不動産の「委任の終了」とは?贈与税との関係をわかりやすく解説

こんにちは、ファイナンシャルトレーナーFP事務所の森逸行です。
今回はお客様からいただいた質問をもとに、不動産の「委任の終了」と贈与税の関係について、専門家の視点でわかりやすく解説します。
目次
「委任契約」とはどんな契約?
不動産の売買や管理などを行う際、「委任」という言葉がよく出てきます。
委任契約とは、ある人(委任者)が他者(受任者)に、法律行為や事務処理を“代理で行ってもらう”契約のことです。
例としては――
●不動産売却の手続きを仲介会社に任せる
●登記を司法書士に委任する
●契約交渉を弁護士に任せる
といったケースが一般的です。
■ 委任はいつ終了するのか?
民法では、委任契約は次のような場合に終了します。
●委任者・受任者が亡くなったとき
●破産や後見開始の審判を受けたとき
●双方の合意
●どちらか一方が解除するとき
つまり、委任の終了とは「代理する権限が消える」という意味であり、財産の移転ではありません。
■ 実際の相談での“専門家の反応”
今回いただいたご相談は、実は私自身もかなり興味深いケースでした。
というのも、この「委任の終了と贈与税の関係」について、相談を受けた司法書士の先生が 最初は即答しなかった からです。
その理由は明確で、
「そもそも、このような相談がほとんどない」
からです。
ところが、今回対応してくださった司法書士の先生は、すぐに回答を導いてくれました。
なぜかというと――
この先生の事務所で、過去にたった1件だけ同じ質問を受け、調べた経験があったから。
この司法書士事務所には司法書士が6人在籍し、開業20年。
年間200~300件以上の登記を扱う大手クラスの事務所です。
それでも、この種類の相談は、
6人 × 20年=120年分の実務の中で“1件だけ”。
つまり、確率としては ほぼ起きないレベルの超レアケース です。
実務の現場にいる司法書士でさえ即答できないほど珍しい相談。
それが今回のテーマの難しさを物語っています。
「委任の終了」と贈与税の関係
結論からお伝えします。
委任の終了は、贈与税の課税対象になりません。
理由はシンプルです。
贈与税 → 財産が無償で移転したとき
委任の終了 → 権限が消えるだけで、財産移転は起きない
つまり、「委任を終了した=財産を渡した」ではないため、贈与税とは無関係です。
具体例:イメージしやすく解説
例1:不動産売却の委任
AさんがBさんに「自宅の売却手続きを任せる」と委任した場合、
途中でAさんが亡くなると委任は終了します。
終了したからといって、Bさんが自宅を“もらえる”わけではありません。
単に、売却手続きを行う権限が消えただけです。
例2:マンション管理を委任
オーナーが管理会社に業務を委任し、後に解除したとしても――
管理会社がマンションを取得するわけではありません。
いずれも「権限の終了」であり「財産の移転」ではないため、
贈与税の話にはなりません。
なぜ誤解が生まれるのか?
「委任」と「贈与」は、どちらも“何かを人に与える”ニュアンスがあるため、混同しやすいのです。
委任=権限を任せる
贈与=財産をあげる
似て見えて、本質は全く違います。
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さらに今回のようなレアケースは、司法書士の先生でさえ経験が少なく、判断に迷うこともあるほど。
だからこそ一般の方が不安に感じるのは当然です。
まとめ
●委任契約は「権限を任せる」契約
●委任の終了は「代理権の消滅」
●財産が動くわけではない
●よって、贈与税の対象にはならない
●実務でも“超レアケース”なので、専門家が迷うのも自然
不動産や相続、税務は専門用語が多く、誤解しやすい分野です。
ご不安な点があれば、いつでもご相談ください。
実務の現場で培った知識と経験から、最適なアドバイスをお伝えします。
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