努め、会社としては従業員の安全配慮をしっかりしているか、万が一の事故に際した補償がなされているか、しっかり確認しましょう。
業務災害補償保険についての質問やその解答
今回、業務災害に関連する記事の執筆に先立ち、質問を募集しました。
最後にそのうちのいくつかをピックアップして回答したいと思います。業務災害補償保険を検討している方はぜひ参考にしてください。
質問①:政府労災では補償が不足することはあるのでしょうか?
建設業を営んでいます。先日、懇意にしている保険代理店より業務災害補償保険の提案を受けました。
補償内容はよく理解したつもりですが、政府労災にも加入しているし、これまでに事故を起こしたこともないので、正直いらないのではないかと考えています。
政府労災では補償が不足することはあるのでしょうか?
それはどういった場合なのでしょうか?その内容によっては加入を検討したいと思います。
回答|政府労災は労働者の業務上の事由または通勤によるケガや傷病等に対して必要な保険給付を行う
政府労災は労働者の業務上の事由または通勤によるケガや傷病等に対して必要な保険給付を行う公的保険制度です。
労働災害でケガを負った際に、労災指定病院で自己負担なしに治療を受けることができる療養補償給付、労働災害による傷病を原因として休業した場合の生活保障としての休業補償給付等、政府労災には様々な保険給付が規定されています。
詳しくは下記の記事内に政府労災の給付内容について解説していますので、参考にしてください。
【参考記事:業務災害補償保険と労災の違いを分かりやすく社労士が解説いたします。】
このように補償範囲も幅広く、そして手厚い補償内容を持つ政府労災ですが、被災労働者からすると、これはあくまで必要最低限の補償に過ぎないのです。
たとえば休業補償給付の場合、その支給額を労働災害前に支給を受けていた給与水準と比較すると、一定割合で減額された金額が受給されるのです。
このような状況下で、勤め先の会社から見舞金や上乗せ補償が一切ないとなると、従業員側は会社に対して不信感を抱きかねません。
会社側も対応を間違えると、安全配慮義務違反を理由に訴訟を提起されるリスクにさらされます。
そしていざ訴訟を提起されてしまうと、過去の判例の多くの事例で、会社側に不利な結果となってしまうのは厳然たる事実です。
以上のことから、訴訟を未然に防ぎ労使紛争に発展させないためにも、労災の上乗せ補償を自前で準備しておくことは重要です。
会社側として独自に被災労働者に対して補償をすることで、訴訟をしようという感情を抑える効果が期待できます。
社内でも災害補償規定を整備し、その原資として業務災害補償保険に加入しておくことは非常に重要です。
回答|業務災害補償保険に加入するにあたって重要なポイント
ここで、業務災害補償保険に加入するにあたって重要なポイントを一点紹介します。
それは保険金の受取人を、必ず法人に指定しておくことです。
業務災害補償保険の初期設定では、保険金受取人は被災従業員もしくはその遺族となっています。
ここの設定は忘れずにやっておきましょう。
会社がいったん受け取ったものを、社内の災害補償規定に基づいて被災従業員(もしくは遺族)に給付するのです。
面倒な手続きと思われるかもしれませんが、このひと手間が非常に重要です。
被災従業員にとって、会社から支給を受けたという事実は、その後の労使紛争の予防の意味でとても重要な意味持つことになります。
質問②:IT事業で保険に加入している方はどのようなリスクを想定しているのでしょうか?
IT事業を営んでいます。業務災害補償保険には加入していますが、そもそも基本的にデスクワークなので仕事中にケガをするようなことが想像できません。
保険料も安くはないので次回の満期をもって契約更改しないことも検討しています。
そもそも我々のような業種で業務災害補償保険に加入している事例はあるのでしょうか?
加入している方はどのようなリスクを想定しているのでしょうか?参考にしたいです。
回答|むしろ建設業や製造業に次いで加入事例は多いです。
IT系の業種で業務災害補償保険に加入している事例は、実際に数多くあります。
損害保険の現場に身を置いている筆者の感覚としては、むしろ建設業や製造業に次いで加入事例は多いのではないかと感じるほどです。
ここではIT関連事業の経営者や管理部門の担当者と話をした中で、どのようなリスクを感じているのかを整理して紹介したいと思います。
◆長時間労働に伴う精神疾患
IT関連事業は長時間労働の傾向が強い事業です。この点は経営者や管理部門の担当者の方も長時間労働に伴う精神疾患発症のリスクを認識し、対策に苦慮されていました。
事実、精神疾患と残業時間は密接な関連性があり、残業時間が増えれば増えるほど精神疾患の危険性が増してくる関係性にあります。
長時間労働が原因で精神疾患を発症するとなると、労災認定を受ける可能性が高まります。
当然そのような場合、会社側としても補償が必要になります。このようにIT事業には、総じて長時間労働に起因する精神疾患のリスクがあるといえます。
なお、精神疾患と残業時間の関連性は、具体的に下記の基準を超えると労災認定される可能性が高まるとされています。
・発症1か月前の残業時間が160時間
・発症3週間前の残業時間が120時間
・発症前2か月連続で残業120時間
・発症前3か月連続で残業100時間
◆使用者賠償責任保険
長時間労働に伴う精神疾患の結果、最悪の結果として自殺してしまったような場合、会社側は管理責任が問われます。具体的なリスクとしては、従業員の労働時間(残業時間)を適切に管理せず、安全配慮義務を怠ったとして、従業員の遺族から訴訟を提起されるケースが想定されます。現場で経営者や担当者に話を聞いていると、必ず安全配慮義務の話題になり、この点についても対策に苦慮されていました。
そして訴訟が提起されると、企業側にとっては不利な判決が下ってしまう可能性が高く、その賠償額も数千万~1億円超の高額なものとなる傾向にあります。
ここで、実際に過去にあった長時間労働にともなう使用者賠償事例をいくつか紹介します。
このような高額賠償事例に備える意味で、業務災害補償保険(厳密にいえば、業務災害補償保険に使用者賠償責任保険を特約として付保)を付保しているのです。
質問③:事故があったときに、どのような手順で保険金を請求したらよいのかわかりません。
建設関係の仕事をしています。具体的には塗装工で、長らく一人親方として様々な現場で働いてきましたが、この度法人化することにしました。
法人化と同時に従業員も数名雇用します。ある程度危険の伴う仕事内容なので、業務災害補償保険に加入しようと思いますが、いざ事故があったときに、どのような手順で保険金を請求したらよいのかわかりません。
簡単な流れを教えてほしいです。
回答|全保険会社でほぼ共通した保険金受取までの流れを紹介します。
適切な補償内容の保険に加入して、しっかりリスクに備えていても、保険金を受け取れなければ、保険は全く意味のないものになってしまいます。
保険金請求の流れは保険会社によってじゃっかん異なるものの、必要となる書類や受給までの基本的な流れは概ね共通しています。
ここでは全保険会社でほぼ共通した保険金受取までの流れを紹介します。
具体的には下記の5つのステップです。
②保険会社へ損害報告
③保険金請求書等の必要書類を提出
④保険会社で書類精査
⑤支払い手続き
それぞれ解説していきます。
①事故発生
事故が発生した場合、まずはその損害拡大の防止を最優先にします。
特に業務災害補償保険の場合はケガが発生している場合が多く、対応の遅れが人命に直結することが往々にしてあります。
応急処置や救急車を呼ぶなど、適切な対応が必要です。そのような対応が落ち着いた段階で状況の把握・整理をするようにしましょう。
②保険会社へ損害報告
事故発生時の状況を整理したら、保険会社へ損害の報告をします。保険会社ではなく保険代理店の担当者でも問題ありません。
損害報告の状況は保険会社と代理店とで共有する仕組みになっています。そして損害報告の際には証券番号を控えておき、事故発生時の状況を、いつ(何時何分ごろ)、どこで、誰が、どのような状況で、どうなった、ということを整理して報告するとスムーズです。
この状況の整理は、後に提出する保険金請求書に記入する際にも役に立ちます。
③保険金請求書等の必要書類を提出
保険会社へ損害報告すると、保険金請求書をはじめとした必要書類が届きます。
それらに必要事項を記入し、保険会社へ返送します。また契約者側で独自に用意しなければならない資料もあるので、そのような添付資料も同封します。
業務災害補償保険の場合はケガが伴うことが大半なので、病院でかかった際の領収書や診療報酬明細書が該当します。
詳しくは保険会社から送られてくる保険金請求書類の中に書類の案内がありますので、確認するようにしましょう。
④保険会社で書類精査
保険金請求書類を返送すると、保険会社で内容の精査をします。そこでは保険金請求書に記載された事故状況と添付資料に合理性があるか等の確認がなされます。このとき、請求金額が大きかったり内容の確認が必要な場合は、電話で聞き取りが行われたり、場合によっては現地調査が実施されます。
そのような精査を経て、支払い金額が確定すると契約者へ連絡が入ります。そこで最終的な確定金額とその根拠の説明があり、合意をすると支払い手続きに進みます。
④支払い手続き
契約者からの合意が得られたら、保険金請求書に記載された保険金振込口座へ保険金の支払いがされます。
契約者の合意連絡を確認したら、3日~長くても一週間以内で着金となります。
事故発生から保険金の着金までは概ね上記のような流れとなります。
保険会社(もしくは代理店)への事故報告さえ忘れずにできれば、あとは指示に従って進めるだけなので、それほど難しく構える必要はありません。
書類の手配が滞ったり、失念したりしても保険会社から進捗確認の連絡が入りますので安心です。
不安な点は気軽に相談して進めるようにしましょう。
まとめ
今回の記事では、業務災害補償保険について、その補償内容を解説し、損害事例についても紹介しました。
建設業において、業務災害補償保険は非常に重要な保険です。
他の業種と比べると、業務災害事故の多い業種であることも理由のひとつですが、経営事項審査の加点対象であることも、建設業における業務災害補償保険の重要性を示しています。
業務災害の発生頻度の高いということは、保険会社にとってはリスクが高い業種ということを示しており、その他の業種よりは保険料は高い設定となっています。
契約を検討する際には割引制度の有無について必ず調べるようにしましょう。
そして、適用するための要件等の詳細は、保険会社や保険代理店の担当者に確認するようにしましょう。